相続 税金

相続に備えた生前贈与とは?簡易シミュレーター付き

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相続税対策でよく利用される手段として有名な「生前贈与」ですが、その内容、仕組みはあまり知られていないのではないでしょうか。


もしかすると生前贈与によって納税額を大幅に減らすことができるかもしれません
その具体的な方法を紹介していきます。

 

生前贈与とは

生前贈与の概要

そもそも生前贈与とは字が表すように「生きているうちに財産を贈ること」を意味します。
相続発生時に譲渡される財産には控除額を超えてしまうと相続税が発生してしまいます。
この相続税を少なくする手段としてよく用いられるのが生前贈与です。

相続発生以前に数回に分けて贈与することで、相続時に遺贈される財産を少なくすることができます。
結果として、支払わなければならない相続税は少なく抑えることができるのです。

実際に得をする例を動画で確認してみましょう。

こんなひとにおすすめ

ではどんなひとがこの生前贈与を実施したほうがお得なのでしょうか?

結論としては、生前贈与の代表的な方法である「暦年贈与」は、相続税の基礎控除を超えてしまうほどの財産を持っている家族は実施して損はありません。

これはつまり相続税の基礎控除額である「3000万円+法定相続人の人数×600万円」を超えてしまうなら誰であっても実施する価値があるということを意味します。
暦年贈与については後の項にて詳しく説明しますが、贈与税も相続税も払わずに財産を譲ることができる大変有効な手段なのです。

逆に相続税における基礎控除及び後述の特別控除内で相続が行える場合には、生前贈与にあえて着手する必要はありません。

いつからやるべき?

生前贈与に限らず相続対策では早期に手を打つことがより効果を発揮するといわれています。
しかしとりわけ生前贈与は早期に実施しなければ無意味なものになってしまいます。
理由は次の二つです。

①相続開始3年以内に行われた贈与は
相続財産に含まれてしまう

②贈与税の基礎控除額が年間で110万円である

 

イメージをつかみやすくするため図を使って説明していきます。

若いうちから相続対策を建てることの重要性が理解できたでしょうか。
制度の内容を頭の片隅に入れておくだけでも、節税対策の大切な第一歩となるでしょう。

生前贈与と相続の違い

生前贈与と相続の比較

 生前贈与    相続
贈与税  税種  相続税
 受贈者  納税
義務者
 相続人
 110万円
(年間)
 基礎
控除額
 3000万円
+法定相続人の人数
×600万円
 贈与が行われた
年の翌年2月1日から
3月15日まで
 申告
期間
 被相続人の死後
10カ月以内

生前贈与のメリット

生前贈与のメリットはこれまでの説明の通り、相続発生時に支払わなければならない相続税を少なくすることができるということです。

また贈与税の基礎控除内ではなく贈与税を払ってでも生前贈与を実施する人もいます
これは贈与税と相続税の税率を比較したときに贈与税を払ったほうが節税になる場合に行われます。

もう一点メリットとして「贈与者が自由に受贈者を選ぶことができる」ということが挙げられます。
相続時にも遺言を通して指定相続を行うことができますが、自分の手で間違いなく譲渡できるので安心して財産を継がせることができます。

生前贈与のデメリット

デメリットは税金を抑えられる反面、手続きに手間がかかるということです。
この手続きをおろそかにしてしまうと税務署の調査対象になる恐れもあります。

したがって次の項で説明する手続きを着実に実施しなければならないのです。

生前贈与の手続き

先述の通り生前贈与は相続税を抑えることができますが、それとは別の贈与税を発生させてしまいます。
この贈与税を申告する役所である税務署に脱税を疑われないようにするためには、綿密な準備・手続きが必要です。
そこで金銭と不動産の二つの財産の具体的な贈与手続きについて紹介していきます。

①金銭の生前贈与

贈与は口約束でも成立しますが、「贈与契約書」を作り明確な証拠を残しましょう。
これで第三者から見ても贈与の事実が明らかです。
その際、「贈与が行われた年月日」、「贈与者」、「被贈与者」、「贈与額」を忘れずに記載しましょう。

 

②不動産の生前贈与

不動産の場合は「登記申請」が必要となります。
登記とは不動産の所有者を記載することです。
この作業を行っているのが法務局で、固定資産評価証明書などの申請に必要となる書類を集め提出しなければなりません。
また金銭の贈与と同様に「贈与契約書」も必須です。

 

贈与税とは

課税財産と非課税財産

贈与税の課税対象と課税対象外の財産がありますのでその二点を確認していきます。

課税財産

課税財産は不動産・現金・預貯金・有価証券などの他に「みなし贈与財産」があります。

この「みなし贈与財産」はあまり馴染みがないかもしれませんので簡単に説明します。
定義としては「贈与ではないが贈与と言って差し支えない金銭取引に関する財産」のことです。
以下の具体的な例を参考にしてください。

項目
生命保険・個人年金 親が保険金や掛金を払っていて、その子が一銭も払っていないのに給付金や配当金を受け取った
低額譲渡 時価1000万円の土地を500万円で買った
債務免除 子の借金を親が肩代わりするなど

 

②非課税財産

贈与税の課税対象となる財産のことを指します。
代表的なものは扶養家族間での生活費、教育費などが挙げられます。
ただしその生活費や教育費として贈与されたのにも関わらずその資金を預貯金や不動産の購入に使用した場合、課税対象となります。

あとは「法人からの贈与」のように贈与税のかわりに他の税金がかかるものがほとんどで、税金徴収の重複を避けるという意味合いが強いです。

 

控除

基礎控除

贈与税はその年の1月1日から12月31日までの一年間に贈与された財産の合計に対して課税されるものです。
そして「贈与税がかからず贈与ができる金額の上限」を贈与税の基礎控除額といい、110万円に設定されています。
つまり贈与額が110万円以内の場合には贈与税は課税されないのです。

 

配偶者控除

贈与者の配偶者は、居住用の不動産の贈与においては110万円の基礎控除と別に、2000万円まで非課税でその贈与を受けることができます。
ただしこれには以下の二つの条件をともに満たす必要があります。

婚姻期間が20年以上であること

過去に同じ配偶者から、この特例を受けていないこと

 

その他の控除 

①直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度
 

自分の両親、祖父母などの直系尊属からマイホーム購入のために譲渡される資金には非課税制度があります。この制度が適用される条件は次の通りです。

・贈与者が直系尊属であること

・受贈者が直系卑属であり、贈与される年の1月1日時点で20歳以上であること

・受贈者の合計所得金額が、贈与を受けた年において2000万円以下であること

・取得した住宅の床面積が50㎡以上240㎡以下であること

 

②教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
 

平成31年3月31日までの間に直系尊属から、30歳未満の直系卑属に対して教育資金の一括贈与を行った場合、1500万円まで贈与税が非課税となります。

 

税率

贈与税はかなりの累進課税で贈与額が大きくなるにつれ、税率も高くなっていきます。
税率には特例税率と一般税率の二種類があります。

 
特例税率 直系尊属から、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上である直系卑属に対する贈与に適用
一般税率 特例税率対象外のすべての相続財産に適用

 

計算方法は以下の通りです。

贈与税と相続税を比較してみて支払わなければならない税金が少なくなるほうがおすすめです。

以下の贈与税と相続税のシミュレーターを利用してどれほどの税金を払わなければならないか見積っておくとよいかもしれません。
なお、このシミュレーターは特例控除などは考慮していませんのでご了承ください。

 

 

相続に関する法定相続分はこちらの記事でご確認ください。
「遺産相続の法定相続分について!相続の割合・計算の解説付き」

生前贈与における具体的な対策

暦年贈与

先ほど説明した一年間110万円の基礎控除額の範囲内で毎年贈与を実施する対策方法を暦年贈与といいます。
この方法が最も理解がしやすく実際に取り組みやすい相続税対策であると思います。

しかし相続開始3年以内に実施された贈与は相続財産としてみなされ、相続税の課税対象となってしまいます。
つまり可能な限り贈与者が健康なうちに贈与を開始することでより多くの恩恵を得られる対策であるといえます。

 

相続時精算課税制度の利用

この制度は、いわば相続と生前贈与を組み合わせたもので、申請してからその後の生涯において2500万円の控除額内であれば贈与税は一切かかりません。

その反面、相続時には贈与財産と相続財産とを合計した価額をもとに相続税を算出し、贈与税と相続税を一体化して支払わなければなりません
ここが暦年贈与との違いです。
控除内であっても相続時には税金を支払わなければならないのです

また、一度この制度の利用を申請すると暦年課税式(年間基礎控除110万円)には戻すことはできません

ではどんなときに有効かというと「不動産の生前贈与」です。
現金は極端なインフレーションが起きない限り絶対的な価値を持ちますが、不動産に対する価値は時々刻々と変動するため時価で評価されます。

 

相続時精算課税制度の課税額は贈与時の価額で記録され、相続時に支払わなければなりません。
つまり贈与する不動産の価値が上がることが期待される場合、この制度を利用することで相続税を減らすことができるのです

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

相続税と贈与税どちらがお得とは一概には言えませんが、こういった控除を受けられることを知る手がかりになっていれば幸いです。
相続対策に早すぎるということはありません。
ご自身の場合はどの相続対策が一番恩恵を受けられるか、専門の税理士などに助言を求めてみることをお勧めします。

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