50代は老後に真剣に向き合う必要がある時期であり、この時期に資産形成ができているかによって老後の生活が変わってきます。
もう自分には遅いと思っている方もいるかもしれませんが、50代で投資による資産形成を始めていないのであれば絶対に始めるべきです。
この記事では50代から老後資金を作るための資産形成の方法を解説していきます。
資産形成は50代からでも間に合う
「今から資産形成をしても間に合わないのでは?」「投資による資産形成は20代・30代の世代がやるもの」と考えている方もいるかもしれません。
結論から申し上げれば、資産形成は50代からでも間に合います。
65で定年を迎えると仮定すれば、資産形成ができる期間は約10年ですが、それまでに老後の資金準備を整える方法はあります。
また、定年後も働いてゴールを70歳や、75歳までにするのであれば、資金準備ができる期間を延びるので、余裕を持てるでしょう。
年代によって適した資産形成があるので、20代・30代とまったく同じ資産形成方法で資金を準備するのは難しいですが、50代に適した資産形成方法を実践することで老後資金の準備が可能になります。
20代~40代、それぞれの年代の資産形成の方法について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
50代の資産状況
具体的な方法を解説する前に、一般的な50代の資産状況について確認していきましょう。
- 投資している人の割合
- 平均年収
- 独身と二人以上の世帯の貯金額
それぞれ詳しく見ていきます。
投資をしている人の割合
年代・性別 |
株式の保有率 | 投資信託の保有率 | |
50歳~54歳 | 男性 | 16.8% | 10.7% |
女性 | 10.7% | 12.3% | |
55歳~59歳 | 男性 | 18.2% | 7.8% |
女性 | 11.8% | 13.3% |
日本証券業協会の調査から、50代で株式、投資信託に投資している人の割合を男女別にまとめました。
どちらの保有率も20%を切っていますが、男性は株式の保有率が高く、女性は投資信託の保有率が高いという傾向があるようです。
特に女性は独身を選ぶ人も増え、ライフプランの選択肢が広がったので、老後に向けた資産形成を考える人が増えています。
女性の方で資産運用に興味がある方はこちらの記事もチェックしてみてください。
女性の資産運用や投資初心者におススメの投資方法とポイントを徹底解説!
男女別の平均年収
年代 | 男性の平均年収 | 女性の平均年収 |
50歳~54歳 | 679万円 | 320万円 |
55歳~59歳 | 686万円 | 301万円 |
※参考:民間給与実態統計調査(令和元年)
国税庁の調査によると、50代の平均年収は男女別に分けるとこのようになります。
日本では年功序列で給与が決まりやすいので、男性の場合は年代が高くなれば高くなるほど収入が上昇しやすいです。
独身と二人以上の世帯の貯金額の中央値
世帯 | 平均値 | 中央値 |
単身世帯(独身) | 1,496万円 | 420万円 |
2人以上の世帯 | 1,574万円 | 1,000万円 |
金融広報中央委員会の調査から、単身世帯と2人以上の世帯に分けて40代の貯金額の平均値と中央値をまとめました。
50代の単身世帯は平均値と中央値の差が激しいので、実際には貯金のある層と、貯金のない層が二極化していることが予想されます。
一方で、2人以上の世帯は中央値でも1,000万円以上を貯金しているので、老後の貯金としては心許ないですが、資産形成には十分な資金を貯蓄している人が多いことが分かります。
これらの結果から、50代に適したおすすめの資産形成方法について紹介していきます。
50代におすすめの資産形成方法
投資信託という金融商品に毎月少額を積み立てるインデックス投資について聞いたことがあるかもしれませんが、50代が65歳までに老後資金を準備する方法としては難しいです。
50代には資産形成に利用できるまとまった貯金がある方が多いので、その資産を利用して資産形成をするのがおすすめになります。
- 不動産投資
- ヘッジファンド
上記の2つの資産形成方法について、詳しく見ていきましょう。
不動産投資
不動産投資は、物件に住人を募り、賃料収入を得る方法で利益を得る投資方法です。
50代の資産形成になると株式のように不動産の売買で利益を得る方法を想像するかもしれませんが、賃料収入を得る方が安定した老後の資産になります。
不動産投資のメリットとデメリットを確認していきましょう。
- 老後の不労所得につながる
- 早期返済が前提ならローンを利用しやすい
- 実物資産特有のリスクがある
メリット①老後の不労所得につながる
不動産を老後までに保有するメリットは、年金以外に安定した収入を得ることにつながるからです。
老後の生活の不安は年金だけでは安心して暮らせないことから来ていると思います。
しかし、年金に賃料収入を加えて生活することができれば、貯金を切り崩さなくても生活可能です。
また、50代になれば日本年金機構の「ねんきん定期便」を利用して正確な年金額を知ることができます。
毎月受給できる年金額と、不動産の賃料収入を合わせて生活費を賄えるのであれば、貯金を取り崩す必要はありません。
50代からの資産形成方法が遅くない理由は、不動産投資による資産形成が選べることが大きいです。
メリット②早期返済が前提ならローンを利用しやすい
「男女別の平均年収」の項目で具体的な年収を紹介しましたが、50代は最も年収が高い時期です。
年収が高ければ高いほどローンの審査も通りやすく借入金額も増加するので、不動産の購入に投資ローンを利用しやすくなります。
投資ローンを利用すれば自己資金で購入できない良質な物件を購入することが可能です。
ただし、50代の方は返済が定年を超える場合は、審査が厳しくなる場合や、ローンを組めなくなる可能性もあります。
老後の資金準備のために不動産投資を始めたのにも関わらず、定年後もローンを返済するのは本末転倒なので、定年前に返済できる物件を購入するようにしましょう。
デメリット①実物資産特有のリスクがある
不動産投資は実物資産を利用して利益を得る方法です。よって、火災や地震などの災害によって失う危険性があります。
ただし、災害リスクは保険に加入すれば軽減できます。
特に日本の不動産は地震のリスクが高いので、火災保険だけでなく、地震保険への加入は必須です
不動産投資の利回りは保険に加入すれば加入するほど下がりますが、安全に運用するためには利益を少なくしても保険料にコストをかけた方がよいでしょう。
不動産投資について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ヘッジファンド
ヘッジファンドは資産運用のプロに運用を任せて、その運用益を投資家に分配する投資方法です。
投資信託と同じようにプロに運用を任せられる投資方法ですが、こちらの商品は限られた人にしか投資できない富裕層向けの投資商品となります。
ヘッジファンドのメリットとデメリットを確認していきましょう。
- 運用は投資のプロがおこなう
- 様々な運用方法でリスクを軽減する
- 元本が保証されているわけではない
メリット①運用は投資のプロがおこなう
ヘッジファンドはお金を預けると、実際の運用はファンドマネージャーと呼ばれる資産運用のプロが代理でおこなってくれます。
投資の知識があまりない方でも投資しやすい商品といえるでしょう。
また、運用の手間がかからないので、時間のない方でも投資しやすい商品です。
メリット②安定して収益を上げる方針を取っている
ヘッジファンドは市場が上昇していても、下落していてもリスクを回避し、利益を追求する絶対収益を方針としています。
同じプロに任せられるインデックス投資の場合は、相対収益を方針としているので、相場が下落する局面では損をします。
ヘッジファンドが下落相場でも利益を追求できる理由は空売りです。
例えば、ある投資商品の価値が1,000万円で、その価値が割高であると考えて下落すると予想するなら、先に売却注文をおこないます。
先に売却注文をおこなったなら、どこかで買戻しをしてつじつまを合わせなくてはなりません。
より安い価格である800万円で買戻しができたのなら200万円の利益、一方で1,200万円で買い戻した場合は200万円の損失です。
通常の売買と空売りを駆使すれば、相場が上昇していても下落していても利益を得られます。よって、ヘッジファンドは安定した収益を期待できるのです。
ヘッジファンドの空売りについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ヘッジファンドの空売りの仕組みとは?2つのメリットとリスクを解説
デメリット①元本が保証されているわけではない
「プロが運用するなら、失敗したときのリスクも保証してくれる」と勘違いしている方もいるかもしれませんが、ヘッジファンドに限らずインデックス投資も含めて元本は保証されていません。
収益を期待しやすい投資方法ではありますが、運用するファンドマネージャーの力量や、ヘッジファンドが取るリスクによっては大損してしまうことも。
そのため、ヘッジファンドを選ぶ場合はリスクに備えているかどうか、信頼できる運用先であるかどうかを考える必要があります。
ヘッジファンドについて詳しく知りたい人はこちらの記事をチェックしてください。
ヘッジファンドとは?初めての方に3つのメリットをわかりやすく解説
50代は積立NISAによるインデックス投資を始めるべきか
ここまで不動産投資や、ヘッジファンドによる資産形成方法について紹介しましたが、50代が積立NISAによるインデックス投資を始めるべきかについても解説していきます。
インデックス投資とは
インデックス投資とは、指数に連動した成果を目指す投資信託へ投資することを指します。
投資信託には2種類あり、指数と同じ動きを目指すインデックスファンドと、指数以上の成果を目指すアクティブファンドがあります。
インデックスファンドの方が手数料が安いので、最終的な収益が高まりやすいため人気です。
インデックスファンドという商品に少額で積立投資を続けることがインデックス投資の由来です。
インデックスファンドについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
債券インデックスファンドとは? 利回りや手数料についてもご紹介!
積立NISAとiDeCoについて
インデックス投資に利用できる節税制度である、積立NISAとiDeCoの概要についてまとめました。
積立NISA | 一般NISA | 個人型拠出年金iDeCo | |
対象年齢 | 20歳以上 | 20歳以上 | 20歳以上60歳未満 |
積立期間 | 20年 | 5年 | 60歳まで |
年間の非課税枠 | 40万円 | 120万円 | 14.4万円~81.6万円 |
非課税枠の総額 | 800万円 | 600万円 | 制限なし |
投資対象 | 金融庁が定めた投資信託 | 株式、投資信託 | 投資信託、保険、定期預金 |
iDeCoは積立が60歳までなので、50代から始める場合は積立期間が10年に満たないのでおすすめできません。
一般NISAは積立期間が5年と短いので、株式で利益を得る場合は向いていますが、長期のインデックス投資には不向きです。
よって、50代の資産形成で利用できる制度は積立NISAになります。
NISAやiDeCoについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
退職を前提にするなら期間が足りない
積立NISAの非課税期間である20年を利用するためには、50代では65歳までに積み立てが終わらないので適していません。
しかし、50代の方でも不動産投資やヘッジファンドに投資できる貯金がなく、投資信託にしか投資できない方もいるでしょう。
投資のゴールを70代にすれば、積立NISAの非課税期間である20年を利用してインデックス投資ができます。
50代の方でインデックス投資を始めるなら、ゴールを70代にすることで20年の期間を利用して資産形成をすることが可能です。
50代の資産形成はFPに相談
50代の資産形成ではすでに貯蓄のある方と、あまり貯蓄がない方で方法も変わってきます。
また、老後までの期間が少ないので、他の年代以上に難易度が高いため相談を強くおすすめします。
今すぐ相談をして資産形成を検討していきたいところですが、相談先は慎重に選ぶべきです。
資産形成の相談は家計の金融のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談がおすすめになります。
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まとめ
50代からの資産形成方法について解説しましたが、この記事のポイントは下記の通りです。
- おすすめの資産形成方法は不動産投資・ヘッジファンド
- 貯蓄のない方はゴールを明確にしてインデックス投資を始める
初心者が不動産・ヘッジファンドに投資をするなら専門家への相談が必要不可欠です。
資産形成の相談先について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。