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債券先物を徹底解説!現物債との関係からご紹介します!

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債券を対象とした先物取引がある事はご存知でしょうか。
主な先物取引の対象には株式とFXが挙げられます。
債券の先物取引は一部の国債を対象に行うことが出来ます。
この記事では債券を対象とした先物取引について詳しく解説します。

債券先物取引とは?

先物取引は将来の売買を現時点で約束する取引の事を言います。
売買の価格や数量を取り決め、期日が来た時点で取り決めた価格と数量通りに売買を行います。

そして、債券を対象にした先物取引の事を債券先物取引と呼びます。
債券先物と略して呼ばれる事も多いです。

債券先物は、証券取引所が利率と償還期限を取り決めています。
購入した段階では実際には存在しない金融商品です。
債券先物の対象となる架空の国債の事を標準物と呼びます。

売買には元本ではなく一定の証拠金を出すだけで、売買する事が出来ます。
証拠金とは取引を成立させる為に、相手に預ける担保の事です。
証拠金で取引をすれば、元本をすぐに用意する事が出来なくても取引を行えます。

決済の日には実際に存在する現物の債券を受け取ることが出来ます。

債券先物のメリット

具体的に債券先物にはどの様なメリットがあるのでしょうか。

投資家側のメリット

投資家側のメリットとしては、金利変動のリスクを避ける事が出来ます。
債券先物であれば金利も価格も既に取り決められています。
期日までの金利や価格の変動の影響を受けることはありません。
つまり、債券の金利と価格を確定して取引をする事が出来ます。

例えば、債券先物を100円で購入する約束をしていたと仮定します。
約束をした日から期日までに債券の価格が100円から105円に上がったと仮定します。
この場合、通常であれば105円で債券を購入する事になります。
しかし、既に価格を取り決めていればこの債券を100円で購入する事が出来るのです。

ただし、債券の価格が100円から95円になった場合は損をしてしまいます。
現在の価格は95円でも、100円で購入しなければならないからです。

この時、債券先物を100円で売却する約束をしていた場合はどうでしょうか。
通常であれば95円で債券を売却する事になります。
しかし、価格を取り決めておけばこの債券を100円で売却する事が出来ます

この様に損をする可能性もありますが、金利変動のリスクを回避する事が出来ます。

証券会社・発行体・市場のメリット

証券会社、債券の発行体、市場にとっても債券先物はメリットがあります。
証券会社が資産を運用する際、債券先物を使って金利変動リスクを回避する事で債券の流通市場も安定します。
発行体は債券の引き受けリスクを回避する事が出来るので、債券の発行市場の拡大にも繋がります。

債券のリスクについてはこちらの記事で紹介しております。
債券のリスクとは?ひと目でわかる4つのリスク

債券先物と現物債券の関係

現物債券を購入する際は金利が上昇し、価格が下がった場合に利益を得ることができます。
債券の金利と価格には相関関係があります
基本的に金利が上昇すれば価格は下がり金利が下がれば価格は上がります
逆に現物債券を売却する場合は金利が下がり、価格が上がった場合に利益を得る事が出来ます。

債券と金利の関係についてはこちらの記事で紹介しております。
債券価格と金利(利回り)の関係とは?誰でもわかる債券の仕組み

しかし、債券先物を購入する際は価格が上がった場合に利益が得られます。
債券先物を売却する際は価格が下がった場合に利益が得られます。
既に現物債券を持っている場合、債券先物取引をする事でリスクを回避しやすくなります。

現物の債券を購入したいと考えている場合、現物債券の金利が下がり価格が上がったとします。
このままでは購入したいと考えている価格では買う事が出来ません。
しかし、債券先物を買い建てておけば現物債券を同時に購入する事で価格の上昇による損失を相殺できます。
この様な決済の方法を買いヘッジと呼びます。

逆に、現物の債券を売却したいと考えている際、現物債券の金利が上がり価格が下がったとします。
このままでは現物債券を売却しても損をしてしまいます。
しかし、債券先物を同時に売り建てる事によって現物債券で発生する損失を回避する事が出来ます。
この様な決済の方法を売りヘッジと呼びます。

この様に債券先物と現物債券は同時に保有する事で、価格の上昇と下落どちらのリスクも抑える事が出来ます。
1年後に、金利が上昇するか下落するか、価格が下落するか上昇するかどうかは誰にも分かりません。
どちらの事態になったとしてもリスクを取らない選択肢が取れる事はメリットと言えるでしょう。

取引の対象となる銘柄

債券先物取引の対象となる銘柄は4種類あります。

債券先物の種類 取引対象
中期国債先物取引 中期国債標準物(クーポンレート:3%、償還期限:5年)
長期国債先物取引 長期国債標準物(クーポンレート:6%、償還期限:10年)
超長期国債先物取引 超長期国債標準物(クーポンレート:3%、償還期限:20年)
ミニ長期国債先物取引 長期国債標準物の価格

中期国債先物取引

中期国債先物取引は、償還期限は5年、クーポンレートは3%で取引される債券先物です。
債券先物の中では最も償還期限が短いです。
東京証券取引所で1996年2月16日から取引が開始されました。
現在は大阪取引所で取引する事が出来ます。

長期国債先物取引

長期国債先物取引は、償還期限は10年、クーポンレートは6%で取引される債券先物です。
債券先物の中では最も多く取引される銘柄です。
東京証券取引所では1985年10月19日から取引が開始されました。
ミニ長期国債先物取引と比較して、ラージ長期国債先物取引とも呼ばれます。

超長期国債先物取引

超長期国債先物取引は、償還期限が20年、クーポンレートは3%で取引される債券先物です。
債券先物の中では最も償還期限が長いです。
東京証券取引所で1988年7月8日から取引が開始されましたが、2002年に一度取引が中止されました。
その後、2014年4月7日に取引が再開されています。

ミニ長期国債先物取引

ミニ長期国債先物取引は、取引単位を長期国債先物取引の10分の1にした取引です。
決済の方法に受渡方式はなく、差金決済方式のみとなります。
債券先物の中でも一番個人で扱いやすい銘柄です。
2009年3月23日から取引が開始されました。

債券の種類についてはこちらの記事で紹介しております。
債券の種類を徹底解説!債券の分類からわかりやすくご紹介

 

決済の方法について

債券先物の決済の方法には、受渡方式差金決済方式があります。

受渡方式

受渡方式は限月現物債券を売り方から買い方に受け渡す事で決済を行います。

限月とは、債券先物を受け渡す期日の事を言います。
限月は3月、6月、9月、12月と決められており、20日が受け渡し日になります。

受け渡しに使う事が出来る債券の銘柄の事を受渡適格銘柄と呼びます。

受渡適格銘柄は複数存在する事があります。
複数存在する場合は、先物の売方が受渡適格銘柄から自由に銘柄を選択して受け渡す事が出来ます。
これを売り方勝手渡しと言います。
先物の売方が選択すると最も有利になる銘柄の事を最割安銘柄と言います。

 

差金決済方式

差金決済方式は限月までに反対売買を行ってその差益を決済する方式の事です。
反対売買とは先物取引や信用取引で、買った銘柄を売る事、売った銘柄を買う事を言います。

例えば、債券先物を購入した後、価格が上昇した場合、これを売却して決済をする事で差益を得る事が出来ます。
逆に債券先物を売却した後、価格が下落した場合、これを買い戻す事で差益を得られます。
もちろん、価格の上昇、下落によって損をする事もあります。

債券先物を決済する際は受渡方式よりも、差金決済方式の方が決済の方法として多く利用されます

債券先物の理論価格

債券先物には理論価格が存在します。
債券先物は標準物を対象に取引されますが、標準物は架空の債券なので実際に全く同じ債券は存在しません
しかし、標準物と同じ現物債があると仮定した場合、理論価格を求める事が出来ます。

例えば、現物債を短期金利で借り入れて、決済の期日まで保有したとします。
そして、その時点で債券先物を購入し、受渡方式で決済し、現物債を受け入れます。
この時、現物債と債券先物の収支は等しくなります
この時点での債券先物の価格は現物債の価格よりも満期までの直利の分低く、短期金利の分高くなります。これを元に計算式を組み立てます。

具体的な計算式は、現物債の価格-現物債の価格×{(直利-短期金利)×決済の期日までの日数÷365}債券先物の価格となります。

では、簡単な例を挙げて計算をしてみましょう。
現物債の価格を100円として、直利を6%、短期金利を0.3%、決済の期日までの日数を75日と仮定します。
計算式は100-100×{(0.06-0.003)×75÷365}=98.828768……円となります。
小数第2位をを四捨五入して計算すると98.8円が理論価格になります。

この様に導き出した価格の事を先渡価格と呼ぶこともあります。

まとめ

債券先物について理解して頂けたでしょうか。

先物取引は資産運用の中でも仕組みを理解するのが難しい話となっています。
しかし、理解する事が出来ればよりリスクが低く安定した資産運用の方法を身に着ける事が出来ます。

現物債が実際に存在する債券で、債券先物は標準物と呼ばれる実際には存在しない債券となります。
一定の証拠金を支払うことで支払った額よりも大きな取引をする事が可能になります。

先物取引ができる債券の種類は少なく一部の取引所のみ取引する事が出来ます。
決済の種類は2種類ありますが、差金決済をする場合が多いです。

先物取引について知ることは資産運用の上級者への一歩です。
取引の方法についてもどんどん理解を深めていきましょう。

基本的な債券投資についてはこちらの記事で紹介しております。
債券投資とは?利回りやリスクの関係とおすすめの債券投資について

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