債券ETFとは? 債券ETFの特徴と銘柄を徹底解説!

債券ETF(上場投資信託)は債券で構成されたETFです。
ETFは債券、株式、不動産(REIT)分散した投資を行う事が出来ます。
この記事では債券ETFのメリット・デメリット債券ETFの種類について詳しく説明していきます。

目次

債券ETF(上場投資信託)

債券ETFは債券を対象にしたETF(上場投資信託)です。
債券にETFの特徴が備わっています。

まず、ETFについて説明します。
ETFは金融商品に対して分散して投資する投資の方法の事です。
また、ETFの正式名称は、Exchange Traded Fundで日本語では上場投資信託と呼ばれます。
対象となる金融商品には債券だけでなく、株式、不動産(REIT)、通貨があります。

そして、通常の債券、株式と比較して少額で取引出来る特徴があります。
ETFは市場で売買が行われており、市場価格は常に変動しています。
投資信託との違いとしては、上場しているか上場していないかと言う点に違いがあります。

では、通常の債券との違いについて説明します。

例えば、とある企業A社の債券を購入したとします。
その場合、A社にのみ投資をした事になります。
しかし、債券ETFを購入する場合はA社の債券、B社の債券、C社の債券と複数の投資先に分散して投資した事になるのです。

この様にETFは幅広く分散して投資をする事によって、投資のリスクを低減する事が可能です。

債券ETFのメリット

債券ETFは通常の債券と比較して2つのメリットがあります。
1つ目は市場を通していつでも購入できる事、2つ目は解約手数料がない事です。

市場を通して何時でも購入できる

通常、新たに発行された債券は、発行者が指定した期間に公募を行います。
債券を購入するには、その期間内に購入の手続きを行う事が必要です。

しかし、債券ETFは市場を通して何時でも購入する事が出来ます。
購入するタイミングを自由に決められる事は債券ETFのメリットと言えるでしょう。

解約手数料がない

債券は基本的に満期まで途中解約する事が出来ない金融商品です。
解約が出来るケースがあっても、解約手数料が掛かってしまう可能性があります。

しかし、債券ETFは解約する事が出来る上に、解約手数料はありません
債券の保有自体はETFを運用する会社にあるからです。

ただし、債券ETFは売買手数料が掛かるので注意が必要です。

債券ETFのデメリット

債券ETFは外国債券を対象としたETFが多くを占めます。
外国の債券を購入する場合、為替リスクを避ける事は出来ません

なお、為替リスクを含む債券のリスクについて知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
債券のリスクとは?ひと目でわかる4つのリスク

しかし、債券ETFには為替変動のリスクをヘッジする、為替ヘッジがある場合があります。

為替ヘッジ

為替ヘッジは、日本円と対象となる外国債券の通貨間のレートをあらかじめ決めておく事です。
債券ETFには為替ヘッジのある債券ETFと、為替ヘッジのない債券ETFがあります。
為替ヘッジがある場合、価格変動のリスクを抑える事が出来ます。
ただし、為替ヘッジの為の手数料が掛かるので注意が必要です。

為替ヘッジがない場合は為替の変動によって損益が出る事になります。

為替ヘッジがある場合は、手数料が掛かりますが値動きの幅は少ないです。
為替ヘッジがない場合は、円安、円高による為替差益、為替差損によって値動きの幅が大きくなります

債券ETFを購入する際は為替ヘッジの有無について確認する事が重要です。

債券ETFの種類

債券ETFは東京証券取引所で13種類扱われています。
対象指標、コード、管理会社、信託報酬、為替ヘッジの有無について下記の表にまとめました。(2018年現在)
信託報酬はETF(上場投資信託)を保有している間に掛かる手数料の事を言います。

大まかに分類する場合、ブラックロック・ジャパンが運用するiシェアーズ、日興アセットマネジメントが運用する上場インデックスファンド、野村アセットマネジメントが運用するNEXT FUNDS、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・シンガポール・リミテッドの運用するABF汎アジア債券インデックス・ファンドがあります。

対象指標 コード 名称 管理会社 信託報酬 為替ヘッジ
FTSE米国債7-10年セレクト・インデックス 1482 iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF ブラックロック・ジャパン 0.14%
FTSE米国債7-10年セレクト・インデックス 1656 iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF ブラックロック・ジャパン 0.14%
Markit iBoxx 米ドル建てリキッド投資適格指数 1496 iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債 ETF ブラックロック・ジャパン 0.28%
Markit iBoxx 米ドル建てリキッド・ハイイールド指数 1497 iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF ブラックロック・ジャパン 0.58%
S&P 米国債7-10年指数 1486 上場インデックスファンド米国債券 日興アセットマネジメント 0.16%程度
S&P 米国債7-10年指数 1487 上場インデックスファンド米国債券 日興アセットマネジメント 0.16%程度
FTSE世界国債インデックス 1677 上場インデックスファンド海外債券 毎月分配型 日興アセットマネジメント 0.25%程度
ブルームバーグ・バークレイズ自国通貨建て新興市場国債・10%国キャップ・インデックス 1566 上場インデックスファンド新興国債券 日興アセットマネジメント 0.45%程度
NOMURA-BPI総合 2510 NEXT FUNDS 国内債券・NOMURA-BPI総合連動型上場投信 野村アセットマネジメント 0.07% 無※1
FTSE世界国債インデックス 2511 NEXT FUNDS外国債券・FTSE世界国債インデックス 野村アセットマネジメント 0.12%以内
FTSE世界国債インデックス 2512 NEXT FUNDS外国債券・FTSE世界国債インデックス 野村アセットマネジメント 0.12%以内
J.P.モルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス 2519 NEXT FUNDS新興国債券・J.P.モルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス 野村アセットマネジメント 0.19%以内
Markit iBoxx ABF 汎アジア指数 1349 ABF汎アジア債券インデックス・ファンド ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・シンガポール・リミテッド 0.20%

※1 NEXT FUNDS 国内債券・NOMURA-BPI総合連動型上場投信は国内債券を対象としたETFなので為替リスクはありません。

国債、社債など債券の主な種類について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
債券の種類を徹底解説!債券の分類からわかりやすくご紹介

iシェアーズ

iシェアーズはブラックロック・ジャパンが運用する債券ETFです。

米国債米ドル建て社債が対象となっています
「iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF」は償還残存期限が7年以上10年未満の米国債を対象にしたETFです。
為替ヘッジの有るETFと無いETFから選ぶ事ができます。

参考価格は2018年11月15日の時点で一口辺りの価格が2,383円、取引単位は一口からになります
なお、信託報酬は0.14%となっております。

iシェアーズは基本的に為替ヘッジのある債券ETFを取り扱っています。

上場インデックスファンド

上場インデックスファンドは日興アセットマネジメントが運用する債券ETFです。

米国債、海外債、新興国債が対象となっています
「上場インデックスファンド米国債券」
は償還残存期限が7年以上10年未満の米国債を対象にしたETFです。
為替えヘッジのあるETFと無いETFから選ぶ事ができます。

参考価格は、2018年11月15日の時点で一口辺りの価格が19,975円、取引単位は一口からになります。
なお、信託報酬は0.16%となっております。

上場インデックスファンドは基本的に為替ヘッジのない債券ETFを取り扱っています。

NEXT FUNDS

NEXT FUNDSは野村アセットマネジメントが運用する債券ETFです。

外国債券、新興国債券も取り扱っていますが、国内債券を取り扱っている事が大きな特徴です。
「NEXT FUNDS 国内債券・NOMURA-BPI総合連動型上場投信」は日本国債に投資する債券ETFです。

参考価格は2018年11月15日の時点で、99,212円です。
ただし、取引単位については、1万口以上からの購入となります。
なお、信託報酬は0.07%となっております

NEXT FUNDSは基本的に為替ヘッジのない債券ETFを取り扱っています。

ABF汎アジア債券インデックス・ファンド

「ABF汎アジア債券インデックス・ファンド」はステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・シンガポール・リミテッドが運用する債券ETFです。

アジア国債・公債ETFを対象に投資する債券ETFとなっています。
為替ヘッジはありません

最低投資金額は1万円と定められています。(2018年9月現在)
取引単位は一口からで、信託報酬は0.20%となっています。

債券ETFの利回り

債券ETFには分配金による利回りがあります。
分配金は決算日に受け取る事が出来ます。
なお、決算日は1年間に複数回あり、毎月分配金が受け取れる「上場インデックスファンド海外債券 毎月分配型」もあります。
先ほどご紹介した債券ETFの分配金利回り一口当たりの具体的な分配金について表にまとめました。(2018年11月現在)

名称 分配金利回り 分配金 決算日 1年間の決算回数
iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF(為替ヘッジ有り) 1.87% 9円 2018/10/11 4回
iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF(為替ヘッジ無し) 1.96% 17円 2018/10/11 4回
iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債 ETF 3.06% 19円 2018/10/11 4回
iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF 4.60% 29円 2018/10/11 4回
上場インデックスファンド米国債券(為替ヘッジ無し) 2.37% 238円 2018/7/10 2回
上場インデックスファンド米国債券(為替ヘッジ有り) 2.00% 161円 2018/7/10 2回
上場インデックスファンド海外債券 毎月分配型 3.11% 119円 2018/11/10 12回
上場インデックスファンド新興国債券 6.19% 467円 2018/11/10 6回
NEXT FUNDS 国内債券・NOMURA-BPI総合連動型上場投信 0.21% 2.10円 2018/9/7 2回
NEXT FUNDS外国債券・FTSE世界国債インデックス(為替ヘッジ無し) 1.75% 12.70円 2018/9/7 2回
NEXT FUNDS外国債券・FTSE世界国債インデックス(為替ヘッジ有り) 1.07% 7.1円 2018/9/7 2回
NEXT FUNDS新興国債券・J.P.モルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス 0.57% 5.7円 2018/9/7 2回
ABF汎アジア債券インデックス・ファンド 3.15% 1.84(米ドル) 2018/7/23 2回

分配金利回りは1年間の分配金の合計÷参考価格で計算しています。

米国総合債券ETF

米国総合債券ETFは総合債券ETFの中でも最も有名なETFです。
投資先は信用格付けの高い優良な米国の投資適格債が多くを占めるので、信用度の高い金融商品であると言えます。
具体的な銘柄としては、AGGとBNDと呼ばれる米国総合債券ETFがあります。

AGG(iシェアーズ・コア 米国総合債券ETF)

AGGはiシェアーズが運用する金融商品で、正式名称は「iシェアーズ・コア 米国総合債券ETF」と言います。
「iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF」との違いは「iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF」の投資先は米国債のみですが、AGGは米国債以外にも米国の投資適格債に対して投資する事になります。

AGGの分配金利回りは2.91%です。(2018年11月現在)
ただし、基準価格は米ドルであり、購入も米ドルで購入する事になります。
なお、取引はSBI証券など、インターネットの証券取引所で行う事が出来ます。

BND(バンガード 米国トータル債券市場ETF

BNDはバンガードが運用する金融商品で、正式名称は「バンガード 米国トータル債券市場ETF」と言います。
こちらも投資対象は、米国債と米国の投資適格債に対して投資する事になります。
AGGとの大きな違いはありません。しかし、AGGの方が運用されている期間は長いです。

BNDの分配金利回りは2.99%です。(2018年11月現在)
ただし、基準価格は米ドルであり、購入も米ドルで購入する事になります。
なお、取引はSBI証券など、インターネットの証券取引所で行う事が出来ます。

まとめ

債券ETFについて理解して頂けたでしょうか。

債券ETFは債券を対象にしたETFであり、ETFは金融商品に対して分散して投資する事が出来ます。
メリットとして、市場を通して何時でも購入できる事解約手数料がない事が挙げられます。
しかし、デメリットとして為替リスクがあるので注意が必要です。
ただし、為替リスクは為替ヘッジのある債券ETFを購入する事で回避する事が出来ます。

結論としては、債券ETFは為替リスクはありますが、分散した投資である事為替リスクをある程度回避する手段がある事から比較的ローリスクな投資方法であると言えます。

また、債券ETFの種類にはiシェアーズ、上場インデックスファンド、NEXT FUNDS、ABF汎アジア債券インデックス・ファンドがあります。
投資する対象となる債券、為替ヘッジの有無、最低購入価格、信託報酬が各銘柄によって変わります。
債券ETFを購入する際は銘柄の情報を確認する事が重要です。

特に利回りに関する情報を確認する事は、債券ETFを運用して利益を得る為に最も必要な事です。
何故なら、債券ETFの利益は分配金による利回りによるものが大きいからです。

債券ETFの仕組みを理解して、よりローリスクでリターンの大きい債券投資を考えていきましょう

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