1851年5月1日よりロンドン・ハイドパークで開催されたロンドン万国博覧会を記念して作られた銀メダルです。この博覧会は世界で最初の万国博覧会で、19世紀の一大イベントとなり大成功を収め、当時のイギリスの権威をより一層高めたと言われています。この万博を中心となって推進したのは、ヴィクトリア女王の夫であり王立技芸協会会長のアルバート公でした。当時ロンドンの公文書館で館長補佐をしていたコール(H. Cole)は、1849年にパリで開かれた産業博覧会を参観し、フランスが万博開催を果たせなかったことを知って、予定していた国内博覧会を国際博覧会に拡大することをアルバート公に進言し、アルバート公はこれを受け入れました。この万博は大成功と言われるだけあり、約52万ポンドの収入と、利益は約18万ポンドにものぼったといわれています。そしてその利益をもとにしてできたのが、150年以上たった今もなおサウス・ケンジントン一帯に残る、ヴィクトリア・アンド・アルバート・ミュージアムや科学博物館、ロイヤル・アルバート・ホールなどの文化施設です。
表面はヴィクトリア女王とアルバート公の左頭像、下部にトライデントとイルカがデザインされています。裏面には座するブリタニアとそれを囲むヨーロッパ・アジア・アフリカ・アメリカの擬人像、そしてかしずいて冠を戴く女王の姿が描かれており、このデザインはウィリアムワイオンと息子のレオナルドチャールズワイオン両名の合作となります。
このコインは第二次世界大戦後に製造されたリストライク(再鋳貨)です。大型のメダルで見ごたえありですので、ぜひお手に取ってみてください。