ドイツ フランクフルト2グルテン銀貨 1848 ヨハン大公摂政選出記念 Dav-644 KM-338 NGC MS64（AU/UNC)

ドイツの自由都市フランクフルトで発行されたヨハン大公摂政選出記念コインです。ヨハン大公は女帝マリア・テレジアの孫にあたります。非常に活動的でまた庶民的な人柄であり、シュタイアーマルク州の農業、鉱工業、林業を繁栄へと導き、その他にも学校や病院の開設を進めました。兄であり皇帝のフランツ2世は平凡な人物であり、有能なヨハンのことを疎んでいたため、軍人向きではないヨハンを戦場へ送り出すこともしました。ヨハンはこの戦場で多くの兵士を死なせたことに深く傷つくと同時に、平民出身の兵士らと接したことで、宮廷や貴族の生活を嫌うようになったといわれています。宮廷に精神的な居場所がなかったことや、貴族の生活に疑問を抱いていたこともあり、長らく結婚することはなかったものの、その後平民の娘であるアンナと、身分や22歳の年の差の壁を越えて結婚します。

ヨハンはこの時代に活発化した産業教育や社会福祉の遠大な先覚者として広く知られ、民衆からも慕われていました。1859年に77歳で死去した後、地元の人たちが大公を偲んで歌いだしたとされる「ヨハン大公のヨーデル」（Erzherzog Johann Lied）は日本でも大変有名な曲です。ちなみに、オーストリアの有名なコイン「雲上の女神」で知られるフランツ・ヨーゼフ1世はヨハンの大甥にあたり、ヨーゼフも皇后であるエリザベートとともにヨハンの死を惜しんだとされています。