スイス射撃祭とは、スイスで定期的に開かれる射撃競技の大会のことです。「射撃祭」という言葉からはなかなか激しいものが伝わってきますが、永世中立国であるスイスには18~34歳までの男性に対し兵役制度があり、兵役に就くと銃を与えられことになっています。そのため、2017年の統計を見るとスイスの銃所有率は27.6%と、約4人に1人が銃をもっていることがわかります。ちなみに日本の銃所有率は0.3%ですから、スイスでは銃がいかに身近な存在であるかがわかると思います。そうした社会的な理由から射撃を楽しむ人が多く、そのために記念コインが発行されるほどの大事なイベント「射撃祭」が開催されるようになりました。射撃祭の歴史は長く、その始まりを辿ると14世紀にさかのぼりますが、スイス射撃祭コインが最初に発行されたのは、それから500年ほどたった1842年でした。この年の射撃祭はクールという町で開催され、スイス射撃祭コインの発行も国ではなく、クールが所属する県が発行しました。1842年から発行されるようになったスイス射撃債のコインはその後、連邦射撃祭として隔年で全国大会が開催されるようになり、コインも同じ頻度で発行されるようになりました。しかしその後、ヨーロッパ情勢の変動により1885年に射撃祭のコイン発行が停止されます。そこから99年の時代を経て、射撃祭コインの歴史的な価値が再発見されたことにより1984年に再発行が開始され、以降、射撃祭の開催とともに発行されています。1984年以降のものを現代射撃祭と位置付けています。