スペイン王フェルディナンド7世時代の1820年に、コロンビアのヌエボ・レイノ(NRミント)で発行された8エスクード金貨です。フェルナンド7世は、スペイン国王カルロス4世と妃マリア・ルイザの長男として生まれました。父であるカルロス4世は、人々から愚鈍でお人好しの国王と呼ばれました。彼は政治に関心がなく、政治の実権は王妃マリア・ルイザと宰相ゴドイの二人が握っていました。1789年、隣国フランスで革命が勃発します。スペイン王室はブルボン家の出身だったのでルイ16世とマリー・アントワネットを処刑したフランス共和国と交戦しますが敗北します。1808年、ゴドイに反感を持つ貴族たちが蜂起して、ゴドイを失脚させます。さらに、ゴドイを支持していたカルロス4世も退位に追い込まれます。スペインの王位はこのときスペインに進軍中だったナポレオンに渡り、ナポレオンは兄ジョゼフをホセ1世としてスペイン王に即位させました。このフランス軍の侵略に対してスペインの人々は激しく抵抗しました。5月2日に民衆がフランス軍に対して反乱をおこしますが、すぐに鎮圧されます。その後もフランス軍に対する反乱は続き、1812年にナポレオンがロシア遠征に失敗するとフランス軍はスペインから撤退します。ホセ1世もスペインを去り、代わってカルロス4世の息子であるフェルナンド7世がスペイン王に即位しました。フェルナンドが生きた時代、フランスではフランス革命が勃発、それによるフランス革命戦争、続くナポレオン戦争は全ヨーロッパを巨大な動乱へ巻き込むこととなりました。戦乱は体制の腐敗と老朽化が進んでいたスペインに大きな悲劇をもたらし、久しく国際舞台から外れていたスペインを、ヨーロッパで最大の関心事とすることになります。