テトラドラクマ銀貨は、フクロウが描かれていることからフクロウ銀貨とも呼ばれることがある女神アテネとフクロウを描いた人気の古代コインです。
古代コインの中でもトップクラスに有名なデザインであり、2,000年以上前に発行されたロマン溢れるコインとなっています。
古代コインのように発行年が古過ぎるコインは状態の良いものがほとんど現存しておらず、希少価値はあるものの安定していることから、数年で考えると大きな値上がりを期待することは難しいかもしれません。
しかし、テトラドラクマ銀貨をはじめとする古代コインはコレクターを惹きつけてやまない魅力があることから人気を集めています。
この記事では、テトラドラクマ銀貨(フクロウ銀貨)を古代コインの魅力とともに紹介していきます。
テトラドラクマ銀貨(フクロウ銀貨)とは?


| 概要 | 内容 |
| 発行国 | 古代ギリシャ |
| 発行年 | 455-440B.C. |
| 額面 | テトラドラクマ |
| 表面 | 女神アテネの頭像 |
| 裏面 | フクロウ(横にA.O.Eの刻印) |
| 直径 | 24mm |
テトラドラクマ銀貨とは、古代ギリシャ・アテネで発行された当時の他国との貿易や国内の商取引に使用された銀貨です。
紀元前の時代から使用されており、約2400年前に流通していたといわれています。
表面には女神アテネの頭像、裏面にはフクロウが描かれており、横にA.O.Eの刻印があります。
フクロウが描かれていることから、コレクターの間ではフクロウ銀貨という名称で親しまれているコインです。
A.O.Eの刻印はアテネを意味する文字ですが、古代コインは一つ一つハンマーで手打ちをするために刻印がずれることから、元からすべての文字が刻まれていないテトラドラクマ銀貨も存在します。
よって、同じ銀貨でも細かなデザインに違いがあることから、複数のテトラドラクマ銀貨を集めてその違いを発見するのも楽しみ方のひとつです。
テトラドラクマ銀貨のデザインについて
テトラドラクマ銀貨の表面、裏面のデザインについて解説していきます。
- 古代ギリシャを象徴する女神アテネ
- 知恵の象徴のフクロウ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
古代ギリシャを象徴する女神アテネ

ギリシャ神話を代表する女神のアテネは、知恵、戦争、学芸、工芸をつかさどっています。
ゼウスは妻のメティスを妊娠中にのみ込んだことから、娘であるアテネはゼウスの額から完全武装したまま生まれています。
そのため、頭部を武装し、ゴルゴンの首を中央につけた盾と槍を持った女神アテネ像を思い描く人も多いことでしょう。
実際に、初期のテトラドラクマ銀貨では、頭部を武装したアテネ頭像が描かれていました。
守護神として崇められるようになり、古代ギリシャのアテネのポリス(都市国家)そのものを象徴する存在となります。
関連するエピソードには、アテネとオリーブの木の話があり、アテネと海神ポセイドンの都市の支配権を巡った争いが挙げられます。
ゼウスは人々に役立つ贈り物をしたほうに都市の支配権を与えると伝えました。
ポセイドンは戦に役立つように馬を与えたのに対して、アテネは果実が食べられ、薬の材料にもなる複数の用途に利用できるオリーブの木を与えます。
人々はアテネの贈り物を支持したことでアテネに都市の支配権が与えられました。
アテネが贈ったオリーブの木は知恵の象徴、ノアの箱舟においては平和の象徴でも知られています。
フクロウを聖鳥として従わせており、ローマ神界ではミネルヴァにあたることから、アテネとフクロウはセットで描かれることが多いです。
知恵の象徴のフクロウ

フクロウは夜行性の鳥類であり、ヨーロッパを中心に森の賢者など知恵の象徴とされてきた歴史があります。
文化圏の違う日本においては古くから「不苦労」「福来郎」と書くことで縁起物とされました。
西洋文化の流入とともにフクロウに対する印象も画一化されており、世界中のほとんどの地域において親しまれています。
フクロウに対して賢いという印象を抱くのは、知恵をつかさどる女神であるアテネ、ヨーロッパ神界ではミネルヴァの聖鳥であったことに由来します。
この影響から民話や童話などでフクロウを登場させる場合は、知識を蓄えた長老などのキャラクターとなっていることが多いです。
日本でもなじみ深い話を挙げるなら『くまのプーさん』のオウルが挙げられます。
紀元前からフクロウが知恵の象徴となる動物であることは受け継がれており、現代を生きる人々がテトラドラクマ銀貨を見ても知恵の象徴となる存在を表面のアテネと裏面のフクロウに描くことで表現していることがわかります。
古代コインのテトラドラクマ銀貨の魅力

テトラドラクマ銀貨の魅力は、古代コインであることから、一つとして同じ銀貨が存在しない点にあります。
現在とは異なりコインを大量に製造しようとしても、機械で正確に量産することはできません。
すべて手打ち、ハンマーで刻印していることから、刻印にずれが生じてきます。
コインの形を見てわかるとおり、円としてみるなら歪な形をしていることからも、コインによって形が異なります。
よって、テトラドラクマ銀貨は当時の技術力を背景に、一つとして全く同じ銀貨を作ることはできません。
そのため、一つのテトラドラクマ銀貨を入手できれば、この世に同一のものが存在しない唯一無二のデザインのコインを手に入れたことになります。
古代コインは一つとして同じコインが存在せず、2,000年以上前に作られた自分だけが所有するコインをコレクションできることは魅力といえるでしょう。
また、テトラドラクマ銀貨を複数集めれば、見比べて違いを発見することもできるため、アンティークコイン・コレクターの需要も高いです。
テトラドラクマ銀貨の価値

テトラドラクマ銀貨は状態の良さによって価格が異なるものの、数十万円くらいの価格で購入しやすい銀貨となっています。
一部の状態の良いコインは数百万円の値がつくこともありますが、100万円があればほとんどのテトラドラクマ銀貨が購入可能です。
状態が悪く大きく劣化したコインであれば、より安く購入できることもあるため、コインのグレード次第といえるでしょう。
入手難易度についても古代コインの中では広く取り扱われているコインであり、当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」でも取扱経験が複数回あるコインです。
アンティークコインの中でも古代コインに興味を持ち、購入を検討している方におすすめの銀貨となっています。
まとめ
テトラドラクマ銀貨(フクロウ銀貨)は、古代コインの中でも知名度の高いコインであり、入手難易度・価格から考えても最初に購入するのにおすすめの銀貨です。
一つとして全く同じテトラドラクマ銀貨は存在しないため、デザインを見比べながら収集を楽しんでください。
アンティークコインの購入方法については以下の記事で紹介しています。