コイン裏面のEAST INDIA COMPANYとはイギリス東インド会社を指し示しますが、イギリス東インド会社は17世紀後半からムガル帝国を侵略し、19世紀半ばまでインドでの通貨発行を主導していました。ベンガル州カルカッタをメインとした造幣は1835年頃から始まります。セポイの乱による東インド会社によるインド統制の危機から19世紀半ばにイギリス王室に植民地権限を譲渡し、イギリス東インド会社は解散となりました。この解散となるまでに貨幣として扱われていたコインのデザインが今回ご紹介するコインです。
裏面のヤシの木とライオンのデザインは世界で一番有名なウナとライオンの5ポンド金貨を手掛けたウィリアム・ワイオンが制作しましたが、表面の肖像はデザイナーの記録がなく不明です。最後にコインには一見同じタイプであっても詳細に見ると細かな部分に違いがあり、それが造幣局のマークの違いであったりしますが、このコインは3つの造幣局で発行されており、カルカッタ造幣局では601,088枚、ボンベイ造幣局では5,960枚、マドラス造幣局では32,276枚発行された為、それぞれのミントの発行枚数が評価額に反映されていますが、カルカッタとボンベイでは実はミントマークの記載がコインに無い為、判別がつきません。今回はカルカッタもしくはボンベイ発行です。
このコインは状態が悪いコインが多い為、希少なコンディションのコインです。