ブラジルを統治していたポルトガル王国ブラガンサ王朝のペドロ2世のコイン。大航海時代が終わり、ポルトガルはイギリスとメシュエン条約などから同盟を結び、対するスペインはフランスと盟を結び覇権争う新たな時代。この時代の4000レイス金貨には肖像が描かれておらず、そのかわりにエルサレム・クロスが配され、ポルトガルがローマ教皇に近づきキリストへ誓いを立てた証が窺えるのはコインの面白いところ。ローマ教皇に近づけるのもブラジルの金があるおかげ、イギリスとの交易ができたのもブラジルの金のおかげです。
ペドロは精神を病んだ兄王アフォンソ6世(勝利王)の摂政王太子となりました。その後ペドロは兄王を幽閉し、1683年に兄王が崩御するとペドロ2世として王位に即きます。この頃にブラジルで銀鉱山が発見され、ポルトガルは莫大な利益を上げました。ペドロ2世は兄から王位を嗣いだだけでなく、兄の王妃であったサヴォイア家傍系出身のマリア・フランシスカ・イザベル(1646年 – 1683年)と結婚しましたが、彼女との間には一女イザベル・ルイザをもうけたのみで死別し、イザベル・ルイザも病弱だったため、ペドロ2世はプファルツ選帝侯フィリップ・ヴィルヘルムの娘マリア・ソフィアと再婚しました。王位はマリア・ソフィアとの間の息子ジョアン5世が継承しています。