ルイ16世は1793年1月21日にギロチンにて処刑されているため、肖像の描かれていないこのエキュー・6リーブル銀貨はそれ以降の発行です。
処刑前までは、このコインの額面が記載されている面にルイ16世の肖像と、その裏面としてこのコインにもある天使、そして左右に雄鶏と柱に乗ったフリジア帽が描かれていました。雄鶏はフランスの国鳥であり、フリジア帽は自由の象徴とされています。フリジア帽が自由の象徴とされる由縁は、フランス革命の際にフランス人が帽子を指で回していたことに発祥しているとされています。よくあるデザインとして、柱の上に斧とライオンの画(ファスケス)が描かれているものがあり、それは権威の象徴とされているのですが、このフリジア帽はその権威の象徴を制して勝ち取った自由を謳っているのかもしれません。革命色のとても強いデザインとも言えます。
裸の天使は石版に「CONSTITUTION (憲法)」を刻み、上部には革命の成果を示す「REGNE DE LA LOI (法による統治)」銘が配されています。
ルイ16世はブルボン朝第5代のフランス国王で王妃はかの有名なマリー・アントワネットです。1774年に在位を継承しますが、在位中の1789年にフランス革命がおこり、1792年に王権が停止し、その翌年にはギロチンで処刑されてしまいます。フランス最後の絶対君主にしてフランス最初の立憲君主です。