フランツ・ヨーゼフ1世は、1848年、わずか18歳でオーストリア帝国皇帝に即位し、68年間という長い在位期間を誇ります。国民からとても人気のある君主であり、敬愛されていたことで知られています。また、祖父は神聖ローマ帝国皇帝フランツ2世、父親はカール大公であり、この時代のオーストリア=ハンガリー帝国は、華麗なるハプスブルク家最後の帝国であり、フランツ・ヨーゼフ1世は650年続いたハプスブルク家の最後の皇帝でもあります。
こちらのコインは1909年から1914年まで流通貨として発行されたコインのリストライク(再鋳貨)です。年号は1915年銘ですがおそらく1960年代から1970年代までに作られたものです。その理由は、1960年代にアメリカ人が金地金を保有することは違法でしたが、収集用のコインとしては保有が認められていたことから、その抜け目をオーストリア政府が突き、収集用コインとみせる為に1960年代に発行されながらも1915年銘としていたとみられています。1970年代にはこのコインは地金投資コインとして絶大な人気を博しオーストリア政府の思惑は成功します。
裏面にはオーストリアの紋章であり神聖ローマ帝国を継承する「双頭の鷲」が描かれており、とても美しいコインです。羽を広げた双頭の鷲の頭上に王冠、胸にオーストリアの国章、右足に剣と王笏、左足に宝珠が描かれています。