ジョージ2世は、1683年にドイツ・ハノーファーにて生まれた、外国生まれのイギリス君主です。父はハノーヴァー朝開祖ジョージ1世で、ジョージ1世の前の王がステュアート朝最後の君主アン女王であり、ハノーヴァー朝最後の君主はヴィクトリア女王です。父王ジョージ1世は英語を話せないイギリス王として有名であり、更にイギリスよりも故国ハノーファーに滞在した期間が長かったことから、国民からは不人気な王でした。 ジョージ2世は英語での会話が可能であり、ハノーファー滞在期間は父王より短期間であったものの、やはり人気の高い王とは言えない存在でした。しかし、オーストリア継承戦争(1740-1748)では自ら従軍し、最前線で陣頭指揮を執り勝利を収め、七年戦争(1756-1763)ではフランスから広大なアメリカ大陸の植民地を奪取するなどの功績を挙げています。
ジョージ2世のコインに描かれた肖像は、治世前半のヤングヘッド、後半のオールドヘッドに大別され、この5ギニー金貨はヤングヘッドの最終年号です。 表面には左向き肖像、若い肖像のジョージ2世の月桂冠肖像と共に、「神の恩寵によるジョージ2世」の銘文が刻まれています。裏面にはジョージ1世までは分割表示されていた連合王国の紋章が一つの盾の中に描かれており、イングランド・スコットランド、フランス、アイルランドそしてハノーヴァー家の4つの紋章です。銘文には「グレートブリテン、フランスそしてアイルランドの王にして信仰の守護者、ブラウンシュヴァイクとリューネブルクの公爵、神聖ローマ帝国の選帝侯にして内務長官」と刻まれています。状態の良いコインは少なく、数も少ないため、現在は5ギニー金貨全般が入手困難となっており、市場では非常に高値で取引されています。