1967年6月に、中東アラブ諸国の間で発生した六日戦争(第三次中東戦争)の勝利を記念して発行された金貨です。通称、VICTORY(ビクトリー)金貨とも呼ばれています。表面には剣とオリーブの枝、裏面には嘆きの壁がデザインされています。嘆きの壁は、エルサレム神殿の外壁一部を指しており、紀元前20年頃ヘロデ大王が改築した、神殿の西壁として歴史が始まります。70年にユダヤ人による反乱があり、ローマ軍により鎮圧されますが、この際にエルサレムは炎上し、神殿は破壊され、西壁のみが残りました。現在全長は約490mに及びますが、一般には神殿の丘の西側外壁のうち地上に見えている幅約57mの部分のみを指しています。この部分は広場に面しており、壁の前が礼拝の場所になっています。広場の前における壁の高さは約19m、地下に埋まっている部分も含めると32m、積み上げられた石は地上28段、地下17段の計45段で、地上7段目まではヘロデ大王の時代のものです。現在の「嘆きの壁」に関する最も古い記述は、11世紀の詩人アヒマアツ・ベン・パルティエル(英語版)によるものとされ、現在広く使われている英語の名称「Wailing Wall」は、1917年にイギリス人によってつけられたとされ、これは19世紀のヨーロッパの旅行者がこの壁を「ユダヤ人が嘆く場所」と呼んだことに由来するとされています。なお「嘆きの壁」の単語自体は、古くからのアラビア語 「涙の場所」の意の直訳であり、「嘆き」とは、神殿の破壊を嘆き悲しむために、残された城壁に集まるユダヤ人の習慣を表現しているそうです。