ブラジルの20,000レイス金貨は1724年~1727年にかけて、ブラジルのミナスジェライス州で発行されました。この当時のブラジルはポルトガルの植民地でありブラジルは有数の金鉱山地だったため、南半球最大級であるこのクラシック金貨は54gもの重量をもちながら、流通貨幣として発行されています。ミナス・ジェライスは「鉱山のある土地」という意味でもあります。この時代はイギリスの産業革命の時代でイギリスの毛織物製品が安価に大量生産されて、ポルトガルにも大量に流入した為、その費用をこのミナス・ジェライス金貨でポルトガルは支払っていました。デザインは当時ブラジルを植民地としていたポルトガルの紋章が表面に描かれており、その紋章の向かって左側に「20000」の数字が刻まれています。エッジに沿って刻印されているラテン語の表記「IOANNES V DG PORT ET ALG REX」は「ジョアン5世、神の恩寵により、ポルトガルとアルガルヴェの王」を意味します。ジョアン5世は当時ポルトガルを支配していた国王です。裏面の中央には十字架をモチーフにした絵柄が描かれており、その中に「M」の文字が4つ並べられています。このMは2万レイスが発行された「ミナスジェライス州」の頭文字です。エッジに沿って刻まれた文字を見てみると、まず一番上には発行年の数字があります。そしてその下に「IN HOG SIGNO VINCES」の文字が刻印されています。直訳すると「この印しがあれば、勝利するだろう」になります。ここでいう印しとは「十字架」のことです。かつてローマのコンスタンティヌス帝(ローマに初めてキリスト教を取り入れた皇帝)は、戦争前に兵隊たちに十字架を刻印したコインを渡し士気を鼓舞しました。その結果、戦いに勝ったという逸話が伝えられています。この逸話は後にポルトガルにも伝えられました。統治者たちは長きにわたり、この表現をポルトガルの貨幣に使用していたのです。