英領インド ウィリアム4世(1830-1837) モハール金貨 1835(B) リストライク 東インド会社 Fr-1593b KM-451.1 NGC PF58

ウィリアム4世は1830年に65歳で即位し、わずか7年間の治世ながら、その誠実な人柄と国民を想う心で「船乗り王」として広く親しまれました。質素を愛し、家族を大切にするその人柄は、浪費家で知られた兄王たちとは対照的でした。王位についてもなお、侍従なしでロンドンを歩き、市民と気軽に言葉を交わすなど、国民との距離が非常に近かったことでも知られています。彼の治世は、イギリスが大きく変革した時期と重なります。奴隷制度の廃止、労働者階級の権利拡大、児童労働禁止法の制定、そして画期的な選挙改革を推し進め、国民から絶大な支持を得ました。「モハール」という言葉はペルシャ語で「象徴」や「紋章」を意味します。インドではムガル帝国時代からイギリス領時代に至るまで、特に純度の高い金が使われ、美しい彫刻が施された最高級の金貨にのみこの名が冠されました。裏面の「EAST INDIA COMPANY」東インド会社。東インド会社は17世紀後半からムガル帝国を侵略し、19世紀半ばまでインドでの通貨発行を主導していました。ベンガル州カル カッタをメインとした造幣は1835年頃から始まります。セポイの乱による東インド会社によるインド統制の危機から19世紀半ばにイギリス王室に植民地権限を譲渡し、イギリス東 インド会社は解散となりました。この解散となるまでに貨幣として扱われていたコインのデザインが今回ご紹介するコインです。表面の肖像と裏面のヤシの木とライオンのデザインは世界で一番有名なウナとライオンの5ポンド金貨を手掛けたウィリアム・ワイオンが制作しました。