イギリスでは、さまざまな種類の金貨が発行されてきましたが、代表的な金貨のひとつとして挙げられるのがソブリン金貨です。
ソブリン金貨は、15世紀から発行されたものの、一時的に歴史上から姿を消しますが、19世紀になってから発行が再開されたため、歴史のある金貨になります。
発行されている時代に幅があるため、ソブリン金貨の価値はコインが発行された年代や発行年に大きく依存しますが、近年に発行されたソブリン金貨であれば、金そのものの価値で取引されやすいです。
この記事では、ソブリン金貨の価値を決めるポイントと時代別に見るソブリン金貨の種類について紹介します。
ソブリン金貨とは
ソブリン金貨とは、イギリスで発行された金貨であり、15世紀のヘンリー7世の時代に初めて発行されました。
1489年~1604年まで発行が続けられましたが、1817年に再び発行が再開されるまでソブリン金貨は歴史から姿を消します。
金本位制により、金が通貨としての役割を果たしたイギリスでは、ソブリン金貨が通貨として使用されました。
しかし、1929年に世界恐慌により金の価値が高騰し、金本位制が廃止されることでイギリスのソブリン金貨は通貨としての役割を失います。
現在では、金価格に連動する地金型金貨として、ソブリン金貨の発行が続けられているのが現状です。
よって、ソブリン金貨はその歴史から大きく分けて3種類あり、その種別は以下の通りに分けられます。
ソブリン金貨の種別 | 発行年 | 内容 |
収集型 | 1489年~1604年 | 収集用の金貨として希少性がある |
通貨型 | 1817年~1929年 | 通貨として使用されていた |
地金型 | 1929年以降 | 金による価値の担保を目的に発行される |
1489年~1604年に発行されたソブリン金貨も当時としては通貨の役割を果たしていましたが、当時の庶民にとって金貨は希少性が高く、貿易における代金の支払いや、流通も上流階級のみとなっているため、通貨としての役割は限定的です。
そのため、王宮の倉庫などに資産として保管されていた背景もあるので、過去から現在に至るまで保有するだけで価値のある収集対象になりやすい収集型金貨であり、現在から見ればアンティークコインといえるでしょう。
金貨の種別について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
金貨の種類とは? 地金型金貨・収集型金貨に分けて代表的なコインを紹介
ソブリン金貨の価値を決めるポイント
ソブリン金貨の価値を決めるポイントは3つあります。
- 発行年によって異なる
- 含有している金の純度と重さ
- プレミアによる価値
それぞれ詳しく見ていきましょう。
発行年によって異なる
ソブリン金貨は、先ほど紹介した通り、時代別に3種類に分けられ、発行年によって価値が異なります。
最も価値が高くなりやすいのは、1489年~1604年に発行された収集型金貨です。
後ほど詳しく解説しますが、ソブリン金貨は金そのものの価値で取引されるコインと、プレミアなどの希少性を加味して取引されるコインがあります。
一方で、1817年~1929年に発行された通貨型のソブリン金貨というだけではプレミアが付かず、ほとんど地金価格と変わらない相場で取引されることも。
世界恐慌の後に発行された地金型金貨は、その名の通り地金価格で取引されます。
基本的には、発行年が古いほど希少性が高くなりやすいですが、1800年代以降に発行された金貨は現状において、それだけでは希少性が認められない場合もあります。
含有している金の純度と重さ
収集型金貨を除いて、多くのソブリン金貨が含有している金の純度と重さで取引されています。
金価格は毎日発表されており、金1gあたりの価格が発表されているので、ソブリン金貨の重さが分かれば価値を算出できます。
19世紀に発行が再開されたソブリン金貨の純度は91.7%となっており、K22の純金となっていますが、メイプルリーフ金貨などの主要な地金型金貨と比較すると純度が低いです。
金投資用の地金型金貨として純度だけを考えるなら、他の金貨のほうが価値があるかもしれませんが、ソブリン金貨は伝統的なデザインの美麗さによって人気を集めています。
プレミアによる価値
収集型のソブリン金貨は、金そのものの価値に加えてプレミアによる価値が付きます。
また、収集型のソブリン金貨以外でもプレミアがつく発行年があり、主に3つの発行年が有名です。
- 1819年
- 1828年
- 1917年
上記の年代のソブリン金貨は歴史的な背景から発行枚数が極端に少ないといわれています。
このように特定の発行年であるソブリン金貨は、収集型金貨でなくても、プレミアによる価値が高いです。
また、ソブリン金貨は世界でも広く発行されたことから、発行年に加えて特に発行枚数の低い場所で発行された金貨も希少性を持ちます。
希少性が認められプレミアが付く基準はさまざまあるので、必ずしも1489年~1604年に発行されたソブリン金貨だけがプレミア価値を持つわけではありません。
イギリスの時代別に見るソブリン金貨の種類
ソブリン金貨の種類を先ほど紹介した収集型・通貨型・地金型の3種類に分けて、イギリスの時代別に見ていきましょう。
- ヘンリー7世 ソブリン金貨 1485年~1509年
- ヴィクトリア女王 ソブリン金貨 1880年
- エリザベス2世 ソブリン金貨 1982年
それぞれ詳しく解説します。
ヘンリー7世 ソブリン金貨 1485年~1509年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 1485年~1509年 |
額面 | 20シリング |
直径 | 41mm |
重量 | 14.9g |
ヘンリー7世は、テューダー朝を作ったイングランド王であり、薔薇戦争によりイギリス王族の歴史で戦争によって王位の座についた最後の王です。
初めてソブリン金貨が発行されたのはテューダー朝が始まってからであり、王冠とローブを身につけたヘンリー7世の正面像とテューダー朝を象徴するテューダー・ローズと呼ばれる紋章が描かれています。
時代背景からもほとんど流通しておらず、大きさも41mmと見栄えの良い大型の金貨であることから、希少性と人気があるため高いプレミア価値を持つソブリン金貨です。
ヘンリー7世のおすすめ金貨・銀貨3選! テューダー朝の誕生について
ヴィクトリア女王 ソブリン金貨 1880年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 1880年 |
額面 | ソブリン |
直径 | 22mm |
重量 | 7.98g |
品位 | .917 |
ヴィクトリア女王は、エリザベス2世に次ぐ長い在位期間となるイギリスの女王であり、肖像のタイプはいくつかありますが、こちらはヤングヘッドタイプと呼ばれる評価の高いデザインです。
ヤングヘッドタイプのヴィクトリア女王の肖像に、イギリスの金貨を象徴する聖ジョージの竜退治が裏面に描かれています。
この時代のソブリン金貨は希少性が評価されにくいこともありますが、アンティークコインコレクターの間では人気の金貨となっています。
エリザベス2世 ソブリン金貨 1982年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 1982年 |
額面 | ソブリン |
直径 | 22mm |
重量 | 7.98g |
品位 | .917 |
エリザベス2世の肖像は大きく分けて4種類あり、こちらは第2肖像と呼ばれる初めてティアラを被った女王の姿です。
通貨として発行されていたソブリン金貨とデザインもサイズも共通していますが、こちらの金貨は地金として発行されているので発行の目的が違います。
希少性は現在の時点であまり評価されませんが、2022年にエリザベス2世が崩御した影響で、長期的に価値が高まる可能性もあります。
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ソブリン金貨の価値に関するよくある質問
ソブリン金貨の価値に関するよくある質問をまとめました。
- ソブリン金貨は種類によって価値が異なる?
- ソブリン金貨のおすすめの購入先は?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ソブリン金貨は種類によって価値が異なる?
イギリスのソブリン金貨は、古いものであれば15世紀から発行されているので、種類によっても価値が異なります。
15世紀に発行されたソブリン金貨はアンティークコインとして高い希少性を持ちますが、1817年から発行されたソブリン金貨の多くは地金の価値で取引されることが多いです。
しかし、特定の年代に発行されたソブリン金貨はプレミア価値を持つこともあるので、近年に発行されたソブリン金貨も高い希少性が認められる場合もあります。
ソブリン金貨のおすすめの購入先は?
ソブリン金貨のおすすめの購入先はコイン専門店であり、過去に発行された希少性の高いソブリン金貨も購入できます。
当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」でも、ソブリン金貨の取り扱い経験があり、イギリスのアンティークコインも含めて幅広いコインを取り扱っています。
また、希少性の高いソブリン金貨をお持ちの方で、売却を検討している方は当サイトに買取を依頼することも可能です。
詳しくはこちらのページからお問い合わせお願いします。
まとめ
イギリスのソブリン金貨について解説しましたが、15世紀から発行されているため種類も多く、種類によって価値も異なります。
イギリスコインを収集している方にとっては人気のコインとなっているので、ご自身の予算に合わせて購入するソブリン金貨を選びましょう。
ソブリン金貨をすでに保有している方で売却を検討している方は、種類によっては高額買取も期待できます。