リベリアは、大西洋に面したアフリカ西部にある自由(liberty)の名を掲げる共和国です。
アメリカ合衆国で解放された黒人奴隷の定住先として建国され、現在では独立共和国となった経緯があります。
アンティークコインの収集が初めての初心者の方も知っているアメリカの有名な偉人や著名な人物が描かれたコインが発行されているので、興味を持ちやすい国といえるでしょう。
この記事では、リベリアとはどんな国であるか歴史を含めて解説した上で、通貨の種類とおすすめのアンティークコインを紹介します。
この記事のポイント
・リベリアで発行されているアンティークコインを金貨・銀貨に分けて紹介
リベリアはどんな国? ~内戦や感染症の影響で世界最貧国のひとつとされる~
面積(総計) | 111,370km2 |
通貨 | リベリア・ドル(LRD) |
首都 | モンロビア |
言語 | 英語 |
主な宗教 | キリスト教、イスラム教 |
主な民族 | クペレ族、バサ族、グレボ族等 |
隣接する国 | ギニア、シエラレオネ、コートジボワール |
建国 | 1847年7月26日 |
リベリア共和国は、西アフリカに存在する共和制国家であり、シエラレオネ、ギニア、コートジボワールと国境を接します。
解放されたアフリカ系アメリカ人を定住させる目的で、アメリカ植民地協会によって建国されており、アメリカの支援を受けて独立共和国となりました。
アビシニアとともにヨーロッパの植民地支配を受けていないアフリカ領土でもあります。
農林業や鉱業を主要産業とする国ですが、生産性の低さから貧困国とされています。
英語が公用語とされているものの読み書きができるのはごく一部であり、各部族の言葉を使ったコミュニケーションを取る場合が多いようです。
過去の内戦の影響やエボラ出血熱などの感染症の拡大により、甚大な被害を受けたことも世界最貧国といわれる大きな理由です。
日本も無償資金で支援を行っており、リベリア首都圏の幹線道路である「ジャパン・フリーウェイ」を完工しました。
また、2005年にはアフリカ初の女性大統領であるエレン・ジョンソン・サーリーフが誕生したことでも知られています。
リベリアの歴史 ~二度の内戦により国の内情が不安定に~
年号 | 内容 |
1820年 | アメリカ植民協会による祖国再建運動の開始 |
1847年 | リベリア共和国が建国される |
1980年 | サミュエル・ドウのクーデターにより政権が奪取される |
1989年~1996年 | 第一次リベリア内戦 |
1999年~2003年 | 第二次リベリア内戦 |
2003年 | 内戦の終結 |
2014年 | エボラ出血熱の拡大により緊急事態宣言 |
1820年頃からアメリカ植民協会による黒人のための祖国再建運動の開始され、黒人解放奴隷がアフリカに帰還するためのリベリア国の建国運動が開始されます。
実際には、1847年7月26日にアメリカに支援される形でリベリア共和国は独立を果たしました。
リベリアの歴史において大きな事件は2つの内戦であり、サミュエル・ドウのクーデターにより政権が奪取されたことから始まります。
1989年、チャールズ・テーラー率いる反政府組織「リベリア国民愛国戦線(NPFL)」が蜂起し内戦が発生し、これを第一次リベリア内戦と呼びます。
1996年に停戦となりますが、内戦により15万人以上が死亡し、30万人以上が国外に逃亡したことから、アフリカ史上において最悪の内戦といわれました。
テーラーが政権を取り一時的には落ち着いたものの、ダイヤモンドなどの密輸が発覚したことでアメリカから厳しい経済制裁を受けて、経済状況が悪化し、国民の不満も高まります。
1999年には反テーラーの武装勢力であるセクー・コネ率いるリベリア民主和解連合(LURD)が蜂起し勢力を拡大、首都モンロビアに侵攻したことが第二次リベリア内戦です。
2003年、テーラー大統領はナイジェリアに逃亡したことで暫定政府が発足し、内戦は終結に向かっていきました。
二度の内戦で経済状況は大きく悪化しましたが、2014年にはエボラ出血熱の拡大により緊急事態宣言が発令されます。
内戦と感染症により、リベリアの復興は依然として進んでおらず、多くの国民が貧困に苦しんでいる状態です。
リベリアの通貨の種類
リベリアで使用されている通貨はリベリア・ドル(LRD)であり、1943年以降から使用され、補助単位はセントとなっています。
ただし、1847年~1907年も同名の通貨が使用されてきました。
リベリアの通貨の種類を硬貨と紙幣で分けて見ていきましょう。
リベリアの硬貨
- 5セント
- 10セント
- 25セント
- 50セント
- 1ドル
リベリアの紙幣
- 20ドル
- 50ドル
- 100ドル
- 500ドル
- 1000ドル
リベリアの硬貨
5セント
10セント
25セント
50セント
1ドル
額面 | デザイン |
5セント | ゾウ、ヤシの木と船 |
10セント・25セント・50セント・1ドル | 先住民の女性と額面 |
デザインは5セント硬貨を除いて、共通して先住民の女性の左向き肖像が描かれています。
裏面のデザインも含めてほとんどの通貨で共通していることが特徴です。
リベリアの紙幣
20ドル
50ドル
100ドル
500ドル
1000ドル
額面 | デザイン |
20ドル | ウィリアム・タブマン、市場 |
50ドル | サミュエル・ドウ、ヤシの木 |
100ドル | ウィリアム・トルバート、母子 |
500ドル | リベリア国旗を織る人々、カバ |
1000ドル | リベリアの部族の16種類の仮面、国会議事堂 |
表面にはリベリアの大統領を務めた政治家の肖像、リベリア国旗や部族の仮面などリベリアを象徴する物がデザインされています。
かつては5ドル紙幣と10ドル紙幣が発行されていましたが停止されており、現在では1000ドル紙幣が最高額紙幣となっています。
リベリアのおすすめアンティークコイン【金貨】
リベリアのおすすめ金貨を紹介します。
- リベリア ジョン・F・ケネディ 250ドル金貨 1988年
- リベリア アイルトン・セナ 追悼50ドル金貨 1996年
- リベリア ジョージ・ワシントン 25ドル金貨 2000年
- リベリア タイタニック号 100ドル金貨 1998年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
リベリア ジョン・F・ケネディ 250ドル金貨 1988年
概要 | 内容 |
発行 | リベリア |
発行年 | 1998年 |
額面 | 250ドル |
直径 | 32mm |
発行枚数 | 5,000枚 |
状態 | PF FDC |
アメリカとリベリアの関係は非常に密接であることから、アメリカの歴史的重要人物・出来事に関連するコインが発行されてきました。
ジョン・F・ケネディはアメリカのカリスマ的リーダーであり、リベリアでも支持を受けていた人物です。
また、人権を強調する姿勢もリベリア国民の価値観と合っていたことも支持された理由として挙げられるでしょう。
ケネディの左向き肖像、裏面にはリベリアを象徴する言葉である「THE LOVE OF LIBERTY BROUGHT US HERE(自由への愛が我々をここに連れてきた)」が刻印されています。
リベリアのアメリカの偉人を描いた金貨の中でも人気が高く注目したいコインです。
アメリカ アンティークコインの歴史と価値【8種類の金貨・銀貨】
リベリア アイルトン・セナ 追悼50ドル金貨 1996年
概要 | 内容 |
発行 | リベリア |
発行年 | 1996年 |
額面 | 50ドル |
直径 | 17mm |
発行枚数 | 10,000枚 |
アイルトン・セナは、ブラジルのレーシング・ドライバーであり、F1選手権で計3度のワールドチャンピオンを獲得しました。
史上最高のF1ドライバーといわれており、現在でも彼を慕う声は多くあり、アイルトン・セナの関連グッズの販売も続けられています。
彼を追悼するために作られた金貨がこちらの50ドル金貨であり、肖像とともにレーシング・ドライバーを象徴するF1カー、ヘルメットが描かれています。
裏面はリベリアの国章が描かれており、アメリカ合衆国で解放された奴隷がリベリアにやってくる様子の象徴です。
リベリアではこのように国の垣根を超えて、著名人が描かれた金貨がいくつも発行されています。
ブラジルのアンティークコイン特集 おすすめの金貨・銀貨を紹介
リベリア ジョージ・ワシントン 25ドル金貨 2000年
概要 | 内容 |
発行 | リベリア |
発行年 | 2000年 |
額面 | 25ドル |
直径 | 11mm |
重量 | 0.73g |
発行枚数 | 20,000枚 |
品位 | 999/1000金 |
ジョージ・ワシントンは、アメリカ合衆国初代大統領であり、リベリアではジョン・F・ケネディ、ジョージ・ブッシュ、リンドン B. ジョンソンなどの大統領の肖像が描かれた金貨を発行しています。
ジョージ・ワシントンの胸像の後ろには、アメリカを象徴するホワイトハウスが描かれています。
共通してリベリア国章が描かれており、発行年は国章を挟む形で分割されているのが特徴です。
アメリカのアンティークコインを収集している方であれば、リベリアは注目したいコインの収集先といえるでしょう。
リベリア タイタニック号 100ドル金貨 1998年
概要 | 内容 |
発行 | リベリア |
発行年 | 1998年 |
額面 | 100ドル |
直径 | 21mm |
重量 | 6.22g |
発行枚数 | 7,500枚 |
品位 | 999/1000金 |
タイタニック号は、20世紀初頭に建造されたイギリス船籍のオーシャン・ライナーであり、数多くの犠牲者を出した沈没事故で有名であり、この事故をモデルに映画も作られています。
エドワード・ジョン・スミス船長の肖像とともに、タイタニック号が細部まで細かく描かれています。
現在でも映画などのサブカルチャーにより、多くの人が思いを馳せるタイタニック号ですが、リベリアではこのように人物を含めバラエティ豊かな題材で金貨が発行されているのです。
リベリアのおすすめアンティークコイン【銀貨】
リベリアのおすすめ銀貨を紹介します。
- リベリア リパブリック 50セント銀貨 1896年
- リベリア ダイアナ妃 20ドル銀貨 1997年
- リベリア コバルトヤドクガエル 10ドル銀貨 2005年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
リベリア リパブリック 50セント銀貨 1896年
概要 | 内容 |
発行 | リベリア |
発行年 | 1896年 |
額面 | 50セント |
直径 | 30mm |
重量 | 11.6g |
発行枚数 | 5,000枚 |
品位 | 925/1000銀 |
リベリア共和国で発行された50セントの標準流通銀貨です。
1896年から発行されており発行枚数は5,000枚、最後に発行された1906年は24,000 枚となっており、プルーフの発行もあります。
プルーフかつ状態の良い銀貨であれば、2,000ドル以上の価格がついたこともある希少な銀貨です。
リベリア ダイアナ妃 20ドル銀貨 1997年
概要 | 内容 |
発行 | リベリア |
発行年 | 1896年 |
額面 | 50セント |
直径 | 30mm |
重量 | 11.6g |
発行枚数 | 5,000枚 |
品位 | 925/1000銀 |
ダイアナ妃は、イギリス王室の王妃であった人物であり、イギリスだけでなく世界中で人気を集めていました。
リベリアでは、ダイアナ妃に関連するコインもいくつか発行されています。
ヨーロッパの植民地支配を受けていないことから、イギリス王室に関連するコインの発行はダイアナ妃を中心に限定的です。
ダイアナの3つの人気金貨をご紹介! 生い立ちからその生涯も解説します!
リベリア コバルトヤドクガエル 10ドル銀貨 2005年
概要 | 内容 |
発行 | リベリア |
発行年 | 2005年 |
額面 | 10ドル |
直径 | 39mm |
重量 | 25g |
発行枚数 | 2,500枚 |
品位 | 925/1000銀 |
リベリアでは人物のほかに動物コインも数多く発行されており、コバルトヤドクガエルを始めとする色鮮やかなカエルをカラー付きの銀貨で描いています。
コバルトヤドクガエルは南アメリカやブラジルの国境付近に生息しているカエルであり、世界で最も美しいカエルといわれることがあります。
動物コインを収集している方でもカエルやヘビといった両生類や爬虫類に興味がある方は、リベリアはおすすめのコインの収集先です。
リベリアのアンティークコインに関するよくある質問
リベリアのアンティークコインに関するよくある質問をまとめました。
- リベリアのアンティークコインはどこで購入できる?
- リベリアの金貨・銀貨を売却するならどこがいい?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
リベリアのアンティークコインはどこで購入できる?
リベリアのアンティークコインは、コイン専門店を通して購入できます。
素性のわからない個人が出品できるオークションサイトなどに出品されていることもありますが、利用するならコインの真贋と信頼できる出品者であるかどうかを確認するようにしましょう。
コインの取引に慣れていない方は、信頼できるコイン専門店からアンティークコインを購入するほうが確実です。
リベリアの金貨・銀貨を売却するならどこがいい?
リベリアの金貨・銀貨は、当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」に売却できます。
当サイトでは、リベリアのアンティークコインを含めて世界中のコインの買取を受け付けています。
詳しくはこちらのページからお問い合わせお願いします。
まとめ
リベリアで発行されるアンティークコインは非常に種類が幅広く、アンティークコイン収集家の多くが興味を持ちやすいコインが揃っています。
人物、タイタニック号などの特定の題材や、動物コインなどご自身の興味があるジャンルからリベリアでコインを探してみると良いでしょう。
アンティークコインの購入方法はこちらの記事で紹介しています。