ボヘミアは、チェコの西部・中部に位置する地名であり、チェコスロバキアの前身となったボヘミア王国を指します。
自由奔放な生き方をする人のことをボヘミアンと呼びますが、これはかつてのボヘミア人を指しており、放浪する芸術家などに使われていました。
1198年 ~1918年まで続く長い歴史から、数々のアンティークコインが発行されており、いくつものコインが現存しています。
この記事では、ボヘミアのアンティークコイン特集としておすすめの金貨・銀貨を紹介します。
ボヘミアのアンティークコイン
ボヘミアは現在ではチェコにある地域の名称となっていますが、かつて中央ヨーロッパに存在したボヘミア公国・ボヘミア王国のことを指し、チェコスロバキアの前身となった国です。
プラハを中心としたチェック人の居住地域であり、10世紀からボヘミア王国が建国され神聖ローマ帝国の一部となりましたが、16世紀以降はオーストリアの支配を受けた地域になりました。
第一次世界大戦により、オーストリアの支配が崩壊し、ボヘミアはチェコスロバキア共和国として成立することになりますが、現在ではチェコとスロバキアで別々の国となっています。
1198年からその歴史が続くボヘミアでは数多くのコインが発行されており、ヨーロッパ地域におけるアンティークコインの収集先のひとつです。
神聖ローマ帝国、オーストリアのアンティークコインはこちらの記事で紹介しています。
神聖ローマ帝国のアンティークコイン特集 おすすめの金貨・銀貨を紹介
オーストリア アンティークコインの歴史と価値【金貨・銀貨・銅貨7選】
ボヘミアのおすすめ金貨
ボヘミアのおすすめ金貨を3つ紹介します。
- ボヘミア カール4世 1ダカット金貨 1346-1355年
- ボヘミア フェルディナント3世 10ダカット金貨 1641-1655年
- ボヘミア アルブレヒト・フォン・ヴァレンシュタイン 10ダカット金貨 1629-1630年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ボヘミア カール4世 1ダカット金貨 1346-1355年
概要 | 内容 |
発行 | ボヘミア |
発行年 | 1346-1355年 |
額面 | 1ダカット |
カール4世は、ボヘミア王国ではカレル1世と呼ばれていますが、神聖ローマ帝国の王を兼ねていたことからカール4世と呼ばれることが一般的です。
ボヘミア王国の当地ではプラハ大学の建設など教育的政策に力を入れており、カール4世の時代がボヘミア王国の全盛期であったといわれることがあります。
表面には正面を向いたカール4世の肖像が描かれており、裏面に描かれているのはボヘミアライオンです。
ライオンはチェコの国章でもあり、現在の国章と比較してもライオンの立ち姿などが近い構図となっています。
ボヘミア王国の全盛期を象徴する君主が描かれた代表的な金貨といえるでしょう。
ボヘミア フェルディナント3世 10ダカット金貨 1641-1655年
概要 | 内容 |
発行 | ボヘミア |
発行年 | 1641-1655年 |
額面 | 10ダカット |
重量 | 35g |
品位 | 986/1000金 |
フェルディナント3世は、神聖ローマ帝国の皇帝であり、ハンガリー王、ボヘミア王を兼任しました。
こちらの金貨はプラハで発行されたボヘミア王国時代のコインであり、高い希少性からコインの状態によっては5万ドルを超える価格で取引されたこともある金貨となっています。
表面にはフェルディナント3世の右向き肖像、裏面には神聖ローマ帝国の紋章が描かれています。
ボヘミア王国で発行された金貨のなかでも高い希少性がある、価値の高いアンティークコインです。
ボヘミア アルブレヒト・フォン・ヴァレンシュタイン 10ダカット金貨 1629-1630年
概要 | 内容 |
発行 | ボヘミア |
発行年 | 1629-1630年 |
額面 | 10ダカット |
重量 | 34.6g |
アルブレヒト・フォン・ヴァレンシュタインは、三十年戦争期のボヘミアの傭兵隊長でありフェルディナント2世に仕えていました。
皇帝軍総司令官に任命されましたが、最終的には暗殺された人物であり、皇帝から危険視されていたという事実はあるものの、暗殺の真実は謎に包まれています。
ボヘミアの小貴族の生まれであったため、爵位はあるものの、皇帝の立場にないにもかかわらず、いくつもの肖像パターンの金貨がプラハから発行されています。
ボヘミアのおすすめ銀貨
ボヘミアのおすすめ銀貨を紹介します。
- ボヘミア マリア・テレジア 6クロイツァー銀貨 1743-1744年
- ボヘミア ヴァーツラフ4世 15グロッシェン銀貨 1378-1419年
- ボヘミア フェルディナント1世 2クロイツァー銀貨 1561-1564年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ボヘミア マリア・テレジア 6クロイツァー銀貨 1743-1744年
概要 | 内容 |
発行 | ボヘミア |
発行年 | 1743-1744年 |
額面 | 6 クロイツァー |
マリア・テレジアは、1740~1780年に在位したオーストリア女大公であり、実質的な君主であったことから構成では女帝と呼ばれる人物です。
アンティークコインでは非常に有名な人物であり、彼女の肖像が描かれたコインが特定の地域で200年以上使用されたことがあります。
こちらのコインはプラハで発行されており、オーストリアの統治下であったボヘミア王国で発行された知名度の高い人物の銀貨です。
マリアテレジアの1ターレル銀貨が200年以上された理由はこちらの記事で紹介しています。
マリアテレジアの1ターレル銀貨が200年以上使用された理由とは?
ボヘミア ヴァーツラフ4世 15 グロッシェン 銀貨 1378-1419年
概要 | 内容 |
発行 | ボヘミア |
発行年 | 1378-1419年 |
額面 | 15グロッシェン |
重量 | 34.1g |
ヴァーツラフ4世は、この時期では珍しいカール4世から世襲した神聖ローマ帝国の国王です。
ヴァーツラフ4世の時代に発行されたこちらの銀貨の表面には王冠が描かれており、裏面にはボヘミアライオンが描かれています。
ボヘミアのアンティークコインはプラハで発行されるものが多くなっていますが、時代によってチェコを象徴するボヘミアライオンの紋章であるか、神聖ローマ帝国の紋章であるかが異なっています。
ボヘミア フェルディナント1世 2クロイツァー銀貨 1561-1564年
概要 | 内容 |
発行 | ボヘミア |
発行年 | 1561-1564年 |
額面 | 2クロイツァー |
直径 | 19mm |
重量 | 1.4g |
フェルディナント1世の時代に発行された銀貨であり、プラハで発行されています。
王冠を被ったボヘミアライオンをビーズのような円で囲っており、円を囲うようにレタリングされています。
そして、イーグルの中央にオーブがあり、オーブの内側に額面である2という数字が彫られています。
ボヘミアのアンティークコインに関するよくある質問
ボヘミアのアンティークコインに関するよくある質問をまとめました。
- ボヘミアのアンティークコインを購入する方法は?
- ボヘミアの金貨・銀貨はどこで買取できる?
それぞれ詳しく解説します。
ボヘミアのアンティークコインを購入する方法は?
ボヘミアのアンティークコインは、アンティークコインを中心に取り扱うコイン専門店で取り扱われることがあります。
オークションサイトにも出品されていますが、素性のわからない出品者から落札する場合は、コインの真贋と相場を確認するようにしましょう。
アンティークコインの落札に慣れていない方は、コイン専門店を通してコインを購入するのが確実です。
ボヘミアの金貨・銀貨はどこで買取できる?
ボヘミアの金貨・銀貨は、当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」で買取を受け付けています。
ボヘミアに限らず、ヨーロッパをはじめとする世界中のコインの売却が可能であるため、希少性の高いアンティークコインを現金化したい場合は査定を検討してください。
買取の相談などのお問い合わせはこちらのページからおこなえます。
まとめ
ボヘミアは、16世紀以前の古いアンティークコインを収集したい方におすすめの収集先となっています。
神聖ローマ帝国を中心とするヨーロッパ史に興味がある方は、ボヘミアのアンティークコインにも注目してみましょう。
アンティークコインの購入方法はこちらの記事で紹介しています。