クイーンズビーストは、イギリス王室の歴史と象徴をテーマにした、英国王立造幣局が手がける人気のコインシリーズです。
戴冠式の際に登場した王家の守護獣たちをモチーフにしており、ライオンやグリフィンなど、王権や血統を象徴する十の獣が迫力あるデザインで表現されています。
重厚感のある造形と高い芸術性から、発行当初から世界中のコインコレクターや投資家の注目を集めてきました。
この記事では、クイーンズビーストの金貨・銀貨について解説し、発行されたコインを詳しく紹介します。
この記事のポイント
・クイーンズビーストの11種類のデザインをすべて紹介
クイーンズビーストとは?

クイーンズビーストは、イギリス王室の歴史と紋章文化をテーマにした、イギリス王立造幣局が発行する非常に人気の高いコインシリーズです。
イギリス王室にゆかりのある十体の守護獣をモチーフとしており、王家の血統や権威、同盟関係を象徴する重要な存在です。
2016年からクイーンズビーストをテーマにした当時の女王であるエリザベス2世のコインシリーズの発行を開始しました。
シリーズは一体ずつ順番に発表され、最終的には十種類すべてがそろう構成となっています。
代表的なモチーフには、ライオン、グリフォン、ドラゴン、ユニコーンなどがあります。
獣たちは非常に立体感のある彫刻で表現され、盾に刻まれた紋章や筋肉の表情まで細かく作り込まれています。
金、銀、プラチナなど複数の貴金属で発行されており、収集目的・投資目的を問わず、幅広い人々に需要があるコインです。
エリザベス2世のコインシリーズのなかでも人気の高い金貨・銀貨・プラチナ貨として知られています。
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クイーンズビーストとエリザベス2世の歴史
クイーンズビーストとエリザベス2世の歴史について以下に詳しくまとめました。
- 1953年の戴冠式とクイーンズビーストの起源
- 2016年にクイーンズビーストのコインが発行
- エリザベス2世没後とクイーンズビーストの評価
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1953年の戴冠式とクイーンズビーストの起源

エリザベス2世の戴冠式の肖像画
エリザベス2世のクイーンズビーストのコインの起源は、1953年6月2日にさかのぼります。
この日は、当時25歳だったエリザベス2世が英国の女王として戴冠した日でした。
戴冠式はロンドンのウェストミンスター寺院で執りおこなわれ、英国史上でも象徴的な瞬間として記憶されています。
この晴れやかな式典の舞台に、十種類の守護獣の巨大な彫像が並べられました。
この守護獣たちは、それぞれが英国王室や貴族の血統と象徴的な歴史を担う存在としてデザインされています。
守護獣の起源は中世にまで遡り、例えばヨーク家の白獅子やハノーヴァー家の白馬など、各氏族が自らの紋章として用いてきた動物が基になっています。
これらの守護獣は、戴冠式においてエリザベス2世の即位と未来の繁栄を象徴するモチーフとなり、英国民や関係者の記憶に強く刻まれました。
戴冠式以降、これらの守護獣の彫像は英国王室の象徴として歓迎され、現在はカナダの博物館やロンドンの公園などでその姿を目にすることができます。
2016年にクイーンズビーストのコインが発行

エリザベス2世の戴冠式からおよそ60年以上が経過した2016年、英国王室の公式造幣局である ロイヤルミントがクイーンズビーストシリーズを発表しました。
戴冠式の守護獣をモチーフにした記念貨幣で、エリザベス2世の血統と英国王室の長い歴史を象徴する新たなコインコレクションとして企画されました。
シリーズは2016年から2021年までにかけて10種の獣をテーマとしたコインを順次発行し、最後にすべての守護獣を一枚にまとめたコンプリートコインが発表されました。
これによりシリーズは全11種となり、世界中のコレクターや投資家から強い関心を集めました。
デザインはロイヤルミントのコインデザイナー、ジョディ・クラーク氏によるものです。
各コインの表面にはエリザベス2世の肖像が刻まれ、裏面には守護獣の立体的な姿がデザインされています。
シリーズの最初のコイン「イングランドのライオン」は2016年に発行され、その後「エドワード3世のグリフィン」「スコットランドのユニコーン」などそれぞれの歴史的背景を持つ守護獣が順にリリースされていきました。
各守護獣は中世から近代に至る英国の支配者・貴族の紋章として使われてきた歴史と血統を象徴しており、シリーズ全体が14世紀〜18世紀の英国史を彷彿とさせる構成になっています。
エリザベス2世没後とクイーンズビーストの評価
2022年にエリザベス2世が崩御し、長い在位を終えたことは世界的なニュースとなりました。
彼女の治世は70年に及び、イギリス王室の象徴的存在として多くの人々に愛されていました。
それは同時にイギリスの貨幣史における一つの時代が終わりを迎えたといえるでしょう。
この時点でエリザベス2世のクイーンズビーストシリーズも完全に発行を終えました。
以後は歴史的価値やコレクターズアイテムとしての評価が一段と高まることが予測されています。
特にコンプリーターと呼ばれる最終コインは、制作時に大量の人手と技術を要した特別な金貨として話題になりました。
なかには重量10kgの金貨の発行もあり、世界最大級の金貨として造幣史に名を残しました。
シリーズが発行された2016〜2021年は、エリザベス2世の晩年と重なり、この時代に発行された最後の人気のコインシリーズとなりました。
現在でも世界中のコレクターが注目し、取引や展示が活発におこなわれています。
また、現在では同様のモチーフを使用した、チャールズ3世のテューダービーストシリーズが発行されています。
クイーンズビーストのコインシリーズの種類
クイーンズビーストのコインシリーズの種類は以下のとおりです。
- クイーンズビースト イングランドのライオン 100ポンド金貨 2017年
- クイーンズビースト スコットランドのユニコーン 100ポンド金貨 2017年
- クイーンズビースト ウェールズのレッドドラゴン 100ポンド金貨 2018年
- クイーンズビースト クラレンスのブラックブル 100ポンド金貨 2018年
- クイーンズビースト プランタジネット朝のファルコン 100ポンド金貨 2019年
- クイーンズビースト ボーフォートのイェール 100ポンド金貨 2019年
- クイーンズビースト モーティマーのホワイトライオン 100ポンド金貨 2020年
- クイーンズビースト ハノーヴァーのホワイトホース 100ポンド金貨 2020年
- クイーンズビースト リッチモンドのホワイトグレイハウンド 100ポンド金貨 2021年
- クイーンズビースト エドワード3世のグリフォン 100ポンド金貨 2021年
- クイーンズビースト コンプリーター 500ポンド金貨 2021年
クイーンズビースト イングランドのライオン 100ポンド金貨 2017年

| 概要 | 内容 |
| 発行国 | イギリス |
| 発行年 | 2017年 |
| 額面 | 100ポンド |
| 直径 | 32.69mm |
| 重量 | 31.21g |
| 発行枚数 | 591枚 |
| 品位 | 999/1000金 |
人気シリーズ「クイーンズビースト」の第一弾として発行されたライオンの金貨です。
英国の王権と勇気を象徴するライオンの姿が力強くデザインされており、紋章や王室の伝統を現代的に表現しています。
クイーンズビースト スコットランドのユニコーン 100ポンド金貨 2017年

| 概要 | 内容 |
| 発行国 | イギリス |
| 発行年 | 2017年 |
| 額面 | 100ポンド |
| 直径 | 32.69mm |
| 重量 | 31.21g |
| 発行枚数 | 418枚 |
| 品位 | 999/1000金 |
スコットランドの守護獣であるユニコーンを精巧に描いた2枚目に発行されたコインです。
伝統的なユニコーンが立ち上がる姿が精細に表現されており、首に王冠と鎖をまとい、盾を抱えています。
クイーンズビースト ウェールズのレッドドラゴン 100ポンド金貨 2018年

| 概要 | 内容 |
| 発行国 | イギリス |
| 発行年 | 2018年 |
| 額面 | 100ポンド |
| 直径 | 32.69mm |
| 重量 | 31.21g |
| 発行枚数 | 497枚 |
| 品位 | 999/1000金 |
ウェールズの象徴である赤いドラゴンを迫力あるデザインで描いた第3弾となります。
翼を広げ、尾を巻き上げたドラゴンが鱗の一枚一枚まで丁寧に描かれています。
クイーンズビースト クラレンスのブラックブル 100ポンド金貨 2018年

| 概要 | 内容 |
| 発行国 | イギリス |
| 発行年 | 2018年 |
| 額面 | 100ポンド |
| 直径 | 32.69mm |
| 重量 | 31.21g |
| 発行枚数 | 468枚 |
| 品位 | 999/1000金 |
ブラックブル(黒い雄牛)は15世紀にヨーク家の象徴として用いられ、エドワード4世やその軍隊と深い関係がある歴史的な存在です。
黒い雄牛が勇ましく立ち上がる姿が描かれており、牛の筋肉を含めて精巧に描かれています。
クイーンズビースト プランタジネット朝のファルコン 100ポンド金貨 2019年

| 概要 | 内容 |
| 発行国 | イギリス |
| 発行年 | 2019年 |
| 額面 | 100ポンド |
| 直径 | 32.69mm |
| 重量 | 31.21g |
| 発行枚数 | 424枚 |
| 品位 | 999/1000金 |
ファルコン(鷹)は中世イングランドの王族や貴族が狩猟などで用いた紋章であり、決意や鋭い洞察力を象徴します。
プランタジネット朝を象徴する守護獣ファルコンが力強く羽を広げた姿がデザインされています。
クイーンズビースト ボーフォートのイェール 100ポンド金貨 2019年

| 概要 | 内容 |
| 発行国 | イギリス |
| 発行年 | 2019年 |
| 額面 | 100ポンド |
| 直径 | 32.69mm |
| 重量 | 31.21g |
| 発行枚数 | 431枚 |
| 品位 | 999/1000金 |
イェールは古代の伝説に登場するヤギのような体躯に猪の牙や長い角を備え、象の尾を持つとされる想像上の生き物です。
15世紀のボーフォート家に由来し、ヘンリー7世の母マーガレット・ボーフォートが象徴的に用いた紋章の一部として歴史的な背景を持ちます。
クイーンズビースト モーティマーのホワイトライオン 100ポンド金貨 2020年

| 概要 | 内容 |
| 発行国 | イギリス |
| 発行年 | 2020年 |
| 額面 | 100ポンド |
| 直径 | 32.69mm |
| 重量 | 31.21g |
| 発行枚数 | 435枚 |
| 品位 | 999/1000金 |
白いライオンは、エドワード4世の祖母アン・モーティマーに由来する紋章で、忠誠心や純潔、威厳を象徴する存在とされています。
ライオンは盾を脇で抱えるように描いており、その盾にはヨーク家の白いバラと輝く太陽がデザインされています。
クイーンズビースト ハノーヴァーのホワイトホース 100ポンド金貨 2020年

| 概要 | 内容 |
| 発行国 | イギリス |
| 発行年 | 2020年 |
| 額面 | 100ポンド |
| 直径 | 32.69mm |
| 重量 | 31.21g |
| 発行枚数 | 435枚 |
| 品位 | 999/1000金 |
ホワイトホース(白い馬)は、1714年にジョージ1世がイギリス王に即位した際に王室の紋章として取り入れられたものです。
白い馬の毛並みを含めた細部まで細かく描かれている完成度の高いコインです。
クイーンズビースト リッチモンドのホワイトグレイハウンド 100ポンド金貨 2021年

| 概要 | 内容 |
| 発行国 | イギリス |
| 発行年 | 2021年 |
| 額面 | 100ポンド |
| 直径 | 32.69mm |
| 重量 | 31.21g |
| 発行枚数 | 425枚 |
| 品位 | 999/1000金 |
ホワイトグレイハウンドは、エドワード3世の孫でランカスター家のジョン・オブ・ガーントらによって紋章として用いられ、誠実さや忠誠心を象徴する存在です。
猟犬は盾の上に立ち、その盾にはテューダー・ローズが描かれています。
クイーンズビースト エドワード3世のグリフォン 100ポンド金貨 2021年

| 概要 | 内容 |
| 発行国 | イギリス |
| 発行年 | 2021年 |
| 額面 | 100ポンド |
| 直径 | 32.69mm |
| 重量 | 31.21g |
| 発行枚数 | 425枚 |
| 品位 | 999/1000金 |
中世イングランドの王、エドワード3世ゆかりの守護獣グリフォンは、伝説上の生き物で、雄のライオンの力強さと鷲の敏捷性を併せ持つ存在とされ、英国王室の紋章史において古くから王権や英勇の象徴として重んじられてきました。
翼を広げたグリフォンが盾の上に立つ姿が描かれています。
クイーンズビースト コンプリーター 500ポンド金貨 2021年


| 概要 | 内容 |
| 発行国 | イギリス |
| 発行年 | 2021年 |
| 額面 | 500ポンド |
| 直径 | 50mm |
| 重量 | 156.29g |
| 発行枚数 | 135枚 |
| 品位 | 999/1000金 |
ロイヤルミントがクイーンズビーストを完結させるために発行した特別な記念金貨です。
この金貨は、シリーズに登場する10体すべての守護獣を1枚のコインに集約したデザインが最大の特徴になります。
クイーンズビーストのコインの価値

クイーンズビーストシリーズは、金貨・銀貨・プラチナ貨で、いずれも高純度の貴金属で鋳造されています。
そのため、貴金属としての価値も有しており、金属の種類と重さによって価値が変化すると考えられます。
アンティークコインとしての希少性は、コインの種類や額面によって異なりますが、もっとも注目するべきコインはコンプリーターでしょう。
コンプリーターは重さが1キロを超える大型金貨も発行されており、コレクターの間で注目されています。
種類が非常に豊富であるため、額面・材質・デザインのすべてで条件が整わなければ、アンティークコインとしての希少性は評価されない場合もあるでしょう。
また、11種類にまたがるシリーズであるため全種類セットで取引する場合は、取引価格が大きく高騰しやすいです。
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クイーンズビーストに関するよくある質問

クイーンズビーストに関するよくある質問を以下にまとめました。
- クイーンズビーストのコインを購入できる場所は?
- クイーンズビーストのコインはどこで売却できる?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
クイーンズビーストのコインを購入できる場所は?
クイーンズビーストのコインは、アンティークコインやモダンコインを専門に扱う専門店で購入できます。
当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」でも、これまでにクイーンズビーストのコインを複数回取り扱っており、今後も入荷する可能性があります。
インターネットのオークションサイトでも購入は可能ですが、価格の妥当性や真贋面に不安が残る場合もあります。
相場に沿った価格で安心してコインを購入したい場合は、実績のある専門店を利用するのがおすすめです。
クイーンズビーストのコインはどこで売却できる?
クイーンズビーストのコインは、当サイトにて買取を受け付けています。
クイーンズビーストに限らず、イギリス王室コインや世界各国の希少性の高い金貨・銀貨の売却にも対応しています。
詳しくは、こちらのページからお気軽にお問い合わせください。
まとめ
クイーンズビーストのコインシリーズは、エリザベス2世の戴冠式に由来する守護獣をモチーフに、英国王立造幣局が発行した象徴性と芸術性の高いコインシリーズです。
2016年から2021年にかけて全11種類が展開され、金貨・銀貨・プラチナ貨として幅広いラインナップが展開しました。
クイーンズビーストは、英国王室の歴史を現代に伝えるコインシリーズとして、今後も長く語り継がれていくでしょう。