金貨は現代においては含有している金量や希少性によってその価値は変化しますが、時代によってどのように変化してきたのか考えたことはありますか?
今では高い希少性を持つ金貨も通貨として使用された歴史があれば、現在の価値と当時に価値は異なっていたはずです。
また、現代において金貨1枚の価値がどのように決まるのか詳しく知らない方は、アンティークコイン投資や金投資に興味があるなら理解しておくことをおすすめします。
この記事では、金貨の価値がどのように決まるのかを解説した上で、金貨1枚あたりの価値の変化について紹介します。
金貨の価値はどのように決まる?
金貨の価値を査定するのは、貴金属店やアンティークコイン専門店などの買取を受け付けている店舗であり、政府によって額面が保証された通貨型金貨のみ銀行で額面通りの価格で取引できます。
金貨の価値は主に3つの要素によって決まります。
- 国や政府によって保証された額面
- 含有している金量と金価格
- 希少性によるプレミア価値
それぞれ詳しく見ていきましょう。
国や政府によって保証された額面
近世における金本位制の時代に発行された金貨や、現在でも発行されている記念金貨の一部は国や政府によって額面が決定され、その価値が保証されました。
20フラン金貨や、10万円金貨といったように額面が指定されている金貨が当時は通貨として利用可能であり、一部の記念金貨は現在でも銀行などで使用できます。
額面が設定されており、価値が保証された金貨は額面通りの価値を持っているので、簡単に金貨の価値が決まります。
しかし、金本位制が廃止され、管理通貨制度になった現在ではほとんどの金貨が額面という価値を持たず、次に紹介する2つの基準で価値が決定される仕組みになりました。
このような金貨を通貨型金貨と呼びますが、現代における具体的な通貨の例と性質について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
10万円の額面を持つ金貨とは? 通貨型金貨の性質についてもご紹介
含有している金量と金価格
現代では、金の純粋な価値は金価格によって推し量ることができます。
金貨1枚に含有している金量と毎日発表されている1gあたりの金価格を調べれば、金貨の価値が分かります。
金価格は毎日変動する性質から金貨1枚の価値は一定ではなく少しずつ変動する仕組みです。
特に地金型金貨と呼ばれる投資用の純金の金貨は、金投資にも用いられる金価格に連動した金貨になります。
金貨の種類について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
金貨の種類とは? 地金型金貨・収集型金貨に分けて代表的なコインを紹介
希少性によるプレミア価値
ここまで紹介した金貨の価値の決定方法は、具体的な数字が設定されているものと、基準となる数字で計算できるものであるため、誰でも価値が分かります。
しかし、金貨には100年以上前に発行された希少性の高い硬貨であるアンティークコインがあり、このような希少性の高い金貨は含有している金量に加えて希少性によるプレミア価値を考慮する必要があります。
このプレミア価値の決定は、コレクターや専門家、アンティークコイン専門店の間では取引価格を決定するのに必要になる参考資料がいくつかありますが、額面が設定されている金貨や、金価格による計算と比較すると初心者の方が正確な価値を判断するのは難しいです。
そのため、金貨の価値を知るにはアンティークコイン専門店で査定を受けて、価格を付けてもらうのが一般的です。
金貨を含めた希少性の高いアンティークコインの価値を決定する要因について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
アンティークコインの価値は? 買取価格を左右するグレードについても解説
中世から現在までの金貨1枚の価値の変化
金貨の価値を決定する方法について理解したところで中世から現在までの金貨1枚の価値の変化を見ていきましょう。
- 中世において金貨は貿易などの高額決済に用いられた
- 近世では金本位制が始まる
- 現在は金価格によって評価する
中世において金貨は貿易などの高額決済に用いられた
ヨーロッパにおける金貨の歴史は1200年代に遡り、錆びなどの劣化がしにくく、長い時を経ても輝きが失われることがありません。
過去に発行されたアンティークコインと呼ばれる金貨が今も人の心を動かすのは、金貨の不変の性質が関わっているといえるでしょう。
そして、この性質は金を銀に代わる信頼性の高い通貨として発行されるようになりました。
しかし、中世のヨーロッパにおける金貨は高い希少性を持っていたことから、ごく一部の人々の間でしか使用されず流通用の貨幣は銀貨が主流でした。
金貨が発行された当時は、主に国際貿易などで大型金貨1枚により支払いが完了するほど価値があったため、中世の年代によって変わってきますが1枚の金貨を庶民が持つことは難しかったことが想定できます。
また、貨幣には金貨・銀貨・銅貨がありますが、最も登場するのが遅かったのは銅貨であり、16世紀以降であったといわれています。
近世では金本位制が始まる
ナポレオン1世が描かれた20フラン金貨(重さは6g)
金貨はあまりにも希少性が高過ぎたことから貨幣として流通させることはできず、貿易などの高額決済や、王族や貴族が資産を貯蔵する手段にしか用いられることがありませんでした。
一般的に金貨が貨幣として流通したのは、近世における金本位制の時代です。
金本位制とは1816年にイギリスの貨幣法でソブリン金貨を発行したことで始まったといわれています。
ただし、1816年より前にフランスのナポレオンによって流通用の20フラン金貨が発行されており、金本位制が始まる前から流通用の金貨は発行されていた歴史があります。
ナポレオン1世の20フラン金貨は、発行年によって希少性が異なるので現代における価値は変わってきますが、現代の価値に換算して当時はどれくらいの価値があったのでしょうか。
現在の貨幣価値との単純な比較をするのは難しいですが、労働賃金を基準にする場合は1フランが約5,000円であったことから、20フラン金貨は当時の労金としては約10万円の価値があったと類推されます。
アンティークコイン好きであればほとんどの人が知っているナポレオン1世の20フラン金貨1枚の当時の価値は、高価であることは変わりありませんが、市民が手に取ることはできた通貨であったと考えるのが自然です。
20フラン金貨を含めたナポレオン一族のアンティークコインはこちらの記事で紹介しています。
ナポレオン一族の金貨を含めたおすすめアンティークコイン8選!
現在は金価格によって評価する
カナダの地金型金貨であるメイプルリーフ金貨
現在は金本位制が廃止され、金貨の価値は主に金価格によって評価されるようになりました。
投資用の地金型金貨が発行されるようになり、そのなかでも人気のある金貨にはメイプルリーフ金貨が挙げられます。
メイプルリーフ金貨はK24の純金製の金貨であり、サイズや重量にもパターンがいくつか存在します。
1gあたりの金価格が8,000円のとき、メイプルリーフ金貨1枚あたりの価値を類推してみましょう。
種類 | 重さ | 価値 |
1オンス | 31.1035g | 248,828円 |
1/2オンス | 15.5517g | 124,413円 |
1/4オンス | 7.7758g | 62,206円 |
1/10オンス | 3.1103g | 24,882円 |
※小数点以下切り捨て。算出した価値は購入時のプレミアや、売却時の手数料を考慮していないため、実際に貴金属店で購入・売却をする際の価格は異なります。
1オンス金貨は最も大きく重い大型の金貨ですが1枚で20万円以上の価値があり、最も小さい3g程度の1/10オンス金貨は2万円ほどの価値を持っています。
金価格によって変動するので将来的に金価格が大きく下落することがあれば金貨1枚の価格も減少し、上昇することがあれば1枚の金貨の価格も上昇することでしょう。
金貨の投資価値について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
金貨の価値に関するよくある質問
金貨の価値に関するよくある質問をまとめました。
- 同じ額面でも価格に違いがあるのはなぜですか?
- 価値のある金貨はどこで買取を依頼できる?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
同じ額面でも価格に違いがあるのはなぜですか?
10万円や20フランといった額面が設定されている金貨をアンティークコイン専門店などで査定に出すと、額面とは異なる価格で査定される場合や、同じ種類の同じ額面の金貨であっても価格が異なる場合があります。
まず額面が設定されている金貨においては、金の含有量で買取価格を算出すると、設定された額面と金価格に差が生じることがあります。
金価格が上昇して、設定された額面に対して含有している金量の価値が逆転すると10万円の金貨が12万円や20万円の価格になるので、価値の付け方によって価格が変化する仕組みです。
一方で、同じ種類の同じ額面の金貨であっても価格が異なる理由は、その金貨の発行年や状態などでプレミア価値が付くのであれば、付かない金貨と比較して買取価格が増加するからです。
価値のある金貨はどこで買取を依頼できる?
金貨の希少性におけるプレミア価値を査定してもらうには、アンティークコイン専門店を利用する必要があります。
価値のある金貨の買取が依頼できる場所は「コインライブラリー・プリンシパル」が挙げられます。
当サイトでは、高い希少性を持つ金貨を中心に外国貨幣評価書、オークションログ、カタログなどを参考にした適正な価値を付けた上での買取を実施しているのが特徴です。
コインの鑑定がお済でない場合は、鑑定からサポートいたしますのでこちらのページからお気軽にお問い合わせください。
まとめ
金貨の価値について解説しましたが、中世から現在までの価値の推移を考えても高い希少性を持ち続けていることは間違いありません。
そのため、金は安全資産といわれることがありますが、金融市場の動向に金価格が左右されやすく、短期的に高騰や暴落するリスクもあります。
よって、中世や近世に発行された金貨を保有するアンティークコイン投資が現在では安全資産として注目を集めており、希少性によるプレミア価値は金融市場の動向に左右されないことが理由となっています。
アンティークコイン投資について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。