アンティークコインコレクターとして知られるサヴォイア朝の第3代イタリア国王のヴィットリオ・エマヌエレ3世は、自身の肖像を描く貨幣のデザインにも強いこだわりを持っていました。
そのため、後世に残されたアンティークコインは現在のコインコレクターの間でも高く評価されており、その中でも在位25周年と第一次世界大戦参戦10周年を記念して発行された100リレ金貨は人気の高いコインの一つとして知られています。
イタリアのアンティークコインといえばヴィットリオ・エマヌエレ3世と言われるほどの人気を持ち、イタリアコインに興味を持ち収集したいコレクターから、アンティークコイン投資における有力な銘柄を知りたい方まで魅力と価値を兼ね揃えるテーマです。
この記事では、ヴィットリオ・エマヌエレ3世 在位25周年 100リレ金貨の魅力と価値について徹底解説します。
この記事のポイント
・希少性が高く人気があるヴィットリオ・エマヌエレ3世 在位25周年 100リレ金貨の価値を紹介
ヴィットリオ・エマヌエレ3世 在位25周年 100リレ金貨の概要
概要 | 内容 |
発行国 | イタリア |
発行年 | 1925年 |
額面 | 100リレ |
デザイナー(表面) | アウレリオ・ミストルッツィ(Aurelio Mistruzzi) |
デザイナー(裏面) | アッティリオ・モッティ(Attilio Motti) |
表面 | ヴィットリオ・エマヌエレ3世の左向き肖像と樫の小枝 |
刻印(表面) | VITT・EM・III RE D’ITALIA 1900 1925 |
裏面 | 旗が立つ岩の前で勝利の像を持つ男性 |
刻印(裏面) | LIRE 100 R VETTA D’ITALIA A・M・INC・ MISTRUZZI 1915 1918 |
エッジのタイプ | リーデッド |
直径 | 36mm |
重量 | 32.25g |
発行枚数 | 5,000枚 |
品位 | 900/1000金 |
グレード | PF64Matte |
状態 | Matte Proof UNC |
1925年は、ヴィットリオ・エマヌエレ3世の在位25周年、イタリアが第一次世界大戦参戦10年以上が経つ年です。
1900年、祖父のヴィットリオ・エマヌエレ2世の名前を譲り受けて、ヴィットリオ・エマヌエレ3世としてサヴォイア朝の第3代イタリア国王として即位します。
第一次世界大戦は1914年~1918年にわたる世界的な戦争であり、イタリアは第一次世界大戦においては戦勝国となりました。
そのため、こちらの金貨ではイタリアの国力の強さを誇示するために男性的な力強さをデザインに落とし込んでいます。
表面には君主であるヴィットリオ・エマヌエレ3世の肖像、裏面には筋骨隆々な男性の全身像が描かれています。
モデルはローマ神話の神であるウィルトゥスです。
発行枚数はわずか5,000枚であり、マット仕上げであることからコインが傷つきやすく、状態の良い金貨は非常に希少性が高くなっています。
男性的な力強さを表したデザインと、その価値の高さからイタリアのアンティークコインの中でも広く注目されている金貨です。
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ヴィットリオ・エマヌエレ3世 在位25周年 100リレ金貨の魅力
ヴィットリオ・エマヌエレ3世の在位25周年 100リレ金貨の魅力を解説していきます。
- イタリアの国力を象徴する男性的なデザイン
- 貨幣のデザインにこだわったヴィットリオ・エマヌエレ3世
- 勇敢な芸術家であるアウレリオ・ミストルッツィのデザイン
それぞれ詳しく見ていきましょう。
イタリアの国力を象徴する男性的なデザイン
ヴィットリオ・エマヌエレ3世 在位25周年 100リレ金貨は、イタリアの国力を象徴する男性的な力強いデザインとなっています。
ローマ神話の神であるウィルトゥスをモデルにした男性が勝利の像を持ち、筋骨隆々な全身像を描いていることから、芸術性が高く人気のある金貨です。
貨幣とは国の権威を示すものであることから、威厳を与えるデザインや男性的なデザインが望まれることが多くあります。
コレクターの収集対象として一般的に人気が高いコインは、女神など女性的なデザインであることが多くなっており、イタリアのコインでは同じヴィットリオ・エマヌエレ3世の豊穣の女神は人気が高いです。
女性的なデザインがコインに採用されるのは、国の豊かさや平和の象徴を示すなどが主な理由として挙げられます。
在位25周年金貨と豊穣の女神では、同じヴィットリオ・エマヌエレ3世のコインであっても正反対の印象を感じられることでしょう。
男性的なデザインに魅力を感じる方から、対称的な2つのコインの両方をコレクションしたい方に在位25周年 100リレ金貨はおすすめです。
ヴィットリオ・エマヌエレ3世の金貨でも在位25周年金貨と並ぶ人気を誇る豊穣の女神についてはこちらの記事で紹介しています。
貨幣のデザインにこだわったヴィットリオ・エマヌエレ3世
ヴィットリオ・エマヌエレ3世は、君主の中でも貨幣のデザインにこだわった人物でした。
自身が貨幣学者でアンティークコインコレクターでもあったことから、コインにこだわりを持っているからこそ、自身の肖像が描かれるコインに対して妥協を許せなかったと考えられます。
ヴィットリオ・エマヌエレ3世は、当初は君臨すれども統治せずという立憲君主のあり方を守っていましたが、イタリア政治の不安定化をきっかけに後年は強権的な君主へと変わっていきます。
第一次世界大戦、第二次世界大戦に国王の立場で参戦し、ムッソリーニのファシスト党を後押ししましたが、連合国に敗れたことで王政が廃止され、イタリアの最後の国王となりました。
歴史を語る上で日本においては言及されることが少ない人物ではありますが、アンティークコインにおいては君主でありながらコレクターであったことや、完成度の高いアンティークコインを残していることから広く知られています。
退位して亡命した際にアンティークコインのコレクションを手放してしまいますが、そのコレクションは現在もローマの博物館で見ることが可能です。
貨幣学者としてはイタリアの硬貨を分類して説明をした20巻にも及ぶ著作である『Corpus Nummorum Italicorum』 を出版しています。
勇敢な芸術家であるアウレリオ・ミストルッツィのデザイン
アウレリオ・ミストルッツィは、ヴィットリオ・エマヌエレ3世 在位25周年 100リレ金貨に携わったコインのデザイナーであり、ブロンズ像やメダル像を制作するイタリアの芸術家です。
戦争記念碑、パドヴァのサント大聖堂など彼の制作した多くの彫像が現在も残っており、多くの芸術的な実績があります。
ブレラ美術アカデミーに入学後に、ローマのメダル美術学校に入学しており、20世紀初頭から貨幣やメダルのデザインの制作をメインに取り組むようになりました。
1943年には妻のメラニアとともにユダヤ人の少女を匿い救っており、現在では大変勇気のある行動として語られています。
他にも強制収容所の文書を改ざんして、匿って暮らした少女以外に数人のユダヤ人を救いました。
芸術の功績だけでなく、人道的な功績もあり、社会的な貢献の大きい芸術家として知られています。
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ヴィットリオ・エマヌエレ3世 在位25周年 100リレ金貨の価値
ヴィットリオ・エマヌエレ3世 在位25周年 100リレ金貨は、発行枚数が5,000枚と限られています。
さらにマット仕上げで鋳造されていることから、コインが傷つきやすく、状態の良い金貨があまり現存していません。
コインのグレードなど状態によって価格に差がつきやすく、当サイト「コインライブラリープリンシパル」ではこちらの100リレ金貨に関しては複数の取扱経験があります。
グレードがMS62以上で数百万円の価値があり、グレードがPF以上であればさらに価値が上がるため、コインのグレードに大きく価値が左右される金貨です。
発行枚数の少なさとその中でも状態の良い金貨が少ないことから、高値で取引されており、今後もその価値が上昇していくと考えられます。
まとめ
ヴィットリオ・エマヌエレ3世 在位25周年 100リレ金貨は、イタリアのアンティークコインを代表する魅力と価値を両立する金貨です。
男性的な力強さを感じるデザインと、発行枚数の少なさから人気と希少性を両立しており、イタリアコインのコレクターであれば手元に置きたいコインとなっています。
その特徴からアンティークコイン投資の対象としても非常に優れており、資産防衛を目的にアンティークコインを保有したい場合は知っておきたい金貨です。