エチオピアは、東アフリカの角に位置する連邦共和制の内陸国であり、人類誕生の地と呼ばれ古代文明が栄えた場所でもあります。
80以上の他民族が暮らす国家であり、発展を遂げているものの、世界的に見て後発開発途上国と認識されています。
通貨は独自通貨のブル(ETB)を使用しており、中央銀行令による外貨・内貨への規制が厳しい国でしたが、外国為替市場に対する規制を撤廃するなど規制を緩めました。
この記事では、エチオピアがどんな国であるか歴史について解説し、使用している通貨の種類とアンティークコインを紹介します。
この記事のポイント
・エチオピアの独自通貨のブルとアンティークコインを紹介
エチオピアはどんな国? ~他民族国家でコーヒー発祥の地として知られる~
面積(総計) | 1,129,300.4km2 |
通貨 | ブル(ETB) |
首都 | アディスアベバ |
言語 | アムハラ語、アファル語、オロモ語、ソマリ語、ティグリニャ語 |
主な宗教 | キリスト教、イスラム教 |
主な民族 | オロモ人、アムハラ人、ティグライ人、ソマリ人等、約80の民族 |
隣接している国 | エリトリア、ソマリア、ジブチ、スーダン、南スーダン、ケニア |
建国 | 紀元前980年(ダモト王国) |
エチオピア連邦民主共和国は、東アフリカのアフリカの角に位置し、北にエリトリア、東がソマリアとジブチ、西にスーダンと南スーダン、南にケニアと国境を接する内陸国です。
人類誕生の地と呼ばれ、紀元前のこの地にダモト王国が誕生しており、近代ではイタリアの侵略を退けたことでアフリカ諸国では唯一植民地化されませんでした。
現在では、約80の民族が暮らす他民族国家であり、人口が1億を超えており、アフリカの国の中でも発展している国です。
コーヒー発祥の地としても知られており、現在も世界第5位の生産国であり、主要な産業となっています。
治安も良く、成田便を開設していることから日本からもアクセスしやすいです。
しかし、急速な人口増加による就業先がなく、多くの人が自給自足の農業に携わっていることから、貧困国に指定されている問題もあります。
干ばつが頻発する地域であることから、農業にも大きな影響を及ぼしており、慢性的な食糧不足を抱えています。
他民族国家であることから民族間における対立も問題となっており、人口増加や産業の多様化による発展の裏で、様々なトラブルを抱えている状態です。
エチオピアの歴史 ~紀元前から歴史を重ねヨーロッパの植民地を免れる~
年号 | 内容 |
紀元前980年 | ダモト王国が建国される |
1世紀ごろ | アクスム王国の誕生 |
1137年 | アクスム王国が滅ぼされ、エチオピア帝国が生まれる |
1896年 | アドワの戦いでイタリアを退ける |
1936~1941年 | 一定期間のみイタリアの植民地に編入されている |
1952年 | エチオピア・エリトリア連邦の誕生 |
1974年 | エチオピア帝国がエチオピア革命によって打倒される |
1995年 | エチオピア連邦民主共和国が成立する |
エチオピアは、北部のアクスムで紀元前5世紀から紀元前4世紀ごろに文明があったことを示す根拠が発見されており、紀元前980年にダモト王国が建国されました。
1世紀ごろにアクスム王国が建国され、その勢力圏はナイル川からアラビア半島にまで及んだとされています。
初代の君主であるメネリク1世は、ソロモン王とシバの女王の子であるという伝説を持っています。
1137年、アガウ族のザグウェ朝にアクスム王国が滅ぼされ、エチオピア帝国が誕生しました。
その後もエチオピア帝国の統治が続き、1896年にアドワの戦いでイタリアの侵略を受けますが、これを退けます。
ヨーロッパ諸国がアフリカの中でも数少ない主権を認めた国となり、植民地支配を免れました。
しかし、第二次世界大戦前の時代に数年ほどイタリアの植民地に編入されていた時代がありました。
エチオピアではこの数年の影響でイタリアの料理店・文化などが広く見られます。
1952年にはエリトリアと連合を組み、エチオピア・エリトリア連邦が誕生します。
1974年には反帝政感情が広がり、エチオピア革命によって帝国が打倒されました。
連邦は上手くいかず、反対勢力により1993年にエリトリアの独立が認められ、1995年にエチオピア連邦民主共和国が成立しました。
紀元前から歴史を重ね、一定期間を除いてヨーロッパ諸国の植民地にならず、アフリカの希望にもなった国です。
エチオピアの独自通貨の種類
エチオピアの通貨は、 ブル(ETB)であり、エチオピア帝政時代から使用されていた独自通貨です。
補助単位はサンチームであり、100サンチーム=1ブルとなっています。
エチオピアの独自通貨であるブルについて、硬貨と紙幣にわけて種類を見ていきましょう。
硬貨
- 1サンチーム
- 5サンチーム
- 10サンチーム
- 25サンチーム
- 50サンチーム
- 1ブル
紙幣
- 1ブル
- 5ブル
- 10ブル
- 50ブル
- 100ブル
- 200ブル
1サンチーム
エチオピアの硬貨ではライオンの頭像が描かれており、裏面には牛とともにある農夫が描かれています。
5サンチーム
5サンチームの裏面に描かれるのは、銃を持ち自然の中を歩く狩人の肖像です。
10サンチーム
10サンチームは、アンテロープの仲間であるマウンテンニアラが描かれています。
25サンチーム
男性がハンマー、女性がスパナをもって両腕を上げている様子が描かれており、背面には工場があります。
50サンチーム
旗を持った兵士、銃を持つ兵士、ハンマーを持った労働者、スキを持った農夫、カマを持った女性労働者が描かれています。
1ブル(硬貨)
サンチームの硬貨とはデザインが異なり、硬貨の中の小さな円にライオンが描かれており、裏面には天秤があります。
1ブル(紙幣)
表面にはエチオピアの少年、裏面には青ナイル滝が描かれています。
5ブル
男性がコーヒー豆を収穫している様子を描いており、 裏面はクーズー、オオヤマネコです。
10ブル
2020年にリニューアルされた10ブル紙幣もコーヒー豆の収穫風景が描かれており、裏面には二組の夫婦がいます。
50ブル
土地を耕すトラクターと、ライオンとエチオピアの地図が描かれる表面、3つの煙突がある工場を裏面に描いています。
100ブル
表面にはアムハラ地方ゴンダールのファジル・ゲビがあり、裏面はソフ・オマール洞窟です。
200ブル
平和の象徴であるハトが描かれており、裏面にはヤギを描いています。
エチオピアのアンティークコイン ~おすすめの金貨・銀貨~
エチオピアのアンティークコインを金貨・銀貨に分けて紹介していきます。
- エチオピア メネリク2世 1ブル金貨 1897年
- エチオピア ハイレ・セラシエ 1 世 50ブル金貨 1966年
- エチオピア 国際児童年 400ブル金貨 1972年
- エチオピア ザウディトゥ 1ブル銀貨 1925年
- エチオピア ハイレ・セラシエ 1 世 5ブル銀貨 1972年
- エチオピア 革命10周年 50ブル銀貨 1985年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
エチオピア メネリク2世 1ブル金貨 1889年
概要 | 内容 |
発行国 | エチオピア |
発行年 | 1897年 |
額面 | 1ブル |
直径 | 45mm |
重量 | 41.52g |
品位 | 900/1000金 |
メネリク2世はエチオピア帝国の皇帝であり、イタリアへの従属を拒否し、アドワの戦いに勝利した君主です。
この戦いの勝因はメネリク2世がイタリアの侵攻に対して事前に準備できていた点が大きく、十分は兵力を備えて、フランスから武器を事前に購入していたことが決め手となりました。
表面にはメネリク2世の右向き肖像、十字架を背負い王冠を被るユダのライオンが描かれています。
数万ドル以上の価格で取引されたことが確認されているエチオピアの希少なアンティークコインです。
エチオピア ハイレ・セラシエ 1 世 50ブル金貨 1966年
概要 | 内容 |
発行国 | エチオピア |
発行年 | 1966年 |
額面 | 50ブル |
直径 | 33mm |
重量 | 20g |
発行枚数 | 30,000枚 |
品位 | 900/1000金 |
ハイレ・セラシエ1世の生誕75周年および皇帝即位50周年を記念して製造された50ブル金貨です。
エチオピア王国最後の皇帝であり、アフリカ統一機構初代議長を務めた人物です。
記憶力が非常に優れており、高齢になってもメモの類は一切使用しなかったという逸話が残っています。
表面にはハイレ・セラシエ1世の胸像、ユダのライオンが描かれており、 ゲエズ語とラテン語で刻印されています。
エチオピア 国際児童年 400ブル金貨 1980年
概要 | 内容 |
発行国 | エチオピア |
発行年 | 1980年 |
額面 | 400ブル |
直径 | 27mm |
重量 | 17.17g |
発行枚数 | 3,387枚 |
品位 | 900/1000金 |
エチオピアで、国際児童年(1979年)が制定されたことを記念して造られた記念コインが400ブル金貨です。
表面には国際児童年のロゴマーク、裏面には子どもたちが手を取って踊る様子が描かれています。
発行枚数はわずか3,000枚程度と希少な金貨となっています。
エチオピア ザウディトゥ 1ブル銀貨 1925年
概要 | 内容 |
発行国 | エチオピア |
発行年 | 1925年 |
額面 | 1ブル |
ザウディトゥは、エチオピア王国の女帝であり、メネリク2世の皇女です。
甥のイヤス5世の廃位によって、ハイレ・セラシエ1世を摂政兼皇太子にして政治を行いました。
表面にはザウディトゥの左向き肖像、裏面には共通してユダのライオンが描かれています。
銀貨の中でも非常に高値で取引されており、希少性の高いコインです。
エチオピア ハイレ・セラシエ 1 世 5ブル銀貨 1972年
概要 | 内容 |
発行国 | エチオピア |
発行年 | 1972年 |
額面 | 5ブル |
直径 | 37mm |
重量 | 25g |
発行枚数 | 100,000枚 |
品位 | 999/1000銀 |
ハイレ・セラシエ1世生誕80周年を記念して、エチオピアで発行されたプルーフ銀貨シリーズである5ブル銀貨です。
帽子を被ったハイレ・セラシエ1世の肖像が描かれています。
発行枚数が多いことから、エチオピアのアンティークコインのなかでも広く取引されています。
エチオピア 革命10周年 50ブル銀貨 1985年
概要 | 内容 |
発行国 | エチオピア |
発行年 | 1985年 |
額面 | 50ブル |
直径 | 38.6mm |
重量 | 28.28g |
発行枚数 | 1,000枚 |
品位 | 925/1000銀 |
エチオピア帝国は1974年に革命によって打倒されており、革命10周年を記念して製造された銀貨です。
エチオピアの流通貨幣にも描かれているライオンの頭像と、稲穂の茎と工場のようなものが描かれた特徴的なデザインの裏面となっています。
発行枚数が少ないことから、こちらの銀貨はほとんど取引されていないようです。
まとめ
エチオピアは古くから歴史を重ねており、アフリカの国の中で植民地を免れた国でもあり、国の面積の広さと人口増加により発展を遂げています。
自国の通貨にはライオンが描かれていることが多く、秀逸なデザインが魅力的なアンティークコインも多数存在します。
動物コインを中心に美麗なコインをコレクションしたい方は、エチオピアのコインにも目を向けてみましょう。