ガンビアは西アフリカに位置し、国土のほとんどがセネガルに囲まれた細長い形の国土を持つ小さな国です。
音楽やダンスを伝統的な文化として多様な民族が共存し、豊かな自然を持つことから農業を主産業としています。
かつては西アフリカポンドが導入されていましたが、現在のガンビアの独自通貨はガンビア・ダラシです。
この記事では、ガンビアはどんな国であるか、独自通貨の種類と発行されたアンティークコインを紹介していきます。
この記事のポイント
・ガンビアで使用される独自通貨ダラシとアンティークコインを紹介
ガンビアはどんな国? ~豊かな文化が根付き「微笑みの海岸」とも呼ばれる~
面積(総計) | 11,300km2 |
通貨 | ダラシ(GMD) |
首都 | バンジュール |
言語 | 英語 |
主な宗教 | イスラム教、キリスト教 |
主な民族 | マンディンゴ、フラ、ウォロフ、ジョラ、セラフリ等 |
隣接する国 | セネガル |
独立 | 1965年2月18日 |
ガンビア共和国は西アフリカに位置する共和制国家であり、国土の大部分がセネガルに囲まれ、ガンビア川の両岸に沿った細長い国土を持ちます。
マンディンゴ族、フラ族、ウォロフ族、ジョラ族、セラフリ族などの多数の民族が共存しており、公用語は英語となっていますが、各民族の言葉も使用されています。
ガンビア文化は音楽やダンスをはじめとする伝統的なものが中心となっており、伝統的な太鼓であるソウルウバを用いた演奏や、海外の音楽であるレゲエも取り入れられました。
豊かな文化や自然の美しさ、そしてガンビアで暮らす現地の人々の温かで友好的な態度から「アフリカの微笑みの海岸」とも呼ばれます。
農業を基盤とする産業構造であり、労働人口の75%が農業に従事しており、ピーナッツ、米、トウモロコシ、キャッサバなどの作物を輸出しています。
一方で、小規模な国であることから経済的に不安定であるため、貧困や失業率の高さが問題視されている状況です。
近年では欧州からの観光客に人気があり、温暖な気候で美しいビーチもあるため、リゾート地として知られています。
ガンビアの歴史 ~交易から植民地支配、独立後に民主化の道を歩む~
年代 | 出来事 |
13~15世紀 | ガンビア地域がマリ帝国の一部となる。 |
1456年 | ポルトガル人がガンビア川を探検し、交易を開始。 |
1588年 | 初の英国の貿易使節がガンビアに到着。 |
1816年 | イギリスが現在のバンジュールを築き、奴隷貿易の拠点とする。 |
1886年 | 英国の植民地となり、フランス領セネガルとの国境が確定。 |
1965年 | イギリスから独立し、ガンビア共和国が成立。 |
1968年 | 独自通貨の「ガンビア・ダラシ」を導入 |
1970年 | 共和制を宣言し、ジャワラ大統領が就任。 |
1982年 | 隣国セネガルとの間にセネガンビア国家連合を設立。 |
1989年 | セネガンビア国家連合が解体。 |
1994年 | 軍事クーデターが発生し、ジャワラ大統領が英国へ亡命。 |
1996年 | 大統領選挙でジャメ氏が当選し、大統領に就任。 |
2016年 | 大統領選挙でバロウ氏が当選。 |
2017年1月 | バロウ大統領が正式に就任。 |
2017年2月 | 国名を「ガンビア共和国」に再変更。 |
2022年1月 | バロウ大統領が再任。 |
13世紀~15世紀にかけてガンビアの地域はマリ帝国の支配にあり、1456年にポルトガル人がガンビア川を探検したことをきっかけに交易が開始されます。
1588年、イギリスの商人がガンビアに到着したことをきっかけに交易は活発になっていきますが、17世紀以降はイギリスとフランスの間でガンビアの支配権を巡る争いが始まります。
1816年にイギリスが現在の首都であるバンジュールを築き、奴隷貿易の拠点とし、港ととしてイギリス貿易における重要な役割を果たしました。
1886年、正式にイギリスの植民地となったガンビアですが、セネガルがフランス領であったことから現在の国境線を形成しました。
イギリスから独立したのは1965年2月18日のことであり、当初はイギリス領西アフリカの通貨である「西アフリカポンド」を使用しています。
1968年に独自通貨のガンビア・ダラシと補助通貨のブトゥート が導入され、3年後の1971年には完全に西アフリカポンドに置き換わりました。
1970年には共和制を宣言し、初代大統領のダウダ・ジャワラ氏が就任。
セネガルとの間にセネガンビア国家連合を設立するも解体し、軍事クーデターの発生で大統領がイギリスに亡命するなど、不安定な政治情勢が続きます。
2016年にアダマ・バロウ氏が大統領に就任すると国際的な支援をもとに民主化の道を進み始めていることから、歴史の転換点として進展が期待されています。
ガンビアの独自通貨の種類
ガンビアの独自通貨はダラシ(GMD)であり、補助通貨はブトゥートで1ダラシ=10ブトゥートのレートです。
ガンビアの通貨の種類を以下にまとめました。
硬貨
- 1ブトゥート
- 5ブトゥート
- 10ブトゥート
- 25ブトゥート
- 50ブトゥート
- 1ダラシ
紙幣
- 5ダラシ
- 10ダラシ
- 20ダラシ
- 50ダラシ
- 100ダラシ
- 200ダラシ
ガンビアの硬貨の種類
1ブトゥート
5ブトゥート
10ブトゥート
25ブトゥート
50ブトゥート
1ダラシ
額面 | デザイン |
1ブトゥート | ピーナッツ |
5ブトゥート | 帆船 |
10ブトゥート | フタツケズメシャコ |
25ブトゥート | アブラヤシ |
50ブトゥート | 牛 |
1ダラシ | ワニ |
ガンビアの硬貨の表面のデザインは西アフリカポンドが発行されていた時代から共通していますが、裏面は変化しています。
西アフリカポンドではエリザベス2世の肖像、ダラシの発行当初はダウダ・ジャワラ大統領、現在では国章に置き換えられました。
ガンビアの紙幣の種類
5ダラシ
10ダラシ
20ダラシ
50ダラシ
100ダラシ
200ダラシ
額面 | デザイン |
5ダラシ | オオカワセミ、放牧している牛の群れ |
10ダラシ | ハト、フェリー「キンタ キンテ」 |
20ダラシ | 複数の鳥、フライス盤で作業する男性 |
50ダラシ | 鷲、ワッスー石の環状列石 |
100ダラシ | 黒冠鶴、ボートで釣りをする男性 |
200ダラシ | ホロホロチョウの雛、稲作をする男性 |
経済的に不安定であったことから過度なインフレが進行した歴史もあり、2017年から政治的な中立性を強調したデザインの通貨の発行を始めました。
かつては大統領などの肖像が描かれていましたが、現在では共通して鳥類を表面に描いていることが特徴です。
ガンビアのアンティークコイン ~おすすめの金貨・銀貨~
ガンビアで発行されているアンティークコインを紹介します。
- ダウダ・ジャワラ シタツンガ 500ダラシ金貨 1977年
- ネルソン マンデラ 200ダラシ金貨 2014年
- 絶滅危惧種 クロサイ 20ダラシ金貨 1995年
- エリザベス 2世 カバ 8シリング銀貨 1970年
- ダウダ・ジャワラ 世界自然保護基金 サル 20ダラシ銀貨 1987年
- ダウダ・ジャワラ バルセロナオリンピック 20ダラシ銀貨 1993年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ダウダ・ジャワラ シタツンガ 500ダラシ金貨 1977年
概要 | 内容 |
発行国 | ガンビア |
発行年 | 1977年 |
額面 | 500ダラシ |
直径 | 34mm |
重量 | 33.44g |
発行枚数 | 285枚 |
品位 | 900/1000金 |
ガンビアの初代大統領であるダウダ・ジャワラと、アフリカ中部に生息するシタツンガを描いた500ダラシ金貨です。
ダウダ・ジャワラは、ガンビアの独立と初期の発展に大きく貢献した政治家であり、20年以上に渡って大統領を務めた人物です。
教育・医療の分野に力を入れてきましたが、軍事クーデターによりイギリスに亡命し、帰国後にバンジュールで亡くなりました。
表面にはダウダ・ジャワラの左向き肖像、裏面にはシタツンガの全体像が描かれています。
発行枚数が285枚と希少であることから、ガンビアの金貨でも近年においてオークションなどで取引されています。
ネルソン マンデラ 200ダラシ金貨 2014年
概要 | 内容 |
発行国 | ガンビア |
発行年 | 2014年 |
額面 | 200ダラシ |
直径 | 11mm |
重量 | 0.5g |
発行枚数 | 15,000枚 |
品位 | 999/1000金 |
ネルソン・マンデラは南アフリカ共和国の政治家・弁護士であり、アパルトヘイト廃止における象徴的な存在です。
南アフリカ初の黒人法律事務所を設立し、黒人の権利擁護に尽力したことで知られており、逮捕と投獄をされるものの大統領に就任しました。
アパルトヘイト体制を平和的に終結させたとしてノーベル平和賞を受賞しましたが、2013年に亡くなり、その死を悼んで翌年に発行された200ダラシ金貨です。
ネルソン・マンデラの正面を向いた肖像とガンビアの国章が描かれています。
絶滅危惧種 クロサイ 20ダラシ金貨 1995年
概要 | 内容 |
発行国 | ガンビア |
発行年 | 1995年 |
額面 | 20ダラシ |
重量 | 7.78g |
発行枚数 | 2,000枚 |
品位 | 583/1000金 |
ガンビアの絶滅危惧種の動物を描くシリーズでクロサイを描いた金貨です。
現在でも絶滅危惧種に指定されるクロサイは、アフリカのサバンナや森林に生息しており、日本国内の動物園でも飼育されています。
ガンビアでは独自通貨・紙幣と同様に動物が描かれたコインが発行されてきました。
エリザベス 2世 カバ 8シリング銀貨 1970年
概要 | 内容 |
発行国 | ガンビア |
発行年 | 1970年 |
額面 | 8シリング |
直径 | 41mm |
重量 | 32.40g |
発行枚数 | 4,500枚 |
品位 | 925/1000銀 |
独自通貨のダラシではなく、西アフリカポンドが発行されていた時代に発行された記念通貨の8シリング銀貨です。
ヤングタイプのエリザベス2世の肖像、水辺で口を開けるカバの様子が描かれています。
発行枚数は4,500枚であり、ガンビアにおける希少なイギリス王室シリーズの銀貨であることから広く取引されています。
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ダウダ・ジャワラ 世界自然保護基金 サル 20ダラシ銀貨 1987年
概要 | 内容 |
発行国 | ガンビア |
発行年 | 1970年 |
額面 | 20ダラシ |
直径 | 38mm |
重量 | 31.26g |
発行枚数 | 25,000枚 |
品位 | 925/1000銀 |
ガンビアで発行される国際的な環境保全団体の世界自然保護基金(WWF)の20ダラシ銀貨です。
ダウダ・ジャワラの肖像と枝の上に乗るサルを描いています。
発行枚数の多さから近年でもコインが広く取引されています。
ダウダ・ジャワラ バルセロナオリンピック 20ダラシ銀貨 1993年
概要 | 内容 |
発行国 | ガンビア |
発行年 | 1993年 |
額面 | 20ダラシ |
直径 | 38mm |
重量 | 31.26g |
発行枚数 | 40,000枚 |
品位 | 925/1000銀 |
1992年、スペインのバルセロナオリンピックが開催されたことを記念して発行された銀貨です。
こちらの銀貨はレスリングであり、2人の選手が取っ組み合う様子が描かれています。
ガンビアではオリンピック以外でもワールドカップなどスポーツの祭典を記念して銀貨が発行されています。
まとめ
ガンビアは、アフリカの微笑みの海岸の名で知られる友好的な国民性の国であり、近年では新しい指導者のもとで民主化の道を歩んでいます。
独自通貨のダラシもかつては政治に近い大統領の肖像が描かれていましたが、現在では政治的に中立なデザインに変更されています。
金貨・銀貨など記念コインも幅広く発行されており、広くコインがオークションなどで取引されていることも特徴です。
アンティークコインの購入方法はこちらの記事で紹介しています。