イスラエルは、西アジアに位置する共和制国家であり、第二次世界大戦後にユダヤ人達によって作られました。
パレスチナ問題を中心に注目を集めており、建国までの経緯から領有権争いが深刻化している状況です。
イスラエルの通貨は新シェケルまたはイスラエルシェケルであり、日本でもイスラエルの価値ある金貨・銀貨を購入できます。
この記事では、イスラエルがどんな国であるか、歴史を含めて解説し、使用されている通貨の種類、おすすめのアンティークコインを紹介します。
この記事のポイント
・イスラエルで発行されているおすすめの金貨・銀貨を紹介
イスラエルはどんな国? ~数々のITスタートアップ企業を輩出するIT先進国~
面積(総計) | 22,072km2 |
通貨 | 新シェケル(ILS) |
首都 | エルサレム |
言語 | ヘブライ語、アラビア語、英語 |
主な宗教 | ユダヤ教、イスラム教、キリスト教 |
主な民族 | ユダヤ人、アラブ人 |
隣接する国 | レバノン、シリア、ヨルダン、エジプト |
建国 | 1948年5月14日 |
イスラエル国は、地中海に面し、レバノン、シリア、ヨルダン、エジプトなどの国と国境を接する共和制国家です。
名目上の首都はエルサレムとなっていますが、国際的には限定的にしか認められておらず、事実上の首都はテルアビブとなっています。
エルサレムは、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の3つの宗教の聖地であることから、イスラエルには毎年多くの人々が巡礼に訪れます。
中東のシリコンバレーと呼ばれることもある多くのITスタートアップ企業を輩出するIT先進国です。
そのため、高いIT技術を活かしたハイテク産業と農業を主な産業としています。
パレスチナ問題の影響から、渡航に対する危険度が引き上げられており、紛争において全世界から注目を集めている状態です。
イスラエルの歴史 ~パレスチナ問題とは何か?~
年号 | 内容 |
1914年 | 第一次世界大戦の発生の裏でイギリスが三枚舌外交により複数の相手と密約を結ぶ |
1947年 | パレスチナ分割決議によりパレスチナの地がユダヤ人とアラブ人の2国に分けられる |
1948年 | イスラエル国が建国、第1次中東戦争の勃発 |
1967年 | 第3次中東戦争でイスラエルが圧勝、パレスチナのすべてを統治下に置く |
1993年 | オスロ合意が交わされる |
2000年 | リエル・シャロンの行動をきっかけにテロ事件が多発 |
2002年 | 分離壁の建設を開始 |
2018年 | ドナルド・トランプ政権がアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移す |
2023年 | 武装組織ハマスがイスラエルに大規模な攻撃を行う |
イスラエルを解説する上で重要なパレスチナ問題について詳しく紹介します。
パレスチナ問題は、イスラエル人とパレスチナ人の間で続いている紛争のことです。
問題の発端は2,000年以上前であり、かつてパレスチナにあったユダヤ教の国家がローマ帝国に滅ぼされます。
19世紀になってユダヤ人たちはパレスチナの祖国に帰ることを考え、シオニズム運動を開始します。
再びユダヤ人が国家を作ることをイギリスは支援しますが、裏ではアラブ人が独立国家を作ることも約束していました。
さらにイギリスはフランスと地域を山分けすることも約束しており、三枚舌外交と呼ばれるイギリスの外交政策がパレスチナ問題の原因といわれています。
パレスチナの地を中心にユダヤ人と先住のパレスチナのアラブ人が衝突し、1947年にはパレスチナ分割決議を行い、パレスチナの地がユダヤ人とアラブ人の2国に分けられ、ユダヤ人がイスラエルの建国を宣言します。
これを不服としたアラブ諸国がイスラエルに攻め込み、第1次中東戦争が発生し、第3次中東戦争によってイスラエルは事実上パレスチナのすべて統治下に置きました。
第3次中東戦争までは被害者という認識が強かったイスラエルですが、第3次中東戦争によって国際法上において認められていない部分まで進軍したことを理由に国際世論も変化しました。
1993年、アメリカとノルウェーの仲介によってイスラエルとパレスチナの間でパレスチナに暫定自治区を設置するオスロ合意が交わされます。
同地域でイスラエルとパレスチナが共存するための合意でしたが、和平には至りませんでした。
2000年にリエル・シャロンがエルサレム、アル=アクサー・モスクに訪れたことをきっかけにイスラム教徒達が暴徒化し、各地でテロ事件が発生するようになります。
2002年には分離壁を建設を開始し、テロリストがイスラエル側に入ってこられないようにしたことで、根本的な解決ではなく一時的な収束を目指しました。
2018年、イスラエルの建国70周年の節目にアメリカのドナルド・トランプ政権がアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移したことで対立が激化します。
2023年、ガザ地区を中心にパレスチナの解放を訴える武装組織「ハマス」がイスラエルに大規模な攻撃を行ったことで、現在でもパレスチナで紛争が続いている状態です。
イスラエルの独自通貨の種類
イスラエルでは、新シェケル(通貨コード:ILS、通貨記号: ₪)と呼ばれる通貨が使用されており、補助単位はアゴラ(1/100)です。
パレスチナ自治政府でも使用されており、イスラエルシェケルとも呼ばれています。
イスラエルの独自通貨の種類を見ていきましょう。
イスラエルの硬貨
- 10アゴラ
- ½新シェケル
- 1新シェケル
- 2新シェケル
- 5新シェケル
- 10新シェケル
イスラエルの紙幣
- 20新シェケル
- 50新シェケル
- 100新シェケル
- 200新シェケル
イスラエルの硬貨
10アゴラ
½新シェケル
1新シェケル
2新シェケル
5新シェケル
10新シェケル
額面 | デザイン |
10アゴラ | 7本の枝を持つ燭台 |
½新シェケル | 12弦のハープ |
1新シェケル | ユリ |
2新シェケル | 果物と穀物が詰まった一対の豊穣の角、間にザクロ |
5新シェケル | イスラエル国の紋章 |
10新シェケル | ヤシの木、ナツメヤシが入った2つのバスケット |
補助通貨の10アゴラと½新シェケルを含めた新シェケルの硬貨が発行されています。
それぞれの硬貨で異なる表面のデザインと裏面にはシンプルに額面が描かれています。
イスラエルの紙幣
20新シェケル
50新シェケル
100新シェケル
200新シェケル
額面 | デザイン |
20新シェケル | ラヘル・ブルーシュタイン、ガリラヤ湖からの眺め |
50新シェケル | シャウル・チェルニホフスキー、コリント式の柱 |
100新シェケル | リア・ゴルドベルク、ガゼルの群れ |
200新シェケル | ナタン・アルテルマン、月明かりに照らされる植物 |
新シェケルは元々縦型の紙幣でしたが、現在では横型の紙幣に変更されています。
イスラエルの大統領や偉人が肖像となっており、過去にはアインシュタインの肖像が採用されたこともあります。
イスラエルのおすすめのアンティークコイン
イスラエルのおすすめのアンティークコインを金貨・銀貨に分けて紹介していきます。
- ダヴィッド・ベン・グリオン死去1年 500リロット金貨 1974年
- 国債25年 500リロット金貨 1975年
- 建国21年 100リロット金貨 1969年
- 独立宣言書 100リロット金貨 1973年
- シーファーリング 独立15年 5リロット銀貨 1963年
- カイサリア 1新シェケル銀貨 1988年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ダヴィッド・ベン・グリオン死去1年 500リロット金貨 1974年
概要 | 内容 |
発行国 | イスラエル |
発行年 | 1974年 |
額面 | 500リロット |
サイズ | 35mm |
発行枚数 | 47,528枚 |
ダヴィド・ベン・グリオンは初代・3代の2代に渡ってイスラエルの首相を務めた人物です。
ポーランドのプロニスクで生まれ、パレスチナ移住後はユダヤ系住民のイギリス軍への参加を呼びかけます。
ナチスの弾圧によって多くのユダヤ系難民がパレスチナへ押し寄せる様になると、これを規制しようとするイギリス当局と折衝して難民受け入れに尽力しました。
首相の没後1周年を記念して発行された金貨であり、表面に肖像が描かれています。
国債25年 500リロット金貨 1975年
概要 | 内容 |
発行国 | イスラエル |
発行年 | 1975年 |
額面 | 500リロット |
サイズ | 29mm |
発行枚数 | 31,693枚 |
国債25年金貨は、エルサレムで60人のアメリカ系ユダヤ人指導者による会議を開催し、イスラエル国債の発行計画について話し合い、1年後にイスラエルの国債第1号が発行されました。
国債の売却益は、道路・鉄道・海上・航空輸送施設の拡張・水供給・電気開発の開発予算、電力・天然資源の活用に使用されます。
イスラエルの経済インフラの急速な発展を支えた国債に関連するイスラエルの金貨です。
建国21年 100リロット金貨 1969年
概要 | 内容 |
発行国 | イスラエル |
発行年 | 1969年 |
額面 | 100リロット |
サイズ | 32mm |
発行枚数 | 12,500枚 |
1948年に建国したイスラエルは、1969年に建国21周年を迎えており、これを記念した100リロット金貨です。
第一次中東戦争、スエズ危機、六日戦争により建国後もイスラエルは領土を拡大してきました。
イスラエルの国家発展と強化を祝うために発行された金貨となっています。
独立宣言書 100リロット金貨 1973年
概要 | 内容 |
発行国 | イスラエル |
発行年 | 1973年 |
額面 | 100リロット |
サイズ | 27mm |
発行枚数 | 27,472枚 |
イギリス委任統治の最終日となった1948年5月14日、初代首相のダヴィド・ベン・グリオンが読み上げたのが独立宣言書です。
「エレツ・イスラエル(イスラエルの地)はユダヤ人誕生の地である」という書き出しから始まる宣言によって、ユダヤ人国家のイスラエルが誕生しました。
この金貨は建国から25年となる1973年に発行されています。
シーファーリング 独立15年 5リロット銀貨 1963年
概要 | 内容 |
発行国 | イスラエル |
発行年 | 1963年 |
額面 | 5リロット |
直径 | 34mm |
重量 | 25g |
発行枚数 | 5,960 枚 |
品位 | 900/1000銀 |
独立15周年を記念して航海をテーマに描かれたデザインの5リロット銀貨です。
表面には蒸気船の上部が描かれており、裏面は古代のエルサレムに存在したガレー船があります。
カイサリア 1新シェケル銀貨 1988年
概要 | 内容 |
発行国 | イスラエル |
発行年 | 1963年 |
額面 | 1新シェケル |
直径 | 30mm |
重量 | 14.4g |
発行枚数 | 6,560 枚 |
品位 | 850/1000銀 |
カイサリアとは、ヘロデ大王治世下の紀元前25年頃に建設された古代都市であり、カイサリア・マリティマ(海辺のカイサリア)とも呼ばれます。
カイサリアのイメージとなるデザインと裏面には1新シェケルの額面が刻まれています。
まとめ
イスラエルは建国における諸問題からパレスチナを中心に現在も紛争が続いており、国際紛争の中でも解決が難しい問題とされています。
建国後から様々なコインが発行されており、近年では収集も盛んであることから、イスラエルのコインの購入を検討してみましょう。
アンティークコインの購入方法はこちらの記事で紹介しています。