モロッコでは古くから銀貨が発行されてきましたが、鑑賞用として人気の高いコインが発行され始めたのが19世紀から20世紀初頭の時代です。
この時代のモロッコはフランス、スペイン、イギリスなどのヨーロッパの列強各国がモロッコで利権を争っていました。
六芒星など非常に特徴的なデザインのアンティークコインが揃っていることが特徴的であり、アンティークコインの収集対象としてメジャーではない国であるからこそ、現在は比較的安値でコインを購入できる状態にあります。
この記事では、モロッコのアンティークコイン特集としておすすめの金貨・銀貨を紹介します。
モロッコのアンティークコインについて
モロッコ王国は、北アフリカ北西部に存在する立憲君主制国家であり、成立は西暦789年と長い歴史を持ちます。
アフリカとヨーロッパをつなぐ交差点であったモロッコは、何世紀にも渡ってアラブ・イスラム文化と文明の出会いの場であり、文明が栄えたモロッコではいくつもの通貨が発行されてきました。
しかし、19世紀にはその立地からヨーロッパの列強各国の利権争いの場になった過去もあります。
長らくフランスの保護領であったモロッコは、1956年に独立しますが、モロッコのアンティークコインで市場において流通しているのは、動乱の時代であった19世紀から独立に至るまでの1956年までのコインになります。
それでは、19世紀から20世紀までを中心にモロッコの特徴的なアンティークコインを見ていきましょう。
モロッコのおすすめ金貨
モロッコのおすすめ金貨を紹介します。
- モロッコ タンジールロスチャイルド&サンズ銀行 500ディルハム金貨 1954年
- モロッコ ムーレイ アル ハサン1世 4リアル金貨 1880年
- モロッコ ムハンマド5世 20フラン金貨 1952年
それぞれ詳しく見ていきましょう
モロッコ タンジールロスチャイルド&サンズ銀行 500ディルハム金貨 1954年
概要 | 内容 |
発行国 | モロッコ |
発行年 | 1954年 |
額面 | 500ディルハム |
直径 | 26mm |
状態 | UNC |
タンジールロスチャイルド&サンズ銀行から発行された緊急貨幣のような役割を果たした金貨であり、歴史的にも大きな意義を持ちます。
なぜなら、この時代は1956年の独立間近であり、独立を機に多くのヨーロッパ人がモロッコを去ったため、こちらの金貨が緊急貨幣として必要になりました。
そして、世界で初めて発行された1オンス金貨でもあり、地金型金貨の先駆けともいえるでしょう。
表面に描かれた男性は、こん棒とライオンの皮を持っており、ギリシャ神話最大の英雄のヘラクレスといわれています。
この金貨は継続的に発行されることなく1954年度の単年度発行であることから、地金タイプの金貨でありながら近年では希少性が増している金貨となっています。
モロッコ ムーレイ アル ハサン1世 4リアル金貨 1880年
概要 | 内容 |
発行国 | モロッコ |
発行年 | 1880年 |
額面 | 4リアル |
直径 | 22mm |
重量 | 6.46g |
ムーレイ アル ハサン1世は、1873年~1894年までモロッコの君主であった人物になります。
政治的、軍事的、宗教的行動を通じて王国の結束を維持するために努力し、ヨーロッパの脅威と内部の反乱に直面しながらも改革を進めた人物です。
ヨーロッパの利権争いの舞台となっていたモロッコですが、フランスやスペインはモロッコの弱体化を望んでいましたが、イギリスはモロッコの独立を望んでいました。
ヨーロッパ列強が各々の利益を考えていることを利用し、それぞれの立場を理解しながらモロッコが独立できるように舵を取ったのです。
中心に六芒星が描かれた特徴的で美しい金貨になります。
モロッコ ムハンマド5世 20フラン金貨 1952年
概要 | 内容 |
発行国 | モロッコ |
発行年 | 1952年 |
額面 | 20フラン |
ムハンマド5世は、フランスから独立を勝ち取ったモロッコの英雄とも呼べる人物です。
独立する前の1952年に発行された金貨がフランスの通貨単位であるフラン金貨になります。
1953年までのモロッコの君主のことをスルタンと呼びましたが、ムハンマド5世が1955年に復位した際には、国王に変更されています。
フランスのアンティークコインについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
フランス アンティークコインの歴史と価値【12種のコイン・メダル】
モロッコのおすすめ銀貨
モロッコのおすすめ銀貨を紹介します。
- モロッコ ムーレイ・アブドゥル・アジズ 1リアル銀貨 1903年
- モロッコ ムーレイ・アブドゥル・ハフィード 1リアル銀貨 1911年
- モロッコ ムーレイ・アブドゥル・アズィーズ4世 1リアル銀貨 1896年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
モロッコ ムーレイ・アブドゥル・アジズ 1リアル銀貨 1903年
概要 | 内容 |
発行国 | モロッコ |
発行年 | 1903年 |
額面 | 1リアル(10ディルハム) |
直径 | 38mm |
状態 | Toned EF |
20世紀初頭はフランスがモロッコを統治するアラウィー王朝を事実上の保護下に置き、内政や財政に深く関与した時代になります。
ムーレイ・アブドゥルアズィーズ4世の名銘がアラビア語で刻まれた六芒星が特徴的な銀貨です。
偶像崇拝を忌避するイスラームの教えに従い、六芒星の紋様を組み合わせたアラベスク紋様のみのデザインになります。
六芒星のスタイルや年銘の配置は発行した王によって異なり、年代によって様々なバラエティがあります。
1320年はヒジュラ暦であり、発行は西暦で1903年になります。
モロッコ ムーレイ・アブドゥル・ハフィード 1リアル銀貨 1911年
概要 | 内容 |
発行国 | モロッコ |
発行年 | 1903年 |
額面 | 1リアル(10ディルハム) |
直径 | 37.5mm |
発行枚数 | 10,100,000枚 |
状態 | AU |
このコインもフランスのパリ造幣局が製造を請け負い、モロッコ国内で流通させた六芒星の紋様を組み合わせたアラベスク紋様のみのデザインです。
アラビア語で「栄光あるハフィドによって発行された1リアル」という意味の銘文が刻まれています。
このように君主によって六芒星のデザインにも多様な種類があり、100年以上前に発行されたアンティークコインとしては低価格で購入可能な初心者も気軽に購入できるシリーズとなっています。
モロッコ ムーレイ・アブドゥル・アズィーズ4世 1リアル銀貨 1896年
概要 | 内容 |
発行国 | モロッコ |
発行年 | 1896年 |
額面 | 1リアル(10ディルハム) |
直径 | 37.5mm |
発行枚数 | 55,000枚 |
状態 | VF+ |
偶像崇拝を忌避するイスラームの教えに従っていることから人気の高い肖像が描かれた銀貨はほとんどありませんが、こちらも異なる六芒星のデザインが描かれた銀貨になります。
ただし、このコインはフランスではなくドイツのベルリン造幣局が製造を請け負い、モロッコ国内で流通させたものです。
ベルリン鋳の銀貨は発行枚数が一番少ないため、同じ銀貨であっても希少価値が高くなります。
ドイツのアンティークコインについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ドイツ アンティークコインの歴史と価値【7種類の金貨・銀貨】
モロッコのアンティークコインに関するよくある質問
モロッコのアンティークコインに関するよくある質問をまとめました。
- モロッコのアンティークコインはどこで購入できる?
- モロッコの金貨・銀貨を売却する方法は?
それぞれ詳しく解説します。
モロッコのアンティークコインはどこで購入できる?
モロッコのアンティークコインは、コイン専門店で購入することをおすすめします。
しかし、アンティークコインの収集テーマとしてメジャーではないことから、扱っている店舗は限られます。
モロッコのアンティークコインは当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」から購入可能です。
モロッコの金貨・銀貨を売却する方法は?
モロッコの金貨・銀貨は当サイトで買取を受け付けています。
モロッコに限らずさまざまな国の希少性の高いアンティークコインをお持ちの方は、当サイトにコインをお持ち込みください。
詳しくはこちらのページからお問い合わせお願いします。
まとめ
モロッコのアンティークコインは、非常に特徴的なデザインが多く、実物を鑑賞すると購入する予定がなかった方も思わず購入してしまう魅力を持っています。
特に1リアル銀貨は価格も安いので、アンティークコインをお試しで初めて購入したい方におすすめです。
アンティークコインの購入方法はこちらの記事で紹介しています。