ドミニカ共和国は、大アンティル諸島のイスパニョーラ島東部にある共和制国家であり、西部にあるハイチと国境を接しています。
ドミニカ共和国で使用される通貨はドミニカ・ペソであり、1844年にハイチから独立した際に初めて発行された歴史ある通貨です。
そのため、現在でも過去に発行されたドミニカ共和国の通貨がアンティークコインとして取引されています。
この記事では、ドミニカ共和国はどんな国であるか、国の概要や歴史を解説した上で、通貨の種類や、アンティークコインを紹介します。
ドミニカ共和国はどんな国?~アメリカと関わりが強くメジャーリーガーを輩出~
面積(総計) | 48,730㎢ |
通貨 | ドミニカ・ペソ(DOP) |
首都 | サントドミンゴ |
言語 | スペイン語 |
主な宗教 | ローマ・カトリック教(6割以上) |
主な民族 | ヨーロッパ系、アフリカ系 |
隣接している国 | ハイチ |
独立 | 1844年2月27日 |
ドミニカ共和国は、西インド諸島にある大アンティル諸島のイスパニョーラ島東部にある島の面積の3分の2を占める国です。
経済や政治の面においてアメリカに依存しており、ハイチはイスパニョーラ島で共存し隣接する国となっています。
また、ドミニカ共和国はアメリカのメジャーリーグにおいて、多数の有力な選手を輩出している野球大国です。
これにはドミニカ共和国の多くの若者がアメリカに出稼ぎに行き、本国に残る人々の暮らしを支えている社会構造が理由として挙げられます。
その中でも収入や名誉もあるメジャーリーガーを志してアメリカへと旅立つ人々が多いことが、有力な選手がドミニカ共和国から多く生まれる理由です。
米州でもヨーロッパ人が初めて恒久的に定住した土地であり、公用語は現在でもスペイン語となっています。
そのため、観光地を除いて英語が通じない場合もありますが、日常会話レベルであれば英語を話せる若者も多いようです。
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ドミニカ共和国とドミニカ国の違いは?
世界にはドミニカという国は2つ存在しており、ドミニカ共和国とドミニカ国は全く異なる別の国です。
ドミニカ国は、日本の奄美大島程度の大きさで世界地図ではその小ささから点で表されるカリブ海の東の果てに位置する国です。
ドミニカ共和国との面積の差は約60倍であり、名前以外に共通点はほとんどなく、所在地や大きさも異なります。
日本における表記ルールでは毎日新聞用語集によるとドミニカ国をドミニカと表記し、ドミニカ共和国はドミニカ共和国と表記するように定められています。
しかし、日本においてはアメリカのメジャーリーグの知名度からドミニカと呼ぶ場合は、一般的にはドミニカ共和国を指すことが多いです。
ドミニカ共和国の歴史~ハイチから独立後アメリカの事実上の保護国となる~
年号 | 内容 |
1844年 | それまでのハイチの支配に対して独立を宣言する |
1861年 | スペインに再併合される |
1865年 | スペインから再独立が果たされる |
1875年 | ハイチとの平和条約が結ばれる |
1905年 | アメリカの事実上の保護国となる |
1930年 | ラファエル・トルヒーヨ将軍による独裁政権が開始する |
1962年 | 大統領選挙が行われ、ファン・ボッシュが大統領に就任、以降は民主化の道を歩む |
ドミニカ共和国は、隣国であるハイチのジャン・ピエール・ボワイエの独裁と植民地化に反発し、革命軍によってハイチ軍を一掃して独立を宣言します。
この時、国名がドミニカ共和国となり、ペドロ・サンタナ将軍が初代大統領に就任しました。
しかし、ハイチとの戦争は続き、サンタナはスペインに再併合を申し入れましたが、スペインの統治下となったことで状況が悪化し、不満が高まっていきました。
再び2回目の独立が宣言し、スペイン人を退去させ、1865年に再独立を果たします。
ハイチとの平和条約が結ばれたのは1875年のことです。
1905年からアメリカからの干渉が強くなり、関税徴収権の確保、軍事干渉もできる協定を結ばせ、ドミニカ共和国は事実上のアメリカの保護国となります。
第二次世界大戦後には、ラファエル・トルヒーヨ将軍が実権を握り、独裁政権がスタートしました。
最終的にはフィデル・カストロ、チェ・ゲバラによるキューバ革命の前例から、第二のキューバが誕生することを恐れてCIAも関わり、トルヒーヨ将軍は暗殺されています。
1962年に大統領選挙が行われ、ファン・ボッシュが大統領に就任して以降、ドミニカ共和国はアメリカに様々な点において依存しながらも民主化の道を歩んでいくこととなりました。
ドミニカ共和国の通貨の種類
ドミニカ共和国はドミニカ・ペソ(DOP)を通貨として使用しており、補助単位はセンターボとなっています。
ただし、インフレによって補助単位のセンターボだけではなく1ドミニカ・ペソ以下の効果はほとんど流通していません。
ドミニカ共和国の通貨の種類を見ていきましょう。
硬貨
- 1ドミニカ・ペソ
- 5ドミニカ・ペソ
- 10ドミニカ・ペソ
- 25ドミニカ・ペソ
紙幣
- 50ドミニカ・ペソ
- 100ドミニカ・ペソ
- 200ドミニカ・ペソ
- 500ドミニカ・ペソ
- 1000ドミニカ・ペソ
- 2000ドミニカ・ペソ
1ドミニカ・ペソ(1978年~1981年流通)
ドミニカ共和国建国の父の一人、フアン・パブロ・ドゥアルテの肖像を描いています。
5ドミニカ・ペソ
フランシスコ・デル・ロサリオ・サンチェスの肖像画であり、ドミニカ共和国建国の父の一人です。
10ドミニカ・ペソ
マティアス・ラモン・メラはドミニカ共和国の政治家であり、1・5ドミニカ・ペソの人物達と同様にドミニカ共和国建国の父の一人として独立に大きく貢献した人物です。
25ドミニカ・ペソ
ドミニカ共和国の軍人と政治家を兼ねたグレゴリオ・ルペロンの肖像が描かれています。
50ドミニカ・ペソ
表面にはアメリカ第一大聖堂、サンタ・マリア・ラ・メノール、裏面にはアルタグラシアのヌエストラ セニョーラ聖堂が描かれています。
100ドミニカ・ペソ
ドゥアルテ、サンチェス、メラ、3人のドミニカ共和国建国の父、裏面にはプエルタ・デル・コンデが描かれています。
200ドミニカ・ペソ
トルヒーヨの独裁政権に反対した活動家であるパトリア・ミラバル、ミネルバ・ミラバル、マリア・テレサ・ミラバルのミラバル3姉妹、裏面にはミラバル姉妹の記念碑が描かれています。
500ドミニカ・ペソ
首都サントドミンゴのバンコ・セントラルビルが描かれた紙幣です。
1000ドミニカ・ペソ
表面にはサントドミンゴ国立宮殿、裏面にはドン・ディエゴ・コロン要塞が描かれています。
2000ドミニカ・ペソ
エミリオ・プリュッド・オムとホセ・レイエス、裏面には国立劇場が描かれた紙幣です。
ドミニカ共和国のアンティークコイン~おすすめの金貨・銀貨を中心に紹介~
ドミニカ共和国のアンティークコインについておすすめの金貨・銀貨を中心に紹介します。
- ドミニカ共和国 ラファエル・トルヒーヨ 30ドミニカ・ペソ金貨 1955年
- ドミニカ共和国 カリブ海競技大会 30ドミニカ・ペソ金貨 1974年
- ドミニカ共和国 国際児童年 200ドミニカ・ペソ金貨 1982年
- ドミニカ共和国 女神頭像 5ドミニカ・フランコ銀貨 1891年
- ドミニカ共和国 国連創設50周年記念 1ドミニカ・ペソ銀貨 1995年
- ドミニカ共和国 中央銀行創立30周年 30ドミニカ・ペソ銀貨 1977年
ドミニカ共和国 ラファエル・トルヒーヨ 30ドミニカ・ペソ金貨 1955年
概要 | 内容 |
発行 | ドミニカ共和国 |
発行年 | 1955年 |
額面 | 30ドミニカ・ペソ |
直径 | 32mm |
重量 | 29.622g |
発行枚数 | 33,000 枚 |
品位 | 900/1000金 |
第二次世界大戦後にドミニカ共和国で独裁政権を敷いたラファエル・トルヒーヨの肖像が描かれた独裁政権当時の金貨です。
直径30mmを超す品位の高い大型金貨であり、ドミニカ共和国のアンティークコインの中でも海外オークションを中心に広く取引されています。
ドミニカ共和国 カリブ海競技大会 30ドミニカ・ペソ金貨 1974年
概要 | 内容 |
発行 | ドミニカ共和国 |
発行年 | 1974年 |
額面 | 30ドミニカ・ペソ |
直径 | 24.3mm |
重量 | 11.7g |
発行枚数 | 30,000 枚 |
品位 | 900/1000金 |
1974年の中央アメリカ・カリブ海競技大会を記念して発行された30ドミニカ・ペソ金貨です。
中央アメリカ・カリブ海競技大会は、中央アメリカとカリブ海周辺の国・地域が参加する国際総合競技大会であり、1926年から開催している歴史ある大会となっています。
表面にドミニカ共和国の国章、3つのリングがそれぞれ交差して接続されているデザインです。
ドミニカ共和国 国際児童年 200ドミニカ・ペソ金貨 1982年
概要 | 内容 |
発行 | ドミニカ共和国 |
発行年 | 1982年 |
額面 | 200ドミニカ・ペソ |
直径 | 27mm |
重量 | 17.17g |
発行枚数 | 4,303枚 |
品位 | 900/1000金 |
ドミニカ共和国で1982年に発行された国際児童年をテーマにした200ドミニカ・ペソ金貨です。
1979年にユネスコが国際児童年を宣言したことを理由にドミニカ共和国をはじめ、様々な記念硬貨・切手が発行されました。
2人の少年と少女がダンスを踊る様子が描かれています。
ドミニカ共和国 女神頭像 5ドミニカ・フランコ銀貨 1891年
概要 | 内容 |
発行 | ドミニカ共和国 |
発行年 | 1891年 |
額面 | 5ドミニカ・フランコ |
直径 | 37mm |
重量 | 25g |
発行枚数 | 150,000枚 |
品位 | 900/1000銀 |
ドミニカ共和国では、1844年からドミニカ・ペソは発行されていましたが、1891年から1897年にはドミニカ・フランコと呼ばれる新通貨が発行されていました。
ドミニカ共和国の国章に、女神の頭像が描かれており、発行枚数の多い銀貨です。
アンティークコイン市場において広く流通しており、状態の良い銀貨であれば、ドミニカ共和国のアンティークコインの中でも高値で取引されることがあります。
ドミニカ共和国 国連創設50周年記念 1ドミニカ・ペソ銀貨 1995年
概要 | 内容 |
発行 | ドミニカ共和国 |
発行年 | 1995年 |
額面 | 1ドミニカ・ペソ |
直径 | 38.61mm |
重量 | 28.44g |
発行枚数 | 10,500枚 |
品位 | 925/1000銀 |
国連創設50周年を記念して製造された1ドミニカ・ペソ銀貨です。
国連のロゴデザインに平和の象徴とされる2羽のハトが向かい合う様子が描かれています。
ドミニカ共和国 中央銀行創立30周年 30ドミニカ・ペソ銀貨 1977年
概要 | 内容 |
発行 | ドミニカ共和国 |
発行年 | 1977年 |
額面 | 30ドミニカ・ペソ |
直径 | 50mm |
重量 | 78g |
発行枚数 | 7,000枚 |
品位 | 925/1000銀 |
ドミニカ共和国の中央銀行創立30周年を記念して発行された銀貨であり、直径50mmを超す大型のコインとなっています。
中央銀行とその周辺が細かく彫られており、大型であることから見栄えの良い銀貨です。
まとめ
ドミニカ共和国は、アメリカに経済的に依存していることから関係が深く、日本では一般的にメジャーリーガーを複数輩出している国として知られています。
通貨の歴史も古く、一時的に新通貨のドミニカ・フランコやアメリカ・ドルに置き換わっていたこともありましたが、現在でもドミニカ・ペソが発行されています。
そのため、アンティークコインも多くあり、希少性やプレミア価値が認められるようなコインも市場で広く取引されている国です。