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公開日 2022.3.25更新日 2022.4.7

スイス アンティークコインの歴史と価値【金貨・銀貨7選】

スイスのコインの歴史はけっして長くはありませんが、射撃祭をはじめとするコレクターから根強い人気を誇るシリーズも存在します。

スイスの代表的なコインシリーズである射撃祭は、1842年~1939年まで発行されていたコインと1984年から現代まで発行されているコインの2種類に分類可能で、それぞれ価値が異なります。

この記事ではスイスの代表的な金貨・銀貨を7種類紹介し、スイスのコインの歴史と種類についても解説します。

スイス コインの歴史

スイス コイン 歴史

スイス(スイス連邦)は、1848年に成立し、各地域の通貨を統一するために作られたのがスイスフランです。

1850年代~現代に至るまでのコインが対象となっているため、その歴史はけっして長いものではありません。

しかし、美しいデザインのコインが多いことと、種類が少なくコンプリートしやすいことから一部のコレクターから根強い人気があります

その中でも射撃祭の記念硬貨は希少価値が非常に高く、スイスを代表するコインといってもよいでしょう。

それでは、まずスイスのコインのはじまりを見ていきましょう。

スイス コインのはじまり

スイス コイン はじまり

1850年に正式にスイスフランが制定され、当時フランスの貨幣であったフランスフランを模倣して、1スイスフラン銀貨が作られました。

スイスフランは基本的にベルン造幣廠(現在のスイス連邦造幣局)で作られてきましたが、初期の貨幣に関してはパリ、ストラスブール、ブリュッセルで製造されたものもあったようです。

また、1スイスフラン銀貨は当初、品位.900、重量5gであり、純粋な銀の含有量は4.5gでした。

しかし、1874年から品位を.835まで落としており、5スイスフラン銀貨に関しても1900年代前半には同様の品位に落ちています。

現在、スイスフランの元になったフランスフランは廃止されましたが、スイスフランは現在も使用されている通貨です

日本円と同様に安全通貨とされており、金融市場に不安が広がると買われやすい通貨として知られています。

スイス コイン種類

スイス コイン 種類

スイスの通常硬貨の種類は下記のとおりです。

  • 1ラッペン
  • 2ラッペン
  • 5ラッペン
  • 10ラッペン
  • 20ラッペン
  • 1/2フラン
  • 1フラン
  • 2フラン
  • 5フラン
  • 10フラン
  • 20フラン
  • 100フラン

現行で一般的に使用されている通貨は、5・10・20ラッペン、1/2・1・2・5フランの7種類で、100ラッペンが1フランにあたります。

また、スイスのコインは1875年から現在に至るまで図案の変更がないため、バリエーションは非常に少ないです

スイスの伝統行事 射撃祭とコインの関係

スイス 射撃祭 コイン

射撃祭とは、スイス、オランダ、ドイツで14世紀から開催されてきたお祭りのことで、実銃を使った射撃大会になります。

その規模はさまざまで、村などの小さな単位で行われることもあれば、スイス全土から参加者を集う全国大会もありました。

1842年にスイスで射撃祭を記念したコインが初めて作られています。

スイスフランが制定されたのが1850年であることから、射撃祭の記念コインはそれよりも前に発行されたコインです。

発行元は国ではなくカントンという日本では県にあたる規模の地域ではありましたが、含有している銀の量が基準を満たしていたため、当時通貨として一部流通したといわれています。

しかし、記念コインかつ小規模の地域で製造されたことから発行枚数が元々少なく、流通したコインは摩耗していることから状態のいいコインが減っており、現存する美品の希少価値が高まっているのです

政治的な理由で1939年に製造が中止され、1984年に再開されたため、射撃祭記念コインには1842年~1939年に発行されたコインと1984年から現代まで発行されているコインの2種類があり、基本的には前者のほうが希少価値は高いです。

スイスの金貨・金メダル5選

スイスの人気金貨は先ほども説明した通り、射撃祭関連に集中しています。

今回は、射撃祭のコインを中心に金貨・金メダルを5つ紹介します。

  • フリーブルク 射撃祭 100フラン金貨 1934年
  • グラルス 現代射撃祭 500フラン金貨 2017年
  • スターンス 現代射撃祭 500フラン金貨 2018年
  • アルプスの少女ブレネリ 100フラン金貨 1925年
  • トゥールガウ 射撃祭 金メダル 1890年

フリーブルク 射撃祭 100フラン金貨 1934年

フリーブルク 射撃祭 100フラン金貨 1934年 フリーブルク 射撃祭 100フラン金貨 1934年

発行国 スイス
発行年 1934年
額面 100フラン
グレード MS64
直径 31mm
重量
品位
発行枚数 2,000枚
状態 Proof FDC(完全未使用)

スイスの州フリーブルクで行われた射撃祭を記念して作られた100フラン金貨です。

フリーブルクは、スイスのサリーヌ川沿いにに位置し、工業や食品産業が発展している中世都市になります。

こちらの金貨は、完全未使用品の中でもヘアラインが非常に少なく、大変保存状態の良いコインです。

グラルス 現代射撃祭 500フラン金貨 2017年

グラルス 現代射撃祭 500フラン金貨 2017年

発行国 スイス
発行年 2017年
額面 500フラン
グレード PF70 Ultra Cameo
直径 31mm
重量 15.55g
品位 .999
発行枚数 220枚
状態 Proof FDC(完全未使用)

射撃祭記念コインには大きく分けて2種類あり、現代射撃祭記念コインは、1984年にチューリヒ州の田舎町オーバーハスリ射撃祭から新たに発行され現在まで発行を続けられているコインのことを指します。

こちらの500フラン金貨は、毎年継続して記念貨の発行が続けられており、今年で37枚目の長期シリーズです。

グラルス州はスイスのカントンの中でも最も歴史が古く、ビジネス拠点として発展を遂げた地域になります。

コインには、スイスのグラルス州の守護聖人ゼッキンゲンの聖フリドリンが彫られており、背景にはアルプスの山岳地帯が描かれています。

スターンス 現代射撃祭 500フラン金貨 2018年

スターンス 現代射撃祭 500フラン金貨 2018年

発行国 スイス
発行年 2018年
額面 500フラン
グレード PF69 Ultra Cameo
直径 33mm
重量 15.55g
品位 .999
発行枚数 275枚
状態 Proof FDC(完全未使用)

こちらも現代射撃祭を記念して作られた500フラン金貨です。

現代射撃祭のコインは子供が生まれた年に記念して買われることも多く、また金貨だけでなく銀貨や厚手型のピエフォーコインなど色々なバリエーションがあり長年愛されているシリーズになります。

スターンス町は、スイスのニドワルデン州にある町のことです。

500フラン金貨は発行枚数が非常に少ないことから現代射撃祭のコインでも高い希少価値を持ちます

アルプスの少女ブレネリ 100フラン金貨 1925年

アルプスの少女ブレネリ 100フラン金貨 1925年 アルプスの少女ブレネリ 100フラン金貨 1925年

発行国 スイス
発行年 1925年
額面 100フラン
グレード MS64+
直径 36mm
重量 32.25g
品位 .900
発行枚数 5,000枚
状態 FDC(完全未使用)

ブレネリはスイスの代表的な民謡「おおブレネリ」にも登場していますが、スイスにおける一般的な女性の名前です。

世界で最も美しいコインの1枚に挙げられる描かれた女性のモデルは、このコインの彫刻師でデザイナーのフリッツ・ユーリス・ランドリの隣人、フランソワ・クレイマー・エグリと言われています。

コイン表面のデザインはこの女性をモデルとした女性像が描かれ胸元にスイスの国花であるエーデルワイスの花葉飾りを付けており、背景にはアルプス山脈が描かれています。

トゥールガウ 射撃祭 金メダル 1890年

トゥールガウ 射撃祭 金メダル 1890年 トゥールガウ 射撃祭 金メダル 1890年

発行国 スイス
発行年 1890年
額面
グレード EF+/UNC
直径 45.2mm
重量 69.68g
品位
発行枚数 119枚
状態 極美品/未使用

1890年の7月に首都フラウエンフェルトで射撃祭が行われたときに発行された大型の金メダルです。

盾と剣を携えたヘルヴェティアが表面に描かれ、裏面にはライオンと女性が描かれた首都フラウエンフェルトの紋章が彫られています。

射撃祭の記念コインの中でもデザインの完成度が高く、1842年~1939年の射撃祭で発行された記念メダルであり、発行枚数が100枚程度と非常に少なく、価値が高まる要素を網羅したコインです。

スイスの代表的な2種類の銀貨

次に、スイスの代表的な銀貨を2種類紹介します。

  • グラウビュンデン 射撃祭 4フランケン銀貨 1842年
  • オーバーハスリ 現代射撃祭 50フラン銀貨 1984年

グラウビュンデン 射撃祭 4フランケン銀貨 1842年

グラウビュンデン 射撃祭 4フランケン銀貨 1842年 グラウビュンデン 射撃祭 4フランケン銀貨 1842年

発行国 スイス
発行年 1842年
額面 4フランケン
グレード
直径 40mm
重量 29.5g
品位 不明
発行枚数 4,256枚
状態

射撃祭の初年になる1842年にグラウビュンデンで発行された4フランケン銀貨です。

かつてのグラウビュンデン自由国は灰色同盟、神の家同盟、十裁判区同盟の3つの同盟から成っており、この3つの同盟を象徴する3つの盾が描かれています。

射撃祭のコインの中でも最も古く、入手困難であることからコレクター需要の高い銀貨です。

オーバーハスリ 現代射撃祭 50フラン銀貨 1984年

オーバーハスリ 現代射撃祭 50フラン銀貨 1984年 オーバーハスリ 現代射撃祭 50フラン銀貨 1984年

発行国 スイス
発行年 1984年
額面 50フラン
グレード Proof FDC
直径 37mm
重量 不明
品位 不明
発行枚数 300枚
状態 完全未使用

スイス現代射撃祭シリーズ最初の一枚目に当たるコインであり、オーバーハスリという小さな村から射撃祭コインシリーズは現代に復興されました。

デザインはスイスの英雄、ウィリアム・テルが描かれ、肖像面はフロストで仕上げて重厚感を感じさせます。

コインショーのような即売会でも最近では見かける事がとても少なくなりました。

スイスのアンティークコインでよくある質問

それでは、スイスのアンティークコインでよくある質問をまとめました。

  • スイスの金貨の値段はいくら?
  • スイスの金貨・銀貨の買取を依頼するなら?

それぞれ詳しく解説します。

スイスの金貨の値段はいくら?

同じスイスの金貨であっても、発行年、発行枚数などの希少性によって左右されるので、一概にいくらが相場とはいえません。

当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」で過去に取り扱った金貨では、30万円~50万円ほどのコインから、数百万円以上の価値を持つコインもありました。

スイスの金貨を相場よりも高値で購入しないためには、信頼できる業者からコインを購入することが重要です

当サイトでは、外国貨幣評価書に基づき相場に沿った価格でコインを提供しています。

スイスの金貨・銀貨の買取を依頼するなら?

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まとめ

スイスのコインは他の国のコインと比較するとデザインの種類が少ないためコンプリ―トしやすいといわれています。

ただし、1842年~1939年までの射撃祭のコインは一部入手困難なものが存在し、同じデザインのコインであっても年代別に分けて収集するならこの限りではありません。

スイスのコインで希少価値や美しいデザインを求めるなら、射撃祭のコインから欲しい商品を探すとよいでしょう。

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この記事の著者

アンティークコイン ジャーナル編集部

英国王室シリーズから古代コインまで、幅広い年代のコインの紹介だけではなく、試鋳貨、造幣局による違い、彫刻家、リストライク、などアンティークコインの魅力や楽しめる知識をフラットに情報提供している。編集長は、英国王室コインと、動物コインシリーズが好き。

アンティークコイン ジャーナル編集部

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