アンティークコイン投資を始めるにあたって、税金はどのような仕組みになっているのか気になった方もいることでしょう。
税金のかかるタイミングは基本的に購入と売却になりますが、相続や贈与が発生した場合にも税金がかかります。
この記事では、アンティークコイン投資にかかる税金の知識を網羅して解説します。
富裕層の間で流行中のアンティークコイン投資には税金がかかる
アンティークコインは資産防衛の手段として、世界の富裕層の間で流行中の収集品であり、世界中に多くのコレクターが存在します。
デザインの美麗さから見ているだけでも満足できるコインもあり、王族や英雄など有名な人物が描かれたコインもあることから歴史が好きな人からも人気が高いです。
アンティークコインは一般的に100年以上前に発行されたコインのことを指しますが、古いコインは今後減ることはあっても現存数が増えることはないので、希少価値が高まりやすく資産価値の上昇が期待できる性質があります。
希少価値の上昇や、インフレ対策の一環としてアンティークコインを投資対象として持つ人も増えていますが、気になるのは売却したときにかかる税金ではないでしょうか?
アンティークコイン投資には税金がかかるケースがいくつか存在するので、始める前にどのタイミングで税金がかかるのか把握することが重要です。
アンティークコイン投資の始め方やコインの選び方など入門の知識が知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
アンティークコイン投資入門 グレード・希少性・人気などの選び方を解説
アンティークコイン投資の購入にかかる税金
まずは、アンティークコインの購入にかかる税金について考えていきましょう。
不動産を購入する場合は、不動産取得税と呼ばれる固定資産税評価額に応じた税金を支払う必要があります。
不動産はその他にも、印紙税、登録免許税がかかるのですが、アンティークコインの購入にかかる税金は消費税のみとなっています。
日本におけるアンティークコインは資産運用の手段ではなく収集品として認知されていることや、登記制度(世界的に権威を持つ鑑定制度によるコイン情報を記録するシステムは存在する)がないことも消費税以外の税金がかからない理由といえるでしょう。
ただし、コインの購入価格には消費税だけでなく手数料が含まれている場合もあります。
アンティークコインを購入する方法についてはこちらの記事をチェックしてください。
外国記念金貨の輸入販売における国税庁の見解
アンティークコインは通貨であるため、支払い手段に該当することから非課税であると考える方もいるかもしれません。
これに関する国税庁の見解は、「国の通貨たる金貨は支払手段に該当し、非課税の対象とされていますが、支払手段のうち販売用のものは、非課税の対象から除かれています※1」となっています。
アンティークコインは販売用に輸入される通貨であるため、消費税が課税されるということです。
※1引用:国税庁 「外国記念金貨の輸入販売」
アンティークコイン投資の売却にかかる税金
多くの人が最も気になるアンティークコイン投資で税金がかかるタイミングは売却時ではないでしょうか。
長期的に保有したアンティークコインの価値が大きく上昇し、売却して利益が発生した場合は所有期間が5年未満の場合は短期譲渡所得、所有期間が5年以上の場合は長期譲渡所得として納税の義務が発生します。
具体的な計算方法は下記のとおりです。※2
- 短期譲渡所得=売却価額–(購入代金–譲渡費用)–50万円
- 長期譲渡所得=売却価額–(購入代金–譲渡費用)–50万円×1/2
譲渡費用(購入や売却にかかった手数料など)を差し引いて500万円で購入したコインを1,000万円で売却した場合を例に長期譲渡所得の税金を計算してみましょう。
- 1,000万円(売却価額)-500万円(購入代金–譲渡費用)-50万円×1/2=225万円
このときかかる税金は、225万円の譲渡所得を給与所得などの他の収入と合算し、総合課税として課税されます。
よって、税率が何%で税金がいくらになるかは、納税者の他の収入に依存するということです。
※2参考;橋本広明税理士事務所
売却時の税金に関わる総合課税の仕組み
総合課税は対象となる8つの所得(事業所得、給与所得、不動産所得、譲渡所得、利子所得、配当所得、一時所得、雑所得)を合算して税率を決める課税の仕組みです。
総合課税の課税所得金額によって、所得税の税率も変わってくるので、アンティークコインの売却時の利益にかかる税金を把握するなら下記の表を参考にしましょう。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
11,000円 から 194万9,000円まで | 5% | 0円 |
195万円 から 329万9,000円まで | 10% | 97,500円 |
330万円 から 694万9,000円まで | 20% | 427,500円 |
695万円 から 899万9,000円まで | 23% | 636,000円 |
900万円 から 1,799万9,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円 から 3,999万9,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
参考:国税庁 所得税の税率
なお、上記の所得税に加えて住民税も発生するので、アンティークコイン投資の利益に発生する税金は所得税+住民税で求められます。
アンティークコイン投資の相続にかかる税金
保有しているアンティークコインを遺族に相続する場合や、親族からアンティークコインを相続する場合は相続税が発生します。
アンティークコインの相続税は購入したときの金額ではなく、相続時の時価を参考に相続税評価が決まります。
相続税評価に関しては、アンティークコイン価格の時価評価が株式や債券などの金融資産とは異なり、同じコインでもさまざまな要素で価値が変動することから複雑です。
相続税の計算に必要な基礎控除と相続税率表
相続税には基礎控除額があり、基礎控除額を超えた額に課税される仕組みです。
基礎控除額は次の計算式で求められます。※3
- 基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人の数が1人なら3,600万円、2人なら4,200万円と人数の増加と共に控除額が増加する仕組みです。
相続税率については下記の通りです。
法定相続人の相続額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | 0円 |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
参考;国税庁 相続税の税率
仮にアンティークコインを含めて1億円の資産を1人で相続する場合の計算は下記の通りです。
- 1億円-3,600万円=6,400万円(法定相続人の相続額)
- 6,400万円×30%-700万円=1,220万円(相続税)
計算自体は簡単ですが、アンティークコインの場合は相続税評価額が複雑であるため、買取業者や査定機関による時価評価を受けた上で、税理士などのプロに相談しながら申告することをおすすめします。
アンティークコイン投資の贈与にかかる税金
資産価値の高いアンティークコインをプレゼントする場合は贈与にあたり、贈与税がかかります。
ただし、贈与税には110万円の基礎控除があるため、価値が110万円以下のコインのみを贈与する場合は税金がかかりません。
アンティークコインの価値は常に変動しているため、110万円に近い価値のコインを贈与する場合に不安がある場合は、税理士や司法書士に相談のもと贈与契約書や公正証書を作成しておくと納税に関するトラブルを避けやすくなります。
贈与税の特例贈与財産と一般贈与財産
贈与税の税率は、特例贈与財産と一般贈与財産の2つの区分に分けられます。
特例贈与財産は直系尊属(父母、祖父母)からアンティークコインの贈与を受けた場合に対象となり、特例贈与財産の対象にならない贈与はすべて一般贈与財産に分類されます。
基礎控除額を差し引いた課税価格について、2つの区分における税率と控除額を下記にまとめました。
特例贈与財産用
課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | 0円 |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
一般贈与財産用
課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | 0円 |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
相続ではなく生前贈与を検討するほうが納税額が安くなるケースもあるので、資産価値の高いアンティークコインの相続、贈与などを検討する場合は専門家に相談するのが確実です。
アンティークコイン投資の税金に関するよくある質問
最後に、アンティークコイン投資に関わる税金についてよくある質問をまとめました。
- アンティークコイン投資の具体的な税金や節税方法を知るなら?
- アンティークコイン投資はどこで始めるのがおすすめ?
それぞれ詳しく解説します。
アンティークコイン投資の具体的な税金や節税方法を知るなら?
アンティークコインは購入時の価格と時価に差が発生し、株式や債券のように時価を判断するのが難しい投資対象になります。
税金が発生するかどうかや、具体的な税金の額は税理士など専門家に相談するのが確実です。
また、税金が発生することを前提に節税方法を知りたい方は、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談するのもおすすめになります。
自身の判断だけでは正確な税金を納税することが難しく、後に過少申告でトラブルが発生する可能性もあるので、資産価値のあるアンティークコインに関する税金の申告は専門家に相談するのが望ましいです。
アンティークコイン投資における節税の考え方について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
アンティークコイン投資の節税方法は? 節税が可能な3つのタイミング
アンティークコイン投資はどこで始めるのがおすすめ?
アンティークコイン投資を始めるなら納税に関する知識も含めて手厚くサポートしてくれるコイン業者がおすすめです。
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投資に必要な知識を身につけてからアンティークコインを購入できるので、安心してアンティークコイン投資を始められます。
コインライブラリー・プリンシパルが選ぶアンティークコインのおすすめ銘柄について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
アンティークコイン投資のおすすめ銘柄と高額コインの値上がり事例
まとめ
アンティークコイン投資にかかる税金について解説しました。
購入・売却・相続・贈与に税金がかかる可能性があるため、資産価値の高いアンティークコインを保有する予定のある方や保有している方は理解するようにしてください。
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