ヘンリー7世(在位1485-1509)は、テューダー朝を作ったイングランド王であり、ウェールズ君主の末裔でヘンリー8世の父です。
イギリス王族の歴史で戦争によって王位の座についた最後の王であり、薔薇戦争はイングランドの歴史を語る上で欠かせない出来事になります。
この記事ではヘンリー7世の金貨・銀貨を紹介し、誕生からイングランド王になるまでの過程を詳しく解説します。
ヘンリー7世の生い立ちと歴史
画像引用:https://www.royal.uk/henry-vii
父親 | リッチモンド伯エドマンド・テューダー |
母親 | マーガレット・ボーフォート |
配偶者 | エリザベス・オブ・ヨーク |
王朝 | テューダー朝 |
家名 | テューダー家 |
子供 | アーサー |
マーガレット | |
ヘンリー8世 | |
メアリ― |
ヘンリー7世は、テューダー朝初代のイングランド王であり、ランカスター家の血を引いています。
ヘンリー7世の生い立ちと歴史を5つの章に分けて解説します。
- ヘンリー7世の誕生
- ランカスター家の生き残りとして命を狙われる
- 薔薇戦争の終結
- 戦争の終結後も王権を強化
- 晩年と崩御
ヘンリ―7世の誕生
後にヘンリー7世と呼ばれるヘンリー・テューダーは、1457年にウェールズのペンブルック城で生まれました。
父のリッチモンド伯エドマンド・テューダーは誕生の3カ月前にヨーク家に捕らえられ死亡しており、母マーガレット・ボーフォートは当時13歳でした。
エドマンドは当時の国王ヘンリー6世の異父弟であり、マーガレットはエドワード3世の三男の孫でありヘンリーはランカスター家の一族でもあります。
イギリス王室と無関係の人物ではないものの、誕生時には王位継承から程遠い位置にいました。
しかし、テューダー家はウェールズ君主の血を引いているため、ヘンリーはウェールズ君主の末裔という立場を利用してウェールズからの援軍および軍の通行権を確保しています。
ランカスター家の生き残りとして命を狙われる
1471年に、ヘンリー6世と王太子エドワード・オブ・ウェストミンスターが殺害されたことで、エドワード4世が復位します。
ヘンリーはランカスター家の生き残りであったため、命を狙われるようになります。
叔父のジャスパーと共にフランスに逃亡し、ブルターニュの地で14年の時を過ごしました。
母マーガレットはヨーク派のトマス・スタンリーと再婚し、リチャード3世に代わる新たな王の候補として息子のヘンリーを立てようとします。
1483年には薔薇戦争によりヘンリー以外のランカスター家が戦死する中、ヘンリーはヨーク派の支持を得るためにエドワード4世の娘エリザベス・オブ・ヨークと婚約しました。
薔薇戦争の終結
1483年に、ヘンリー7世はブルターニュ公国のフランソワ2世の援助を受けイングランドへの上陸を計画しますが嵐が発生したことで失敗します。
協力者であるバッキンガム公のヘンリー・スタッフォードは挙兵するも鎮圧され反逆罪で処刑されました。
この失敗は協力者と兵力を失うだけでに止まらず、リチャード3世はヘンリー7世をブルターニュ公国からも追い出そうと画策したため、地盤を失う危機に直面することにもつながります。
ヘンリ―7世はブルターニュ公国を離れ、フランスに逃げて、フランス王ルイ11世から軍勢と装備の援助を受けることで再び攻撃の準備を整えました。
ウェールズのペンブルックシャーに上陸したヘンリー7世は、フランス兵、スコットランド兵、ウェールズ兵を率いて、道中でも援軍を得ながら1485年、薔薇戦争最後の戦いであるボズワースの戦いが開戦。
ヘンリー7世は5,000の兵士、リチャード3世は8,000の兵士を率いていましたが、リチャード3世側の勢力は戦争に積極的ではなく、味方であるはずの貴族たちが次々に寝返ったのが勝敗を決定付けました。
リチャード3世は戦死し、ヘンリー7世の勝利で薔薇戦争は終結しました。
戦争の終結後も王権を強化
前国王が戦死し、戦争に勝利をしてもヘンリー7世がすぐに王位を継承するほど簡単な話ではありません。
最初に説明した通り、ヘンリー7世は王族の遠い関係者ではあるものの、王位を継承するには疑問が残る立ち位置であるため、国王になるためには周りが納得するように王権を築く必要がありました。
まず、はじめにヨーク家のエリザベス・オブ・ヨークと結婚し、ランカスター家とヨーク家の統合を行いました。
ランカスター家の赤い薔薇とヨーク家の白い薔薇を組み合わせたのがテューダー家の紋であるテューダー・ローズです。
ヘンリ―7世は、ボズワースの戦いの前日である1485年8月21日に遡って即位を宣言。
リチャード3世側の人間をすべて反逆罪に問えるようにし、国王直属の裁判所として星室庁裁判所を建設し、反王権を取り締まり王権を強化しました。
ヘンリー7世の婚姻外交
娘のマーガレットをスコットランド国王ジェームズ4世の妻にして、次女のメアリーはフランス王ルイ12世と結婚させました。
長男アーサーの妻にはスペインからフェルナンド5世の娘キャサリンを迎えています。
しかし、アーサーは死亡したため、キャサリンはローマ教皇ユリウス2世に許可を得て息子のヘンリー8世の妻としました。
晩年と崩御
国内の王位を強固にしながらもヘンリー7世は、外交によってイングランドの立場を盤石なものにしました。
最終的には、神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世と同盟を結び、ローマ教皇イノケンティウス8世を説得して王位僭称者たちの破門を成功させています。
1509年にヘンリー7世は結核で52歳で崩御し、次男のヘンリー8世が後継者に決まりました。
ヘンリー7世は戦争で王位の座についた最後の王であり、イングランドの海外進出を進行させた歴史の転換点となる国王でもあります。
ヘンリー7世のレア度の高い金貨・銀貨
それでは、ヘンリー7世の金貨・銀貨を3つ紹介します。
- ヘンリー7世 ソブリン金貨 1485~1509年
- ヘンリー7世 グロート銀貨 1485~1509年
- ヘンリー7世 ハーフグロート銀貨 1485~1490年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ヘンリー7世 20シリング ソブリン金貨 1485~1509年
発行国 | イギリス |
発行年 | 1485~1509年 |
額面 | 20シリング |
グレード | - |
直径 | 41mm |
重量 | 14.9g |
品位 | 不明 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | - |
20シリングの純金で造られた高級ソブリン金貨は、ヘンリー7世の時代に初めて発行されてたアンティークコインです。
表面には王冠とローブを身につけたヘンリー7世の正面像で、裏面にはテューダー朝を象徴するテューダー・ローズが描かれています。
ヘンリー7世のコインの中でも希少価値が高く大きな資産価値を持つため、インフレ対策にも役立つ商品です。
ヘンリー7世 グロート銀貨 1485~1509年
発行国 | イギリス |
発行年 | 1485~1509年 |
額面 | 1グロート |
グレード | - |
直径 | 25mm |
重量 | 2.98g |
品位 | 不明 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | - |
ヘンリー7世の時代に使用されていたグロート銀貨であり、1グロートは4ペンスに相当します。
表面にはヘンリー7世の右向き肖像が描かれています。
また、後の時代ではヘンリー8世の大悪改鋳によりグロート銀貨に占める銀の割合を減少させることで貨幣の価値が低下したため、ヘンリー7世の時代の状態のいい銀の含有量の多いコインは貴重です。
ヘンリー7世 ハーフグロート銀貨 1485~1490年
発行国 | イギリス |
発行年 | 1485~1490年 |
額面 | ハーフグロート |
グレード | - |
直径 | 18mm |
重量 | 1.2g |
品位 | 不明 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | - |
ヘンリ―7世の発行した通貨は、1485年~1490年に発行されたものを第一期、1490~1504年に発行されたものを第二期、1502年~1509年に発行されたものを第三期と呼びます。
紹介した銀貨は表面にヘンリー7世の正面像、裏面に3つのペレットがある長い十字架が描かれており、第一期のものです。
第二期と第三期にもこちらの銀貨は発行されていますが、裏面のデザインに細かな違いがあります。
ヘンリー7世のアンティークコインに関するよくある質問
それでは、ヘンリー7世のアンティークコインに関するよくある質問をまとめました。
- ヘンリー7世のコインを購入するおすすめの方法を紹介してください
- ヘンリー7世の金貨・銀貨を高く売るためにはどこで買取を依頼すればよいですか?
それぞれ詳しく解説します。
ヘンリー7世のコインを購入するおすすめの方法を紹介してください
ヘンリー7世のアンティークコインは、500年以上前に発行されたコインであるため状態のいいコインは高値で取引されます。
アンティークコイン収集家の間では有名なコインも多いですが、実際に市場に出回る数は少なく、個人が簡単に出品できるオークションサイトでは適切な価格で出品されているとは限りません。
ヘンリー7世のコインを購入するなら信頼性の高いアンティークコイン取引業者から購入するのがおすすめです。
特に資産防衛やインフレ対策に利用するためにコインを購入するなら、適切な価格で商品を購入する必要があるため、個人で価格を決められる代表的なオークションサイトではなくコインの取引業者を通すことが重要です。
ヘンリー7世の金貨・銀貨を高く売るためにはどこで買取を依頼すればよいですか?
今回紹介したヘンリー7世の金貨・銀貨をお持ちの方は、当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」を通して売却しましょう。
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また、当サイトにアンティークコインを出品できるので、詳しくはこちらのページをチェックしてください。
まとめ
ヘンリー7世のコインは、第一期、第二期、第三期で同じ貨幣でもデザインが異なるので、テューダー朝のコインの中でも代表的な収集テーマです。
この時代のアンティークコインは入手も難しいですが、ヘンリー7世の希少性の高いコインは、相場に沿った価格で販売していれば即決したいほど魅力的な商品になります。