世界中にコレクターが存在し、その資産性から現在では投資対象としても知られるアンティークコインにはどのような価値が認められているのでしょうか。
アンティークコインに価値がつく理由はその高い希少性と世界中に存在する需要にあり、コインの素材である含有している貴金属そのものの価値も考慮されます。
そしてアンティークコインに実際に値段をつける際に、買取価格にも影響してくるのがグレードであり、グレードはアンティークコインの価値を決定する指標といえるでしょう。
この記事では、アンティークコインに価値がつく理由とその価値を決める要素について解説し、指標となるグレードやグレードを付ける鑑定会社についても紹介します。
アンティークコインに価値がつく理由
アンティークコインに価値がつく理由は3つあります。
- 高い希少性を持つ
- 世界中に需要がある
- 含有する貴金属
それぞれ詳しく見ていきましょう。
高い希少性を持つ
アンティークコインは、100年以上前に発行されたコインのことを指しますが、過去に発行されたコインは未来において増えることはありません。
仮に、過去に発行されたコインを現代でリメイクしたとしても、現代にリメイクされたコインが増えるだけであり、過去に発行されたコインの総数自体は変わらないからです。
よって、災害や何かしらの理由で既存のアンティークコインが失われることはあっても、増えることはないので100年以上前に発行されたアンティークコインは高い希少性を持ちやすくなります。
減ることはあっても増えることはない性質がアンティークコインに高い希少価値を持たせるのです。
世界中に需要がある
アンティークコインは日本だけでなく世界中に需要が存在しているため、希少価値の高いアンティークコインを手に入れたいと考える方々がいます。
しかし、希少価値の高いアンティークコインは枚数が限られているので、需要が大きいほど付けられる価格も跳ね上がります。
アンティークコイン収集の歴史は古く、昔から世界中でコインが集められてきました。
けっして一過性の需要ではなく、アンティークコイン収集は過去から変わらずに世界中で収集を続けられているので、安定した需要があるといえるでしょう。
含有する貴金属
アンティークコインは、金や銀を素材にして作られる場合が多いので、含有している貴金属にも価値があります。
よって、価値を決める際は希少性だけでなく、含有している貴金属も考慮されます。
金価格や銀価格は毎日変動しているので、価格に対して貴金属が占める割合が大きいほど貴金属の価格に買取価格などが左右されやすいといえるでしょう。
アンティークコインの価値を決める要素
アンティークコインに価値がつく理由について解説しましたが、具体的に価格を付けて価値を決める要素は以下の3点です。
- 現存枚数
- グレード(状態)
- 知名度の高さ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
現存枚数
アンティークコインの希少性を具体的に判断する材料には発行枚数があります。
100枚といった限定した枚数しか発行されていないコインであれば、高い希少性を持つため高い価格がつきやすいです。
発行枚数に関しては100年以内に発行されたコインに関しても少なければ高い希少性を持つ可能性がありますが、アンティークコインの場合は現存枚数を考慮しなくてはなりません。
仮に10万枚以上広く発行されており、当時からすれば珍しいコインでなくても、歴史的な背景からほとんどが溶解されており、現存枚数が多くても1000枚以下と推定される場合は価値を増します。
よって、アンティークコインの希少性は基本的に現存枚数によって判断されます。
グレード(状態)
しかし、アンティークコインの価格は同じコインであっても異なる価格が付きやすく、場合によっては状態の善し悪しだけで価値がまるっきり変わってしまうコインもあります。
アンティークコインの状態を示す指標となるのがグレードであり、グレードはアンティークコインの鑑定会社によって付けられます。
代表的な鑑定会社ではコインの種類ごとに付けたグレードを記録しているので、一定のグレードが9割を占めるコインにおいて、1%にも満たない状態のいいコインがあれば他のコインとは一線を画すような高い価格が付くこともあるということです。
付けられたグレードにより、希少性が生まれているといえるでしょう。
知名度の高さ
知名度の高さや、需要の大きさだけではコインに大きな価値が付くことは考えにくいです。
なぜなら人気があっても多くの人が当たり前に購入できるコインに高い価値を付ける意味がなく、購入する人もいないからです。
しかし、希少性と状態を兼ね揃えたコインに知名度の高さや人気が加われば、アンティークコインは想像を超えるほど高騰することもあります。
同等の希少性を持つコインであっても、知名度や人気の高いコインのほうが需要が大きいため、高い価値が付きやすいといえるでしょう。
知名度が高いからアンティークコインの価格も高いとはいえませんが、人気や需要もアンティークコインの価値を決める要素の1つです。
価値の高いアンティークコインを選ぶ方法についてはこちらの記事で紹介しています。
アンティークコイン投資入門 グレード・希少性・人気などの選び方を解説
アンティークコインの価値を左右するグレード
アンティークコインの価値はグレードによって左右されますが、こちらのグレードについて鑑定会社の性質にも触れながら補足していきます。
- 鑑定会社の信頼性によっても変動
- グレードは70段階で評価される
それぞれ詳しく見ていきましょう。
鑑定会社の信頼性によっても変動
アンティークコインのグレードは鑑定会社によって付けられますが、グレードを付ける会社の信頼性も重要です。
実際にアンティークコインを購入する場合も、知らない鑑定会社が鑑定したコインは不安が多く、知名度も高く信頼できる鑑定会社が鑑定しているほうが安心できるでしょう。
よって、アンティークコインの価格は同等のグレードであっても鑑定会社の信頼性によって価値が変動することがあります。
状態に自信のあるコインは、信頼できる鑑定会社に鑑定してもらったほうが高い価値が付きやすいといえるでしょう。
グレードは70段階で評価される
PCGSやNGCなどの権威のある鑑定会社では70段階での評価方式が採用されており、加えて補足的な情報を示すアルファベットと併記されます。
こちらの評価形式をシャルドン・スケールと呼び、状態がよいとされるコインのアルファベットによるグレード表記とその内容、状態がいいとされるコインに付けられる70段階のうち60までの評価に関する内容について下記の表にまとめていきます。
アルファベット表記
アルファベット表記 | 内容 |
MS(Mint State) | 流通用のコインとして鋳造 |
PF(Proof) | コレクター用に作られたコイン |
SP(Specimen) | MS・PFに該当しない特殊なコイン |
数字表記
数字表記 | 内容 |
70 | 完全未使用・汚れや傷がない |
69 | 限りなく完全未使用に近い |
68 | 非常にわずかなシミやくすみがある |
67 | いくつかのシミやくすみがある |
66 | くすみがあっても図柄が鮮明 |
65 | 図柄の鑑賞性に影響するシミなどがある |
64 | 図柄にわずかな傷がある |
63 | 図柄にいくつかの傷がある |
62 | 使用した形跡はないがシミや傷がある |
61 | 使用した形跡はないがシミや傷が目立つ |
60 | 使用した形跡はないが大きなシミや傷がある |
参考:NGC(Numismatic Guaranty Company)
例えば、MS63であれば流通用のコインとして鋳造され、図柄にいくつかの傷があると鑑定されたことになります。
しかし、PCGS・NGCなどの代表的な鑑定会社が鑑定した60~70という評価をされたコインを実際に見れば分かりますが、素人目で見て傷やシミを見つけることは難しく未使用といって差支えがないほどの綺麗な状態です。
またほとんど未使用に近い状態の場合はAUと表記され、50~59までの数字が付けられます。
使用感のあるコインはXF、VFと状態が悪くなる度にアルファベットが変わり、数字が落ちていき、かろうじてコインの判別ができる最悪の状態はPO1です。
コインのグレードは厳格かつ細かく評価が細分化されていることを理解しておきましょう。
アンティークコインの価値を決める代表的な鑑定会社
アンティークコインにグレードを付け、価値を決める上で重要になるのが鑑定会社です。
鑑定会社にはさまざまな種類がありますが、そのなかでも代表的な2つの会社を紹介します。
- PCGS(Professional Coin Grading Service)
- NGC(Numismatic Guaranty Company)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
PCGS(Professional Coin Grading Service)
PCGSは1985年にカルフォニア州に設立されたProfessional Coin Grading Serviceの略称であり、コレクターから最高レベルの信頼を寄せられている鑑定会社です。
16世紀から現代までに発行されたコインを対象に鑑定しており、鑑定の基準が厳しいことで知られています。
鑑定の基準が厳しいPCGSで高いグレードで評価されれば、そのコインの状態のよさはお墨付きといえるでしょう。
PCGSによる高いグレード評価はコインの品質を保証する上で高い説得力を持ちます。
NGC(Numismatic Guaranty Company)
NGCは1987年にフロリダ州に設立されたNumismatic Guaranty Company社のことであり、コインの鑑定や汚れの除去などのコインに関する総合的なサービスを提供しています。
PCGSと並ぶ代表的な鑑定会社であり、鑑定の基準にも信頼性はありますが、コレクターの間ではPCGSとNGCを比較してNGCのほうが鑑定の基準が甘いといわれているので、PCGSと比較してしまうと信頼性が劣るように見られるかもしれません。
しかし、NGCは16世紀以前の古代コインの鑑定も行っているので、PCGSと比較するとコインの鑑定ができる年代の広さにおいて差別化できています。
また、どちらの鑑定会社もアメリカで設立されましたが、日本から鑑定を依頼することが可能です。
アンティークコインの価値に関するよくある質問
アンティークコインの価値に関するよくある質問をまとめました。
- 価値がつかない売れないアンティークコインの特徴は?
- 価値のあるアンティークコインを購入・買取する方法
それぞれ詳しく見ていきましょう。
価値がつかない売れないアンティークコインの特徴は?
アンティークコインは必ずしも高い価格が付けられるわけではなく、なかにはほとんど価値が認められないコインも存在します。
このようなコインの特徴には、発行枚数が多く希少性がほとんどない、状態があまりにもひどい、などが挙げられます。
基本的には、前者の理由で価値が付かないコインがほとんどです。
当然ではありますが、贋作と鑑定されたアンティークコインには確実に価値がつきません。
アンティークコインが売れない理由について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
アンティークコインが売れない理由とは? 儲からない人の特徴も解説
価値のあるアンティークコインを購入・買取する方法
価値のあるアンティークコインを集めて販売する専門店であるコイン専門店では、魅力的なアンティークコインを購入可能であり、現在持っているコインの買取を依頼することもできます。
アンティークコインの購入・買取ができるコイン専門店には当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」があります。
当サイトでは数万円~数十万円ほどの価値を持つ気軽にお求めいただけるコインから、数百万円~数千万円の価値を持つ高価なコインを取り揃えています。
また当サイトにコインの買取を依頼することも可能であるため、価値が付くことが期待できるコインをお持ちの方はこちらのページからお問い合わせお願いします。
まとめ
アンティークコインの価値について解説しましたが、コインの価値は主に希少性とグレードによって決められます。
高い価値を持つアンティークコインは、長期的に保有し続けることによってその価値を増していくことが期待できるため、アンティークコインはグレードを損なわないように保管を続けていけば、価値の上昇が期待できる資産でもあるということです。
この性質を利用したアンティークコイン投資について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。