親族から現行で使用されている紙幣や硬貨ではなく、現在は貨幣としては使用できない昔のお金を受け継いだ方もいるかもしれません。
昔に日本で使用できたお金や、日本だけではなく海外のコインを含めたコレクションを相続などで入手することが考えられます。
受け継いだ昔のお金に対して特に価値を説明されていない場合は、実際にどれくらいの価値があるのか気になる方も多いことでしょう。
昔に発行されたお金のすべてに高い価値がつくわけではありませんが、中にはコレクターの間で高値で取引されるものもあります。
この記事では、昔のお金に価値が付く理由を説明した上で、日本・海外を含めた硬貨(コイン)の価値を解説します。
この記事のポイント
・昔のお金の価値を調べる方法と取り扱う上で気をつけたい注意点を解説
昔のお金に価値がつく理由
過去に発行された紙幣と硬貨は、古過ぎるものであれば貨幣として使用できないため、通貨としての価値は有しません。
しかし、昔のお金の多くは以下の理由で価値が付けられ、当時の貨幣価値と比較すると高い水準で取引されやすいです。
- 希少性が高い
- 金などの価値がある金属を含有しているから
- 歴史的な背景から注目されている
それぞれ詳しく見ていきましょう。
希少性が高い
昔のお金は新たに発行されることがないため、災害などによる消失で減ることはあっても増えることはありません。
つまり、これから年数が経つほど手元にある昔のお金の希少性は高まると考えられます。
コレクターの間で需要のある昔のお金は、時間が経つほど入手困難となっていきます。
そのため、コレクションとなるコインを取引するための価格は時間とともに上昇するといえるでしょう。
反対に昔のお金であっても誰でも入手できる硬貨は価値が認められにくいです。
よって、せっかく受け継いだ昔のお金であっても、希少性の低いものであれば高い価値を期待するのは難しいです。
金などの価値がある金属を含有しているから
100年以上前に発行された昔のお金と現在のお金には実は根本的な違いがあります。
それは、お金に対して適用されている貨幣制度であり、かつては金本位制が採用されていました。
金本位制とは、金(ゴールド)を通貨の基準とする制度であり、お金の価値の担保に金を使用することで通貨に信用性を持たせています。
日本では旧20円金貨が金本位制で発行された代表的な昔のお金です。
世界中で採用されていた貨幣制度ですが、金本位制の時代に発行されたお金は共通して金を含有していることから、お金そのものに一定の価値があるといえます。
一方で、現在のお金は管理貨幣制を採用しており、中央銀行や政府が通貨の発行量を管理し、その国の政治や経済状況によって貨幣の価値が決まります。
硬貨に使用される材質は銅、ニッケル、アルミニウムなど価値が認められない金属であることから、今のお金の材質に価値はほとんどありません。
つまり、昔に発行されていたお金の中でも金を含有するものは、コレクターの間で希少性が認められないものであっても、金の価値で取引されます。
金価格は2025年時点で1gあたり15,000円程度、30gの金を含有する昔のお金であれば金の価値のみで取引する場合も45万円程度の価値はあるということです。
歴史的な背景から注目されている
昔のお金の中でも値上がりの事例があるのは、歴史的な背景やそれに伴う人気から注目を集めた貨幣です。
例えば、人気の高い偉人が描かれている場合や、背景において発行に関係しているコインは、コレクター人気が高まりやすくなります。
また、単純に収集品として美しいデザインをしているものはコインに限らず人を惹きつけやすいため、注目を集めるきっかけになりやすいです。
一方で、コレクターの間で注目されていないコインは、希少性が高くても価値が過小気味に付けられることも多いです。
昔のお金は様々な理由で高価な価値を有しますが、同時に価値が付かないコインや、現在の時点においては評価されないコインも存在するため、必ずしも昔のお金が高値で買い取れるわけではありません。
昔のお金の価値一覧【古銭】
日本で発行されていた古銭について昔のお金の価値を一覧形式で紹介します。
- 旧金貨
- 大判金・小判金
- 天皇陛下御在位60年記念10万円金貨
旧金貨
- 旧1円金貨
- 旧2円金貨
- 旧5円金貨
- 旧10円金貨
- 旧20円金貨
旧金貨は、明治4年(1871年)に制定された新貨条例によって発行された5種類の金貨のことです。
純度90%の金で鋳造された日本では珍しい金含有率の高いコインとなっています。
また、明治30年(1897年)改訂された貨幣法により発行された金貨は新金貨と呼びます。
デザインは日本の彫刻家の加納夏雄が手掛けており、芸術面における評価も高い作品です。
金そのものの価値を有するだけでなく、額面、発行年、状態などによって旧金貨の価値は変化します。
特に旧20円金貨は非常に希少性が高く、品質が悪い場合でも800万円以上の価格が付けられるといわれています。
美品であれば数千万円を超えることも珍しくはないため、受け継ぐことがあれば一定の価値を有していることが期待できます。
大判金
概要 | 内容 |
発行国 | 日本 |
発行年 | 万延元年~文久2年(1860-1862) |
長径 | 133.5mm |
短径 | 80.5mm |
量目 | 112.4g |
製造枚数 | 17,079枚 |
大判金は、16世紀以降の日本において製造された大型の楕円形の金貨のことです。
かつての大名や商人たちの間で広く使用された通貨であり、発祥は豊臣秀吉の時代であるといわれています。
上記の大判は江戸時代の最後に発行されたといわれる万延大判金です。
製造枚数は17,079枚ほどであり、万延大判金の多くは数百万円程度の価値を有しています。
大判の中でもトップクラスに価値があるのは天正大判金であり、場合によっては1億円以上の価値が付くこともあります。
代表的な大判の種類を一覧形式でまとめました。
- 天正大判金
- 慶長大判金
- 元禄大判金
- 享保大判金
- 天保大判金
- 万延大判金
大判・小判を受け継ぐケースは家宝として大事にされている場合が多いため、全く価値がないということは偽物である場合を除けばありえないと考えられます。
しかし、受け継ぐ際に正確な価値を知りたい場合は、専門店などで買取・査定を受けると良いでしょう。
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天皇陛下御在位60年記念10万円金貨
天皇陛下御在位60年記念10万円金貨は、ここまで紹介したお金とは異なり、親族が特別にコインを受け継いでいる場合やコレクションしていなくても受け継ぐ可能性があります。
日本造幣局より1986年に1000万枚、1987年に100万枚発行されており、現在でも通貨として銀行などでは使用できる金貨です。
当時の販売価格は10万円とプレミア価値が上乗せされたものであり、発売当時の金としての価値は5万円以下であったといわれています。
しかし、現在では金価格の高騰により額面と金価格が逆転しているため、貴金属店を中心に10万円以上の価格で取引されています。
2025年時点で天皇陛下御在位60年記念10万円金貨の相場は、額面の3倍近くで取引されているため、当時の額面よりも大きく高騰しました。
発行枚数を考えるならけっして希少なコインではありませんが、金価格は長期的に上昇していることから、金を含有する昔のお金は価値が上昇しやすいといえるでしょう。
親族から受け継いだ場合は、当時よりも価値が高まっていることから大切に保管するか、売却するか検討してみましょう。
10万円の額面を持つ金貨とは? 通貨型金貨の性質についてもご紹介
昔のお金の価値一覧【海外のコイン】
入手できる昔のお金は必ずしも日本の物であるとは限らず、海外のコインも日本では取引されています。
- ソブリン金貨
- ナポレオン金貨
- イーグル金貨
ソブリン金貨
ソブリン金貨とは、イギリスの1ポンドに相当する金貨の名称であり、イギリスで金本位制が採用された後に1817年から発行が開始されました。
イギリスが管理通貨制に移行した後も記念コインの発行などでソブリン金貨の発行は続いています。
ソブリン金貨の種類は非常に多いですが、描かれているイギリス王室の君主の種類で分類すると以下の通りです。
- ジョージ3世
- ジョージ4世
- ウィリアム4世
- ヴィクトリア女王
- エドワード7世
- ジョージ5世
- ジョージ6世
- エリザベス2世
- チャールズ3世
この中でも流通貨幣として発行されており、最も知名度が高く種類の多い君主がヴィクトリア女王です。
価値はソブリン金貨の種類によって大きく異なり、流通貨幣として多く発行されており、状態の悪いものは含有している金の価値と変わらない価格で取引されます。
一方で、記念コインのソブリン金貨や、状態が非常に良く希少である場合は、高いプレミア価値が付くことがあります。
イギリスのソブリン金貨の価値は? 発行年ごとに異なる種類もご紹介
ナポレオン金貨
ナポレオン金貨は、フランスの英雄であり帝政を築いたナポレオン1世、後に第二帝政と呼ばれるナポレオン3世の時代にフランスで発行されたコインを指します。
日本でも知名度の高い著名な人物が描かれていることから、人気が高く注目されやすい金貨であり、入荷してもすぐに売り切れてしまうことも珍しくありません。
親族が海外金貨の収集を行っていた場合は、受け継ぐことがあっても不思議ではないメジャーな金貨です。
ただし、非常に状態の良いコインでなければ、プレミア価値は付きにくいため、含有している金価格と価値があまり変わらない場合があります。
試鋳貨幣など、プレミア価値がつきやすい希少性がない場合は、ナポレオンを描いたコインであっても特別に価値はつきにくいため注意が必要です。
ただし、近年ではナポレオン3世の大型の100フラン金貨においては、市場価格が上昇している状態にあります。
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イーグル金貨
イーグル金貨は、アメリカで昔から発行されてきた10ドル金貨であり、現在でも金に価値が連動する投資用のコインとして発行されています。
イーグル金貨には、20ドルの額面を持つダブルイーグル金真も存在しており、発行年・種類によって価値が大きく変わる金貨です。
昔のお金(アンティークコイン)における最高落札事例は、ダブルイーグル金貨であり、約20億円で落札されました。
もちろん、すべてのイーグル金貨・ダブルイーグル金貨がその価値を有するわけではありませんが、アメリカは金本位制の廃止により金貨を回収したことから、現存するコインが少なくなっている背景があります。
また、1986年以降に発行したイーグル金貨は、貨幣ではなく投資用コインとして流通しており、プレミア価値をほとんどのケースで持ちません。
そのため、ほとんどのケースにおいてイーグル金貨を受け継いだとしても地金以上の価値を見込めませんが、発行年を調べてみると思わぬ価値を持つお宝である可能性があります。
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昔のお金の価値を調べる方法
手元にある昔のお金の価値を調べる方法を2つ紹介します。
- 専門家による査定を受ける
- コインの専門店などで買取を依頼する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
専門家による査定を受ける
古銭の専門査定士や古物商などの専門家の査定を受けることで、昔のお金の価値を調べられます。
鑑定料などのコストを考えると、ある程度の価値があることに確証を持ったうえで査定を受けることが望ましいです。
古銭・コインについて調べられる範囲で相場を調べてから、価値があると判断した場合は専門家による査定を受けることを検討しましょう。
コインの専門店などで買取を依頼する
コインを手元に置くつもりがない場合は、コイン専門店などの古いお金を取り扱うショップで買取を依頼することをおすすめします。
当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」でも世界中の価値があるアンティークコインなどの古いお金について買取を行っています。
価値のあるコインが手元にあり、売却を検討している場合はこちらのページからお問い合わせお願いします。
昔のお金を取り扱う際の注意点
昔のお金を取り扱うにあたって気をつけたい注意点を解説します。
最悪の場合は、受け継いだ時点よりも価値が大幅に下がってしまうこともあるため、必ず確認するようにしてください。
- 傷や汚れを防ぐために適切に保管する
- 価値を高めるための洗浄は逆効果
それぞれ詳しく見ていきましょう。
傷や汚れを防ぐために適切に保管する
昔の希少なコインは、傷や汚れがつくことを防ぐために適切に保管するようにしましょう。
スラブなど保管用の専用ケースに入れて保管することが望ましいです。
また、コインに触れる場合は、手袋を着用して直接手で触れないようにしてください。
ずさんな管理によって傷や汚れがついてしまうと、受け継いだ当時の価値から大きく下がってしまうこともあります。
受け継いだ時点で管理が適切でなかった場合も、これ以上に価値が下がることがないように傷や汚れのつかない方法で保管しましょう。
価値を高めるための洗浄は逆効果
古銭や昔のお金に知識がない方は、買取の際に汚れを落として少しでも見栄えを良くして価値を高めるために洗浄をしてしまうケースがあります。
しかし、知識のない素人によるコインの洗浄によって価値が高まることはなく、むしろ価値を下げてしまうことから逆効果となります。
なぜなら、肉眼における見栄えは良くなりますが、目に見えない範囲で傷をつけ、金属の一部が削られるからです。
どうしても見栄えを良くしたい場合は、プロの修復サービスに依頼して洗浄・クリーニングを行います。
ただし、プロの修復サービスを依頼しても価値が上昇するとは限らないため、価値を高めるためであれば不要といえます。
古いお金は適切に管理しなければ、長期的に持っていても価値が上がるどころか状態を損ねて下がってしまうことも考えられるため、自信がない場合は受け継いだ時点で売却を検討しても良いかもしれません。
まとめ
親族から受け継いだ昔のお金は必ずしもすべてが高い価値を持つわけではありませんが、希少性、含有金属、歴史的背景など多くの要因により、コレクターを中心に高価格で取引されている場合があります。
親族から受け継いだ昔のお金がどの程度の価値を持つのか、適切に管理・売却するべきかどうかを判断するためには、専門家の意見を聞くことが確実です。
売却を考えている場合は、買取を受け付けているコイン専門店などの利用も検討しましょう。