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公開日 2024.8.9更新日 2024.11.24

銀貨の磨き方は? 洗浄の必要性から一般的な方法について解説

コレクションで銀貨を保有しており、コインの汚れが気になることから、綺麗な状態で保存するために洗浄したいと考える人もいることでしょう。

最初に指摘しておきたいことは、コインを保有した後に最終的に買取に出すことを想定しているのであれば、洗浄など外部から影響を与える行為は、買取価格を減少させることにつながるため絶対に避けるべきです。

しかし、買取に出すつもりがなく、買取価格を気にすることなく、コレクションにおける見栄えを重視したい場合は、銀貨を磨いて綺麗な状態で保存することも選択肢のひとつです。

この記事では、銀貨の磨き方について、洗浄の必要性について解説した上で、一般的な洗浄方法を解説していきます。

銀貨に対する研磨・洗浄の必要性

綺麗な銀貨 イメージ

銀貨をコレクションする上で、少しでも見栄えを良くしたいと考えて、洗浄をしたくなるのはコレクター心理を考えるなら自然なことです。

中には汚れたままの状態よりも、洗浄して綺麗な状態にすることで買取価格が上がるのではないかと考える人もいるかもしれません。

勘違いも多い銀貨に対する洗浄の必要性について詳しく解説していきます。

高く銀貨を買い取ってもらいたい場合は研磨・洗浄は不要

銀貨の買取価格を上げるために、コインの洗浄を行うのはむしろ買取価格を下げる恐れがあるため不要です。

銀貨を磨けば、肉眼における見栄えは良くなりますが、気づかない場所に傷を増やすケースや、コインの金属の一部が削られます。

磨くことなく洗浄液につけるだけの洗浄であっても、目に見えない範囲で金属が除去されています。

このような洗浄はコインの買取価格を上昇させるどころか、価格を減少させることにつながるため、買取価格を重視するなら銀貨は洗浄することは推奨できません。

アンティークコインなどの銀貨の価値を下げずに洗浄・クリーニングができるとすれば、コインのグレーディング会社であるPCGSが提供している修復サービスなどプロが提供するサービスを利用することです。

もちろん、プロに修復サービスを依頼すればお金がかかる上に、グレードが下がることはなくてもグレードが上がることを保証していないため、銀貨の買取で少しでもお金を手元に残すことを考えるなら不要です。

よって、銀貨の客観的な価値を保存し、買取価格を少しでも高めたいと考えているのであれば、洗浄は必要性がないだけでなく悪影響を及ぼすリスクもあります。

客観的な価値にこだわらない場合は自己責任で研磨・洗浄する

コインのグレード・買取価格など客観的な価値にこだわらず、銀貨を末永く手放すつもりはない場合は、自己責任で洗浄します。

発行枚数が多いことから価値がつきにくい銀貨など、客観的な価値にこだわらず自分にとっての見栄えを重視して、洗浄しやすい銀貨もあることでしょう。

あくまで自分の所有している銀貨において、価値が下がっても問題なく、洗浄したい銀貨がある場合に磨いて綺麗にすることを検討しましょう。

しかし、銀貨はどれだけ綺麗な状態で保管しても長期的な保存で劣化しやすく、100年以上前に発行された銀貨が現代でも当時と同じ輝きを放つことは人工的に手を加える以外では不可能です。

そして、磨き方や洗浄方法によっては、失敗などから銀貨に様々な不都合が発生する可能性もあるため、どんな結果になったとしても自己責任と受け入れるようにしてください。

1度洗浄しても時間が経てば、再び劣化が始まると考えられるため、何度でも磨き、洗浄することになる可能性があります。

以上のことから、基本的に銀貨に洗浄の必要性はないため、価値が下がることを理解した上でどうしても洗浄したい場合は、以下の一般的な磨き方の内容を参考にします。

銀貨の磨き方

磨きたい銀貨 イメージ

銀貨の一般的な磨き方について解説していきます。

使用する薬品

銀貨を磨くのに使用される薬品は以下の通りです。

概要 内容
重曹 満遍なく磨ける
研磨剤が含まれている洗浄液 コインの光沢など見栄えを良くしたい場合に使用する
歯磨き粉 一部分の汚れを集中して落とせる

使用する道具

次に、銀貨を磨くのに使用する道具は以下の通りです。

概要 内容
歯ブラシ どの薬品も使用できるが、強くこすり過ぎないように注意が必要
貴金属専用磨きクロス 薬品を使用しなくても汚れによっては綺麗にできる
超音波洗浄機 銀貨を入れてスイッチを入れることで洗浄できる

磨き方に関するコツ

どの薬品、どの道具を使用して銀貨を磨く場合でも力を入れ過ぎることがないように気をつけます。

力を入れ過ぎれてしまうと、目視でも分かるほどの傷が銀貨についてしまうことがあるため、傷をつけないことを重視して軽く磨くようにしましょう。

超音波洗浄機以外の歯ブラシ・貴金属専用磨きクロスで磨く場合は、最後に水で洗い流し、水気を取ることで完了します。

洗浄液で浸す形で洗浄する場合は、ラベルの指示に従って慎重に行うようにしましょう。

銀貨の価値を下げることなく綺麗にする方法

専門家と銀貨

銀貨は絵画と同様に専門の修復士が正しいやり方で洗浄を試みない限りは、価値を下げるリスクが高いため、基本的に専門的な知識がない個人のコレクターが磨くことを推奨できません。

そのため、価値を下げることなく、銀貨を綺麗にしたいと考える場合は、プロが担当する専門の修復サービスへの依頼がおすすめです。

PCGSが提供している専門の修復サービスでは、サービスを利用することでコインのグレードが上がることを保証していませんが、PCGSのスラブケースに入っている場合はグレードが下がらないことを保証しています。

つまり、サービスに利用によってコインが綺麗になった上で、グレードが下がることなく価値が保証されるということです。

どうしてもコレクションにおいて修復して綺麗にしたいコインがある場合は、専門の修復サービスの利用を検討しましょう。

まとめ

銀貨の磨き方について紹介しましたが、銀貨に対する研磨・洗浄の必要性の項目で述べた通り、希少性の高いアンティークコインは避けたいところです。

どうしても価値の高い銀貨を綺麗にしたい場合は、信頼性の高いプロの修復サービスに依頼します。

最後に、銀貨は長期的に保有していると保管場所に気を遣っていても、自然に劣化が進む金属であることを理解しておきましょう。

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この記事の著者

アンティークコイン ジャーナル編集部

英国王室シリーズから古代コインまで、幅広い年代のコインの紹介だけではなく、試鋳貨、造幣局による違い、彫刻家、リストライク、などアンティークコインの魅力や楽しめる知識をフラットに情報提供している。編集長は、英国王室コインと、動物コインシリーズが好き。

アンティークコイン ジャーナル編集部

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