アメリカ銀貨には、故意に作られた贋作の偽物もあれば、公式に発行された同じデザインの銀貨であっても2種類の素材で発行されているコインもあるので、見分け方を知ることが非常に重要です。
悪徳な取引先であれば偽物を販売する際に、贋作を作るのではなく、公式に作られたコインで銀で作られていない物を銀貨として販売する可能性もあるからです。
アメリカ銀貨を入手するなら、銀貨に対する知識を身に付けなければなりません。
この記事では、アメリカ銀貨の見分け方について解説した上で、同じ種類でも材質が違うコインや、贋作が確認されているコインの例について紹介します。
アメリカ銀貨の見分け方
アメリカ銀貨の見分け方を3つ紹介します。
- 重量を計る
- 絵柄を見比べる
- 鑑定機関に送る
それぞれ詳しく見ていきましょう。
重量を計る
アメリカ銀貨を購入するにあたって、共通して銀でないことを見分ける方法としては重量を計ることが挙げられます。
贋作を作るにあたって銀以外の素材を使用し、銀メッキを塗ったコインの偽物も、公式に別の素材で作られた同じ種類のコインも銀でなければ重量が異なるからです。
例えば、元の重さが30gの銀貨であったと仮定して、30gを上回っている場合や、摩耗などの劣化を考慮しても0.1g以上減っている場合は偽物の可能性が高くなります。
共通してアメリカ銀貨に対して有効になる方法であるため、疑わしい銀貨や、材質が分からないコインがあれば重さを計ってみましょう。
絵柄を見比べる
意図的に作った贋作の場合は、細かな部分で図柄に違いがあり、同じ種類の銀貨であってもミントマークなどの有無で、材質などの種類を特定できる場合があります。
偽物を見分けるなら本物の図柄と目の前にあるコインをよく見比べて違いがないかを確認しましょう。
ただし、精巧な偽物や、銀貨の種類によっては絵柄を見比べるだけでは、材質が特定できない場合もあります。
見比べて特定するのは、重さの計量とは異なり観察や知識を必要とするので、誰でも安定して見分けることは難しいといえます。
鑑定機関に送る
すべての銀貨やコインで共通して偽物を見分けられる方法は、鑑定機関に送って鑑定してもらうことです。
すでに購入している場合に限られますが、偽物であるか不安な場合は、鑑定機関に鑑定してもらうことで真贋を正しく判別できます。
コインの鑑定をしてもらうならPCGS社、NGC社などのアンティークコインでも権威ある鑑定機関を利用することをおすすめします。
同じ種類でも材質が違うアイゼンハワー 1ドル銀貨とは?
概要 | 内容 |
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1972年 |
額面 | 1ドル |
直径 | 38.1mm |
重量 | 24.59g(白銅貨:22.8g) |
同じ種類のコインであっても、銀貨と白銅貨が発行されている例としては、アイゼンハワー大統領が描かれた1ドル銀貨があります。
銅とニッケルの合金で作られた白銅貨が1971年~1978年の間、限定で発行され、銀貨は投資家用に発行されたものです。
つまり、ほとんど同じデザインの色を見ただけでは区別がつかない材質の違うコインが、2種類発行されています。
アイゼンハワーの1ドルコインの銀貨と白銅貨を見分けるために一番確実な方法は重さを計ることです。
銀貨は24.59g、白銅貨は22.8gの重さであり、明らかに異なるため、計量すれば区別できます。
首の下にあるミントマークは発行された造幣局によって有無が異なるため判断材料にはなりますが、白銅貨はミントマークのある物とない物があるので、図柄で判断するのは困難といえるでしょう。
1ドル銀貨の種類や価値について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
1ドル銀貨の価値は? おすすめのコインと購入・買取方法を紹介
偽物が確認されているアメリカ銀貨
次は、故意に贋作が作られ、偽物が確認されているアメリカ銀貨について紹介します。
- イーグル銀貨
- モルガンダラー銀貨
それぞれ詳しく見ていきましょう。
イーグル銀貨
概要 | 内容 |
発行国 | アメリカ |
発行年 | 2018年 |
額面 | 1ドル |
直径 | 40mm |
重量 | 31.1035g |
品位 | 900/1000 |
イーグル銀貨はアメリカ合衆国がその価値と品位を保証する投資用に発行されている銀貨であり、アメリカ銀貨の中でも高い知名度と流通量を誇ります。
広く流通していることから、その中には偽物も確認されています。
精度は贋作の種類にもよりますが、イーグル銀貨は彫りが細かく精巧なデザインをしているため、よく見比べれば図柄の彫りが浅いなどの違いがあり、コインに対する知識が深くなくても見分けられる可能性もあるでしょう。
流通量と知名度は偽物を掴むリスクに直結してくるので、イーグル銀貨の場合は信頼性の高い貴金属店などを通して購入するのが無難です。
モルガンダラー銀貨
概要 | 内容 |
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1921年 |
額面 | 1ドル |
直径 | 38mm |
重量 | 26.73g |
品位 | 銀90.0%, 銅10.0% |
モルガンダラー銀貨は、彫刻家のジョージ・T・モルガンがデザインしたことからこのように呼ばれています。
この銀貨は元々歴史的な背景から希少性が高く、彫刻家のデザインの人気も高かったことから、一部の希少な銀貨は数百万円で取引されたこともありました。
そのため、知名度と人気が高いことから贋作の製造対象となり、いくつかの偽物が確認されているようです。
偽物を見分ける方法ですが、イーグル銀貨と同様に細かな図柄の違いで判別するか、重さを計れば銀メッキを塗った偽物を見分けられます。
数百万円よりも高く、中には億単位の価値が付いたアメリカ銀貨も存在しています。アメリカ銀貨の価値について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
アメリカ銀貨の価値は? 買取価格を決定する3つのポイントをご紹介
アメリカ銀貨の見分け方に関するよくある質問
アメリカ銀貨の見分け方に関するよくある質問をまとめました。
- アメリカ銀貨の偽物を見分ける方法を教えてください
- アメリカ銀貨を購入する上で気をつけるべきことは?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
アメリカ銀貨の偽物を見分ける方法を教えてください
銀貨を傷つけずに見分ける方法には、重さを計る、図柄を見比べる、鑑定機関に送るの3つが挙げられます。
アイゼンハワー 1ドル銀貨のように、同じ図柄で材質の違う公式に発行された白銅貨もあるので、精巧な贋作でなければ重さを測るのが有効です。
アメリカ銀貨を購入する上で気をつけるべきことは?
知名度の高い銀貨を取引する場合は、特に偽物に気をつけて購入することが重要です。
しかし、偽物を購入してしまうリスクがあるのは、素性の分からない個人が出品できるオークションサイトで銀貨を購入したときが高いといえます。
そのため、アメリカ銀貨に関わらずコインを購入するなら、信頼できるコイン専門店などからコインを購入するのがおすすめです。
銀貨のおすすめの購入先について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
銀貨のおすすめの購入先は? 種類に合わせてどこで買うべきか解説
まとめ
アメリカ銀貨の偽物を見分ける方法と代表的な銀貨について紹介しました。
コインを傷つけずに偽物を見分けるのに有効な方法はいくつかあるので、気になるコインがあれば試してみましょう。
ただし、アメリカ銀貨の購入を検討している場合は、偽物を回避する方法を強く意識するのではなく、信頼できるコイン専門店などを利用するほうが贋作を購入するリスクを下げられます。
アメリカの金貨・銀貨などアンティークコインについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。