エスワティニは、アフリカ大陸の南に位置する国であり、2018年にスワジランド王国から改名した立憲君主制国家です。
使用される通貨はリランゲニ(SZL)であり、1974年に南アフリカのランドと等価で導入され、現在もレートが固定されています。
アンティークコインはスワジランドとして独立して間もない時代の1960年代から1980年代にかけて記念金貨が発行されました。
この記事では、エスワティニ(スワジランド)はどんな国であるかを解説し、通貨の種類とアンティークコインを紹介します。
この記事のポイント
・エスワティニ(スワジランド)で使用されている通貨の種類を紹介
・エスワティニ(スワジランド)のアンティークコインを金貨・銀貨に分けて紹介
エスワティニはどんな国? ~南アフリカにと密接な関係を持つ~
面積(総計) | 45,226km2 |
通貨 | リランゲニ(SZL) |
首都 | ムババーネ |
言語 | スワジ語、英語 |
主な宗教 | キリスト教、現地の伝統宗教 |
主な民族 | スワジ族、ズールー族、ツォンガ族、シャンガーン族 |
隣接している国 | 南アフリカ、モザンビーク |
独立 | 1968年9月6日 |
エスワティニ王国は、アフリカ大陸南部で南アフリカとモザンビークに囲まれた内陸国の立憲君主制国家です。
2018年にスワジランドからエスワティニに改名したため、スワジランドの名称のほうがなじみ深いかもしれません。
国王が立法権も行政権も持っており、王家の権力が非常に強く、政府の要職も王室が多くを占めています。
南アフリカに囲まれている立地であること、独自通貨のリランゲニが南アフリカのランドとレートを固定していることからも、南アフリカに経済を依存しています。
多くの国民が南アフリカの鉱山に出稼ぎに行っており、サトウキビなどの農作物の輸出も南アフリカが中心です。
熱帯性の気候で降水量も多くないことから、多くの農作物に適した環境とは言い難く、輸出できる農作物も限られています。
そのため、干ばつによる食糧危機に直面しており、国内の状況は不安定です。
エスワティニの歴史 ~スワジランドから現在の名称に改名するまで~
年号 | 内容 |
1895年 | トランスヴァール共和国の保護国となる |
1902年 | イギリスの保護国となる |
1968年 | スワジランド王国として独立 |
1974年 | 南アフリカランドと等価でリランゲニが導入 |
2018年 | スワジランド王国からエスワティニ王国に改名 |
現在のエスワティニの地域は、19世紀に誕生したズールー王国に敵対するトランスヴァール共和国と友好関係を築いていました。
しかし、ズールー戦争でズールー帝国が消滅したことで白人の進出が進み、1895年時点ではトランスヴァール共和国の保護国であったエスワティニの地域は1902年にイギリスの保護国となります。
イギリスの保護領時代のエスワティニは、南アフリカ連邦から自国への編入を求められてきました。
しかし、イギリスは間接統治を選択したことから、エスワティニの王政は維持されており、王室は最終的に独立を目指していました。
1968年、スワジランド王国として独立を果たし、その後は憲法を廃止して絶対君主制を敷きます。
1974年には南アフリカのランド等価になる1:1のレートで固定し、独自通貨のリランゲニが導入されます。
2018年、ムスワティ3世が自身の誕生日と独立50周年を記念する式典で、国名をエスワティニにすると宣言しました。
スワジランド(Swaziland)はイギリスの植民地であった時代に英語で「スワジ人の土地」という意味で付けられた名称です。
スイス(Switzerland)と名称を混同しやすいこともあり、スワジ語で同じ意味を持つエスワティニに改名したといわれています。
エスワティニ(スワジランド)の通貨の種類
エスワティニで使用されている通貨は、南アフリカのランドとレートを固定しているリランゲニです。
複数形ではエマランゲニであるため、1リランゲニ以外の硬貨・紙幣はこのように表記されることがあります。
エスワティニでのみ使用できる通貨であり、南アフリカでは基本的に使用できず、観光客が立ち寄るお店ではエスワティニでも南アフリカランドが使用できることも多いようです。
補助単位はセントであり、1リランゲニ=100セントとなります。
リランゲニの硬貨・紙幣を見ていきましょう。
硬貨
- 10セント
- 20セント
- 50セント
- 1リランゲニ
- 2リランゲニ
- 5リランゲニ
紙幣
- 50リランゲニ
- 200リランゲニ
10セント
エスワティニ王国になってから発行された10セント硬貨であり、表面にはムスワティ3世国王の肖像、裏面にはサトウキビ2本が描かれています。
20セント
20セント硬貨では、象の頭が描かれており、20の数字の中には長い鼻の先端が重なっています。
50セント
50セント硬貨のデザインには、エスワティニの国章が描かれています。
1リランゲニ
1リランゲニの硬貨であり、セント硬貨と同様にすべてムスワティ3世の肖像が描かれています。
2リランゲニ
裏面にユリが描かれる、2リランゲニの硬貨です。
5リランゲニ
5リランゲニ硬貨は、50セント硬貨とデザインが共通していますが、文字の位置などが異なります。
50リランゲニ
50リランゲニ紙幣では、ムスワティ3世の肖像に、エスワティニ中央銀行が裏面に描かれています。
200リランゲニ
コブウシ、小屋、銀行印が裏面に描かれている、200リランゲニの紙幣です。
エスワティニ(スワジランド)のアンティークコイン ~おすすめの金貨・銀貨を紹介~
エスワティニ(スワジランド)のアンティークコインである金貨・銀貨を紹介していきます。
- エスワティニ(スワジランド) ソブーザ2世 国王80周年記念 2リランゲニ金貨 1979年
- エスワティニ(スワジランド) ソブーザ2世 75歳誕生日記念 50リランゲニ金貨 1975年
- エスワティニ(スワジランド) ムスワティ3世 国王の即位 250リランゲニ金貨 1986年
- エスワティニ(スワジランド) ソブーザ2世 10リランゲニ銀貨 1975年
- エスワティニ(スワジランド) ソブーザ2世 生誕75周年記念 15リランゲニ銀貨 1974年
- エスワティニ(スワジランド) ソブーザ2世 国王即位60周年記念 25リランゲニ銀貨 1981年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
エスワティニ(スワジランド) ソブーザ2世 国王80周年記念 2リランゲニ金貨 1979年
概要 | 内容 |
発行国 | エスワティニ(スワジランド) |
発行年 | 1979年 |
額面 | 2リランゲニ |
直径 | 32mm |
重量 | 31.1g |
発行枚数 | 1,250枚 |
品位 | 999/1000金 |
エスワティニ(スワジランド)の国王であるソブーザ2世の国王80周年を記念して造られた2リランゲニ金貨です。
裏面にはヤングタイプのエリザベス2世の肖像画が描かれており、コインの情報が刻まれています。
当時のスワジランド王国はイギリスから独立して間もないことから、エリザベス2世の肖像が描かれた金貨が発行されていました。
エリザベスコインの価値は? 記念コインと投資用コインでそれぞれ紹介
エスワティニ(スワジランド) ソブーザ2世 75歳誕生日記念 50リランゲニ金貨 1975年
概要 | 内容 |
発行国 | エスワティニ(スワジランド) |
発行年 | 1975年 |
額面 | 50リランゲニ |
直径 | 12mm |
重量 | 4.31g |
発行枚数 | 3,262枚 |
品位 | 999/1000金 |
ソブーザ2世の75歳の誕生日を記念して造られた50リランゲニ金貨です。
裏面には、南アフリカを生息地としている曲がりくねった角を持つ動物のクーズーを描いています。
発行枚数の多さからエスワティニの金貨の中でもオークションで広く取引されています。
エスワティニ(スワジランド) ムスワティ3世 国王の即位 250リランゲニ金貨 1986年
概要 | 内容 |
発行国 | エスワティニ(スワジランド) |
発行年 | 1986年 |
額面 | 250リランゲニ |
重量 | 15.98g |
発行枚数 | 250枚 |
品位 | 917/1000金 |
ムスワティ3世の国王への即位を記念して発行された250リランゲニ金貨です。
即位当時のムスワティ3世の肖像が描かれており、当時は18歳であったことから、世界最年少の国王でした。
発行枚数が非常に少なく、エスワティニのアンティークコインでも希少となっています。
エスワティニ(スワジランド) ソブーザ2世 10リランゲニ銀貨 1975年
概要 | 内容 |
発行国 | エスワティニ(スワジランド) |
発行年 | 1975年 |
額面 | 10リランゲニ |
直径 | 37mm |
重量 | 25.50g |
発行枚数 | 1,000枚 |
品位 | 925/1000銀 |
ソブーザ2世の肖像を描いた10リランゲニ銀貨です。
裏面にはサギの全身像が描かれています。
エスワティニで発行されている金貨・銀貨では、いくつかの動物コインが存在しています。
エスワティニ(スワジランド) ソブーザ2世 生誕75周年記念 15リランゲニ銀貨 1974年
概要 | 内容 |
発行国 | エスワティニ(スワジランド) |
発行年 | 1974年 |
額面 | 15リランゲニ |
直径 | 46mm |
重量 | 32.60g |
品位 | 925/1000銀 |
ソブーザ2世の生誕75周年を記念して発行された15リランゲニ銀貨です。
旗を掲げる軍隊、軍服を着て敬礼をする軍人を中心に描いています。
エスワティニで発行されている銀貨の中でも複雑に分けられたデザインとなっています。
エスワティニ(スワジランド) ソブーザ2世 国王即位60周年記念 25リランゲニ銀貨 1981年
概要 | 内容 |
発行国 | エスワティニ(スワジランド) |
発行年 | 1981年 |
額面 | 25リランゲニ |
直径 | 38mm |
重量 | 28.28g |
発行枚数 | 10,000枚 |
品位 | 925/1000銀 |
国王即位60周年を記念してソブーザ2世の肖像を描いた25リランゲニ銀貨です。
裏面には、木の枝に鳥が止まる様子が描かれています。
1980年代以降には、主だった金貨は発行されておらず、独立からこちらの年代までコインが発行されていました。
まとめ
エスワティニは、2018年にスワジランド王国から名称を変更した国であるため、各国でも未だにスワジランドの印象が強い状態にあります。
南アフリカのランドとレートを固定する独自通貨のリランゲニを発行しており、経済的にも南アフリカに依存している状況です。
アンティークコインは独立から1980年代までに発行されていた少数の金貨・銀貨が存在しています。