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公開日 2025.2.3更新日 2025.2.3

ジョージアはどんな国? 通貨「ラリ」の種類とアンティークコインを紹介

ジョージアは、東ヨーロッパと西アジアの間に位置しており、地理的な特徴から豊かな文化と多くの観光客が訪れることで知られています。

観光目的の入国であればビザが不要であり、世界遺産に登録されるキリスト教の修道院や聖堂などの歴史的な財産、コーカサス山脈を中心とする自然環境が魅力です。

ジョージアで使用されている通貨は独自通貨のラリであり、19世紀初頭からロシア帝国に併合されていた影響からルーブルが流通していたこともありました。

この記事では、ジョージアはどんな国であるか、歴史をまとめた上で、独自通貨の種類とおすすめのアンティークコインを紹介します。

この記事のポイント

・ワイン発祥の地でもあり豊かな文化を持つジョージアについて解説
・ジョージアで発行される独自通貨の種類、古代コインを含むアンティークコインを紹介

ジョージアはどんな国 ~ワイン発祥の地として知られ、農業と観光業が経済を支える~

面積(総計) 69,700km2
通貨(通貨コード) ラリ(GEL)
首都 トビリシ
言語 ジョージア語
主な宗教 キリスト教(主にジョージア正教)
主な民族 ジョージア系(86.8%)
アゼルバイジャン系(6.2%)
アルメニア系(4.5%)
ロシア系(0.7%)
オセチア系(0.4%)
隣接する国 ロシアトルコアルメニアアゼルバイジャン
建国年月日 1918年5月26日

ジョージアは、東ヨーロッパと西アジアの間に位置する共和制国家であり、北はロシア、南はトルコとアルメニア、東はアゼルバイジャンと隣接しています。

2015年まで日本における呼称は「グルジア」でしたが、現在はジョージアとなっており、アメリカ合衆国東部にあるジョージア州と混同されることもあります。

コーカサス山脈の南麓、黒海の東岸に位置しており、温暖な気候にあることから農業が盛んです。

ワイン発祥の地としても知られるジョージアで独自の製法で造られるジョージアワインは他国からも高い評価を受けています。

ワイン生産を含む農業、そして豊かな自然環境と歴史的遺産を利用した観光業がジョージアの主な産業です。

古都ムツヘタ、ゲラティ修道院など、歴史的な建造物が存在します。

観光目的であれば入国にビザは不要であり、最大365日間の滞在が可能であることから観光地として人気があります。

地理的特徴による独自性と、近年においては経済発展と国際社会における存在感を高めており、今後が注目される国です。

ジョージアの歴史 ~紀元前12世紀の王国を起源とする歴史ある国家~

時期 出来事
紀元前12世紀 黒海の東方と東南方に、ディアオヒ王国とコルヒス王国という初のジョージア系の王国が建国される
紀元前6世紀 黒海の東方にコルヒス王国が地域大国として登場
紀元前4世紀 東ジョージアにイベリア王国が建国される
紀元前3世紀 パルナワジ国王が初めてジョージアを統一し、ジョージア文字が普及
4世紀 キリスト教が国教化され、ジョージア正教が成立
7世紀後半 アラブ帝国により征服される
11~13世紀 ジョージアの黄金時代
13世紀 モンゴル軍が初めて来襲
16~19世紀 オスマン帝国とペルシア帝国の覇権争いの舞台となる
19世紀 ロシア帝国により征服される
1918年 独立宣言により、ジョージア初の民主共和国が成立
1921年 ソビエト連邦の一部となる
1991年 ソビエト連邦の崩壊に伴い、ジョージアが独立を回復
1993年 独自通貨のクーポンを導入
1995年 クーポンと置き換える形で新たにラリを導入
2008年 南オセチア紛争が発生し、ロシアとの間で軍事的衝突が起こる

ジョージアの発祥は紀元前12世紀に遡り、ディアオヒ王国とコルヒス王国の成立がジョージア人の祖先による初期の国家といわれています。

特にコルヒス王国は、ジョージアの地理的特徴の恩恵を受けて、交易や文化の中心地として発展したことで知られています。

現在のジョージアの国家の基盤となっているのは紀元前4世紀頃に誕生したイベリア王国です。

紀元前3世紀にはジョージアが統一されており、ジョージア文字が考案されたことで普及していきます。

また、イベリア王国はアルメニアに続いてキリスト教を2番目に早く国教としたことから、キリスト教に関連する歴史的建造物が多く存在している理由となっています。

7世紀後半には東ジョージアがアラブ帝国に征服され、アラブの支配下に入りますが、11世紀にはバグラト朝のもとジョージアは最盛期を迎えました。

しかし、13世紀にモンゴル帝国がジョージアに来襲したことで、ジョージアの黄金時代は終わりを迎えます。

16世紀以降はオスマン帝国とペルシア帝国の支配を受けて東西を分割されることになり、19世紀にはロシア帝国に併合されたことで長らくジョージアの独立は失われます。

1918年に、ジョージア民主共和国が成立しますが、ソビエト連邦の一部となったことで再び独立を失いました。

ジョージアの独立が回復したのはソ連が崩壊した1991年ですが、2008年にロシアと軍事的衝突が起こるなど不安定な政情が続きました。

現在では民主化と経済改革を進めており、EU、NATOとの関係強化に重点を置いています。

ジョージアの独自通貨の種類

ジョージアで現在使用されている通貨は独自通貨のラリ(GEL)であり、1995年9月25日に導入された通貨です。

補助通貨単位はテトリであり、1ラリは100テトリに相当するレートとなっています。

ジョージアの独自通貨の種類を以下にまとめました。

硬貨

  • 5テトリ
  • 10テトリ
  • 20テトリ
  • 50テトリ
  • 1ラリ
  • 2ラリ

紙幣

  • 5ラリ
  • 10ラリ
  • 20ラリ
  • 50ラリ
  • 100ラリ

ジョージアの硬貨

5テトリ

10テトリ

20テトリ

50テトリ

1ラリ

2ラリ

額面 デザイン
5テトリ 金色のライオン像
10テトリ ライオンに乗る聖ママイ
20テトリ 牡鹿
50テトリ 50テトリの額面
1ラリ 1ラリの額面
2ラリ 2ラリの額面

5テトリ・10テトリ・20テトリの表面に描かれる紋章は、ボルジガリと呼ばれるものであり、7つの回転する翼を持つ太陽を描くジョージアのシンボルです。

50テトリ・1ラリ・2ラリでは、ジョージアの国章が描かれており、共通してシンプルなデザインの硬貨といえるでしょう。

ジョージアの紙幣

5ラリ

10ラリ

20ラリ

50ラリ

100ラリ

額面 デザイン
5ラリ イヴァネ・ジャヴァキシュヴィリ、農業と牛
10ラリ アカキ・ツェレテリ、絵画『イメレティ』と女性
20ラリ イリヤ・チャフチャヴァゼ、サリ王の騎馬像
50ラリ ジョージア女王タマル、射手座と国章
100ラリ 詩人ショタ・ルスタヴェリ、オペラハウス

ジョージアの紙幣ではジョージアに関連する人物とシンボルが描かれており、歴史や文化を象徴しています。

紙幣ごとに色彩が異なり、豊かな色合いになっていることが特徴です。

ジョージアのアンティークコイン ~おすすめの金貨・銀貨~

ジョージアのアンティークコインを金貨・銀貨に分けて紹介していきます。

  • カルトリ王国 アフメト3世 1アシュラフィ金貨 1115年(1703年)
  • ゴールデンフリース 100ラリ金貨 2006年
  • 第二次世界大戦勝利50周年記念 500ラリ金貨 1995年
  • ジョージア王国 ルスダン1世 1ドラクマ銀貨 1223年~1245年
  • ニコライ1世 2アバジ銀貨 1828年
  • キリスト生誕2000周年記念 10ラリ銀貨 2000年

カルトリ王国 アフメト3世 1アシュラフィ金貨 1115年(1703年)

概要 内容
発行国 カルトリ王国(ジョージア)
発行年 1115年(1703年)
額面 1アシュラフィ
直径 18.2mm
重量 3.44g

16~19世紀頃のオスマン帝国とペルシア帝国の支配下にあったジョージアの地域にあった国家であるカルトリ王国で発行されていた金貨です。

1466年にジョージア王国が分裂したことをきっかけに成立し、長らくサファヴィー朝の封臣でした。

王の印象と署名であるトゥグラを表面に描いており、裏面には現在のジョージアの首都であるトビリシと刻まれた、ハンマーで不揃いに打たれた金貨です。

ジョージアは歴史ある国家であることから、古い時代に発行されたアンティークコインが存在しています。

ゴールデンフリース 100ラリ金貨 2006年

概要 内容
発行国 ジョージア
発行年 2006年
額面 100ラリ
直径 37mm
重量 31.11g
発行枚数 1,050枚
品位 999/1000金

ゴールデンフリースは、ギリシャ神話のイアソンの物語に登場する黄金の有翼羊であり、神話の金羊毛をイメージしています。

裏面もイアソンの物語に登場する巨大船のアルゴー号を描いており、地中海と黒海の地図とギリシャからジョージアまでの航路を描いています。

金羊毛を求めて旅をしたアルゴー号を描くテーマ性のある金貨であり、100ラリの他に10ラリ、25ラリ、50ラリ、300ラリ、1,000ラリの額面で同じデザインのコインが発行されました。

第二次世界大戦勝利50周年記念 500ラリ金貨 1995年

概要 内容
発行国 ジョージア
発行年 1995年
額面 500ラリ
直径 31mm
重量 17g
発行枚数 2,000枚
品位 920/1000金

第二次世界大戦の勝利から50周年を記念して発行された500ラリ金貨です。

スターリン、ルーズベルト、チャーチル、ドゴールの肖像が描かれています。

ジョージアでは数種類以外は直径が30mmを超える大型金貨が発行されておらず、珍しい大型金貨です。

ジョージア王国 ルスダン1世 1ドラクマ銀貨 1223年~1245年

概要 内容
発行国 ジョージア王国
発行年 1223年~1245年
額面 1ドラクマ
直径 22mm
重量 2.6g

かつてジョージアで発行された古代コインであり、女王ルスダン1世の統治下で発行された1ドラクマ銀貨です。

表面はイエス・キリストの胸像であり、裏面はルスダン1世に関連するモノグラムを描いています。

古代コインであることからハンマーで不規則に撃たれており、1つとして全く同じコインは存在しない希少性を持ちます。

ニコライ1世 2アバジ銀貨 1828年

ニコライ1世 2アバジ銀貨 1828年

概要 内容
発行国 ジョージア
発行年 1828年
額面 2アバジ
直径 23.6mm
重量 6.31g

19世紀ロシア帝国の支配を受けていた時代に発行されたニコライ1世の時代の1アバジ銀貨です。

文字はすべてジョージア文字で刻まれており、王冠と交差するオリーブとヤシの枝が描かれています。

ロシアに支配されていた時代には同様のデザインで複数の額面の銀貨が発行されていました。

キリスト生誕2000周年記念 10ラリ銀貨 2000年

概要 内容
発行国 ジョージア
発行年 2000年
額面 10ラリ
直径 28.40mm
重量 15.98g
発行枚数 1,000枚
品位 925/1000銀

キリスト生誕2000周年を記念してジョージアで発行された10ラリ銀貨です。

十字架とキリストの聖なるガウンが描かれた紋章の盾を描いており、裏面には額面の10の中にジョージア語の碑文を刻んでいます。

ジョージアでは宗教にまつわるコインが複数発行されています。

まとめ

ジョージアは、東ヨーロッパと西アジアの狭間に位置し、歴史的建造物、そして観光目的でのビザ免除制度など、国内外から多くの訪問者を引き付けています。

古代には、ディアオヒ王国やコルヒス王国、イベリア王国など、紀元前12世紀から紀元前4世紀にかけて国家の礎が築かれ、その後キリスト教を国教とするなど独自性を確立してきました。

歴史の長さからアンティークコインも広い時代にかけて発行されており、古代コインからモダンコインまで幅広く収集できる国です。

 

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この記事の著者

アンティークコイン ジャーナル編集部

英国王室シリーズから古代コインまで、幅広い年代のコインの紹介だけではなく、試鋳貨、造幣局による違い、彫刻家、リストライク、などアンティークコインの魅力や楽しめる知識をフラットに情報提供している。編集長は、英国王室コインと、動物コインシリーズが好き。

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