パンダ金貨は、中国で発行される毎年デザインが変わるパンダと北京の天壇が描かれる地金型金貨のことです。
純金として資産防衛に使用されるだけでなく、毎年新デザインが発表されるコレクション性の高さから、投資家・愛好家ともに高い人気を誇ります。
発行枚数が少なく希少価値の高いパンダ金貨は、プレミア価値を持つことがあり、高く売れることも。
この記事では、人気の高いパンダ金貨の希少価値について解説し、種類一覧と偽物の見分け方も紹介します。
この記事のポイント
・パンダ金貨の種類・購入できる場所・偽物の見分け方・高く売る方法を紹介
パンダ金貨とは
中国パンダ金貨は、中華人民共和国政府が1982年に最初に発行した純度99.9%(24金)の金貨シリーズです。
表面には北京・天壇が刻印され、裏面には年次ごとに異なるジャイアントパンダが描かれます。
1982年の初回発行以来、毎年ジャイアントパンダのデザインが変更されてきました。
ただし、例外的に2001年と2002年のデザインのみ同じものが採用されています。
純金地金型金貨の金の裏付け価値に加え、毎年の限定デザインがコレクター心をくすぐるため、ほかの地金型金貨と比較して高い需要があります。
一方、その高い人気と流動性を狙った偽造品も多く出回っています。
特に初期発行年や小型重量版には、粗悪な金メッキ・タングステン製のフェイクの流通が確認されました。
中国が発行するパンダコインには、パンダ金貨のほかにパンダ銀貨もあります。
中国のアンティークコインについては以下の記事で紹介しています。
人気の高いパンダ金貨の希少価値
パンダ金貨は、世界的に人気を博しており、一部の種類は希少価値が認められ大きなプレミアがつくことがあります。
プレミアがつきやすいコインは、パンダ金貨のなかでも1オンス(1oz)に該当する金貨です。
1オンスの金貨はほかの重さの金貨と比較して発行枚数が少ないことから、特定の年度の場合はプレミアがつくことがあります。
また、プレミアがつきやすい年度は1982年~1998年までに発行されたパンダ金貨です。
以上の内容からプレミアがつきやすいパンダ金貨の年号を以下にまとめました。
年号 | デザイン | 発行枚数(1 oz) |
---|---|---|
1982 | ![]() |
13,532枚 |
1983 | ![]() |
25,363枚 |
1984 | ![]() |
25,193枚 |
1994 | ![]() |
24,438枚 |
1995 | ![]() |
17,412枚 1/2 oz:11,749枚 |
1996 | ![]() |
22,009枚 |
1998 | ![]() |
1 oz:13,532枚 1/2 oz:4,168枚 1/10 oz:8,502枚 |
中国銀行の社内資料によると計画した発行枚数に対して、実際の発行枚数は大幅に減少した年があることが確認されています。
1オンス以外の金貨であっても例外的に発行枚数が少ないことからプレミア価値が付く金貨が1995年・1998年の年号です。
該当する年は1オンス金貨よりも重量が低いサイズの金貨のほうが発行枚数が少なくなっています。
パンダ金貨は地金型金貨ではありますが、発行年が古く、発行枚数の少ない年であれば希少価値がつくと考えられます。
希少価値の高いパンダ金貨を集めるなら上記のデザインを中心に覚えておきましょう。
パンダ金貨の種類一覧
パンダ金貨の種類を一覧形式にまとめました。
【パンダ金貨の種類一覧 1982年~1999年】
年号 | 表 | 裏 |
---|---|---|
1982 | ![]() |
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1983 | ![]() |
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1984 | ![]() |
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1985 | ![]() |
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1986 | ![]() |
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1987 | ![]() |
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1988 | ![]() |
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1989 | ![]() |
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1990 | ![]() |
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1991 | ![]() |
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1992 | ![]() |
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1993 | ![]() |
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1994 | ![]()
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1995 | ![]() |
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1996 | ![]() |
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1997 | ![]() |
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1998 | ![]() |
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1999 | ![]() |
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1982年~1999年のパンダ金貨はプレミア価値がつくこともある人気金貨が揃っています。
上記の種類のパンダ金貨から一部をピックアップして詳しく紹介します。
パンダ金貨 1オンス 1982年
概要 | 内容 |
発行国 | 中国 |
発行年 | 1982年 |
額面 | 100元 |
直径 | 32mm |
重量 | 31.11g |
発行枚数 | 13,532枚 |
品位 | 999/1,000(24金) |
1982年のパンダ金貨は初代に発行された金貨であり、1オンス金貨の発行枚数はわずか13,532枚です。
発行当初はすぐに完売して、後に2倍以上のプレミアが付けられて再販されるほどの人気を博しました。
笹を抱えて座るジャイアントパンダの様子が描かれており、最初の金貨であることから、後のデザインと比較するとシンプルな印象です。
パンダ金貨の原点となる金貨であることから歴史的価値も高く、コレクターの収集対象となっています。
パンダ金貨 1/2 oz 1995年
概要 | 内容 |
発行国 | 中国 |
発行年 | 1995年 |
額面 | 50元 |
直径 | 27mm |
重量 | 15.55g |
発行枚数 | 11,749枚 |
品位 | 999/1,000(24金) |
1995年のパンダ金貨は1オンス金貨が17,412枚であるのに対して、1/2オンス金貨が11,749枚と少なくなっています。
そのため、1オンス金貨と比較してオークションの落札価格では2倍以上の差がつくこともあります。
デザインはパンダが笹を持って立つ様子が描かれています。
1982年と構図が似ていますが、比較するとパンダのデザインがリアルになっていることがわかるでしょう。
年度ごとに見比べるとパンダのデザインにも幅があり、コレクションする楽しみが広がります。
パンダ金貨 1/2 oz 1998年
概要 | 内容 |
発行国 | 中国 |
発行年 | 1998年 |
額面 | 50元 |
直径 | 27mm |
重量 | 15.55g |
発行枚数 | 4,168枚 |
品位 | 999/1,000(24金) |
1998年はすべてのパンダ金貨の発行枚数が少ないことからプレミアが付きやすい年号です。
そのなかでも1/2 oz金貨はわずか4,168枚しか発行されていません。
左手に笹の葉を持ちながら岩に座っている様子が描かれており人気のデザインです。
1998年のパンダ金貨は額面にかかわらず、希少性の高さからコレクターにとって見つけたら購入したい種類となっています。
【パンダ金貨の種類一覧 2000年以降】
年号 | 表 | 裏 |
---|---|---|
2000 | ![]() |
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2001~2002 | ![]() |
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2003 | ![]() |
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2004 | ![]() |
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2005 | ![]() |
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2006 | ![]() |
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2007 | ![]() |
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2008 | ![]() |
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2009 | ![]() |
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2010 | ![]() |
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2011 | ![]() |
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2012 | ![]() |
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2013 | ![]() |
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2014 | ![]() |
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2015 | ![]() |
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2016 | ![]() |
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2017 | ![]() |
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2018 | ![]() |
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2019 | ![]() |
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2020 | ![]() |
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2021 | ![]() |
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2022 | ![]() |
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2023 | ![]() |
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2024 | ![]() |
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2025 | ![]() |
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2000年以降のパンダ金貨は発行年が新しく発行枚数も十分にあることから高いプレミアを見込むことは難しいです。
しかし、好きなデザインがあるなら購入を検討したいほど魅力的なデザインが揃っています。
そのなかでも人気のデザインをピックアップして紹介します。
パンダ金貨 1オンス金貨 2001年~2002年
概要 | 内容 |
発行国 | 中国 |
発行年 | 2001年~2002年 |
額面 | 100元 |
直径 | 32mm |
重量 | 31.11g |
品位 | 999/1,000(24金) |
2001年~2002年はパンダ金貨の歴史で唯一デザインが重複してしまったコインです。
当時、同じデザインが使われたことに対してコレクターから強い抗議を受け、2003年からは再びデザインが変更されています。
現在では、唯一デザインが重複した年号というエピソードが逸話となり、パンダ金貨のなかでも人気のあるデザインです。
パンダ金貨 1オンス金貨 2008年
概要 | 内容 |
発行国 | 中国 |
発行年 | 2008年 |
額面 | 100元 |
直径 | 32mm |
重量 | 31.11g |
発行枚数 | 150,000枚 |
品位 | 999/1,000(24金) |
2008年は中国で北京オリンピックが開催された年であり、世界中から注目を集めた年です。
そのため、パンダ金貨のなかでも世界において知名度が高く、トップクラスの人気を誇るデザインとなっています。
4足歩行で周囲をうかがう親パンダと、座って親を見つめる子パンダが描かれています。
2004年からパンダの親子が描かれるようになり、2014年まで複数のパンダが描かれるデザインが継続されました。
パンダ金貨の種類を年号別に紹介しました。
ほかにも中国に特別な形で発行されたパンダ金貨が存在しますが、地金型金貨として複数の重量で発行されたパンダ金貨は以上になります。
パンダ金貨はどこで売っている?
パンダ金貨が購入できる場所は以下のとおりです。
- 貴金属店
- オンラインマーケットプレイス・フリマ
- オークションサイト
- コイン専門店
パンダ金貨は地金型金貨であるため、貴金属店で新しく発売される金貨を中心に購入可能です。
大手の貴金属店は安心できる購入先といえるでしょう。
次に、楽天市場などのオンラインマーケットプレイス、Yahoo!オークションなどのオークションサイトに出品が確認されます。
地金型金貨であることからコイン専門店で取り扱われるパンダ金貨は少ない傾向にあります。
過去のパンダ金貨を入手したい場合はオンラインサイトを中心に探すことになりますが、偽物も流通しているため注意が必要です。
パンダ金貨の偽物の見分け方
パンダ金貨の偽物の見分け方において参考になる内容を紹介します。
- デザインを見比べる
- 重量を比較する
- 鑑定会社を利用する
コインを傷つける方法は偽物を見分けられたとしても被害があるため外しています。
精巧な偽物である場合、必ずしも見分けられるわけではないことを理解しておきましょう。
デザインを見比べる
粗悪な偽物であれば本物のデザインと比較することで偽物を見分けられる可能性があります。
本物のパンダ金貨は、パンダの毛並みや天壇の細部まで精緻に刻まれています。
しかし、偽物は彫刻が粗い場合があり、線が太くなることも多いです。
「中华人民共和国」など金貨に彫られている刻印にも着目してみましょう。
刻印の位置がずれている場合や、字体が微妙に異なる場合があります。
プルーフ仕様のパンダ金貨であれば、鏡面部は滑らかで深い光沢がありますが、偽物はミラー面の鮮明さが劣り、ざらつきやムラが見られることも。
一つ一つチェックしていけば、精巧な偽物である場合を除いて見分けられる可能性はあるでしょう。
重量を比較する
パンダ金貨の偽物が造られる理由は、人気の高さから取引が成立しやすいこと、純金で作られているため価値があるからです。
安い金属を使って偽物を作ることで利益を得ようとする悪意のある業者が存在します。
しかし、金メッキを使用して安い金属を使って偽物を作れば、本物と比較して重量が変わります。
よって、重量を比較することで偽物を見分けられる可能性があるでしょう。
1オンスの金貨であれば約31.11g、重さを計った時に大きくずれることがあれば偽物と断言できます。
鑑定会社を利用する
購入したパンダ金貨の真贋をどうしても見きわめたい場合は、コインの鑑定会社を利用します。
精巧な偽物であれば、ここまでの方法で確実に見きわめられる保証はないからです。
真贋を確実に見きわめたい場合は、コインを傷つけにくい鑑定会社の利用を検討するようにしましょう。
パンダ金貨に限らず金貨の偽物を見きわめる方法はこちらの記事をチェックしてください。
金貨の本物と偽物の見分け方は? コインを傷つけずに判定する方法を紹介
パンダ金貨を少しでも高く売るためのポイント
最後に、パンダ金貨を少しでも高く売るためのポイントをまとめました。
- 金価格が高い水準にある時に売る
- 付属品とセットで査定に出す
それぞれ詳しく見ていきましょう。
金価格が高い水準にある時に売る
パンダ金貨は地金型金貨であるため、一部のプレミアが付いた種類を除いて、金価格が買取のベースになることが多いです。
そのため、買取当日の金価格を調べて高い水準にある時に売れば高値での買取が期待できます。
現在の金価格が高い水準にあるのか、低い水準にあるのか調べてから売却を検討しましょう。
金価格は金融市場の不安が強まる局面では高騰しやすく、不安定な情勢のなかで価値が高まりやすい傾向にあります。
金価格は今後どうなるのか知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
金価格は今後どうなる? 10年後の相場を予測するための考え方を解説
付属品とセットで査定に出す
パンダ金貨の購入時に付属する保証書やオリジナルケースがある場合は、セットで査定に出すようにしましょう。
金貨の付属品はコインの真贋性を証明しやすく、全部揃っていれば高価買取につながる要素です。
よって、オンラインサイトで購入する場合は付属品の有無を確認すると一定の信頼性があります。
購入したパンダ金貨に付属品がある場合は、付属品の状態もできる限り損なうことなく大切に保管しましょう。
まとめ
パンダ金貨は毎年変わる愛らしいパンダ図柄と、純度99.9%の地金価値を兼ね備えたコレクターにも投資家にも人気の金貨です。
基本的には金地金の価値で取引されるものの、1982年の初回発行年など発行枚数の少ない年号には大きなプレミアムが期待できます。
1982年から毎年発行されていることから、コンプリートの難易度も高く集めがいのあるコインシリーズといえるでしょう。