アメリカのコインは、イーグル金貨や、バッファロー金貨など動物の描かれた美しい貨幣が発行されているためコレクター人気が高いです。
また、金による価値が担保されているためアンティークコイン投資家からも注目されています。
この記事では、アメリカの代表的な金貨・銀貨を9種類紹介し、アメリカのコインの歴史やよくある質問についても解説します。
アメリカ コインの歴史について
アメリカ合衆国のコインの歴史は、イギリス、フランスなどの古くから貨幣が発行されていた国と比較すると浅いです。
アメリカで初めて造幣局が設立されたのは、アンティークコインの歴史では近年のことであり、市場に流通しているコインのほとんどが1800年代~2000年代のものとなっています。
よって、アメリカのコインの多くが金価値の上昇に期待して投資するコインが多いですが、コレクター人気の高い希少なコインも存在します。
アメリカのコインの歴史について詳しく見ていきましょう。
アメリカ コインのはじまり
アメリカ合衆国のコインは、アメリカ独立戦争による合衆国の成立から始まります。
1792年に国務省の内部組織としてフィラデルフィアに初めてアメリカ合衆国造幣局が建てられ、1799年に独立機関となりますが、1873年の硬貨法により財務省の下部組織になりました。
造幣局は合衆国の各地に支局を展開し、ノースカロライナ州のシャーロット造幣局、ジョージア州ダロネガ造幣局、ルイジアナ州ニューオーリンズ造幣局などが設立されています。
このように造幣局が増えると、製造地を識別する必要が出てくるので、例えば、シャーロット造幣局では頭文字の「C」、ダロネガ造幣局では頭文字の「D」を貨幣にシンボルとして入れました。
しかし、現在ではどの支局もすべて閉鎖されています。
また、現在もアメリカの硬貨を発行している本家フィラデルフィアのアメリカ合衆国造幣局は、貨幣の発行において硬貨の製造のみを行っており、紙幣は製版印刷局にて行われています。
アメリカ コインの種類
造幣局が設立される前のアメリカでは、8進法のスペインドル銀貨にイギリスのポンド、シリング、ペニーを混ぜて使用してきました。
合衆国は新たに10進法の貨幣制度を採用し、下記の11種類の金貨・銀貨が発行されることとなります。
- 3セント銀貨
- 5セント銀貨
- 10セント銀貨
- 25セント銀貨
- 50セント銀貨
- 1ドル金貨
- 2.5ドル金貨
- 5ドル金貨
- 10ドル金貨
- 20ドル金貨
現在のアメリカでは、1セント、 5セント、 10セント、25セント、50セント、 1ドルの6種類の硬貨が流通していますが、50セント、1ドルの硬貨はほとんど使われていないようです。
また、一般的には使用されずコレクター向けのコインに採用される50ドルや100ドルの硬貨も存在します。
アメリカ金貨6選!代表的なコインを紹介
それでは、アメリカで発行された代表的な金貨を6つ見ていきましょう。
- セントゴーデンス (ダブルイーグル) 20ドル金貨 1922年
- リバティヘッド 10ドル金貨 1893年
- パナマパシフィック博覧会 八角形タイプ 50ドル金貨 1915年
- イーグル 自由の女神 50ドル金貨 1987年
- バッファロー インディアンヘッド 50ドル金貨 2006年
- セントゴーデンス ウルトラハイレリーフ 20ドル金貨 2009年
セントゴーデンス (ダブルイーグル) 20ドル金貨 1927年
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1927年 |
額面 | 20ドル |
グレード | MS64 |
直径 | 34mm |
重量 | 33.43g |
品位 | K21.6 |
発行枚数 | 2,946,750枚 |
状態 | UNC+ |
セント・ゴーデンズ金貨は、彫刻家のオーガスタス・セント=ゴーデンズ氏によってデザインされた金貨のことで、作者である彫刻家の名前がコインの通称として定着しています。
ダブルイーグルとも呼ばれるこちらの金貨は、アメリカ造幣局により1907年から1933年まで鋳造・発行された約100年前の通貨です。
アメリカの金貨の中でも完成度が高く美しいコインといわれており、彫刻家の名前をコインの名称として後世に伝わることが納得できる金貨といえるでしょう。
セントゴーデンズ金貨の購入はこちら
リバティヘッド 10ドル金貨 1893年
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1893年 |
額面 | 10ドル |
グレード | MS63 |
直径 | 26mm |
発行枚数 | 1,840,895枚 |
状態 | UNC |
リバティヘッド金貨は、13個の星に縁取られるリバティキャップと呼ばれる冠を被った自由の女神を描いた10ドル金貨です。
額面に「TEN DOLLARS」と刻印されているタイプと「TEN D.」と刻印されているタイプがあり、こちらの金貨は後者です。
その他にも「IN GOT WE TRUST」の刻印がないタイプもあり、発行期間と発行枚数の長い金貨ですが、コインによって違いがあります。
同じコインでも複数の種類をコレクションして違いを比べたくなる金貨となっています。
パナマパシフィック博覧会 八角形タイプ 50ドル金貨 1915年
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1915年 |
額面 | 50ドル |
グレード | MS63 |
直径 | 45mm |
重量 | 83.59g |
品位 | 金90% 銅10% |
発行枚数 | 645枚 |
状態 | UNC+(未使用) |
パナマ運河開通を記念してパナマパシフィック博覧会を開催した際にアメリカ政府は記念通貨を発行し、その内の一つが50ドル八角型金貨です。
50ドル金貨は、八角形の物と丸型の物があり、それぞれ、サンフランシスコの彫刻家ロバート・エイトケンがデザインしています。
ギリシャ神話のアテナ神と同一視されているローマ神話の女神ミネルヴァを表面に配し、裏面には知恵の象徴・フクロウが描かれています。
当時、コインの買い手を新聞広告で募集しましたが、八角型金貨は645枚しか発行されていないアメリカのコインの中でも収集難度の高い最高レベルに希少な金貨です。
こちらのコインには特集ページがあります。詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
イーグル 自由の女神 50ドル金貨 1987年
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1987年 |
額面 | 50ドル |
グレード | PR70 Deep Cameo |
直径 | 32.7mm |
重量 | 33.93g |
品位 | 0.9167 |
発行枚数 | 147,498枚 |
状態 | Proof FDC(完全未使用) |
イーグル金貨は、かつてアメリカで発行されていた10ドル金貨でしたが、1986年以降から地金型金貨として発行されています。
この金貨は大きく分けて2種類あり、1986~1991年発行で年号がローマ字表記の金貨と1992年~現在までのアラビア年号表記の金貨の2種類に分けられるのが特徴です。
その中でも、1986~1991年発行のものは、年度表記が異なり同じ金貨でも楽しめる一面があります。
表面には自由の女神が彫られ、裏面にはイーグル金貨という言葉通りイーグル(白頭鷲)がデザインされています。
金含有量は1オンス(31.1035.g)であり、金相場が上がるにつれてコインの価格も上がっていくので、金投資による資産防衛に利用されるコインです。
バッファロー インディアンヘッド 50ドル金貨 2006年
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1987年 |
額面 | 50ドル |
グレード | Proof FDC |
直径 | 32mm |
重量 | 31.1g |
品位 | 99.99% |
発行枚数 | 246,267枚 |
状態 | 完全未使用 |
2006年~2011年まで発行されたバッファロー(アメリカバイソン)金貨であり、インディアンヘッド金貨とも呼ばれることがあります。
バッファローはアメリカの歴史において重要な動物であり、かつての白人は先住民を支配下に置くために食料となるバッファローを大量虐殺しました。
その結果、バッファローは絶滅の危機に瀕することになりますが、保護活動により数は回復し、2016年にバラク・オバマ大統領によりバッファローは国獣に指名されました。
彫刻家ジェームズ・アール・フレイザーの手掛けるバッファローは、アメリカコインの中でもトップクラスに優れたデザインといわれています。
また、表面のインディアンの肖像はスー族の酋長アイアン・テイルとシャイアン族の酋長ツー・ムーンズがモデルとされる架空の人物です。
セントゴーデンス ウルトラハイレリーフ 20ドル金貨 2009年
発行国 | アメリカ |
発行年 | 2009年 |
額面 | 20ドル |
グレード | MS69 |
直径 | 27mm |
重量 | 31.1g |
品位 | 0.999 |
発行枚数 | 114,427枚 |
状態 | FDC(完全未使用) |
こちらはセントゴーデンスのダブルイーグルのウルトラハイレリーフ金貨であり、2009年の1年間のみの発行の稀少性の高い20ドル金貨です。
彫の深いデザインで、一家庭一個の購入しか許されず、同住所に2セット送る注文は全てキャンセルされました。
レリーフにより、表面の自由の女神立像や裏面のイーグルが浮かびあがることで立体感のあるコインとなっています。
アメリカでおすすめの3種類の銀貨
アメリカの銀貨は発行されてから年月が経っていないので希少性が低いものも多く、金価格の上昇の恩恵を得られないことから金貨よりも価値が高まりにくいため、資産防衛などに利用するなら地金型の金貨を推奨します。
しかし、安い価格でアメリカのコインを気軽に購入できるので、欲しいコインがあれば購入してみるのもいいかもしれません。
今回は、比較的購入価格の安くお求めやすいおすすめのアメリカの銀貨を3つ紹介します。
- イーグル 自由の女神 1ドル銀貨 2020年
- モルガンダラー(リバティコイン) 1ドル銀貨 1921年
- ジョージ・ワシントン 50セント銀貨 1982年
イーグル 自由の女神 1ドル銀貨 2020年
発行国 | アメリカ |
発行年 | 2020年 |
額面 | 1ドル |
グレード | - |
直径 | 31.10mm |
重量 | 40.60g |
品位 | 0.999 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | - |
こちらは先ほど紹介したイーグルコインの1ドル銀貨であり、自由の女神とイーグルが描かれています。
アドルフ・ワインマンにより描かれた自由の女神は、月桂樹とオークの枝を抱いて、星と縞模様のドレープをたなびかせる躍動感のあるデザインであり、裏面はイーグルが法の盾を掲げ、自由を守る姿が描かれています。
安価でイーグルコインを購入するなら銀貨から選ぶのもおすすめです。
1ドル銀貨の種類について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
1ドル銀貨の価値は? おすすめのコインと購入・買取方法を紹介
モルガンダラー(リバティコイン) 1ドル銀貨 1921年
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1921年 |
額面 | 1ドル |
グレード | - |
直径 | 38.1mm |
重量 | 26.73g |
品位 | 銀90.0%, 銅10.0% |
発行枚数 | 不明 |
状態 | - |
モルガンダラーは、セントゴーデンスと同様にジョージ・T・モルガンがデザインした彫刻家の名前が通称となったコインのことを指します。
こちらの銀貨は別名リバティコインであり、自由の女神の美しい横顔と裏面にはイーグルが描かれています。
銀貨は金貨よりも安価で購入できる反面、価値が高まりにくいと説明しましたが、モルガンダラー銀貨に関してはコレクターにもファンが多く、1895年に発行された希少価値の高いフィラデルフィアコインであれば数百万円で取引されるほどの価値を持ちます。
ジョージ・ワシントン 50セント銀貨 1982年
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1982年 |
額面 | 50セント |
グレード | - |
直径 | 30.6mm |
重量 | 12.5g |
品位 | 900 silver |
発行枚数 | 不明 |
状態 | - |
ジョージ・ワシントンは、アメリカの初代大統領であり、建国の父とも呼ばれアメリカ合衆国という国を成立させた人物です。
騎乗し正面を向いたワシントン大統領の肖像とホワイトハウスが描かれています。
アメリカの銀貨は描かれる対象は少なく今回の紹介で代表的な対象は網羅していますが、通貨の種類や発行年によってデザインが異なるのでワシントン大統領の銀貨の他のパターンも並べてみると楽しいですよ。
アメリカのアンティークコインでよくある質問
最後に、アメリカのアンティークコインでよくある質問をまとめました。
- アメリカコインにおける地金型金貨とは?
- アメリカの金貨・銀貨の偽物を見分け方は?
- アメリカコインの買取を依頼するならどこ?
アメリカコインにおける地金型金貨とは?
地金型金貨とは、投資用に発行される金貨のことであり1979年に初めて流通が始まったといわれています。
今回紹介したアメリカコインは地金型金貨が多く、地金型金貨はコインの希少価値が認められない場合でも地金価格による担保があるので購入時より金価格が上昇していれば、高値での買取も期待可能です。
反対に収集型金貨は、記念コインなど限定的に発行された希少価値の高いコインのことを指し、金による価値の数倍から数十倍になることもあります。
アメリカのコインは一部の限定コインを除いて、歴史が浅く古くて現存数の少ないコインが存在しないため、イギリスやフランスのコインと比較すると収集型金貨よりも地金型金貨が多いため、金価格の上昇を期待したアンティークコイン投資を考えている方におすすめです。
アメリカコインの金貨・銀貨の偽物を見分け方は?
アメリカの金貨・銀貨は大量に発行されていますが、偽物の報告も多く確認されています。
メッキ加工しかされていない粗悪な偽物や、そもそも本物のデザインと差異があるならよく見比べれば知識がなくても偽物を見分けられるかもしれません。
しかし、精巧な贋作を偽物であると見分けることは、個人ではコインに対してある程度知識を持っている人でも難しいため、どの贋作に対しても通用する確実な見分け方は存在しません。
よって、アンティークコインや、コインを利用した投資に興味を持った方が安全に金貨・銀貨を購入するなら、個人が出品できるオークションサイトではなく信頼できる業者を通して購入することが重要になります。
コインの取扱業者である当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」では、数々のアメリカコインを扱ってきた実績があり、コインの真贋保証も行っています。
アメリカコインの買取を依頼するならどこ?
地金型金貨を含めたアメリカコインの買取依頼も当サイトで承ります。
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まとめ
アメリカコインは種類はけっして多くありませんが、動物や優れた彫刻家のコインに発行年によってもデザインや彫り方にも違いがあることからアンティークコイン収集家からも人気のあるテーマです。
ただし、発行されてからそれほど時間が経っておらず、発行枚数も多いコインは、金価値の上昇以外に価値が高まることが期待できない金貨もあります。
資産運用を目的に購入する場合は地金型金貨であるのか、収集型金貨であるのかコインの性質を考えて投資するようにしましょう。