アメリカ銀貨にはさまざまな種類がありますが、多くの銀貨がアメリカの象徴である自由の女神とハクトウワシを描いたデザインが多いです。
ジョージ・T・モルガン氏をはじめとするコインのデザインを手掛ける彫刻が評価されており、希少価値の高い銀貨であれば、高額落札事例も生まれるほど人気を集めています。
この記事では、アメリカ銀貨の種類を一覧形式で紹介し、3つの特徴についても解説します。
アメリカの金貨についてはこちらの記事をチェックしてください。
アメリカ金貨の種類を一覧形式で紹介 コインの価値についても解説
アメリカ銀貨の特徴について
まずは、アメリカ銀貨の特徴について見ていきましょう。
- 自由の女神とハクトウワシ
- デザインを手掛ける彫刻家に対する評価が高い
- 高額落札事例が存在する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自由の女神とハクトウワシ
アメリカ銀貨を象徴するデザインといえば、アメリカの象徴である自由の女神とアメリカの国鳥であるハクトウワシといえるでしょう。
イーグル銀貨をはじめとする自由の女神とハクトウワシのデザインは過去の1ドル銀貨に遡って、さまざまな彫刻家の解釈によって異なるデザインが描かれています。
アメリカはその成り立ちから、伝統とされる自由の女神とハクトウワシのデザインが描かれ続けているのです。
他に有名なアメリカ銀貨のデザインには、歴代の大統領が描かれた銀貨も発行されています。
デザインを手掛ける彫刻家に対する評価が高い
銀貨において、完成度の高いデザインを手がけた彫刻家は、アンティークコイン収集家をはじめに多くの人々から現在も評価されます。
アメリカ銀貨は、デザインの完成度が高いことからコイン収集家からも人気があり、彫刻家の知名度も高いことが特徴です。
ジョージ・T・モルガン氏の手掛けたリバティコインと呼ばれる1ドル銀貨は、モルガンダラーと呼ばれ、1ドル銀貨でありながら発行年や発行元の造幣局によっては高い希少性を持つことから、高い人気を集めるようになりました。
高額落札事例が存在する
アメリカ銀貨には、銀そのものの価値を大きく上回る高額落札事例を持つ希少性の高いコインも存在します。
代表的な例には、フローイング・ヘア・ダラー銀貨があり、見本として作られたこちらの銀貨が2013年に約12億円で落札され、当時のアンティークコインにおける最高落札価格を更新しました。
そのため、アメリカ銀貨でも価値に大きな差があり、種類によっては銀貨でありながら億を超える価値を持つこともあります。
ただし、上記の例は非常に希少価値の高い銀貨の場合であり、ほとんどのケースでは、銀そのものの価値を大きく上回ることはないので、高い価値の銀貨を求めるなら予算に余裕を持って厳選する必要があります。
アメリカ銀貨の価値について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
アメリカ銀貨の価値は? 買取価格を決定する3つのポイントをご紹介
アメリカ銀貨の種類を一覧形式で紹介
アメリカ銀貨の種類を一覧形式でまとめました。
- イーグル 1オンス銀貨
- ケネディコイン 50セント銀貨(ハーフダラー)
- モルガンダラー 1ドル銀貨(リバティコイン)
- ピースダラー 1ドル銀貨
- アイゼンハワー 1ドル銀貨
- フローイング・ヘア・ダラー 1ドル銀貨
それぞれ詳しく見ていきましょう。
イーグル 1オンス銀貨
概要 | 内容 |
発行国 | アメリカ |
発行年 | 2018年 |
額面 | 1ドル |
直径 | 40mm |
重量 | 31g |
品位 | 900/1000 |
現在のアメリカでトップクラスに有名な銀貨を挙げるなら、イーグル銀貨になります。
イーグル銀貨は、1986年から投資用コインとして発行された純銀に近い銀貨であり、アメリカ合衆国がその価値と品位を保証しているコインです。
アメリカを象徴する自由の女神とハクトウワシを描くのはアドルフ・A・ワインマンであり、複雑なデザインであることから一定の偽造防止効果が期待可能です。
完成度の高いデザインであることから、投資用銀貨でありながら多くのコイン収集家に親しまれています。
ただし、流通量が多過ぎることから、希少性はほとんどなく、基本的には銀そのものの価値で取引されています。
ケネディコイン 50セント銀貨(ハーフダラー)
概要 | 内容 |
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1964年 |
額面 | 50セント |
直径 | 30.61 mm |
重量 | 12.5g |
品位 | 900/1000 |
ハーフダラーとも呼ばれるこちらのコインは、アメリカの歴代の大統領の中でも高い人気を誇るジョン・F・ケネディがデザインされています。
特に1964年に発行されたケネディコインは銀の含有率が90%であることから、他のケネディコインよりも価値が高く、人気の高いコインです。
歴史的な背景から銀が高騰し、溶かすことで50セント以上の価値を持つようになったため、1965年以降は銀の含有率を下げ、プルーフで発行されている銀貨を除いて銀としての価値がありません。
そのため、1964年製のケネディコインは元の額面は50セントでありながら、買取の対象になるほど価値を持っています。
モルガンダラー 1ドル銀貨 (リバティコイン)
概要 | 内容 |
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1921年 |
額面 | 1ドル |
直径 | 38mm |
重量 | 26g |
品位 | 銀90.0%, 銅10.0% |
ジョージ・T・モルガンがデザインしたことからモルガンダラーと呼ばれるようになったコイン収集家の間でも人気のコインです。
1ドル銀貨としての流通は、1878年~1921年の間ですが、実質的に製造を中止されていた期間もあることから、発行年と製造元となる造幣局によっては高い価値を持つようになりました。
例えば、1895年にフィラデルフィアで発行されたことを示すミントマークが入っているモルガンダラーは非常に希少であったことから、1ドル銀貨でありながら数百万円の値がついたといわれています。
ピースダラー 1ドル銀貨
概要 | 内容 |
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1921年 |
額面 | 1ドル |
直径 | 38mm |
重量 | 26g |
品位 | 銀90.0%, 銅10.0% |
アメリカ合衆国・ドイツ・オーストリアの間で平和条約が調印され、第一次世界大戦の終結を記念してピースダラーと呼ばれるようになりました。
デザインは、メダル意匠家のアンソニー・デ・フランシシであり、製造期間は非常に短い1ドル銀貨でした。
1965年に作られた記録がありますが、すべて溶解されており、仮に1965年発行の銀貨が現存していたとしても法に触れる可能性があり、価値を付けることができない銀貨となっています。
アイゼンハワー 1ドル銀貨
概要 | 内容 |
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1972年 |
額面 | 1ドル |
直径 | 38mm |
重量 | 24g |
品位 | 400/1000 |
アイゼンハワー大統領の1ドル銀貨は、一般には白銅貨で流通しましたが、コレクター向けに銀貨も発行されています。
そのため、入手する場合は、材質が白銅貨であるか、銀であるかに気をつける必要があります。
アイゼンハワー大統領の銀貨と白銅貨の見分け方を含むアメリカ銀貨の見分け方について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
フローイング・ヘア・ダラー 1ドル銀貨
画像引用:https://www.pcgsasia.com/valueview/index?cid=721&specno=6051
概要 | 内容 |
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1794年 |
額面 | 1ドル |
直径 | 32.5mm |
重量 | 13.48g |
発行枚数 | 23,464 |
品位 | 90% SILVER, 10% COPPER |
アメリカ合衆国で初めて発行された1ドル銀貨であり、ロバート・スコットによってデザインされた試作的なコインです。
実際に発行されるまでに時間がかかり、発行されて間もなくドレープト・バスト・ダラーにデザインが変わったことから、ほとんど発行されることがなかった1ドル銀貨になります。
12億という値がついたのは、その中でも見本として鋳造された銀貨であり、それ以外の銀貨もオークションでは高価格で取引されています。
アメリカ銀貨の価値について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
アメリカ銀貨の価値は? 買取価格を決定する3つのポイントをご紹介
アメリカ銀貨に関するよくある質問
アメリカ銀貨に関するよくある質問をまとめました。
- 人気のアメリカ銀貨を教えてください
- アメリカ銀貨の購入・買取ができる場所は?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
人気のアメリカ銀貨を教えてください
現在の流通量だけでいえばイーグル銀貨が最も広く取引されており、コレクター人気が高い銀貨は1ドル銀貨のシリーズに集中しています。
アメリカの人気のアンティークコインについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
アメリカ アンティークコインの歴史と価値【8種類の金貨・銀貨】
アメリカ銀貨の購入・買取ができる場所は?
アメリカ銀貨の購入・買取ができる場所は、銀貨の種類によっても異なります。
イーグル銀貨などの投資用に発行されている銀貨は貴金属店になりますが、それ以外のアンティークコインと呼ばれる昔に発行された銀貨はコイン専門店を通して購入します。
アンティークコインの購入方法について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
まとめ
アメリカ銀貨の種類を一覧形式で紹介しましたが、気になる銀貨は見つかりましたか?
一部の銀貨は高額落札事例がありますが、基本的には安価で広くコレクターの間で取引されているのがアメリカ銀貨の特徴です。
コレクション目的ではなく、アンティークコイン投資を検討している場合は、アメリカ銀貨にこだわらず別のコインを検討するほうが良い可能性もあります。
アンティークコイン投資について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。