エストニアは、北欧にある1,500以上の島々からなる国であり、首都のタリンの市街は中世の街並みが保存されていることから世界遺産に認定されています。
バルト三国の一つであり、2004年にEUに加盟したことから現在ではユーロが使用されており、以前はクローン(EEK)が使用されていました。
ドイツの支配を受けていたことから当初はマルクが導入されており、一時期はソビエト・ルーブルに通貨が切り替えられたことがありましたが、アンティークコインではユーロに変更されるまでに使用されたクローンが流通しています。
この記事では、エストニアはどんな国であるかを解説し、過去の通貨の種類とアンティークコインを紹介します。
エストニアはどんな国? ~中世の街並みを思わせる首都とITを主要な産業とする~
面積(総計) | 45,226km2 |
通貨 | ユーロ(EUR) |
首都 | タリン |
言語 | エストニア語 |
主な宗教 | 無宗教、ロシア正教など |
主な民族 | エストニア人、ロシア人 |
隣接している国 | ロシア、ラトビア |
独立 | 1918年2月24日 |
エストニア共和国は、東にロシア、南にラトビアと国境を接し、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国を構成する国の一つです。
2004年にEUに加盟していることから、2011年から通貨はユーロが使用されており、国連も北ヨーロッパの国と分類しています。
首都タリンは、タリン歴史地区として世界遺産に認定されており、中世の面影が残る街並みが観光において高い人気を集めています。
情報通信業などITが主要な産業となっており、コミュニケーションツールのSkypeもエストニアで誕生しました。
ヨーロッパの中でも学力も高く、IT先進国といわれています。
デジタル化も非常に進んでおり、行政手続きのほとんどがオンラインで完結する電子政府という仕組みを取っています。
首都の街並みは中世の面影を残しながら、IT産業を主要とし新たな技術を積極的に取り入れる姿勢は、古いものを大事にしながらも発展に対して積極的な国といえるでしょう。
エストニアの歴史 ~他国の支配が続く中で再び独立してEUに加盟~
年号 | 内容 |
1918年 | エストニア共和国として独立を宣言 |
1940年 | ソビエト連邦に占領される |
1991年 | ソビエト連邦から再び独立し、国連に加盟する |
2004年 | 北大西洋条約機構と欧州連合に加盟する |
2011年 | 通貨をクローンからユーロに移行する |
エストニアはドイツ人の進出、スウェーデンに支配された時代、ロシアの統治などの時代を経て、1918年にエストニア共和国として独立を宣言しました。
一時的に独立が認められますが、ソビエト連邦によるバルト三国の占領が進み、1940年に占領されます。
再び独立するのは1991年のことであり、ソビエト連邦に独立の回復を認められた上で、同年に国連に加盟します。
その後は西欧諸国、北欧との関係性を強め、北大西洋条約機構と欧州連合に加盟しました。
2011年には独自通貨のクローンからEUの基軸通貨であるユーロに移行しています。
歴史的な背景から現在はエストニア人とロシア人でコミュニティが二分化されており、多くのエストニア人の反露感情が強いことから、国内に残留するロシア人との溝は深まるばかりです。
エストニアの過去の通貨の種類
エストニアでは、ユーロが流通する前は独自通貨のクローン(EEK)が流通していました。
補助単位はセントであり、スウェーデンやノルウェーで流通していたクローナ(corona)を語源としています。
エストニアで過去に流通していた通貨の種類を見ていきましょう。
硬貨
- 5セント(1996年に廃止)
- 1oセント
- 20セント
- 50セント
- 1クローン
紙幣
- 2クローン
- 10クローン
- 25クローン
- 100クローン
- 500クローン
5セント(1996年に廃止)
1996年に廃止された5セントの硬貨であり、国章の3匹のライオンが盾に並んだでデザインが特徴的です。
10セント
5セント硬貨と同じデザインの10セント硬貨であり、裏面に10の数字が刻まれています。
20セント
20セントもここまで紹介した通貨と同デザインとなっています。
50セント
エストニアにおける補助通貨単位の硬貨は全てデザインが一致しています。
1クローン
3頭のライオンを描くセントと共通のデザインに見えますが、ライオンを囲むように盾が描かれている点が異なります。
2クローン
表面は、エストニア出身の科学者であるカール・エルンスト・フォン・ベーアと、裏面にはタルトゥ大学を描いています。
10クローン
聖職者のヤコプ・フルト、裏面には タンメ=ラウリの樫の木が描かれています。
25クローン
作家のアントン・ハンセン・タンムサーレ、裏面にはタムサーレ博物館が描かれた25クローン紙幣です。
100クローン
表面に女性詩人のリディア・コイドゥラが描かれ、裏面には石灰岩の崖に波打つ様子が描かれています。
500クローン
エストニアの政治家であるカール・ロバート・ヤコブソン、裏面にはツバメが描かれた500クローン紙幣です。
エストニアのアンティークコイン ~おすすめの金貨・銀貨を紹介~
エストニアのアンティークコインを紹介していきます。
- エストニア 共和国建国90周年記念 50クローン金貨 2008年
- エストニア オリンピック 100クローン金貨 2004年
- エストニア クローン再導入10周年 100クローン金貨 2002年
- エストニア タルトゥ大学 2クローン銀貨 1932年
- エストニア ツバメ 10クローン銀貨 1992年
- エストニア 国立博物館 10クローン銀貨 2009年
エストニア 共和国建国90周年記念 50クローン金貨 2008年
概要 | 内容 |
発行国 | エストニア |
発行年 | 2008年 |
額面 | 50クローン |
直径 | 22mm |
重量 | 8.64g |
発行枚数 | 5,000枚 |
品位 | 999/1000金 |
エストニア共和国の建国90周年を記念して発行された50クローン金貨です。
表面にはエストニアの国章をそのまま描いており、国章の外には枝を描いています。
裏面には額面と共に風車を描いており、装飾の少ないシンプルなデザインです。
エストニア オリンピック 100クローン金貨 2004年
概要 | 内容 |
発行国 | エストニア |
発行年 | 2004年 |
額面 | 100クローン |
直径 | 22mm |
重量 | 7.78g |
発行枚数 | 5,000枚 |
品位 | 999/1000金 |
アテネオリンピックを記念して製造された2004年の100クローン金貨です。
オリンピックを象徴するリングと聖火がデザインされています。
エストニアで金貨が発行されるようになったのは2000年代前後であり、2011年にはユーロに移行していることから、クローンの記念金貨は珍しいものとなっています。
エストニア クローン再導入10周年 100クローン金貨 2002年
概要 | 内容 |
発行国 | エストニア |
発行年 | 2002年 |
額面 | 100クローン |
直径 | 22mm |
重量 | 7.76g |
発行枚数 | 2,000枚 |
品位 | 999/1000金 |
エストニアの独自通貨のクローンは、ロシアルーブルに置き換えられていた時代もありましたが、再導入から10周年を記念して金貨が発行されました。
他の金貨と比較して発行枚数が少なく希少な金貨となっています。
エストニアのクローン金貨の種類は少なく、近年に発行されたものはすべてユーロの金貨です。
エストニア タルトゥ大学 2クローン銀貨 1932年
概要 | 内容 |
発行国 | エストニア |
発行年 | 1932年 |
額面 | 2クローン |
直径 | 29.75mm |
重量 | 12g |
発行枚数 | 101,037枚 |
品位 | 500/1000銀 |
独立した1918年からソ連に占領されるまでに発行された2クローン銀貨です。
日本における東大の立ち位置にあるタルトゥ大学を描いており、大学の設立から300周年を記念しています。
1992年から再び発行されるクローンと過去のクローンは、オールドクローンと呼ぶことで差別化することがあります。
エストニア ツバメ 10クローン銀貨 1992年
概要 | 内容 |
発行国 | エストニア |
発行年 | 1992年 |
額面 | 10クローン |
直径 | 38.61mm |
重量 | 28.28g |
発行枚数 | 10,000枚 |
品位 | 925/1000銀 |
エストニアの動物コインであり、500クローン紙幣にも描かれていたツバメを彫った10クローンの記念銀貨です。
エストニアのコインでは珍しく直径38mmを超す大型であり、ツバメが大きく描かれています。
希少性はほとんど認められていませんが、アンティークコイン市場で一定の流通が確認できます。
エストニア 国立博物館 10クローン銀貨 2009年
概要 | 内容 |
発行国 | エストニア |
発行年 | 2009年 |
額面 | 10クローン |
直径 | 38.61mm |
重量 | 24.1g |
発行枚数 | 6,000枚 |
品位 | 999/1000銀 |
エストニア国立博物館をテーマにした10クローン銀貨です。
7つの角を持つ星の上に、7つの花弁を持つ花が描かれており、幾何学を思わせるデザインとなっています。
まとめ
エストニアは、歴史的に独立後も他国の支配を受けてきましたが、現在はEU加盟国としてIT事業を中心に進んだ技術を持っています。
現在はクローンからユーロに流通通貨が変更されており、記念コインもユーロで発行されています。
アンティークコインの金貨・銀貨の種類は限られていますが、他の国にはない独特なデザインのコインが多くあることが魅力です。