フィジーは、300以上の島によって形成された太平洋の島国であり、その中でも主にビチレブ島とバヌアレブ島に国民は暮らしています。
美しい海に囲まれていることから観光資源に恵まれており、砂糖の輸出などの産業と観光業が経済の基盤となっている国です。
使用されている通貨はフィジー・ドル(FJD)であり、現在ではデザインが当時のイギリスの君主であるエリザベス2世から動物に置き換えられています。
この記事では、フィジーはどんな国であるかを解説し、独自通貨フィジー・ドルの種類とおすすめのアンティークコインを紹介します。
この記事のポイント
・イギリスの君主の肖像が描かれたフィジーの通貨の種類を紹介
・フィジーのおすすめのアンティークコインを金貨・銀貨に分けて紹介
フィジーはどんな国?~フィジー系と他の民族との分断による問題を抱える~
面積(総計) | 18,274km2 |
通貨 | フィジー・ドル(FJD) |
首都 | スバ |
言語 | 英語、フィジー語、ヒンドゥスターニー語 |
主な宗教 | キリスト教、ヒンズー教 |
主な民族 | フィジー系、インド系 |
独立 | 1970年10月10日 |
フィジーは、南太平洋の約330の島やサンゴ礁からなる国であり、オセアニアのうちメラネシアに位置します。
1970年にイギリスの植民地から独立し、1987年には共和制に移行してイギリス連邦も脱退していますが、その後も加入と脱退を繰り返しました。
イギリス連邦から脱退しているにもかかわらず、通貨にはエリザベス2世の肖像が描かれていましたが、2013年以降に発行された紙幣ではデザインが動物に置き換えられています。
フィジーは先住民であるフィジー系の民族と、イギリスの植民地時代に移住したインド系の民族が暮らしています。
フィジー系の民族のほぼ100%がキリスト教を信仰するのに対して、インド系の民族はヒンズー教を信仰するなど、民族間の分断があります。
フィジー系の民族を優遇する政策を取る政権、経済を実質的に支えている他の民族との融和路線を取る政権が繰り返されており、後者が政権を取るとクーデターが発生する状況です。
主な輸出産業は砂糖であり、衣料等の輸出も行っていますが、近年では設備の老朽化が問題視されているようです。
そのため、フィジーの主要産業は綺麗な海に囲まれた土地であることから観光資源に溢れているため、観光業を中心にフィジーの経済を支えています。
フィジーの歴史 ~イギリスの植民地化によりサトウキビの栽培を行う~
年号 | 内容 |
1643年 | アベル・タスマンが北部に上陸 |
1774年 | ジェームズ・クックが南部に上陸 |
1867年 | 最初のフィジー・ドルが発行される |
1874年 | イギリスの植民地となり、インド人を強制的に移民させる |
1913年 | アポロシ・ナワイによってフィジー系住民の民族運動が盛んになる |
1970年 | 英連邦王国として独立する |
1987年 | 共和制に移行し、英連邦から離脱 |
フィジーの先住民が島に住み始めたのは約8,000年前といわれており、1643年にはアベル・タスマンが北部に上陸し、1774年にはジェームズ・クックが南部に上陸しました。
1867年に現在の独自通貨であるフィジー・ドルが初めて発行されますが、1874年にイギリスの植民地になった影響で現在使用されているフィジー・ドルは1969年から発行を開始しています。
イギリスは植民地化によりフィジーをサトウキビ栽培のプランテーションにするために植民地化したインドから労働力として民族を強制移民にしました。
インドの人々は過酷で劣悪な労働環境の中で働かされ、1920年には移民が停止されますが、移民させられたインド系の労働者はフィジーに定住します。
現在のフィジーの民族間の問題は、労働力とするインド人の強制移民にあり、1913年からフィジー系の先住民の権利を守るための民族運動は盛んでした。
1970年にイギリス連邦の国として独立を果たしますが、1987年に共和制に移行し、イギリス連邦を脱退。
その後も再加入と脱退を繰り返しており、政権が変わるたびにクーデターが発生することもある不安定な内情が続いています。
フィジーの独自通貨の種類
現在のフィジーの通貨はフィジー・ドルであり、イギリス領の時代の英ポンドから移行する形で導入されました。
補助単位はセントであり、1フィジー・ドル=100セントで発行されています。
イギリス連邦の加盟国であることから、かつてはエリザベス2世の肖像が描かれていましたが、現在では動植物に置き換えられています。
フィジーの独自通貨の種類を見ていきましょう。
硬貨
- 5セント(キツネアイゴ)
- 10セント(フィジーオオコウモリ)
- 20セント(カカ)
- 50セント(コブダイ)
- 1フィジー・ドル(イグアナ)
- 2フィジー・ドル(ハヤブサ)
紙幣
- 5フィジー・ドル(インコ)
- 10フィジー・ドル(ベリ)
- 20フィジー・ドル(ウミドリ)
- 50フィジー・ドル(タンギモウジア)
5セント(キツネアイゴ)
2009年に再びフィジーがイギリス連邦から除名された際に、5セント硬貨のエリザベス2世の肖像はキツネアイゴと呼ばれる海水魚の置き換えられました。
裏面のデザインは変わらずフィジーの伝統的な太鼓である「ラリ」が描かれます。
10セント(フィジーオオコウモリ)
表面に描かれるフィジーオオコウモリはフィジーに生息するフルーツコウモリの一つであり、裏面にはフィジーの伝統的な投てき用のクラブが描かれています。
20セント(カカ)
カタブ島とオノ島の固有の鳥であるカカと、儀式の贈り物として使用されるマッコウクジラの歯を使用した装飾品が描かれています。
50セント(コブダイ)
コブダイが描かれた裏面には、カマカウと呼ばれるフィジー固有のカヌーが描かれています。
1フィジー・ドル(イグアナ)
イグアナと地元の陶器の水筒であるサカモリを描いた1フィジー・ドルの硬貨です。
2フィジー・ドル(ハヤブサ)
ハヤブサの正面像と、伝統的な贈呈式で使用される深い木製のボウルであるタノアを描いています。
5フィジー・ドル(インコ)
フィジーの紙幣もエリザベス2世の肖像から動物に置き換えられており、クラワイと呼ばれるインコが描かれています。
裏面はマシラトゥの花とイグアナが描かれたデザインです。
10フィジー・ドル(ベリ)
べリという種類の魚が描かれた10フィジー・ドルの紙幣です。
20フィジー・ドル(ウミドリ)
20フィジー・ドル紙幣には、カカウニガウと呼ばれる海鳥が描かれています。
50フィジー・ドル(タンギモウジア)
タンギモウジアの花を描いた50フィジー・ドルの紙幣です。
フィジーのアンティークコイン~おすすめの金貨・銀貨~
フィジーのアンティークコインを金貨・銀貨に分けて紹介します。
- エリザベス2世 アトランタ ホッケー 50フィジー・ドル金貨 1996年
- エリザベス2世 カコバウ王 100フィジー・ドル金貨 1975年
- タイマイタクガメ 200フィジー・ドル金貨 2013年
- ジョージ6世 1フローリン銀貨 1941年
- アマガエル 2フィジー・ドル銀貨 2018年
- コイ 1フィジー・ドル銀貨 2023年
エリザベス2世 アトランタ ホッケー 50フィジー・ドル金貨 1996年
概要 | 内容 |
発行国 | フィジー |
発行年 | 1996年 |
額面 | 50フィジー・ドル |
直径 | 25mm |
重量 | 7.776g |
発行枚数 | 3,000枚 |
品位 | 583/1000金 |
1996年のアトランタ ホッケーオリンピックの開催を記念してフィジーで発行された50フィジー・ドル金貨です。
表面にはエリザベス2世の肖像が描かれており、裏面には2人のホッケー選手が描かれています。
金の含有率は58.3%と純度が低いですが、発行枚数は限られています。
エリザベス2世のアンティークコインについてはこちらの記事をチェックしてください。
エリザベスコインの種類は? 金貨・銀貨に分けて代表的なコインを紹介
エリザベス2世 カコバウ王 100フィジー・ドル金貨 1975年
概要 | 内容 |
発行国 | フィジー |
発行年 | 1975年 |
額面 | 100フィジー・ドル |
重量 | 31.3g |
発行枚数 | 3,179枚 |
品位 | 500/1000金 |
カコバウ王とは、19世紀にフィジーを支配していた王でしたが、1874年にイギリスに支配権を譲渡しています。
ヤングタイプのエリザベス2世の肖像に、カコバウ王の正面像が描かれた金貨です。
過去のフィジーを象徴する金貨であり、フィジーのアンティークコインの中でも多くの流通が見られます。
タイマイタクガメ 200フィジー・ドル金貨 2013年
概要 | 内容 |
発行国 | フィジー |
発行年 | 2013年 |
額面 | 200フィジー・ドル |
直径 | 40.5mm |
重量 | 31.1g |
品位 | 999/1000金 |
タイマイタクガメはウミガメの種類の一つであり、海に囲まれたフィジーに合った動物コインです。
英連邦から脱退した後の金貨であるためフィジーの国章、裏面には2匹のタイマイタクガメが描かれています。
先ほど紹介した金貨とは異なり、純金で製造された品位の高い金貨となります。
ジョージ6世 1フローリン銀貨 1941年
概要 | 内容 |
発行国 | フィジー |
発行年 | 1941年 |
額面 | 1フローリン |
直径 | 28.5mm |
重量 | 11.31g |
発行枚数 | 20,000枚 |
品位 | 500/1000銀 |
フィジーのイギリス植民地時代に発行されていたジョージ6世の1フローリン銀貨です。
表面に王冠を被ったジョージ6世の左向き肖像、裏面に縦の紋章が描かれています。
ジョージ6世のアンティークコインはこちらの記事で紹介しています。
ジョージ6世のおすすめコイン4選! その歴史を5つの章に分けて解説
アマガエル 2フィジー・ドル銀貨 2018年
概要 | 内容 |
発行国 | フィジー |
発行年 | 2018年 |
額面 | 2フィジー・ドル |
直径 | 38.6mm |
重量 | 28.28g |
発行枚数 | 2,000枚 |
品位 | 925/1000銀 |
フィジーの2ドル銀貨であり、フィジーでは非流通の限定コインでも動物コインを発行しています。
葉っぱの上で休むアマガエルの姿を描いた銀貨です。
発行枚数は2,000枚と限られた枚数となっています。
コイ 1フィジー・ドル銀貨 2023年
概要 | 内容 |
発行国 | フィジー |
発行年 | 2023年 |
額面 | 1フィジー・ドル |
直径 | 39mm |
重量 | 31.1g |
発行枚数 | 15,000枚 |
品位 | 999/1000銀 |
こちらはフィジーで発行されたコイを特徴的なデザインにした1フィジー・ドルの限定銀貨です。
陰陽玉を思わせるようにコイが上下逆さに配置されています。
アメリカのアリゾナ州のスコッツデール造幣局で製造されています。
まとめ
フィジーは、植民地時代の影響からフィジー系の先住民と移民としてやってきたインド系の他の民族との分断が長らく続いている国です。
フィジー・ドルはイギリスを独立してから発行されており、当初はエリザベス2世の肖像が描かれていましたが、現在は描かれていない状況です。
アンティークコインにおいても同様であり、イギリスの植民地時代・独立してから2013年まではイギリスの君主の肖像が確認できますが、その後は君主を動物に置き換えるか、フィジーの国章が描かれています。