フィンランドは、国土の75%が森林で覆われた自然豊かな国であり、スカンディナビア半島で最も東に位置します。
ロシアとスウェーデンと国境を接しており、その歴史の中で国としてのあり方は大きく変化していきました。
フィンランドではEUに加盟していることからユーロが通貨として使用されていますが、かつては旧通貨のマルカが使用されてきました。
この記事では、フィンランドはどんな国であるか歴史を含めて解説し、旧通貨マルクの種類とおすすめのアンティークコインを紹介します。
この記事のポイント
・フィンランドで使用されていた旧通貨マルカとアンティークコインを紹介
フィンランドはどんな国? ~自然豊かな環境で世界幸福度ランキングでは1位~
面積(総計) | 338,431km2 |
通貨 | ユーロ(EUR) |
首都 | ヘルシンキ |
言語 | フィンランド語、スウェーデン語 |
主な宗教 | キリスト教、ロシア正教会 |
主な民族 | フィン人、スウェーデン人 |
隣接する国 | ノルウェー、スウェーデン、ロシア、エストニア |
建国 | 1809年9月17日(フィンランド大公国) |
フィンランド共和国は、北欧に位置する共和制国家であり、北はノルウェー、西はスウェーデン、東はロシア、南はフィンランド湾を挟んでエストニアと国境を接しています。
国土の約75%が森林で覆われており、世界最大の群島エリア、ヨーロッパ最大の湖沼地帯がある自然豊かな国です。
日本でも広く知られている「ムーミン」シリーズの世界のモデルであり、サンタクロース村がある場所としても知られています。
社会保障制度が充実する福祉国家であり、子育て支援を中心に支援に手厚く、生活水準は高いです。
世界幸福度ランキングでは連続して1位であり、最も幸福な国といわれています。
産業は森林資源を活かした製紙を基幹としており、金属・機械産業、情報通信産業で構成されています。
また、閣僚の半数も女性であることから女性の社会進出が進んでいる国であり、子育て支援との両立を含めて日本の現状に対して引き合いに出されることも多々ある国です。
フィンランドの歴史 ~国体の短期的な変化とソビエト連邦との冬戦争~
年号 | 内容 |
1809年 | フィンランド大公国が建国される |
1860年 | 独自通貨のフィンランド・マルカを導入 |
1917年 | ロシア革命に乗じて独立を宣言、フィンランド王国の成立 |
1918年 | 君主制の廃止と共和制憲法が制定され、フィンランド共和国が成立 |
1940年 | ソビエト連邦の間で冬戦争を開始 |
1994年 | 欧州連合(EU)に加盟 |
2002年 | ユーロが導入 |
1581年、スウェーデン王国が宗主国となる形でフィンランド公国が建国されますが、フィンランドに植民するスウェーデン人が中心であり、当時大国であったスウェーデンに取り込まれている状況にありました。
1809年、ナポレオン戦争によりスウェーデンが敗北するとロシアのアレクサンドル1世はフィンランド大公国を建国し、今度はロシアに取り込まれることになります。
旧通貨であるフィンランド・マルクは1860年に導入されました。
第一次世界大戦末期の1917年に独立を宣言し、フィンランド王国が成立しますが、翌年の1918年には君主制の廃止によりフィンランド共和国が成立します。
上記の歴史からフィンランドは国としてのあり方が短期間で大きく変化した国といわれています。
1940年、ソビエト連邦との不可侵条約を一方的にソビエト連邦が破棄し、冬戦争に突入します。
冬戦争で活躍したのがフィンランドの英雄、ソビエト側からは白い死神と恐れられたスナイパーのシモ・ヘイヘであり、世界史においても史上最多の射殺数を記録しました。
シモ・ヘイヘは、重大な負傷を負ったことで戦死したとされましたが、葬式の最中に生きていることが判明し、自らが守ったロシアとの国境線の街、ルオコラハティで2002年(96歳)まで生きて天寿を全うしました。
1994年にフィンランドは欧州連合(EU)に加盟し、2002年にユーロが導入されたことで独自通貨のフィンランド・マルクは役割を終えます。
フィンランドの旧通貨マルカの種類
フィンランドの旧通貨であるフィンランド・マルカ(FIM)は、1860年~2002年まで流通していた通貨です。
補助単位はペンニであり、ドイツの通貨であるマルク、ペニヒを語源としています。
硬貨
- 10ペンニ
- 50ペンニ
- 1マルカ
- 5マルカ
- 10マルカ
紙幣
- 10マルカ
- 20マルカ
- 50マルカ
- 100マルカ
- 500マルカ
- 1000マルカ
フィンランドの硬貨の種類
10ペンニ
50ペンニ
1マルカ
5マルカ
10マルカ
額面 | デザイン |
10ペンニ | スズランの花、ミツバチの巣 |
50ペンニ | クマ、スギゴケ |
1マルカ | フィンランド国章 |
5マルカ | アザラシ、トンボ |
10マルカ | ライチョウ、ナナカマド |
1990年以前に発行されていた硬貨はどれもフィンランド国章と額面が描かれたシンプルなデザインでしたが、1990年から2002年の発行終了までの硬貨はデザインの種類が豊富です。
クマ、アザラシ、ライチョウなどの動物、スギゴケやナナカマドなどの植物が描かれていることが特徴となっています。
フィンランドの紙幣の種類
10マルカ
20マルカ
50マルカ
100マルカ
500マルカ
1000マルカ
額面 | デザイン |
10マルカ | 陸上選手のパーヴォ・ヌルミ、トラック |
20マルカ | 作家のヴァイノ・リンナ、タンペレの街 |
50マルカ | 建築家のアルヴァ・アールト、フィンランディア・ホール |
100マルカ | 作曲家のジャン・シベリウス、オオハクチョウ |
500マルカ | 学者のエリアス・リョンロート、湖水地方のプンカハリュ |
1000マルカ | 政治家のアンダース・シデニウス、スオメンリンナの海上要塞 |
フィンランド人デザイナーのトルステン・エクストロームとエリック・ブルーンによってデザインされました。
表面にはフィンランドの文化人の肖像を描き、裏面はフィンランド国内の風景をモチーフとしています。
フィンランドのアンティークコイン ~おすすめの金貨・銀貨~
フィンランドのアンティークコインでおすすめの金貨・銀貨を紹介していきます。
- ニコライ2世 20マルカ金貨 1913年
- 共和国 200マルカ金貨 1926年
- 国立バレエ団100周年 100ユーロ金貨 2022年
- ニコライ2世 1マルカ銀貨 1915年
- スネルマン 1,000マルカ銀貨 1960年
- 気候研究記念 20ユーロ銀貨 2022年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ニコライ2世 20マルカ金貨 1913年
概要 | 内容 |
発行国 | フィンランド |
発行年 | 1913年 |
額面 | 20マルカ |
直径 | 21.3mm |
重量 | 6.45g |
発行枚数 | 214,000枚 |
品位 | 900/1000金 |
ロシアから独立する前にニコライ2世の治世下で発行されていた20マルカ金貨です。
フィンランド大公国の紋章であり、ロシア帝国の象徴である双頭の鷲が描かれており、裏面には額面が刻印されています。
発行枚数の多さからフィンランドのアンティークコインの中でも広く流通しています。
共和国 200マルカ金貨 1926年
概要 | 内容 |
発行国 | フィンランド |
発行年 | 1926年 |
額面 | 200マルカ |
直径 | 22.5mm |
重量 | 8.42g |
発行枚数 | 50,000枚 |
品位 | 900/1000金 |
共和国時代のフィンランドで発行された200マルカ金貨であり、1926年にしか発行されていないことから発行枚数は少なくなっています。
フィンランドの国章であるライオン像が描かれており、かつてのスウェーデン国王のグスタフ1世の紋章からデザインされています。
20マルク金貨と比較して重量は変わりませんが、発行枚数の少なさからオークションでは200マルク金貨のほうが高値で取引されることが多いです。
国立バレエ団100周年 100ユーロ金貨 2022年
概要 | 内容 |
発行国 | フィンランド |
発行年 | 2022年 |
額面 | 100ユーロ |
直径 | 22mm |
重量 | 5.65g |
発行枚数 | 950枚 |
品位 | 900/1000金 |
フィンランド国立バレエ団が創立100周年を迎えたことを記念して発行された100ユーロ金貨です。
1922年に初めて上演された代表的な演目である白鳥の湖は、フィンランドで初めて上映されたバレエです。
発行枚数はわずか950枚と希少なコインとなっています。
ニコライ2世 1マルカ銀貨 1915年
概要 | 内容 |
発行国 | フィンランド |
発行年 | 1915年 |
額面 | 1マルカ |
直径 | 24mm |
重量 | 5.18g |
発行枚数 | 1,212,000枚 |
品位 | 868/1000銀 |
20マルカ金貨と同様にニコライ2世のロシア帝国の時代に発行された1マルカ銀貨です。
円の中の紋章と囲むように刻まれた刻印、花輪の中に額面が描かれています。
発行枚数の多さからフィンランドを代表するアンティークコインの銀貨です。
スネルマン 1,000マルカ銀貨 1960年
概要 | 内容 |
発行国 | フィンランド |
発行年 | 1960年 |
額面 | 1000マルカ |
直径 | 30mm |
重量 | 14g |
発行枚数 | 201,000 枚 |
品位 | 875/1000銀 |
ユーハン・ヴィルヘルム・スネルマンは、フィンランドの哲学者・政治家、啓蒙家であり、フィンランド人のナショナリティを目覚めさせるための道徳責任があるという考えを広めました。
フィンランド初の政党であるフェノマン党を結成しており、かつては100マルカ紙幣に肖像が使用されていたこともあります。
フィンランドでは5月1日をフィンランド文化遺産の日としており、スネルマンの日としています。
スネルマンの左向き肖像を描いた銀貨であり、発行枚数の多さからこちらのコインも広く流通しています。
気候研究記念 20ユーロ銀貨 2022年
概要 | 内容 |
発行国 | フィンランド |
発行年 | 2022年 |
額面 | 20ユーロ |
直径 | 38.6mm |
重量 | 25.5g |
発行枚数 | 1,500枚 |
品位 | 925/1000銀 |
フィンランドは特別な専門知識を持つことから気候研究において世界を牽引する存在であり、気候研究テーマにした記念銀貨を2022年に発行しました。
空気中に生成された小さな粒子、空気質測定器である枝分かれしたヒゲゴケを描いています。
発行枚数は1,500枚ですが、ナンバーが付けられた特別なコインをわずか100枚発行しています。
まとめ
フィンランドは、自然環境の豊かさを活かした産業、充実した社会保障が受けられることから、世界でも最も幸福な国として知られています。
しかし、かつての歴史は国としてのあり方が短期的に大きく変化しており、内戦や隣国との戦争により不安定な情勢が続いてきました。
アンティークコインはロシア帝国から独立する前に発行された金貨・銀貨が中心であり、近年でもバラエティ豊かなコインが発行されています。