ホーム コラム ギリシャのアンティークコインの歴史と価値【6種の金貨・銀貨】

公開日 2022.5.13更新日 2022.5.16

ギリシャのアンティークコインの歴史と価値【6種の金貨・銀貨】

ギリシャのコインは、ドラクマ金貨・銀貨などの古代コインがコレクターから注目されています。

古代ギリシャのコインはアッティカアテネのフクロウコインをはじめとする有名な硬貨も多いです。

この記事では、ギリシャの6種の金貨・銀貨を紹介し、古代ギリシャ時代のドラクマと現代に復活したドラクマ硬貨の歴史についても詳しく解説します。

ギリシャ コインの歴史

ギリシャ コイン

パルテノン神殿

ギリシャ共和国はヨーロッパ南東部にある国であり、エーゲ海とイオニア海に浮かぶ数千の島もギリシャが擁しています。

アンティークコインの世界では、現代のギリシャ共和国のコインよりも、古代ギリシャで発行されたドラクマをはじめとする聖書の貨幣が古代コインとして収集の対象となっています。

今回は古代ギリシャから使用されてきたドラクマ硬貨を中心とするギリシャの貨幣の歴史について解説します。

ドラクマは紀元前から使用されてきた聖書の貨幣

ドラクマ硬貨

ドラクマ(ダラクマ)は古代ギリシャで広く用いられてきた通貨と重さの単位であり、1ドラクマは現在のグラムに換算すると4.3gになります。

聖書にもつづられている貨幣であり、 『ルカの福音書15章8節』に記述があります。

マタイによる福音書』でイエス・キリストが神殿税としと取り出した銀貨もドラクマ銀貨であると考えられているのです。

ドラクマはギリシア語でつかむという意味の動詞のドゥラットーに由来し、手で金や銀などの金属をつかむイメージで名づけられました。

2ドラクマの価値を持つ貨幣をディドラクマ、4ドラクマの価値を貨幣をテトラドラクマと呼び、ドラクマ硬貨と同様に紀元前に流通しています。

ドラクマは古代ギリシャに限らず、長きに渡って広く流通した硬貨であり、現在のヨーロッパ諸国、アレキサンダー大王が統治した中東諸国でも広く使用されました。

ドラクマの6分の1の価値があるオボルス

オボルス

冥界の川を渡る様子

オボルスもドラクマと同様に貨幣・重量の単位であり、ドラクマの6分の1に相当する価値を持っていました。

こちらもディオオボルス(2オボルス)とトリオオボルス(3オボルス)に相当する貨幣があったといわれています。

オボルスは日本の六文銭のように冥銭として使用された通貨でもありました。

古代ギリシャでは、葬儀で死体の口に1オボルスを入れることで、ギリシャ神話の船の渡し守であるカローンに1オボルスを支払うことで、死者が冥界の川を渡ることができると考えられていました。

ギリシャ神話ではこの埋葬方法を行わなかった場合、川を渡ることが許可されるまで100年間、川の土手をさまようことになるそうです。

古代ギリシャでは冥銭の文化があり、オボルスは死者を弔うために使用されてきました

ギリシャの成立により復活したドラクマ硬貨

ギリシャ サントリーニ島

現代のギリシャ、サントリーニ島

古代ギリシャの時代に使用されてきたドラクマですが、1832年にギリシャが成立すると通貨単位として復活しました。

1868年にラテン通貨連盟に加盟したことにより、ドラクマの価値はフランスの1フランと同等であったようです。

しかし、1940年代のナチスドイツの占領による通貨はハイパーインフレーションを引き起こし、無価値に

現在のギリシャは欧州連合に加盟し、通貨はドラクマからユーロに切り替わっています。

ギリシャの希少性の高い金貨3選

紀元前のコインで金貨は珍しいですが、希少性の高い金貨を3種類紹介します。

  • アレクサンダー大王(女神アテナ) 2ステーター金貨 336-323BC
  • プトレマイオス8世(アルシノエ2世) オクタドラクマ金貨 170-116BC
  • ミュティレネ  1/8スターテルヘクテ金貨 478-521BC

アレクサンダー大王(女神アテナ) 2ステーター金貨 336-323BC

アレクサンダー大王(女神アテナ) 2ステーター金貨 336-323BC アレクサンダー大王(女神アテナ) 2ステーター金貨 336-323BC

発行国 古代ギリシャ
発行年 336-323BC
額面 不明
グレード AU
直径 23mm
重量 不明
品位 不明
発行枚数 不明
状態 EF(極美品)

古代ギリシャ、マケドニア王国で作られた女神アテナが描かれたアレキサンダー大王の金貨です。

裏面の勝利の女神ニケの右隣にギリシャ語で「AΛEΞANΔPOY(アレキサンドロス)」と書かれていることから、アレキサンダー大王の時代に作られたコインであることが分かります。

ただし、アレキサンダー大王は非常に影響力が高い王であったことから、死後も貨幣が発行されていたといわれています。

古代コインはすべてのコインのデザインに差異があり、こちらのコインであれば中心にうたれているほど価格が高くつきます。

しかし、ここまできれいな状態を保っている古代コインは、稀少価値が高くなる傾向にあります。

プトレマイオス8世(アルシノエ2世) オクタドラクマ金貨 170-116BC

プトレマイオス8世(アルシノエ2世) オクタドラクマ金貨 170-116BC プトレマイオス8世(アルシノエ2世) オクタドラクマ金貨 170-116BC

発行国 古代ギリシャ
発行年 336-323BC
額面 8ドラクマ
グレード AU
直径 27mm
重量 不明
品位 不明
発行枚数 不明
状態 UNC(未使用)

表面に描かれているアルシノエ2世は、プトレマイオス2世の妻であり、実の姉でもありました。

プトレマイオス朝エジプトの女王であり、クレオパトラ7世と並んで、プトレマイオス朝の女傑ともされており、外交や戦略など策をめぐらせることに長けていたと言われています。

多くの都市に自らの名をつけていることからも、権力を広く知らしめていました。

紀元前270年に亡くなりますが、死後は神格化され、多くのコインに描かれており、このコインも死後描かれたものとなります。

プトレマイオス8世の時代の金貨にもアルシノエ2世の肖像が描かれているのです。

裏面にコーヌコピア(コルヌコピア)が刻印されており、コーヌコピアは豊かさのシンボルとしてギリシャ神話に登場し、神々が人間に与えた贈り物の象徴でもあり、後に、あらゆるものの繁栄を意味するようになりました。

額面はオクタドラクマ金貨(8ドラクマ金貨)となっており、古代コインでは滅多にみることのないUNC(未使用)であることから稀少なコインとなります

ミュティレネ  1/8スターテルヘクテ金貨 521-478BC

ミュティレネ  1/8スターテルヘクテ金貨 BC478-521年 ミュティレネ  1/8スターテルヘクテ金貨 BC478-521年

発行国 古代ギリシャ
発行年 478-521BC
額面 不明
グレード
直径 不明
重量 2.57g
品位 不明
発行枚数 不明
状態

エーゲ海の東部に位置するレスボス島の首都ミュティレネで発行された小型金貨です。

表面には獅子の陽刻、裏面には牛の陰刻が彫られています。

紀元前のコインのなかでも高い芸術性を持つことから人気があります。

ギリシャのおすすめ銀貨3選

次に、ギリシャのおすすめ銀貨を3つ紹介します。

  • アッティカアテネ テトラドラクマ銀貨 415-407BC
  • ウミガメ スターテル銀貨 700-550BC
  • アレキサンダー大王(ヘラクレス)テトラドラクマ銀貨 324-320BC

アッティカアテネ テトラドラクマ銀貨 415-407BC

アッティカアテネ テトラドラクマ銀貨 415-407BC アッティカアテネ テトラドラクマ銀貨 415-407BC

発行国 古代ギリシャ
発行年 415-407BC
額面 不明
グレード 不明
直径 26mm
重量 不明
品位 不明
発行枚数 不明
状態 不明

アンティークコインの世界ではフクロウが刻印されたものをフクロウコインと呼び、ギリシャのドラクマ銀貨はフクロウコインの代表的な種類です。

この時代のコインはすべて1枚ずつハンマーで打たれているため、コインの形もデザインも1枚ごとに変わってきます。

コインの形や、羽が綺麗に打刻されているかどうかなど、同じコインであっても違いがありますので、見比べてみると面白いかもしれません。

ウミガメ スターテル銀貨 700-550BC

ウミガメ スターテル銀貨 700-550BC

発行国 古代ギリシャ
発行年 415-407BC
額面 不明
グレード 不明
直径 19mm
重量 不明
品位 不明
発行枚数 不明
状態 不明

古代ギリシャ、エギナ島で最初に発行された銀貨です。

表面にウミガメが彫られているのが特徴であり、裏面にはΑΙΓ (INA)の文字とイルカが描かれています。

アレキサンダー大王(ヘラクレス)テトラドラクマ銀貨 324-320BC

アレキサンダー大王(ヘラクレス)BC324-BC320 

発行国 古代ギリシャ
発行年 324-320BC
額面 不明
グレード 不明
直径 27mm
重量 不明
品位 不明
発行枚数 不明
状態 不明

アレキサンダー大王の統治下にあったフェニキア地方の古代都市アラドスで作られた銀貨です。

表面にはヘラクレス、裏面にはゼウス神坐像が描かれています。

ギリシャのアンティークコインに関するよくある質問

それでは、ギリシャのアンティークコインに関するよくある質問をまとめました。

  • 希少性の高いギリシャのコインはどこで購入できる?
  • ギリシャコインの買取を依頼するおすすめの方法は?

それぞれ詳しく解説します。

希少性の高いギリシャのコインはどこで購入できる?

コインライブラリー・プリンシパル

ギリシャのアンティークコインは古代コインであるため、鑑定会社によっては鑑定を受け付けていない場合もあります。

例えば、アンティークコインの2大コイン鑑定会社の1つPCGS(Professional Coin Grading Service)では、16世紀以前のコインの鑑定には対応していません。

よって、取り扱いのあるコイン業者も限られてきますが、当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」では古代コインも取り扱っています。

古代ギリシャコインを収集している方は、当サイトでも新たに入荷する可能性があるので、定期的にチェックするようにしましょう。

ギリシャコインの買取を依頼するおすすめの方法は?

古代コインはアンティークコイン業者でも取り扱わない場合もありますが、当サイトでは古代コインの買取も受け付けています。

古代コインの鑑定から現金化まで丁寧にサポートしますので、コインをお持ちの方はご相談ください。

また、当サイトにコインを出品できるので、詳しくはこちらのページをご確認お願いいたします。

まとめ

ギリシャのアンティークコインを古代ギリシャに絞って6つ紹介しました。

古代コインは利用するコインサイトによっては取り扱いがないこともあるので、集めるなら取引する業者を選ぶことをおすすめします。

ギリシャのコインを購入・売却する

紹介したコイン

  • 古代ギリシャ

    古代ギリシャ アッティカアテネ テトラドラクマ銀貨 紀元前415-407年頃 Sear2526var. 女神アテナ/フクロウ

    SOLD OUT

    ー 円

  • 古代ギリシャ

    古代ギリシャ マケドニア王国 アレクサンダー大王(336-323BC)2ステーター金貨

    SOLD OUT

    ー 円

この記事の著者

アンティークコイン ジャーナル編集部

英国王室シリーズから古代コインまで、幅広い年代のコインの紹介だけではなく、試鋳貨、造幣局による違い、彫刻家、リストライク、などアンティークコインの魅力や楽しめる知識をフラットに情報提供している。編集長は、英国王室コインと、動物コインシリーズが好き。

アンティークコイン ジャーナル編集部

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