メキシコは、アメリカ合衆国と中央アメリカの間に位置する国であり、マヤ・アステカの古代遺跡など歴史的な建造物が多いことが特徴です。
数多くの世界遺産を有しており、観光資源が非常の豊富な国であることで知られています。
メキシコで使用される通貨であるメキシコ・ペソ(MXN)は、アメリカとの経済的な結びつきが強い、高金利かつ資源国通貨として知られています。
アンティークコインではメキシコの国章でもあるヘビをくわえたワシのデザインが描かれていることが特徴です。
この記事では、メキシコがどんな国であるかを解説した上で、使用される通貨、金貨・銀貨別におすすめのアンティークコインを紹介していきます。
・アステカ建国伝説に由来するワシをデザインしたメキシコのアンティークコインを紹介
メキシコはどんな国? ~スペインの影響力が強くアステカ文明が栄えた地域~
面積(総計) | 1,972,550km2 |
通貨 | メキシコ・ペソ(MXN) |
首都 | メキシコシティ |
言語 | スペイン語(メキシコスペイン語) |
主な宗教 | キリスト教(カトリック) |
主な民族 | メスティーソ(先住民と欧州系の混血)、先住民、欧州系 |
隣接する国 | アメリカ、グアテマラ、ベリーズ |
独立 | 1821年9月27日 |
メキシコ合衆国は、北アメリカ南部に位置し、アメリカ、グアテマラ、ベリーズと国境を接する国であり、太平洋、カリブ海にも面しています。
高地が多く標高2240mの高原に位置するメキシコシティを首都としており、寒暖差が激しい乾燥した気候で面積の広い国となっています。
スペインの植民地支配を受けていた影響から、メキシコスペイン語と呼ばれる独自に発展したスペイン語を公用語としており、メスティーソと呼ばれる先住民と欧州系の混血民族が人口の6割以上を構成していることが特徴です。
メキシコではかつてアステカ文明が栄えていた地域であったことから、古代遺跡を中心とした歴史的な建造物による世界遺産が多くあります。
観光資源が豊富な国であり観光が盛んではありますが、メキシコの主な主要産業は製造業、鉱業、商業であり、自動車産業により経済が支えられています。
GDPは年々上昇しており、人口も増加傾向にあることから、2022年時点ですでにメキシコの人口は日本の人口を上回っていました。
メキシコの歴史 ~19世紀から20世紀に渡る闘争の時代~
年号 | 内容 |
1428年頃 | アステカ帝国の誕生 |
1521年 | アステカ帝国が滅びスペインによる支配が始まる |
1810年 | メキシコ独立運動の発生 |
1821年 | スペインから独立し、第一次メキシコ帝国が建国される |
1823年 | 帝政が崩壊、メキシコ合衆国となる |
1835年 | 政治の不安定さからメキシコ共和国となる |
1864年 | ナポレオン3世のメキシコ出兵により第二次メキシコ帝国が建国される |
1867年 | フランス軍の撤退により第二次メキシコ帝国は崩壊し再び共和国になる |
1910年 | 大統領選を巡る武装蜂起からメキシコ革命の発生 |
1917年 | 現行憲法が公布される |
1428年頃にアステカの湖上の都であるテノチティトランを中心にアステカ帝国が誕生したといわれています。
アステカ帝国は15世紀から16世紀に渡って栄えましたが、征服者であるエルナン・コルテスが上陸し、内紛を誘い、神話の伝承をも利用して大虐殺を行ったことで滅びました。
その後は300年に渡ってメキシコの地はスペインによる植民地支配が続くことになります。
1810年、フランスがスペインに侵攻し、ナポレオン1世がスペイン王をジョゼフにするとメキシコの民衆は猛反発し、これを機会にメキシコ独立運動が始まりました。
長い闘争の果てに1821年にスペイン本国で自由派が政権を取ったことをきっかけにアグスティン・デ・イトゥルビデが反自由主義の立場から独立を宣言し、第一次メキシコ帝国が建国されます。
しかし、1823年には帝政が崩壊しており、1835年から1846年までメキシコ共和国となっていました。
1861年にはフランス第二帝政のナポレオン3世によるメキシコ出兵が開始され、1864年に第二次メキシコ帝国が建国されます。
その後、わずか3年でフランス軍が撤退することになり、再びメキシコは共和国の道を歩みます。
1910年の大統領選では、ポルフィリオ・ディアスが対立候補であるフランシスコ・マデロを逮捕・監禁したことをきっかけにメキシコ革命が発生しました。
1917年に現行の憲法が公布されることによって、革命は終息しました。
19世紀から20世紀にかけてメキシコが歩んだのは波乱の歴史であり、他国の介入、内紛による闘争が絶えない時代でした。
20世紀以降は目立ったクーデターもなく、政情は安定しています。
メキシコの通貨・硬貨の種類
メキシコの通貨は、メキシコ・ペソ(MXN)であり、19世紀から発行されていましたが1993年以降に発行された通貨は新ペソとなっています。
ただし、通貨の名称は1996年にメキシコ・ペソに戻されており、通貨コードであるMXNは新ペソの導入当時のものと変わっていません。
補助通貨はセンターボであり、1ペソ=100センターボです。
メキシコの通貨の種類は以下の通りとなります。
【10センターボ】
【20センターボ】
【50センターボ】
【1メキシコ・ペソ】
【2メキシコ・ペソ】
【5メキシコ・ペソ】
【10メキシコ・ペソ】
センターボ硬貨、メキシコ・ペソ硬貨ともにアステカの建国伝説に由来する国章のワシが描かれています。
裏面はシンプルに額面のみであり、センターボ硬貨とメキシコ・ペソ硬貨では縁取りの有無による違いが確認できます。
10メキシコ・ペソのみ裏面にアステカに関わる紋章が描かれていることが特徴です。
メキシコのアンティークコインについて
メキシコのアンティークコインは、スペインによって植民地化されて16世紀に発行されたレアルなどが最も古いアンティークコインになります。
メキシコペソが通貨として発行されるようになったのが、独立後の1821年以降のことですが、スペインのレアルやエスクードも1870年代頃まで発行されていました。
アンティークコインとして市場に広く流通しているのは、独立戦争後のペソ金貨が多くなっています。
ペソ金貨は継続的な鋳造をされていませんでしたが、1921年の独立100周年などの記念に発行されており、ペソ金貨に関しては1972年と近年に新しく再鋳されました。
メキシコのコインは、国鳥でもある特徴的な鷲のデザインが描かれており、多くのコインに採用されています。
これは蛇をくわえた鷲がサボテンの止まった場所に帝都(現在のメキシコシティ)を築いたというアステカの建国伝説に由来しています。
メキシコのおすすめ金貨
メキシコのおすすめ金貨を紹介します。
- リバティキャップと書物 8エスクード金貨 1871年
- 勝利の女神 50ペソ金貨 1945年
- フリジア帽と天秤 20ペソ金貨 1871年
リバティキャップと書物 8エスクード金貨 1871年
概要 | 内容 |
発行国 | メキシコ |
発行年 | 1871年 |
額面 | 8エスクード |
直径 | 36mm |
状態 | UNC+/FDC |
メキシコで発行された8エスクード金貨であり、エスクードはスペインの通貨単位となっています。
1840年~1870年から流通通貨として大量に発行されてきた経緯があるため、現存数が非常に多く、金貨自体の希少性は低いです。
ただし、コンディションの良い未使用以上の金貨に関しては現存数が少ないため、過去には6,000ドル(当時の日本円換算で約80万円)の落札事例も存在します。
表面には、サボテンの上に立ち蛇をくわえる鷲が描かれており、裏面にはペンの上にリバティキャップを載せて法律を書いたノートに手書きをする様子が描かれています。
メキシコの金貨のなかでも代表的なデザインであり、状態の善し悪しで価値が大きく変わるので、大型金貨でありながら2,000ドル以下で落札されることもある海外では入手しやすい金貨です。
スペインのアンティークコインについて知りたい方はこちらの記事で紹介しています。
勝利の女神 50ペソ金貨 1945年
概要 | 内容 |
発行国 | メキシコ |
発行年 | 1945年 |
額面 | 50ペソ |
直径 | 37mm |
重量 | 41.67g |
発行枚数 | 1,012,000枚 |
品位 | 900/1000金 |
状態 | UNC |
メキシコ独立1821年から100周年を祝って1921年から1947年銘で各年号ごとに発行された50ペソ金貨です。
表面の蛇を喰らう鷲の絵が先ほどのコインと比較してもリメイクされていることがわかり、裏面には翼を持った勝利の女神がデザインされています。
女神が描かれた裏面には37.5Grと記載されていますが、金そのものの重量が37.5gであることを示しており、全体の90%を占めていることがわかります。
こちらの金貨はリストライク金貨として、2013年まで製造が続けられていました。
フリジア帽と天秤 20ペソ金貨 1871年
概要 | 内容 |
発行国 | メキシコ |
発行年 | 1871年 |
額面 | 20ペソ |
直径 | 34mm |
重量 | 33.84g |
発行枚数 | 20,000枚 |
品位 | 875/1000金 |
状態 | EF+ |
グレード | AU58+ |
1870年から1900年まで製造されていたメキシコの20ペソ金貨になります。
アステカの建国伝説の由来する鷲のデザインと、天秤の上でフリジア帽が輝いているところが描かれています。
共通している鷲のデザインですが、ここまで紹介した3つの金貨を比較すると微妙に異なることがわかるはずです。
メキシコのおすすめ銀貨
メキシコのおすすめ銀貨を紹介します。
- フリジア帽 8レアル銀貨 1892年(ミントエラーによる逆打ち)
- アグスティン1世 8レアル銀貨 1822年
- アウテモック王 5ペソ銀貨 1947年
- 夏季オリンピック記念 25ペソ銀貨 1968年
フリジア帽 8レアル銀貨 1892年(ミントエラーによる逆打ち)
概要 | 内容 |
発行国 | メキシコ |
発行年 | 1892年 |
額面 | 8レアル |
直径 | 38mm |
重量 | 27g |
発行枚数 | 2,527,000枚 |
品位 | 900/1000銀 |
状態 | F |
スペインから独立した後に発行された8レアル銀貨であり、スペインから独立し共和国となったことを理由に自由の象徴であるフリジア帽が描かれています。
こちらの銀貨はミントエラーによる逆打ちが確認されている銀貨であり、通常は「1892.MM」と刻印するところ、「1892.WW」と逆になっていることがわかります。
発行枚数の多い銀貨で流通用であることから状態は良くありませんが、エラーコインであることから希少性を生んでいます。
アグスティン1世 8レアル銀貨 1822年
概要 | 内容 |
発行国 | メキシコ |
発行年 | 1822年 |
額面 | 8レアル |
直径 | 38.6mm |
重量 | 27.07g |
品位 | 903/1000銀 |
アグスティン・デ・イトゥルビデはメキシコ独立革命の指導者であり、メキシコ帝国の皇帝アグスティン1世として君臨しました。
国を治めるやり方として従わない者を投獄するやり方を選んだことから反感を買い、失脚した後にイタリアとイギリスに亡命しましたが、再びメキシコに戻った際に射殺されました。
現在では連邦共和制国家となっているメキシコですが、アグスティン1世による帝政と、マクシミリアーノ1世による第二帝政がありますが、どちらも在位期間はわずか1年ほどです。
クアウテモック王 5ペソ銀貨 1947年
概要 | 内容 |
発行国 | メキシコ |
発行年 | 1947年 |
額面 | 5ペソ |
直径 | 40mm |
重量 | 30g |
品位 | 900/1000銀 |
クアウテモック王は、アステカの第11代の皇帝であり、アステカ帝国を征服したスペインのエルナン・コルテスと戦った第9代の君主モクテスマ2世の従兄弟にあたります。
クアウテモックはメキシコの英雄であり、メキシコシティにはクアウテモックの銅像が建っています。
征服を実行したスペインにもクアウテモックを貴族や勇者、すべての特性を兼ね揃えた若者であると彼の人間性を高く評価した文献があることが明らかになりました。
夏季オリンピック記念 25ペソ銀貨 1968年
概要 | 内容 |
発行国 | メキシコ |
発行年 | 1968年 |
額面 | 25ペソ |
直径 | 38mm |
重量 | 22.5g |
品位 | 720/1000銀 |
第 19 回夏季オリンピックにメキシコシティが選ばれたことから、記念に発行された銀貨になります。
裏面には、アステカの選手の肖像が描かれています。
発行年が新しく純銀から遠いため、価値は高くありませんが、メキシコのコレクション銀貨として一定の知名度を持つコインです。
メキシコのアンティークコインに関するよくある質問
メキシコのアンティークコインに関するよくある質問をまとめました。
- メキシコのアンティークコインはどこで買える?
- メキシコのアンティークコインの買取方法は?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メキシコのアンティークコインはどこで買える?
メキシコのアンティークコインは、一部のコイン専門店で購入可能です。
アンティークコインにおいてメジャーな国ではありませんが、当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」でも取扱経験がある金貨となっています。
素性の分からない個人が出品できるオークションサイトでも一定の数の出品が確認されていますが、当サイトでは安全のためコイン専門店で購入することを推奨しています。
メキシコのアンティークコインの買取方法は?
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まとめ
メキシコのアンティークコインは発行枚数が多いものが多く、状態の良いものでなければ価値が付きにくいかもしれません。
しかし、コレクションを目的に収集するなら共通してデザインされていますが、コインごとに微妙に異なるアステカ建国にまつわる鷲のコインを集めてみるのも楽しいかもしれません。
アンティークコインの購入方法についてはこちらの記事で紹介しています。