ポルトガルのアンティークコインはレイス硬貨とペカ硬貨が有名であり、希少性が高いことからコイン収集家の間でもコレクションの対象となっています。
特にポルトガルコインでは金貨の希少性が高く、国章が描かれたコインよりも肖像が描かれている硬貨のほうが人気があります。
この記事では、ポルトガルのコインの歴史を解説した上で、レイス金貨・レイス銀貨を中心に7つのコインを紹介します。
ポルトガル コインの歴史
ポルトガルの首都リスボン
ポルトガルは、アフォンソ1世により1143年に成立し、1910年の共和国革命まで存在したポルトガル王国の地域に存在する国であり、太陽の沈まない国と呼ばれたスペインと隣接しており、地理的にも歴史的にも密接な関係があります。
今回はポルトガルのコインの歴史について、レイス硬貨から現在のユーロに至るまでの流れを見ていきましょう。
スペインのアンティークコインについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
レイス硬貨のはじまり
レイスはポルトガル・レアルの複数形の読み方であり、読み方が異なるだけでスペインやブラジルでも流通していたレアルのことを指します。
1380年にフェルナンド1世により、レイス硬貨が初めて導入されました。
ポルトガル帝国の通貨として広く一般的に使用されるようになったのは1433年のドゥアルテ1世の治世からといわれています。
10進数になる前のレイス硬貨(1836年まで)と以降のレイス硬貨の発行状況を君主別にまとめました。
10進数以前のレイス硬貨の発行状況(1836年以前)
君主 | 40レイス | 20レイス | 10レイス | 5レイス | 3レイス | 1½レイス |
ジョアン4世 | 1種類 | 1種類 | 1種類 | |||
ピョートル2世 | 3種類 | 3種類 | 3種類 | 3種類 | ||
ジョアン5世 | 3種類 | 3種類 | 3種類 | 3種類 | ||
ジョセフ1世 | 3種類 | 3種類 | 3種類 | |||
マリア1世 | 2種類 | 1種類 | 1種類 | |||
ジョアン6世 | 5種類 | 2種類 | 4種類 | 6種類 | 2種類 | |
マリア2世 | 2種類 | 1種類 | 3種類 | 2種類 | ||
ペドロ4世 | 1種類 | |||||
マイケル1世 | 1種類 | 1種類 | 1種類 |
10進数以降のレイス硬貨の発行状況(1836年~1910年)
君主 | 金貨 | 銀貨 | 銅貨 |
マリア2世 | 6種類 | 6種類 | 4種類 |
ピーター5世 | 4種類 | 8種類 | |
ルイス1世 | 5種類 | 5種類 | 7種類 |
カルロス1世 | 8種類 | 5種類 | |
マヌエル2世 | 6種類 | 1種類 |
参考:https://www.treasurerealm.com/
新しいものでも今から100年以上前に発行されていた金貨・銀貨・銅貨であるため、ポルトガルのアンティークコインの収集対象として認知されているのはレイス硬貨です。
ペカ金貨・銀貨・銅貨とは?
ブラジルはポルトガルの植民地であった国であり、長い間、ポルトガルの支援を受けていた経緯からポルトガル語を公用語としてきました。
1822年にブラジルは独立しますが、ポルトガルの影響力は大きく、現在でもブラジル・レアル(レイス)が使用されています。
ペカ金貨・銀貨・銅貨は、ブラジルで発行されたポルトガル・レイスのことを指します。
1ペカは6,400レイスといったように、レートも定められていました。
かつてのポルトガルの王族も亡命先にブラジルを選んでおり、マリア1世はブラジルで崩御しています。
レイスからエスクード現在はユーロに
1910年10月の共和革命により、これまで使用されていたレイスからエスクードが導入されました。
当時の為替レートは、1エスクード=1,000レイスとなっていたようです。
また、100分の1の補助単位としてセンターボスが導入されました。
エスクードになって発行された銀貨の種類は下記の通りです。
- 10センターボス
- 20センターボス
- 50センターボス
- 1エスクード
- 5エスクード
- 10エスクード
1999年、ポルトガルにユーロが導入され、2002年にエスクードの流通が終了しました。
2022年2月にエスクードからユーロへの為替も終了し、ユーロへの移行が完全に完了しています。
希少性の高いポルトガルの3種類のレイス金貨
それでは、実際にポルトガルの希少性の高いレイス金貨を3つ紹介します。
- マリア1世 1,000レイス金貨 1792年
- ペドロ2世 4,000レイス金貨 1694年
- マリア2世 5,000レイス金貨 1851年
マリア1世 1,000レイス金貨 1792年
発行国 | ポルトガル |
発行年 | 1792年 |
額面 | 1,000レイス |
グレード | MS63 |
直径 | 18mm |
重量 | 不明 |
品位 | 不明 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | EF(極美品) |
ポルトガル統治下のブラジル(リオデジャネイロ)で発行された金貨です。マリア1世の金貨の最高額面は6400レイスであり、本コインは1000レイスとなります。
この時代は、ナポレオン・ボナパルトがフランスで台頭し、彼とマリア1世は戦うことになり、講和の道をポルトガルはフランスと進めようとしますが失敗しました。
マリア1世は宮廷をブラジルへ移転し、1816年にリオデジャネイロで死去したのが歴史的背景になります。
デザインは、表面にはポルトガルの国章に王冠が描かれ、裏面はマルタ十字を中心にして間にロゼット紋が描かれ、周りには「IN HOC SIGNO VINCES」の銘が刻まれています。
これは「汝この印のもとに勝利す」という意味でローマ帝国皇帝コンスタンティヌス1世を戦いで勝利に導いたとされる言葉です。
ナポレオンはアンティークコインの世界でも一つのテーマとして認知されるほど知名度の高いコインです。ナポレオンのアンティークコインについて知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ナポレオン一族の金貨を含めたおすすめアンティークコイン8選!
ペドロ2世 4,000レイス金貨 1694年
発行国 | ポルトガル |
発行年 | 1694年 |
額面 | 1,000レイス |
グレード | AU55 |
直径 | 30mm |
重量 | 不明 |
品位 | 不明 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | VF+ |
ペドロ2世は、兄アフォンソ6世の太子となり、当初は摂政として権力を握りましたが、1683年に正式に即位した国王です。
ブラジルで銀鉱山が発見され、ポルトガルが潤った時代でもありました。
デザインに差異はありますが基本的に表面がポルトガルの国章、裏面がロゼット紋が描かれているのはレイス金貨に共通した特徴になります。
マリア2世 5,000レイス金貨 1851年
発行国 | ポルトガル |
発行年 | 1851年 |
額面 | 5,000レイス |
グレード | Genuine |
直径 | 24mm |
重量 | 不明 |
品位 | 不明 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | EF(極美品) |
マリア2世は、リオデジャネイロで生まれた女王であり、ナポレオン1世の養子の息子であるオギュスト・ド・ボアルネと結婚した後にフェルナンド2世と再婚しています。
新大陸で生まれた唯一のヨーロッパ君主であり、婚約者の死、最初の夫オギュストが死亡しており、波乱の生涯を生きた女王でした。
マリア2世の肖像が描かれた金貨であり、ポルトガルの金貨自体が希少性が高いですが、肖像の描かれたポルトガルの金貨はそのなかでも希少です。
ポルトガルのレイス銀貨おすすめ3選
次にポルトガルのレイス銀貨でおすすめのものを3つピックアップして紹介します。
- マリア2世 400レイス銀貨 1834年
- ジョアン6世 400レイス銀貨 1820年
- カルロス1世 500レイス銀貨 インド航路発見400年記念 1898年
マリア2世 400レイス銀貨 1834年
発行国 | ポルトガル |
発行年 | 1834年 |
額面 | 400レイス |
グレード | AU58 |
直径 | 36mm |
重量 | 不明 |
品位 | 不明 |
発行枚数 | 1,864,000 |
状態 | Toned AU |
マリア2世の統治下で発行された400レイス銀貨であり、ブラジルで銀鉱山が発見されたことから、発掘された銀で作られたコインです。
ポルトガルの国章に王冠、左側に額面、右側に年号が刻まれており、「MARIA • II • D • G • PORTUG • ET • ALG • REGINA」と刻印されています。
ジョアン6世 400レイス銀貨 1820年
発行国 | ポルトガル |
発行年 | 1820年 |
額面 | 400レイス |
グレード | AU Details |
直径 | 36mm |
重量 | 不明 |
品位 | 不明 |
発行枚数 | 1,845,000 |
状態 | EF |
ジョアン6世は、マリア1世とペドロ3世の間に生まれ、兄であるブラジル公ジョゼが死亡したため王太子となりました。
ナポレオンによる侵略戦争の影響で、新大陸で即位した国王の一人です。
マリア2世の400レイス銀貨と比較すると表面のポルトガルの国章のデザインが異なり、裏面のロゼット紋にも違いがあります。文字は「JOANNES VI D G PORTUG BRASIL ET ALGARB REX」と刻まれています。
カルロス1世 500レイス銀貨 インド航路発見400年記念 1898年
発行国 | ポルトガル |
発行年 | 1898年 |
額面 | 400レイス |
グレード | - |
直径 | 31mm |
重量 | 不明 |
品位 | 不明 |
発行枚数 | 300,000 |
状態 | - |
カルロス1世は、ルイス1世とヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の王女マリア・ピアの長男です。
ポルトガルのコインとしては珍しく肖像画描かれており、カルロス1世と王妃アメリア・デ・オルレアンスの2人が並んでいます。
こちらの銀貨はインド航路発見から400年を記念して発行されました。
ポルトガルの希少性のあるペカ硬貨
それでは、先ほど紹介したペカ硬貨についても具体的なコインを1枚紹介します。
ジョアン6世 1ペカ金貨 1823年
発行国 | ポルトガル |
発行年 | 1823年 |
額面 | 1ペカ |
グレード | - |
直径 | 32mm |
重量 | 不明 |
品位 | 不明 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | - |
ジョアン6世は、1808年にポルトガルに侵攻していたナポレオン・ボナパルトから逃れるためにブラジルのリオデジャネイロに王国を遷都し、1815年にブラジルは植民地から王国に変わりました。
ナポレオン・ボナパルトの侵攻が収まってから1822年にポルトガルに戻りますが、ナポレオン・ボナパルトがセントヘレナ島に島流しされた際に、「私の手からたくみに逃れたのは、ポルトガルのジョアン6世だけだった」と語っています。
ジョアン6世は時代の流れを先読みした王様であり、この1ペカ金貨はジョアン6世の右向き肖像が描かれた金貨となっています。
ポルトガルのアンティークコインに関するよくある質問
ポルトガルのアンティークコインに関するよくある質問をまとめました。
- ポルトガルのレイス硬貨・ペカ硬貨を購入するおすすめの方法は?
- 希少性の高いポルトガルのレイス硬貨・ペカ硬貨の買取を依頼するなら?
ポルトガルのレイス硬貨・ペカ硬貨を購入するおすすめの方法は?
ポルトガルのアンティークコインは硬貨の種類を問わず希少が高く、入手が難しいコインが多いです。
当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」では、他のコイン販売サイトでは取り扱っていないポルトガルのアンティークコインを複数取り扱っています。
ポルトガル以外の世界中のコインの取り扱いもあるので、欲しいアンティークコインが見つかるはずです。
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まとめ
今回はポルトガルのコインをピックアップして7つの硬貨を紹介しました。
高い希少価値を持つコインからお求めやすい価格で購入できるコインもあるので、最近アンティークコインに興味を持った方でも気軽に買えるのもポルトガルコインの魅力です。
イギリス王室、ナポレオン一族などの人気テーマもおすすめですが、ポルトガルのアンティークコインをコレクションに加えることを検討してみましょう。