銀貨における1オンスとは、正しくはトロイオンスのことを指し、常用オンスとは異なる単位で計られます。
ドル建ての銀価格においては、グラムではなく1オンスが基準となり、価格が変動する仕組みです。
日本の円建ての銀価格は1グラムあたりのチャートで表されますが、銀貨を購入する場合は海外の基準であるオンスを基準とした重量のコインを購入することになります。
銀貨への投資を検討している方はオンスについて理解しておいたほうがよいでしょう。
この記事では、1オンス銀貨の価格推移と価格を考えるうえで注意すべきポイントを解説します。
1オンス銀貨の価格推移と相場について
画像引用:https://gold.mmc.co.jp/market/silver-price/#silver_longspan
上記のチャートは、1980年代から2020年代までの銀の価格推移を表したものです。
このチャートをもとに1オンスの銀貨の価格推移について解説します。
ドル建ては1トロイオンス・円建ては1gあたり
灰色の線が銀1グラムと日本円の価格推移を表したもので、青色の線が銀1トロイオンスとドルの価格推移を表したものとなっています。
国内と海外では基準が異なりますが、2つの線を比較すると変動の大きさは異なりますが、ほとんど連動した動きを見せていることが分かります。
銀価格の国際基準は、米ドルと1トロイオンスであり、日本では円建て価格に換算されたうえで日本人になじみ深いグラムの単位で表示されることが多いです。
1トロイオンスをグラムで表記すると約31.1035gと非常に細かな数字になるため、重さでグラムを常用している日本では不便といえるでしょう。
一時的に価格が上下するが右肩上がりに上昇
銀価格は海外基準である1トロイオンスで確認すると、2010年頃から非常に大きな上昇があったことが分かります。
これは当時、シルバーショックと呼ばれた銀相場の高騰であり、シルバーショックは銀価格の歴史において経済情勢を理由に何度か発生しています。
銀は金と同様に貴金属で安定資産といわれることもありますが、一時的に価格が大きく上下する局面もあり、銀のほうが価格変動が大きいことからリスク資産と呼ばれることもあるのです。
しかし、一時的に価格の上昇があったとしても1980年代から2020年代までの価格を見ていくと、長期的には右肩上がりに上昇していることが分かります。
購入のタイミングには気をつける必要がありますが、銀価格に連動する銀貨は長期的に安定した価値の上昇が期待できるといえるでしょう。
銀投資の将来性について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
銀投資の将来性は? 価格が上昇する理由やおすすめの方法を解説
1オンス銀貨の価格を考えるうえで注意するポイント
日本で銀投資をするなら、円価格とグラムに換算されるので、方法によってはオンスに対する知識は必要ありません。
しかし、投資対象がオンスで表記される重さを持つ銀貨であれば、ある程度その性質について知っておく必要があります。
1オンス銀貨の価格を考えるうえで注意するポイントについてまとめました。
- オンスとトロイオンスの違い
- 1オンス以下の重さの銀貨について
- 希少性が上乗せされる場合もある
オンスとトロイオンスの違い
オンスは常用オンスとトロイオンスと呼ばれる2つの表記があり、実は明確な違いがあります。
トロイオンスは、銀をはじめとする金やプラチナの計量に使用される単位であり、グラムに換算すると約31.1035gです。
トロイオンスであることが分かるようにtozと表記されることもありますが、ozと表記されることもあるので、基本的に金属でオンスであればトロイオンスのことを指すと考えれば間違いありません。
しかし、常用オンスをグラムに換算する場合は、約28.3495gとトロイオンスより軽くなっているので注意が必要です。
これを知っておかなければ、銀貨の買取を行なう場合に、悪質な店舗に任せるとトロイオンスを基準に買取を行なわなければならないところを、常用オンスで査定する可能性もあるので、1オンス銀貨を保有するなら、円建てで取引するために正確なグラムによる重さを知っておくことが重要になります。
1オンス以下の重さの銀貨について
金貨では、その希少性から1オンスでも価格が高いため、少額で投資できるように1オンス以下の金貨が取引されることがあります。
銀貨の場合は、金貨よりも希少性が低いことから、投資用の銀貨で1オンス以下の重量が取引されるのは稀ですが、軽い重量の銀貨も過去には発行されています。
1オンス以下の単位で発行される場合は、1/2オンスや1/4オンスといった分数で表記されるのが一般的です。
1オンス以下のコインをグラムに換算したときの具体的な重さについて下記の表にまとめました。
オンス(toz) | グラム(g) |
1オンス | 約31.1035g |
1/2オンス | 約15.5517g |
1/4オンス | 約7.7758g |
1/10オンス | 約3.1103g |
希少性が上乗せされる場合もある
1オンス銀貨は1トロイオンスをグラム換算した約31.1035gを参考にその日に発表された円建ての銀価格で買取価格を決めるのが一般的です。
しかし、銀価格に加えて1オンス銀貨に希少性がある場合は、希少性を上乗せして買取価格が査定されます。
投資用に発行された銀貨であっても、一部のコインはコレクターの収集対象になっている影響もあり、発行年や発行枚数による希少性が認められれば銀価格以上の価値が付くこともあります。
1ドルの額面で発行され銀貨も希少性によっては高値で取引されることもあるので、銀貨の価値について詳しく知りたい方はこちらの記事もチェックしてください。
1ドル銀貨の価値は? おすすめのコインと購入・買取方法を紹介
代表的な1オンス銀貨の種類
代表的な1オンス銀貨の種類を紹介します。
- メイプルリーフ銀貨
- ブリタニア銀貨
- ウィーン銀貨
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メイプルリーフ銀貨
メイプルリーフ銀貨は、カナダ王室造幣局が発行している地金型銀貨であり、カエデの葉が描かれる投資用のコインでは最も人気が高いコインです。
金貨の知名度が高いですが、銀貨の信用力も高く、広く発行されています。
年度ごとにデザインに変化がないため、希少性は生まれにくいですが、知名度も信用性も高い銀貨で銀投資をしたい場合におすすめの銀貨といえるでしょう。
ブリタニア銀貨
1オンスで発行される銀貨のなかで最も人気があるのは、イギリスが発行するブリタニア銀貨です。
ブリタニア女神がデザインされているこちらの銀貨はファンも多く、デザインも定期的に一新されることから、コレクターの収集対象になっています。
銀価格の上昇による価値の向上も期待できますが、長期的に保有すれば希少性も高まる可能性がある1オンス銀貨です。
ウィーン銀貨
音楽都市ウィーンを題材にしたオーストリアで発行される銀貨がウィーン銀貨です。
数々の楽器が描かれた他の国にはないオリジナル性のあるデザインは、1オンス銀貨の間でも人気を集めています。
メイプルリーフ銀貨と同様にオーストリア政府が発行するため信用力があるので、デザインの好みで選ぶのもよいでしょう。
銀貨の種類やおすすめの購入先について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
銀貨のおすすめの購入先は? 種類に合わせてどこで買うべきか解説
1オンス銀貨の価格推移に関するよくある質問
1オンス銀貨の価格推移に関するよくある質問をまとめました。
- 1オンス銀貨の価値はどのように決まりますか?
- 入手できる1オンス銀貨の種類について教えてください
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1オンス銀貨の価値はどのように決まりますか?
1日に1度公開される銀価格と、銀貨が持つ希少性を加味して査定されます。
円建てに換算する場合は、1オンスをグラム換算した約31.1035gを基準として、価値を決めます。
入手できる1オンス銀貨の種類について教えてください
入手できる1オンス銀貨で代表的な種類は、メイプルリーフ銀貨、ブリタニア銀貨、ウィーン銀貨です。
人気のある投資用銀貨であっても、パンダ銀貨のように1オンスで発行されていない銀貨もあるので、購入する場合は、重量を確認してから購入するようにしましょう。
まとめ
1オンス銀貨は正確には1トロイオンス銀貨であり、重量は約31.1035gになります。
銀貨で銀投資をする場合は、コインの重量についても気を配るようにしましょう。
また、銀投資ではなく現在注目されているアンティークコイン投資について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。