アンティークコインはできる限り安く購入したいところですが、コインの価格が高いか安いかを判断するためには相場を知る必要があります。
相場を知らなければ現在の時点におけるコインの価値とはかけ離れた価格でアンティークコインを購入してしまうことにつながるので、コインを購入する前に相場を調べることが重要です。
また、アンティークコインの相場は時を経て変動していくものであるため、相場が変動する理由に関しても理解が必要になるでしょう。
この記事では、アンティークコインの相場について調べる方法と変動する理由について解説した上で、コイン全体の価格推移についても紹介します。
アンティークコインの相場について
アンティークコインは、世界的に権威あるオークション、コイン専門店を中心に取引されていますが、近年では素性が分からない個人も参加できるインターネットオークションでも取引されるようになりました。
コインが取引できる市場が広がり、さまざまな場所でアンティークコインが購入できるようになりましたが、インターネットオークションを中心に他の市場で取引されている相場とはかけ離れた価格でのコインの出品が目立つようになりました。
近年では、アンティークコインは富裕層を中心に投資対象としても知名度が高まっており、アンティークコインに対する知識を持たない方をターゲットに相場とはかけ離れた価格でコインを売る投資詐欺も横行しているようです。
アンティークコインは減ることはあっても増えることはない性質と高い希少性から長期的な保有で価値を増す資産として優秀ではあるものの、コインの購入方法を間違えると大損してしまうリスクもあります。
このようなリスクはコインの相場を購入する前に理解することができれば防げます。
アンティークコインは希少性だけでなく状態によっても価格が大きく異なってくるので、個人で情報を収集するとなると正確な相場を把握することは難しいかもしれません。
しかし、ある程度の相場を知っておくことは相場とはかけ離れた価格でコインを購入するリスクを軽減することにつながります。
アンティークコイン投資詐欺の手口について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
アンティークコイン相場を調べる方法
アンティークコイン相場を調べる方法は主に3つあります。
- 複数のコイン専門店で同じコインを探す
- 鑑定会社を利用する
- カタログを読む
それぞれ詳しく見ていきましょう。
複数のコイン専門店で同じコインを探す
アンティークコインを購入できる販売元にはコイン専門店があります。
コイン専門店でグレードも含めて同じコインが取り扱われている場合は、複数のコインで価格を比較してみると相場が分かります。
グレードとはアンティークコインの鑑定会社が付けるコインの状態をアルファベットと数字で表したもので、具体的にはMS65やAU53などの組み合わせになります。
ただし、コイン専門店で広く取り扱われていないコインでは相場を把握することが難しいかもしれません。
取り扱いが多い人気のコインであれば同じコインかつ近いグレードで、複数のコイン専門店と比較して明らかに相場とかけ離れた価格でアンティークコインを販売している販売元があれば、悪質な販売元である可能性が高いといえるでしょう。
鑑定会社を利用する
アンティークコインのグレードを付ける代表的な鑑定会社であるPCGSは、鑑定したコインをグレード別に分けてオークションでの落札価格を記載しています。
PCGSで鑑定したコインを購入するのであれば、購入するコインの情報をPCGSの公式サイトで調べるだけでこれまでのオークションの落札価格を調べることが可能です。
その落札価格からある程度の相場を類推できるので、オークションの落札価格とかけ離れた値段が付いている場合は購入を取りやめることでリスクを回避できます。
ただし、オークションの落札価格の情報が10年以上前から途切れている場合は、オークションで出回らないことも含めて相場が大きく上昇している可能性もあるので、できれば5年以内の情報を参考にするのがよいでしょう。
カタログを読む
コイン収集家にとって相場を知るためのバイブルとも呼ばれる存在になるのがカタログです。
多くのコイン専門店がコインの価格を決める際もカタログを参考にして決めます。
具体的にはクラウス社が発行する通称KMカタログは、17世紀～21世紀に発行されたグレード別に分けられたコインの相場に関する情報が記録されており、3～4年の頻度で改訂されています。
他にも数万枚にも及ぶコインの参考価格が記録されたフリードバーグカタログもあり、アンティークコインに関して知見のある方はカタログを参考に相場を判断しているのです。
コインの正確な相場を知るなら購入するコインの情報が掲載された現在の時点で最新のカタログを用意するのが一番ではありますが、ここまでするのは大変という方もいることでしょう。
相場よりも割高でコインを購入してしまう理由は、信頼できる取引先からコインを購入していないことが挙げられるので、相場を理解する努力は最小限にとどめて信頼できる購入先を探すことが労力をかけずに相場に沿った価格でコインを購入する上で重要です。
アンティークコインの相場が変動する理由
アンティークコインは時とともに相場が変動するため、カタログも数年に一度の頻度で改訂されています。
相場が変動する理由について詳しく見ていきましょう。
- グレードと鑑定会社
- 金価格などの貴金属の価値
- 急激な需要の増減
グレードと鑑定会社
アンティークコインの正しい相場を把握するのが難しい理由はグレードにあり、グレードの数字が1つ違うだけでも相場が変わってしまう場合もあります。
同じグレードであっても鑑定会社が異なると、鑑定会社の信用性によっても価格が変動してしまうこともあるのです。
例えば、アンティークコインの代表的な鑑定会社にはPCGS社とNGC社があります。
コレクターの間ではPCGS社のほうが鑑定の基準が厳しいといわれているので、価格を付ける際もPCGS社で鑑定したほうが相場が高くなる可能性があります。
アンティークコインは状態のよさが価格を決める上でも重要になるので、信頼できる機関が付けた良質なグレードのほうが高い価値を生みやすいということです。
コインを購入する上で鑑定は必須であり、特にPCGSやNGCなどの権威のある鑑定会社が鑑定しているかどうかは重要になります。
アンティークコインを選ぶ基準はグレード以外にも2つあるので詳しくはこちらの記事をチェックしてください。
アンティークコイン投資入門 グレード・希少性・人気などの選び方を解説
金価格などの貴金属の価値
アンティークコインは金や銀などの貴金属を素材にして作られているので、含有している金にも価値があります。
金価格は1gあたり数千円で、銀価格は1gあたり数十円であるため、価格に大きな影響を及ぼす可能性があるのは金貨です。
30gの金貨で、1gあたりの金価格が8,000円であれば金その物の価値は24万円になります。
このとき1,000万円を超える価値を持つ金貨であれば、976万円がアンティークコインの希少性やグレードによる評価による価格であるため、金の価値を考慮しなくても価格に違いはないと考えるかもしれません。
しかし、500万円、300万円、100万円と価値を落としていけば、アンティークコインにおける貴金属が占める価値の割合は増えていきます。
金価格が大きく変動することがあれば、金貨のアンティークコインの相場は大きく変わってしまうのです。
そのため、100万円以下から数百万円のアンティークコインを購入する投資家の間で貴金属の価格が高騰している場面では貴金属価格の影響を受けにくい銀貨のほうが人気が出ることもあります。
銀貨への投資方法について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
銀貨の投資方法は？ 価値の推移と投資できる銀貨を一覧形式で紹介
急激な需要の増減
19世紀のイギリスで発行されたウナとライオンが描かれたヴィクトリア女王の5ポンド金貨
100年以上前に発行されたコインであるアンティークコインの相場は安定しており、1～2年の期間では相場が大きく変わることはありません。
アンティークコイン投資を検討するなら基本的には10年以上の期間を見据えてコインを保有することを前提に投資するのが一般的です。
しかし、アンティークコインのなかには人気や話題性によって急激に需要が増加するコインも存在します。
ウナとライオンは世界で最も美しいコインと呼ばれるほど人気があり、近年ではオークションでの高額落札事例が広く一般的に周知されたことからアンティークコイン投資の火付け役にもなりました。
このように急激に需要が増加したコインは、需要の増加により相場が大きく吊り上がることが考えられるので、需要の増減によって相場が変動しやすくなります。
需要が増減したコインを含めてアンティークコイン投資のおすすめ銘柄について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
アンティークコイン投資のおすすめ銘柄と高額コインの値上がり事例
アンティークコイン全体の価格推移について
アンティークコインの相場が変動する理由はいくつかありますが、全体の相場はどのように変動していくのでしょうか？
アンティークコイン全体の価格推移について参考となる価格指標を紹介しながら解説していきます。
GB200 Rare Coin Indexは右肩上がりに上昇
画像引用：Stanley Gibbons
アンティークコイン全体の価格推移を判断する上で参考となる指標には、イギリスの希少価値の高いアンティークコイン200種類の落札価格を指数化したGB200 Rare Coin Indexがあります。
上記のグラフの青色の線がGB200 Rare Coin Indexの成長率になりますが、きれいな右肩上がりの曲線になっていることが分かります。
株式などの資産は金融市場の状況によって増減し、これまでもリーマンショックや、コロナショックなどの相場の大変動が発生したタイミングでは大きく暴落してきました。
アンティークコインの相場は金融市場の影響を受けずに、右肩上がりの上昇を続ける安定した資産であるといえるでしょう。
アンティークコイン投資と他の資産運用の比較に関してはこちらの記事をチェックしてください。
金価格は上昇局面と下落局面がある
アンティークコインの一部は金価格の影響を受けると説明しましたが、金は一般的に価値が安定しており将来的に需要がなくなることが考えにくい資産であると知られています。
画像引用：https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/#gold_longspan
実際には長期的に上昇傾向にあるものの、下落している期間もあれば、大きく上下する局面もあります。
金貨のこの性質は多くの投資家に利用されるようになったため、経済状況が不安定な状態にあるときの安全資産として多くの投資家が株を売却して、現金を金に換えるようになりました。
実際に現在市場に出回っている金は、宝飾や工業などの目的よりも投資目的で流通している金が多いです。
このように投資対象として広く周知されるようになったことから金の購入はタイミングによってはリスクのある資産といえるでしょう。
金を含有している金貨は、アンティークコインの価値にも影響を及ぼすので金が高騰していて暴落の危険性があるタイミングでは長期的に保有するとしても避けることを考えてもいいかもしれません。
経済状況が不安定な場面で、少ない予算でアンティークコインを購入するなら金貨よりも銀貨のほうが推奨されます。
一方で、経済が好調で株価が上昇しており、金の価値が低迷しているタイミングでは金貨のアンティークコインを購入するのもおすすめです。
アンティークコイン相場の調べ方に関するよくある質問
アンティークコイン相場の調べ方に関するよくある質問をまとめました。
- 相場よりも高い価格でコインを買わないためには？
- アンティークコインを相場通りに売買できる取引先は？
それぞれ詳しく見ていきましょう。
相場よりも高い価格でコインを買わないためには？
アンティークコインを相場よりも高い価格で購入しないためには、おおよその価格でも問題ないので購入するコインの相場を知れば回避できます。
相場の調べ方は、鑑定会社でコインを調べたり、カタログを購入して調べるなどの方法があります。
しかし、相場よりも高い価格でコインを購入しないために、最も重要なことは適正な価格でコインを販売しない取引先からコインを購入しないことです。
素性の分からない個人が出品できるオークションサイトでコインを購入するなら正確な相場の把握は必須ですが、信頼できる購入先からコインを購入するのであれば適した相場でコインを購入できます。
相場より高いコインを買わないためには、古物商許可証を取得した信頼できるコイン専門店で取引することが重要です。
アンティークコインの購入方法についてはこちらの記事をチェックしてください。
アンティークコインを適した相場で売買できる取引先は？
アンティークコインを適した相場で売買できる取引先はコイン専門店であり、当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」は古物商許可証を取得した適した相場でコインを販売する専門店になります。
コインの価格は、オークションログとカタログに加えて外国貨幣評価書にも基づき決定しているので、価格が不透明で心配という方にも安心してコインを購入できます。
アンティークコインの購入の目的はさまざまあると思いますが、投資に興味がある方には投資の流れからメリット・デメリットも含めて説明いたしますので、安心してアンティークコイン投資が実践可能です。
また、アンティークコインを売却したいという方は当サイトでは買取も受け付けており、適した相場で売却できます。
コインの買取に興味がある方は、詳しくはこちらのページからお問い合わせください。
まとめ
アンティークコインの相場を調べる方法について解説しましたが、コインの購入に不安のある方は購入する前に相場を調べることで解消できます。
また相場より高い価格でコインを購入しないために、素性の分からない取引先からコインを購入することなく、信頼できる取引先からコインを購入することをおすすめします。
また、アンティークコイン投資を実践するなら適した相場でコインを購入することは必須です。
アンティークコイン投資について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
