チャールズ2世(在位1660-1685)は、処刑されたチャールズ1世の次男で、王政復古によりイングランドの王となった人物です。
陽気な王、怠惰な王といわれたチャールズ2世は政治から距離を置き多くの愛人がいた国王といわれていますが、カトリック復興政策を強く推し進めようとした結果、議会と対立することとなります。
この記事ではチャールズ2世の希少性の高い金貨・銀貨を3つ紹介し、誕生から結婚、愛人との間に生まれた庶子の子孫にいたるまで詳しく歴史を解説します。
チャールズ2世の生い立ちと歴史
父親 | チャールズ1世 |
母親 | ヘンリエッタ・マリア・オブ・フランス |
配偶者 | キャサリン・オブ・ブラガンザ |
王朝 | ステュアート朝 |
家名 | ステュアート家 |
子供 | 庶子多数 |
チャールズ2世は、チャールズ1世とフランス王アンリ4世の娘であるヘンリエッタ・マリアの間に生またステュアート朝の国王です。
チャールズ2世の生い立ちと歴史を5つの章に分けて解説します。
- チャールズ2世の誕生と父王チャールズ1世の処刑
- クロムウェルの死後ブレダ宣言により復位
- ポルトガル王女キャサリンとの結婚
- 怠惰王と呼ばれるがカトリック擁護により議会との対立を深める
- ホワイトホール宮殿において54歳で崩御
チャールズ2世の誕生と父王チャールズ1世の処刑
チャールズ1世の肖像
1630年、チャールズ1世とヘンリエッタ・マリアの間に次男として生まれました。
兄のチャールズ・ジェームズは死産であったことから、実質的な長男はチャールズ2世でした。
後のステュアート朝の君主となるジェームズ2世は弟であり、ウィリアム3世は甥に当たります。
ピューリタン革命により、国内に内戦が広がるとチャールズ2世は母と共にフランスに亡命し、ウィレム2世の力を借りてオランダに移り住みます。
1649年、父チャールズ1世は護国卿オリバー・クロムウェルにより処刑され、イングランドは共和国となりました。
スコットランドは革命に反対し、チャールズ2世を王にすると宣言しますが、議会派の侵攻によりウスターの戦いで敗北し、再びイギリスを去ります。
チャールズ2世は、イングランドの共和政が終わるそのときまで各地を転々とし続けたのです。
クロムウェルの死後ブレダ宣言により復位
オリバー・クロムウェル
1658年、クロムウェルは死去し、国内では共和政による独裁への不満から王政復古への期待が高まっていました。
翌年には護国卿の息子リチャード・クロムウェルが国内における騒動を収拾できずに辞任したことで、国内の王党派がチャールズ2世の復帰を要請します。
1660年、チャールズ2世はオランダのブレダでブレダ宣言を行い復位を提案すると議会に受諾され、イングランド王チャールズ2世が誕生し、王政復古を果たしました。
父チャールズ1世の処刑に関わった人物は王殺しとして処刑し、ウェストミンスター寺院に安置されていたクロムウェルの死体は国賊として扱われた後は死後に絞首刑に処され、その首は長いあいださらしものにされました。
ポルトガル王女キャサリンとの結婚
Peter Lelyによる肖像のキャサリン・オブ・ブラガンザ
1661年、イングランドとポルトガル王国の間に婚姻条約が締結されます。
ポルトガルの国王であるジョアン4世の娘キャサリン・オブ・ブラガンザ(カタリナ王女)と結婚します。
キャサリンは持参金の代わりに、インドのボンベイと北アフリカのタンジールをイングランドに渡したため、これらの領土はイングランド領となりました。
チャールズ2世は結婚前から多くの愛人おり、結婚の時点で認知している庶子もいたため父親の立場にありました。
しかし、チャールズ2世の妃であるキャサリンはこのことに不満はなく、結婚後も愛人を作り続けたそうです。
チャールズ2世は愛人やその子供を非常に大切にしたといわれており、陽気な王様とも呼ばれるほど明るい性格であったことから、艶福家であることがうかがえます。
ギニー金貨のはじまり
これまでノーブル、ソブリン、クラウン、ユナイト、リアル、エンゼル、ローレルなど金貨の種類が多様で価値が統一されていなかったことから、アフリカのギニアで産出された金を用いてギニー金貨を作ります。
これを主導した造幣局長官は世界的に有名な物理学者アイザック・ニュートンです。
現在、ギニーという単位はイギリス競馬における競争(1,000ギニーステークス、2,000ギニーステークス)に使用されています。
怠惰王と呼ばれるがカトリック擁護により議会との対立を深める
チャールズ2世は政治にあまり関りを持たなかった人物であり、艶福家で女性好きであったことからも怠惰王と呼ばれることがあります。
しかし、チャールズ2世はカトリック復興政策を進めようと考えるようになり、1670年頃から議会と対立するようになりました。
チャールズの妃キャサリンは熱心なカトリック信者であったことから国内での人気は低く、悪評も立っていたといわれています。
キャサリンとの間には子供が生まれていなかったことから、王位継承は弟のジェームズ2世が有力といわれていましたが、ジェームズ2世もカトリックであったことから王位継承に反対する声もありました。
そして、チャールズ2世自身もカトリックに改宗していたことから、チャールズ2世は自身と身内のために信仰自由宣言によりカトリックを公認する働きかけるのでした。
チャールズ2世の信仰自由宣言は認められることはありませんでしたが、チャールズ2世の訴えによりジェームズ2世の王位継承は認められることとなります。
ホワイトホール宮殿において54歳で崩御
1685年、ホワイトホール宮殿においてチャールズ2世は心臓発作で倒れ、54歳で崩御します。
このとき初めてチャールズ2世は自身がカトリックに改宗していたことを公に明かしたといわれており、崩御するまでこの事実を隠し続けていました。
最期までキャサリンとの間に子供が生まれなかったことから、王位継承は弟のジェームズ2世に受け継がれることとなります。
しかし、王位継承権は認められなかったもののチャールズ2世は14人の子供を認知しており、愛人と子供たちが生活に困らぬように支援を続けたといわれています。
ダイアナ妃
ダイアナ妃はチャールズ2世の子孫?
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チャールズ2世のレア度の高い希少性のある金貨・銀貨
- チャールズ2世 5ギニー金貨 1673年
- チャールズ2世 2ギニー金貨 1664年(エレファント)
- チャールズ2世 クラウン銀貨 1676年
チャールズ2世 5ギニー金貨 1673年
発行国 | イギリス |
発行年 | 1673年 |
額面 | 5ギニー |
グレード | AU53 |
直径 | 37mm |
重量 | 41.75g |
品位 | .917 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | VF(美品) |
ギニー金貨は前項で説明した通り、チャールズ2世の時代に製造が開始され、重さ41.75g、純度91.7%の金貨であることが定められていました。
チャールズ2世以降、ジョージ3世の時代まで法定通貨として使用を続けられましたが、広く発行された流通貨でありながら発行年が最も古く状態のよい金貨が少ないことから、VF(美品)であっても全体からみれば非常に状態がよいです。
チャールズ2世の5ギニー金貨の肖像タイプは2種類あり、第一肖像(1668-1678年)、第二肖像(1678-1684年)に分けられますが、こちらは第一肖像になります。
エッヂに刻まれたVICESIMO QVINTOは在位25年目を示しますが、チャールズ2世は1660年に即位したのでこのコインの1673年銘からすると在位期間が合いません。
父王チャールズ1世がクロムウェルにより処刑されたのが1649年であり、チャールズ2世の即位はチャールズ1世が死亡したタイミングであると解釈すると在位期間が合うため、イギリスの歴史において共和政を認めないチャールズ2世の意思が分かる金貨となっています。
チャールズ2世 2ギニー金貨 1664年(エレファント)
発行国 | イギリス |
発行年 | 1664年 |
額面 | 2ギニー |
グレード | - |
直径 | 30mm |
重量 | 16.7g |
品位 | .917 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | - |
こちらはチャールズ2世の2ギニー金貨であり、肖像のデザインの特徴は5ギニー金貨と共通しています。
こちらの金貨で着目するべきポイントは肖像の下に象のマーク(エレファント)が刻印されていることでしょう。
この時代に発行されたギニー金貨は、象のマークが刻印されたもの、象と城のマークが刻印されたもの、マークが刻印されていないものの3種類があります。
チャールズ2世 クラウン銀貨 1676年
発行国 | イギリス |
発行年 | 1676年 |
額面 | クラウン |
グレード | - |
直径 | 40.1mm |
重量 | 29.6g |
品位 | .925 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | - |
チャールズ2世のクラウン銀貨は、トーマスサイモンの描いた肖像が刻印されています。
金貨と同様に大型であることから肖像の見栄えが良く、鑑賞に適したコインといえるでしょう。
コイン収集家からも人気が高いコインとなっているので、時とともに価値も上昇しやすいです。
チャールズ2世のアンティークコインでよくある質問
それでは、チャールズ2世のアンティークコインでよくある質問をまとめました。
- チャールズ2世の金貨・銀貨を購入するおすすめの方法は?
- チャールズ2世の金貨・銀貨を高く売るには?
チャールズ2世の金貨・銀貨を購入するおすすめの方法は?
チャールズ2世の金貨・銀貨を購入するおすすめの方法は、コイン業者を通して購入することです。
個人が出品できるオークションサイトでもアンティークコインが流通することがありますが、相場よりも高く売りつけられたケースや、偽物を買わされたというトラブルに発展するケースが多発しています。
チャールズ2世のコインを購入するなら、イギリスのコインを取り扱うコイン業者を利用するのがよいでしょう。
当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」では、世界のオークションログを参照しながら相場に沿った価格でイギリスをはじめとする世界中のアンティークコインを販売しています。
チャールズ2世の金貨・銀貨を高く売るには?
チャールズ2世の金貨・銀貨を含めたイギリスのコインを売却したい方は、当サイトで買取を受け付けています。
鑑定から現金化までサポートしますので、アンティークコインの売却が初めての方でも安心であり、高価買取も期待できます。
コインを当サイトに出品することもできるので、買取・出品についてこちらのページからお気軽にお問い合わせください。
まとめ
王政復古により復位したチャールズ2世は、父とは異なり政治とは距離を置きながらも、家族や愛人の支援を惜しまなかった人間味あふれる歴史からも陽気な王と呼ばれる人柄が分かることでしょう。
自身がカトリックに改宗していたこともありますが、妻や弟のために議会と対立して信仰の自由を認めさせようとした魅力的なエピソードもあります。
興味を持った方は、大型で見栄えもよく、デザインも美麗なコインが多いチャールズ2世の金貨・銀貨をぜひ手元に置くことも検討してみてください。
画像引用
https://www.royal.uk/charles-i
https://www.royal.uk/diana-princess-wales
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55862