ジョージ1世(在位1714-1727)は、母ゾフィー・フォン・デア・プファルツがジェームズ1世の血族であることから、ドイツの生まれでありながらイギリスの国王に即位した人物です。
国王でありながら英語が話せなかったため、実質的な政務をロバート・ウォルポールに任せたことで、現在のイギリスにおける立憲君主制が成立することとなりました。
この記事ではジョージ1世のレア度の高い金貨・銀貨を紹介し、生い立ちと歴史について解説します。
ジョージ1世の生い立ちと歴史
父親 | エルンスト・アウグスト |
母親 | ゾフィー・フォン・デア・プファルツ |
配偶者 | ゾフィー・ドロテア・フォン・ツェレ |
王朝 | ハノーヴァー朝 |
家名 | ハノーヴァー家 |
子供 | ジョージ2世 |
ゾフィー・ドロテア | |
アンナ・ルイーゼ | |
ペトロニナ・メルジーネ | |
マルガレーテ・ゲルトルート |
ジョージ1世は、ジェームズ1世の曾孫にあたる人物であることから、アン女王の没後に即位し、ハノーヴァー朝の開祖となった国王です。
ジョージ1世の生い立ちと歴史を解説します。
- ゲオルク・ルートヴィッヒはハノーヴァーで生まれる
- ハノーファー選帝侯の継承
- ゾフィー夫人をアールデン城に亡くなるまで幽閉する
- 英語が話せない国王ジョージ1世の誕生
- 行幸の途中で67歳で崩御
※画像引用:https://www.royal.uk/george-i
ゲオルク・ルートヴィッヒはハノーヴァーで生まれる
1660年、ゲオルク・ルートヴィッヒは、父ハノーヴァ―選帝侯エルンスト・アウグストと母ゾフィー・フォン・デア・プファルツとの間に生まれます。
後にジョージ1世と呼ばれるゲオルクは、母ゾフィーの祖父がイングランド王ジェームズ1世であったことから、イギリス王室における6親等血族ではありましたが、ドイツ人との間にドイツのハノーヴァーで生まれた純然たるドイツ人でした。
兄妹には、神聖ローマ帝国の将軍マクシミリアン・ヴィルヘルムや、ブランデンブルク選帝侯の妃ゾフィー・シャルロッテなどがいます。
15歳のジョージ1世は父エルンストから、狩りや乗馬を通して軍事を学び、仏蘭戦争の戦役に連れていかれたこともありました。
ハノーヴァー選帝侯の継承
ジョージ1世はゲオルクであった時代から、すでにハノーファー選帝侯であった父から財産を相続することが決まっていた状態でした。
3人の叔父がいましたが、どの叔父も男児を成すことがなかったため、サリカ法によりすべての領土と財産が長子のジョージ1世に継承されることが認められます。
父であるエルンスト・アウグストが亡くなるのは1698年のことであり、ゲオルクはハノーファー選帝侯となります。
選帝侯時代の有名なエピソードには、数学者ゴットフリート・ライプニッツと音楽家ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルとアゴスティーノ・ステッファーを宮廷に招いたことがあります。
1701年にはガーター勲章が授与され、このときイングランドではウィリアム3世が崩御し、アン女王が即位していました。
ゾフィー夫人をアールデン城に亡くなるまで幽閉する
ツェレ城、レジデンスミュージアムに展示されたゾフィー・ドロテア・フォン・ツェレの肖像
ゲオルクが従妹のハノーファー選帝侯を継承する前に、ゾフィー・ドロテア・フォン・ツェレと政略結婚をおこない、着実にハノーヴァー家の足場を固めることとなりました。
1683年に息子のゲオルク・アウグスト(後のジョージ2世)、1687年には母と同じ名前の娘であるゾフィー・ドロテアが生まれますが、それ以降は妊娠することはありませんでした。
ジョージ1世と妻ゾフィーは性格も正反対で相性も悪く、お互いに愛人を作り不倫している状態にあったといわれています。
ゾフィーは駆け落ちしようとしますが失敗し、ジョージ1世は離婚するのではなく、ゾフィーをドイツのアールデン城に閉じ込めることを選びました。
妻の浮気相手であったケーニヒスマルク伯はハノーヴァー宮廷に仕えていた4人の人物により殺害され、ライネ川に遺棄されています。
本来であればイギリス王妃となる人物でしたが、ゾフィーは1726年に死去するまでアールデン城に幽閉されました。
一方で、ジョージ1世の愛人であったエーレンガルト・メルジーネ・フォン・デア・シューレンブルクは、マンスター侯爵夫人の称号を与えて優遇しましたが、結婚することはなく愛妾として傍においたといわれています。
ジョージ1世とエーレンガルト・メルジーネとの間には、アンナ・ルイーゼ、ペトロニナ・メルジーネ、マルガレーテ・ゲルトルートの3人の娘を設けていますが、結婚はしていないので私生児の扱いです。
妻を幽閉し続けているという事実は、ジョージ1世として即位した際にも悪評を招き、息子のジョージ2世ですら母に会わせなかったことから、彼は幼少期から父に対して強い怒りを抱きながら育ちました。
英語が話せない国王ジョージ1世の誕生
ここまでの生い立ちと歴史はドイツ時代のものでしたが、アン女王の崩御により、ドイツ人であったゲオルクはイギリス史に関わっていくこととなります。
アン女王の健康が悪化したことから国王の推定相続人として当時54歳でイギリスとドイツを行き来していました。
1714年、母ゾフィーが死亡し、同年中にアン女王が死亡したことにより、ゲオルクはイギリス国王ジョージ1世に即位。
しかし、ここまでの歴史から分かる通り、ジョージ1世はこれまでイギリスと関わりを持ったことがなかったため、英語を話すことすらできなかったといわれています。
このような状況で政治に関わることは難しいため、ロバート・ウォルポールなどの閣僚に任せたことで、君臨すれども統治せずという言葉が成立したのもジョージ1世の影響でした。
行幸の途中で67歳で崩御
ジョージ1世の即位はさまざまな問題により多くの国民が歓迎したわけではありません。
即位翌年の1715年には、ステュアート朝のジェームズ2世の血族にあたるジェームズ3世を王にするジャコバイトの乱が発生しましたが鎮圧されました。
1721年には、実質的な統治を任せたウォルポールによる責任内閣制が発展することとなります。
1727年、ジョージ1世はハノーヴァーへの行幸中に脳卒中を起こし、そのまま崩御しました。
ジョージ1世の時代からイギリス国王のあり方が変わった?
ジョージ2世は、ウォルポールの罷免を計画していましたが、政情不安を招く恐れがあることからそれを実行することができませんでした。
以降のイギリス国王は君臨すれとも統治せずの姿勢となり、実質的な政治における権力は首相が握ることとなる立憲君主制が成立することとなったのです。
ジョージ1世のレア度の高い金貨・銀貨2選
ジョージ1世の金貨は、1714年~1727年まで毎年発行されましたが、現存枚数が非常に少ないといわれており、アンティークコイン市場でも滅多に出回らない金貨であるため希少です。
ジョージ1世の金貨・銀貨をそれぞれ1つずつ厳選して紹介します。
- ジョージ1世 1ギニー金貨 1714年
- ジョージ1世 クラウン銀貨 1716~1726年
ジョージ1世 1ギニー金貨 1714年
発行国 | イギリス |
発行年 | 1714年 |
額面 | 1ギニー |
グレード | AU58 |
直径 | 26mm |
重量 | 8.4g |
品位 | .917 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | 極美品 |
ジョージ1世の1ギニー金貨の肖像は5つの種類があり、上記のコインは第1肖像で1714年にのみ発行された金貨です。
こちらは選帝侯タイプとなり、単年度のみの発行であることから希少性が高くジョージ1世のコインのなかでも高い価値を持ちやすい金貨となっています。
表面は月桂冠を被ったジョージ1世の右向き肖像、裏面にはイギリス、スコットランド、フランス、アイルランドの紋章が十字の形に描かれています。
ジョージ1世 クラウン銀貨 1716~1726年
発行国 | イギリス |
発行年 | 1716~1726年 |
額面 | 5シリング |
グレード | - |
直径 | 38.6 mm |
重量 | 30.1 g |
品位 | .925 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | - |
ジョージ1世の時代には、アメリカのギニアから採掘された金のみを使用したギニー金貨に加えて、クラウン銀貨も発行されていました。
ドイツのザクセン州に生まれ、ロンドンに移住した ジョン・クローカーによってジョージ1世の肖像は描かれています。
今回は、ジョージ1世の紹介であるためドイツとイギリスについて多く触れましたが、国ごとに代表的なアンティークコインを知りたい方はこちらの記事もチェックしてください。
ドイツ アンティークコインの歴史と価値【7種類の金貨・銀貨】
イギリス王室の歴史とアンティークコイン14選! レアな金貨・銀貨をご紹介
ジョージ1世のアンティークコインでよくある質問
最後に、ジョージ1世のアンティークコインでよくある質問をまとめました。
- ジョージ1世の希少性のある金貨・銀貨を購入する方法は?
- ジョージ1世の金貨・銀貨を高く売るには?
それぞれ詳しく解説します。
ジョージ1世の希少性のある金貨・銀貨を購入する方法は?
ジョージ1世は、その出自と妻であるゾフィー夫人を生涯にわたって幽閉し続けたことから国内でも人気のある国王とはいえません。
しかし、コインの現存数が非常に少なく、権威のあるオークションに出回ることも稀であるため、アンティークコイン収集家の間ではジョージ1世のコインは希少価値が高いと知られています。
アンティークコイン投資の対象にもなりやすいジョージ1世の金貨は、信頼できるコイン業者の入荷を待ち購入するのがよいでしょう。
当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」でも、ジョージ1世の金貨の取り扱い経験があり、今後入荷する可能性もありますが、購入は早い者勝ちになります。
アンティークコイン投資を目的に保有するなら、投資に特化したサービスを提供するアンティークコインショップのチェックを頻繁に行いましょう。
ジョージ1世の金貨・銀貨を高く売るには?
ジョージ1世の金貨・銀貨の買取も当サイトで受け付けています。
鑑定がお済でない方は鑑定から丁寧にサポートし、ジョージ1世のコインは希少価値が高いことから高額買取も期待できます。
また、ジョージ1世のコインだけでなくイギリス・ドイツのコインの買取も行っており、当サイトへのコインの出品も受け付けているので詳しくはこちらのページからご相談ください。
まとめ
ジョージ1世にイギリス国王になるという話が舞い込んだとき、チャールズ1世が処刑された歴史もあるため、本人は乗り気ではなかったそうです。
その上で国民からの批判も多かった国王でしたが、王室のあり方が大きく変わった重要な人物であったといえます。
歴史的な人物かつ希少性も高いジョージ1世のアンティークコインを投資に利用することも含めて保有を検討してみてはいかがでしょうか?
アンティークコイン投資について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。